• 作成日 : 2024年12月27日

IFS関数とは?使い方やIF関数との使い分けをわかりやすく解説

IFS関数とは、ExcelやGoogleスプレッドシートで利用できる関数の一つで、複数の条件を同時にチェックし、それに応じた結果を返すことができる機能です。この機能を使用することで、IF関数を連続して書く手間を省き、よりシンプルに条件分岐を設定することが可能になります。この記事では、IFS関数の使い方や実際の利用シーン、さらにIF関数との違いについて詳しく解説していきます。

IFS関数の使い方

IFS関数はExcelやGoogleスプレッドシートなどで使用できる強力な関数で、複数の条件を評価し、それに応じた結果を返します。ここでは、IFS関数をどのように活用するか、具体的な使い方を見ていきましょう。

IFS関数の基本構文

まずは、IFS関数の基本的な構文について理解しましょう。以下がその構文です:

IFS(logical_test1, value_if_true1, [logical_test2, value_if_true2], …)

ここでの各要素は以下のように説明できます:

  • logical_test: 判定したい条件を指定します。
  • value_if_true: その条件が真(true)の場合に返す値を指定します。
  • このペアを必要に応じて複数指定できます。

実際の例で理解する

具体的な使用例を見てみましょう。例えば、学生のテストの成績を評価するシンプルな例を考えてみます。この場合、成績に応じて「優」「良」「可」「不可」を返すIFS関数を作成します。

=IFS(A1 >= 80, “優”, A1 >= 60, “良”, A1 >= 40, “可”, A1 < 40, “不可”)

この例では、A1セルに入っている数値(成績)を基に評価が行われます。具体的には:

  • A1が80以上の場合、「優」と表示
  • A1が60以上かつ80未満の場合、「良」と表示
  • A1が40以上かつ60未満の場合、「可」と表示
  • A1が40未満の場合、「不可」と表示

複数の条件を活用する

IFS関数の良いところは、複数の条件を簡単に管理できることです。次のように、複数の条件を並べて評価を行うことができます。

=IFS(B1=”A”, 100, B1=”B”, 80, B1=”C”, 60, B1=”D”, 40, TRUE, 0)

ここでは、B1セルの値によって得点を決定しています。もしB1がどの条件にも当てはまらなかった場合、最後のTRUE条件が適用され、0を返します。

IFS関数の利用シーン

IFS関数は、複数の条件を設定してそれに応じた結果を返すことができる非常に便利な関数です。さまざまなシーンで利用されており、特に条件分岐が求められる場面で重宝されています。ここでは、一般的な利用シーンや具体的な例を紹介します。

1. 評価や成績の判定

学生の成績を評価する際に、成績に応じてグレードを返すケースが多く見られます。IFS関数を使用することで、各成績の段階に対応する評価を簡単に設定できます。

  • 90点以上:A
  • 80点以上:B
  • 70点以上:C
  • 60点以上:D
  • それ未満:F

例えば、セルA1に成績が入力されている場合、以下のようにIFS関数を使うことができます。

=IFS(A1>=90, “A”, A1>=80, “B”, A1>=70, “C”, A1>=60, “D”, A1<60, “F”)

2. 商品の割引率の設定

販売する商品に対して、購入金額に応じた割引率を設定する場合にもIFS関数が役立ちます。例えば、購入額に基づいて割引率を変更することができます。

  • 5000円未満:割引なし
  • 5000円以上:5%割引
  • 10000円以上:10%割引
  • 15000円以上:15%割引

この場合、セルB1に購入額が入力されている前提で、次のようにIFS関数を記述できます。

=IFS(B1<5000, 0, B1>=5000, 0.05, B1>=10000, 0.1, B1>=15000, 0.15)

3. カスタマーサポートの優先度評価

顧客からの問い合わせへの対応優先度を設定する際にも用いられます。問い合わせの内容に応じて、優先度を返すことが可能です。

  • クレーム:高
  • 質問:中
  • 要望:低

具体的には、問い合わせ分類が入ったセルC1に対して、次のようにIFS関数を使います。

=IFS(C1=”クレーム”, “高”, C1=”質問”, “中”, C1=”要望”, “低”)

このように、IFS関数を使うことで、さまざまな条件に基づく柔軟な評価が可能となります。具体的な利用シーンを把握することで、実際の業務においての活用方法が見えてきます。

IFS関数とIF関数の使い分け

Excelには条件に応じて異なる値を返すための関数がいくつかあります。その中でも特によく利用されるのがIFS関数とIF関数です。これらは似たような機能を持っていますが、使い方や適切なシーンが異なります。本章では、IFS関数とIF関数の違いを明確にし、それぞれの特性を把握するためのポイントを解説します。

IF関数の基本

まずはIF関数の基本的な使い方を見ていきましょう。IF関数は2つの条件に基づいて値を返します。基本構文は以下の通りです。

IF(条件, 真の場合の値, 偽の場合の値)

IF関数では、条件が真であれば指定した値を返し、偽であれば別の値を返します。これにより、単純な条件分岐を行うことができます。

IFS関数の登場

IFS関数は複数の条件を同時に評価し、最初に真となる条件の値を返すことができる特徴があります。基本構文は以下の通りです。

IFS(条件1, 値1, 条件2, 値2, 条件3, 値3, …)

このように、IFS関数を使うことで、複数の条件分岐を一つの関数で実現することができます。

使い分けのポイント

では、具体的にどのようなケースでIF関数とIFS関数を使い分けるべきでしょうか。以下のポイントを参考にしてください。

  • 条件の数:IF関数は基本的に2つの条件を持つため、条件が少ない場合に適しています。一方、条件が3つ以上ある場合はIFS関数がより効率的です。
  • 可読性:複雑なIF関数のネスト(入れ子構造)は可読性が低くなるため、IF関数が多くなる場合はIFS関数を使うことでコードの整理が行いやすくなります。
  • 誤りの管理:IFS関数は最初に真となる条件を見つけその値を返すため、誤った条件によるエラーを減らす助けとなります。

このように、IF関数とIFS関数は適切に使い分けることで、効率的かつ視覚的に理解しやすいシートを作成することができます。

IFS関数の応用

IFS関数は、条件を元に異なる値や計算結果を出力する非常に便利な関数です。ここでは、IFS関数を実際の業務や日常的なデータ分析にどのように応用できるのか、具体例を交えながら説明します。

1. 成績評価の自動判定

学生の成績を自動で評価するために、IFS関数を使うことができます。例えば、点数によって評価を分ける際に使用します。

点数範囲評価
90以上
75以上90未満
60以上75未満
60未満不可

この場合、IFS関数の式は次のようになります:

=IFS(A1>=90, “優”, A1>=75, “良”, A1>=60, “可”, A1<60, “不可”)

2. 売上に応じたボーナス計算

企業での売上に基づくボーナスを自動計算する際にも、IFS関数が役立ちます。売上額に応じたボーナスの計算式を作成しましょう。

  • 売上が500万円以上:ボーナスは売上の10%
  • 売上が300万円以上500万円未満:ボーナスは売上の5%
  • 売上が300万円未満:ボーナスは0

この場合、IFS関数の式は以下のようになります:

=IFS(A1>=5000000, A1*0.1, A1>=3000000, A1*0.05, A1<3000000, 0)

3. 顧客のリスト分け

顧客情報をもとにリストを分ける場合も、IFS関数を活用できます。例えば、顧客の年齢に基づいてカテゴリ分けを行います。

  • 18歳未満:子供
  • 18歳以上65歳未満:大人
  • 65歳以上:高齢者

この場合、IFS関数の式は次のようになります:

=IFS(A1<18, “子供”, A1<65, “大人”, A1>=65, “高齢者”)

このように、IFS関数はさまざまなシーンでのデータ処理や分析を効率化するために非常に役立ちます。複雑な条件分岐を簡素化し、業務の生産性を向上させるための強力なツールと言えるでしょう。

IFS関数の条件は何個まで設定できる?

IFS関数は、複数の条件を一度に設定できる強力なツールです。しかし、条件を設定できる上限について知っておくことは重要です。以下では、IFS関数の条件設定の上限数について詳しく解説します。

IFS関数の条件数

IFS関数に設定できる条件の数は、Excelのバージョンによって異なりますが、基本的には以下のようになります。

  • Excel 2016以降:最大条件数は127個です。
  • Excel 2013以前:最大条件数は255個です。

上限に達すると、エラーが返されるため、設定する条件の数には注意が必要です。

条件を効果的に使用するポイント

多くの条件を設定することが可能ですが、以下のポイントを考慮することで、より効果的にIFS関数を活用できます。

  • 条件をグループ化する:関連する条件をまとめて、整理することで可読性が向上します。
  • 不要な条件を排除する:必要のない条件は省略し、実際に必要な条件のみを設定するよう心がけましょう。
  • テストを実施する:設定した条件が意図したとおりに機能しているか、十分にテストすることが重要です。

以上のように、IFS関数には多くの条件を設定できる利点がありますが、その上限と効果的な使い方を理解しておくことで、より高度なデータ処理が可能になります。


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