- 作成日 : 2024年6月12日
ノウハウの言い換えは?意味や例文、ビジネスでの使い方を解説
「ノウハウ」は「スキル・ナレッジ・テクニック・ハウツー」などの言葉に言い換えできます。それぞれの言葉の意味やニュアンスは異なるため、使用シーンや内容に合わせて正しく使い分けできるとよいでしょう。本記事では、ビジネスシーンでのノウハウの意味や、ノウハウを言い換えた場合の例文をご紹介します。
目次
ノウハウの意味とは?
ノウハウは、英語の「Know(知識)」と「How(方法)」を組み合わせた「Know-How」が由来になっている言葉です。
「知識・方法・技術」などを意味しており、主にビジネスシーンで使用されます。しかし「営業ノウハウ」「料理のノウハウ」のように、業界・職種を問わずに使用できるため、本やSNSなどでも活用されています。ビジネスシーンでは、ノウハウを得ることで問題解決や生産性の向上などが図れるため、非常に有益な情報です。
ビジネスでの意味
ビジネスシーンでのノウハウとは「実務を通して得た技術」や「事業を展開するための専門的な知識」を意味しており、社員が業務を遂行する際に経験して得たことです。
ノウハウは、販売に関する知識や食品の調理方法、販路拡大の方法など、企業がリソースを投じて得た、価値の高い情報といえます。自社の強みや特徴となったり、競合に負けないための付加価値になったりするため、企業にとっての知的財産とも称されています。
ノウハウの言い換え
ノウハウをほかのビジネス用語に言い換えた場合、主に次の4つが考えられます。
- スキル
- ナレッジ
- テクニック
- ハウツー
ビジネスシーンで使用される際の意味やノウハウとの違いも紹介します。
スキル
スキル(Skill)とは、日本語で「技量・腕前・熟練・技術・技能」などの意味を持ち「経験を通じて個人が身につけた技術」を表す場合が多いです。スキルは個人の能力なので人に継承することは難しいですが、ノウハウは「人に共有できる技術」も含まれるため、使い方が若干異なる場合があります。
【例文】
- 難しい仕事にチャレンジし、スキルを高める。
- 彼のパソコンスキルは、社内で一番である。
ナレッジ
ナレッジは英語の「Knowledge」が由来になっている和製英語です。Knowledgeは日本語で「知識・知見」を意味し、一般常識から専門分野までの幅広い知識を表しています。
ビジネスシーンではナレッジを「有益な知識」といった意味で使用するため、ノウハウと同じように使用している方が多くいます。
【例文】
- チーム内でナレッジを共有して、プロジェクトを成功させる。
- 前回の業務で得たナレッジで、次回からはスムーズに業務を遂行できそうだ。
テクニック
テクニック(Technic)の意味は、日本語で「技術・技法・技巧」などです。「裏技・秘技」のようなニュアンスを含み、誰であっても即効性の高い技術を習得できる場合に使用されます。ノウハウは「実務を行う上で必要な専門知識やコツ」という意味を含むため、同じようなニュアンスで使用されることがあります。
【例文】
- シンプルに結論を伝えることは、会話力を高める基本テクニックである。
- 職人が担っている仕事は、高度なテクニックが必要だ。
ハウツー
ハウツーは、英語の「How-To」が由来で、日本語では「How(方法)」と「To(誰へ)」を合わせて「方法を教える」といった意味があります。ノウハウが「経験を伴う高度な方法」を伝えるニュアンスで使われるのに対して、ハウツーは「基礎知識・基礎技術」を伝えるニュアンスで使われることが多いです。
【例文】
- 新入社員に営業のハウツーを教えるため、取引先に同行する。
- 新しい企業に入社する前に、ハウツー本で業界について予習しておく。
ノウハウの日本語での言い換え
ノウハウを日本語で言い換えた場合、主に次の5つが考えられます。
- 専門知識
- 技術
- 知見
- 知恵
- 秘訣
ビジネスシーンで使用される際の意味と、ノウハウとのニュアンスの違いを紹介します。
専門知識
「専門知識」は、特定の分野を深く知り尽くして得た情報やコツを表すためノウハウとほぼ同義で使用できます。
【例文】
- エンジニアは、専門知識が必要な仕事である。
- 彼は、非常に多くの専門知識を持っている。
技術
技術には「物を生産する方法・手段」といった意味があります。ノウハウも物事の知識や技術といった意味が含まれるため、言い換えたとしても違和感は少ないでしょう。
ただし、ノウハウには「経験が蓄積して培った技術」というニュアンスも含まれます。
【例文】
- 彼の持っている技術は、ほかの誰よりもレベルが高い。
- 実務研修を重ねて、IT技術を磨く。
知見(ちけん)
知見は、経験を通じて得た知識のことをいい「ナレッジ」と同義語です。ナレッジと同様、幅広く「知識」を意味していますが、ビジネスシーンでの「知見」は付加価値のある知識といったニュアンスを含みます。
【例文】
- 上司は、介護業界についての知見がある。
- 新規事業に挑戦するため、海外出張に行き知見を広げる。
知恵(ちえ)
知恵とは「物事をうまく処理していける能力」を表す言葉です。知識や経験を基に蓄積したコツや技術といったニュアンスがあるため、ノウハウに近い意味を持っています。
【例文】
- 上司の知恵を借りて、効率的な育成計画を立てる。
- チームの知恵を集約して、プレゼンを成功させる。
秘訣(ひけつ)
秘訣は「他人が知らない特別な方法」を意味しています。奥の手やテクニックのような「経験を基にした、とっておきの方法」が、人に知られていない場合に使用する機会が多いでしょう。
【例文】
- 上司に成功の秘訣を教えてもらった。
- 営業成績を上げる秘訣は、相手の話をよく聞くことである。
ノウハウの使い方・例文
ビジネスシーンで、ノウハウはさまざまな使い方で用いられます。ここでは、次の5つの使い方について解説と例文をご紹介します。
- ノウハウを教える
- ノウハウを身につける
- ノウハウを蓄積する
- ノウハウを共有する
- ノウハウを活用する
ノウハウを教える
「ノウハウを教える」とは、仕事の技術やコツを教える際に使用する言い回しです。多くの場合、経験豊富な社員が新入社員や若手社員に対して共有するときの表現として用います。
ノウハウを教えることにより、若手社員の業務効率が向上することが期待できます。
【例文】
- 若手社員に営業ノウハウを教えたため、部署全体の売上が向上した。
- 新入社員にノウハウを教えるためミーティングを開いた。
ノウハウを身につける
個人が、経験により技術や能力を向上させることを「ノウハウを身につける」と表現します。個人が身につけたノウハウを共有すれば、組織全体の能力が底上げされ生産性が向上します。
【例文】
- ノウハウを身につけるためには、経験がなによりも大切だ。
- 上司のような教育ノウハウを身につけて、管理職を目指したい。
ノウハウを蓄積する
「ノウハウを蓄積する」とは、時間をかけてノウハウを蓄えることです。「個人」に対しても「組織」に対しても使用できます。個人がさまざまな経験を通してスキルアップするだけでなく、個人が組織にノウハウを共有し蓄えられることで、新たな視点や技術が生まれる可能性があります。
【例文】
- 組織全体の生産性を向上させるため、ノウハウを蓄積しなければならない。
- 過去のプロジェクトで蓄積したノウハウを活かして、新規事業を成功させる。
ノウハウを共有する
個人が得た技術や成功体験を、チームや組織に伝えることを「ノウハウを共有する」といいます。ノウハウを共有することにより組織の業務効率や生産性が向上するため、組織の成長スピードが加速します。
【例文】
- 会社全体の業務効率を向上させるため、業務整理に役立つノウハウを共有する。
- ノウハウを共有するため、ITシステムを導入した。
ノウハウを活用する
「ノウハウを活用する」という文章は、上司や先輩から教えてもらったノウハウを使って業務を進める際に使用します。自身が成果を出すためや後世に業務を伝えるためにノウハウを活用することが多いでしょう。
【例文】
- 新規顧客を開拓するため、蓄積したノウハウを活用する。
- 上司に教えてもらったノウハウを活用して、新入社員の教育をする。
ビジネスでノウハウを共有するメリット
組織にとってノウハウを共有するメリットは多く、デメリットはほとんどないといえます。
具体的なメリットは、以下の4つです。
- 業務効率の質とスピードが向上
- ミスや失敗の防止
- イノベーションの促進
- 人材育成やトレーニングの迅速化
それぞれ解説します。
業務効率の質とスピードが向上
ノウハウを共有すると、非生産的な時間を削減しスムーズに業務を遂行できるようになるため、業務効率や質が向上します。業務の手順や方法がわからずに調べている時間は、ビジネスにおいて最も無駄な時間になるためです。
たとえば、業務の不明点がある際、ノウハウを共有されていない社員は調べる時間が必要な上に、ときには指導する社員が自身の業務を止めて教える必要があります。しかし、ノウハウを参照できる仕組みが整っていれば、それぞれが手を止めずに業務に取り組めるため、生産性が向上しやすくなります。
ミスや失敗の防止
ノウハウの共有は、業務が属人的になることを防げるため、人によって業務の質や手順が統一されやすくなります。
企業において、異動による担当者の変更や社員の入れ替わりは想定しておかなければなりません。人によって説明の仕方や理解力が異なると、特定の社員しかわからない方法を引き継ぐ際にうまく伝達ができず、ミスや失敗が起こる原因となります。
ノウハウを共有できれば業務を行うための情報が統一されるため、人による業務のバラつきを減らせるでしょう。
イノベーションの促進
ビジネスにおいてのイノベーションとは「技術革新」を意味しており、新たな発想や技術を生み出すことです。イノベーションを促進するには、多様な視点や成功例、失敗例などから学び、新たに創案する必要があります。ノウハウを共有することで、知識や経験が蓄積された中から異なる視点で捉え直すことができ、イノベーションが促進されます。
人材育成やトレーニングの迅速化
新入社員や部署異動した社員をできる限り早く教育するには、会社が情報を整理し、自分で調べられる環境を整えることが必要です。個人の経験や成功例を参照できる上、誰であっても自主的に学べるため、社員の教育面においてもノウハウの共有は有効な方法といえます。
ノウハウを共有することで、自分で情報を取得して業務を遂行できる上に能動的に業務をこなす人材への成長を期待できるといったメリットがあります。
ビジネスでノウハウを共有するには?
ビジネスシーンでノウハウを共有する方法は、次の3つがあります。
- マニュアルにまとめる
- ミーティングで共有する
- ITシステムにノウハウを蓄積する
上手にノウハウを共有するには、ノウハウの内容や企業規模に合わせた方法を選ぶことが重要です。最も良い共有方法を選択しましょう。
マニュアルにまとめる
マニュアルは誰がどのようなタイミングであっても、情報を得たいときに確認できるため、企業規模が大きい場合に有効な手段といえます。
マニュアルにノウハウをまとめる際は、テキストだけでなく図解や数値などを使用し、誰が読んでも理解できる内容にしてください。ノウハウは、言語化することが難しい場合があり、感覚的になりやすいためです。ノウハウが古くなってきたり変更があったりするときには、作成し直す必要があります。
ミーティングで共有する
営業ノウハウのような個人の経験や感覚に基づく、言語化しづらいノウハウは、ミーティングで共有する方法があります。メリットは、ミーティングの参加者はニュアンスや雰囲気を感じ取れるため、より深く理解できたり意見を出し合ったりできることです。
また、全社員に必要なノウハウでない場合、部署や役職など社員の立場に合わせたテーマでピンポイントに共有できます。しかし、人によって理解度や伝え方が異なるため、ノウハウの伝わり方に多少のバラつきが生まれることはデメリットです。
ITシステムにノウハウを蓄積する
ITシステムでノウハウを共有するメリットは、欲しい情報を即座に見つけられる検索性や、インターネットにつながっていればどこでも閲覧できる利便性にあります。使用するITシステムによっては、ノウハウごとに共有する社員を仕分けたり、システム上で意見交換したりすることも可能です。
また、ノウハウを共有するフォーマットが決まっていたり動画を添付できたりするため情報が整理されやすく、誰にとってもわかりやすいノウハウを蓄積できます。
ノウハウを上手に活用して一流のビジネスパーソンになろう
本記事では「ノウハウ」の言い換えや使い方について、例文を交えてご紹介しました。ノウハウに近い言葉は多くありますが、ニュアンスの違いを理解しシーンに合う言葉を選択しましょう。
ノウハウは「個人が経験で得た知識や技術」のことであり、組織に共有することで価値がより高まります。用語の言い換えや使い方の理解だけでなく「ノウハウそのものの使い方」を熟知して、企業の財産ともいえるノウハウを上手に活用してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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