- 更新日 : 2024年8月27日
マニュアル人間とはどのような人?マニュアルの必要性と正しい活用法
マニュアル人間とは、マニュアル通りに仕事を進めることに固執し、柔軟な対応ができない人のことです。パターン化された業務には強いものの、トラブル発生時や未経験の状況に対応する能力に欠けることが多い傾向にあります。
マニュアル人間の特徴を理解した上で効果的な対策を講じ、柔軟で応用力のある人材を育成しましょう。
目次
マニュアル人間とは?
マニュアル人間とは、マニュアル通りに仕事を進めようとするあまり、臨機応変な対応ができない人のことを指します。マニュアル通りのパターン化した仕事はそつなくこなせるものの、トラブルや機転が必要な場面で力を発揮できない傾向にあります。
仕事で応用がきかず人からの指示を待つことが多い点から、ネガティブな意味で使われやすい言葉です。
マニュアル人間の短所
マニュアル人間の短所として、以下の4つが挙げられます。
マニュアル人間は失敗を怖れる傾向が見られます。失敗して周囲から評価が下がったり、上司や先輩に怒られたりすることを避けるため、マニュアルから外れた行動を取るのが苦手です。
日ごろからマニュアル通りの手順ばかり経験しているせいで、トラブルが発生したときや未経験の仕事が急に舞いこんだ際の対応が苦手です。自分で対処できず、取り乱したり何もできなくなったりすることもあります。
マニュアルに則った問題事案やトラブルの報告はできても、改善案や意見を求められると途端に建設的な提案ができなくなります。マニュアルに意識が向くあまり、自分で仕事の振り返りや分析を行わないことが原因です。会議において、自身の意見を発信せず参加しているだけにとどまる人も多い傾向にあります。
マニュアルにない判断を任されたときに、決断力を発揮できません。ひとりで対応しなくてはならないとなると、判断を下すまでに時間がかかったり、時にはどうしていいか分からず仕事に手を付けられなかったりする場合もあります。 |
業務にマニュアルは必要?
「接客マニュアル通りのサービスには人間味を感じられない」などのように、マニュアルには悪いイメージがついている場合もあります。「マニュアル化された仕事」は、誰にでもできる面白みのない仕事と受け止められることもあるでしょう。しかし、マニュアルには多くのメリットも存在するため、業務にマニュアルは必要です。
ここではマニュアル制作によって得られる効果について解説します。
作業の属人化を防げる
業務の詳細や進め方を、特定の従業員しか把握していない状況を属人化と言います。業務手順を把握している従業員が休んだり、異動や退職によって職場から去ってしまったりすると、業務手順のノウハウが失われかねません。担当者が変わると、成果の品質が落ちる可能性もあるので、業務効率や一定の品質を保つ上でも、属人化をいかに避けるかは重要な課題です。
再現性のある業務マニュアルを作成することで、属人化を回避できます。基本手順が確立されるので、担当者がそれぞれのやり方で仕事を進めてしまう事態も防げます。また、急な配置換えや転退職で引き継ぎが十分に行われない場合も、マニュアルがあれば次の担当者が落ち着いて業務を覚えることが可能です。
品質が安定する
業務手順が統一されていないと、各担当者によって作業の品質にムラが生じます。慣れていない担当者は正確に素早く業務を遂行することが難しく、効率が悪かったりミスや抜け漏れが発生したりする可能性もあります。担当者ごとに業務の品質に差が生じると、他の業務にも悪影響が及び、時には顧客の信頼を失うこともあります。
担当者によって品質にムラが出てしまうのは、ミスやノウハウが共有されないことが原因です。マニュアルを整備すると、起こりやすいミスへの対処法や最適な手順を言語化、視覚化できます。業務の品質を安定させるには、マニュアルによって担当者が全員ノウハウと手順を共有した状態を作り出すことが重要です。
業務効率化につながる
マニュアルを実際の業務に適用すると、さまざまな課題や問題点が発覚するものです。見つかった課題や問題点を改善し、仕事効率化を進めることを業務標準化といいます。
マニュアルを用いて業務標準化を行えば、最適な業務手順を確立し効率化できます。効率化した手順を最初から共有できれば、経験の浅い担当者も短時間で品質の高い作業が可能になるでしょう。
手順が滞りなく完遂できるマニュアルを一度作った後も、定期的に更新することが大切です。システムやツールのバージョンアップにともなって手順の見直しが必要となる場合もあります。業務標準化を行い、適宜マニュアルを見直しながら業務の効率性を高めましょう。
新人教育に役立つ
経営理念や事業方針など、容易に変わらず、かつ社員全体が把握しておくべき内容はマニュアル化することで新入社員に継承しやすくなります。ビジネスマナーや社内ツール、規則などもマニュアル化するのに最適な重要情報です。
多くの情報を口頭で教えていては時間が足りません。マニュアル化して新入社員に渡しておくことで、教育担当者の負担の軽減にもつながります。マニュアルがあれば重要情報を手元でいつでも見返せます。新入社員も手順が分からなくなった場合、人を頼る前にマニュアルで解決が可能となるでしょう。教える内容がマニュアル化されると、指導者による伝達ミスやばらつきも防げます。
マニュアル人間にならないためのマニュアルの使い方
時間をかけてマニュアルを作成しても、マニュアル人間が増えると応用力が養われず、社内の生産性は向上しません。マニュアルは作成後の活用方法も大切です。ここでは、マニュアル人間を増やさないマニュアルの活用方法を解説しましょう。
応用の経験をさせる
マニュアルでカバーする範囲を基礎知識のみにしておくと、マニュアル人間化の阻止に効果的です。基礎的な内容はマニュアルを活用して効率的に身につけ、応用力は実際の業務で身につけることで、マニュアル外の事態に遭遇しても対応できるようになります。
実際に業務に携わると、マニュアル通りにいかない事態に出くわす機会も多々あります。中にはほとんど発生しないイレギュラーな事態もあるでしょう。頻度の低いトラブルは、対応をマニュアル化するよりその都度対応を考えて乗り越える方がいい経験になる場合もあります。問題に対応する経験を積むことで社員にも自信がつくでしょう。
マニュアルをブラッシュアップする
マニュアルは作成すれば終わりというものではありません。実際にマニュアルが活用される中で発覚した抜け漏れや問題に対して、さらに対策を講じる必要があります。現場からのフィードバックによって改善され、よりよいマニュアルを作成すればさらに業務を効率化できます。
また、マニュアルのブラッシュアップは現場の社員のモチベーションを高めるためにも効果的です。現場の意見や問題点を吸い上げることが当たり前の環境ができれば、意見が言いやすくなるでしょう。マニュアルのブラッシュアップを念頭におくと、社員がミスやトラブルを報告しやすくなり、自身の意見や考えの提案にも積極的になります。結果として社員が能動的に働く環境が生まれます。
マニュアルを効果的に活用することで業務効率化に!
マニュアルは業務の効率化や品質の安定化に欠かせないツールですが、過度に依存するとマニュアル人間を生み出すリスクがあります。マニュアルの活用方法をあらかじめ決めておき、実務を通じて応用力を養うことが重要です。
また、マニュアルを常にブラッシュアップし、現場の声を反映させれば、社員のモチベーションが上がり、能動的な働き方を促進できます。現場主導でマニュアルを改善していくことで柔軟な対応力と創造性を持った人材が育成され、組織全体の生産性が向上します。
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