• 更新日 : 2024年7月3日

アイデア出しに困ったら?出し方のテクニックや発想法、事例を解説

アイデアとは、考えついたりひらめいたりしたことを論理的にまとめ、人に伝えられるものを指します。具体的な施策や問題解決につなげられることも、アイデアの特徴です。

本記事ではアイデアの概要や生まれるプロセス、アイデアの出し方について解説します。ビジネスアイデアの事例も紹介しますので、参考にしてください。

アイデアとは?

アイデアとは、物事の計画・実行などにあたって行う新しい工夫や思いつきのことです。直面する問題を解決するための方策のひとつを指すこともあります。

アイデアは無から有を生み出すことではなく、既存の要素の新しい組み合わせです。現状にある既存の要素を新しい組み合わせに変えることで、アイデアが生まれます。

また、アイデアは才能やひらめきとは異なります。違いをみてみましょう。

才能やひらめきとの違い

才能とは、物事を巧みになしうる能力のことで、生まれつき備わっています。一方、アイデアは、既存のものを組み合わせて新しいものを作り出すことです。

アイデアは才能が必要だと思われがちですが、アイデアを出して形にしていく過程ではアイデアをうまくまとめて人に伝える作業が必要であり、そこに求められるのは才能ではなくテクニックです。

組み合わせる物事の関連性を見つけ出すテクニックが重要であり、必ずしも才能が必要なわけではありません。

また、ひらめきとは、 優れた考えなどが瞬間的に思い浮かぶことです。考えるためのヒントになるものですが、それだけではアイデアになりません。

アイデアにもひらめきの要素はありますが、単なるひらめきだけでは問題の解決策は生まれず、考えた結果により実行につながることが必要です。具体的な施策につながるかどうかが、ひらめきとアイデアの違いといえるでしょう。

アイデアの生まれるプロセス

アイデアは、次のようなプロセスで生まれます。

  1. 情報を集める
  2. 集めた資料・情報を咀嚼する
  3. 時間を置く
  4. ひらめきを得る
  5. アイデアを検証・具現化する

アイデアは既存の要素の組み合わせであり、まず情報を集めることが必要です。情報は一般的な知識のほかに、自分自身にとって興味があり、得意とする分野に関するものなども含め、幅広く収集します。

集めた情報は咀嚼するように細かく分析し、組み合わせていきます。組み合わせたものからアイデアを生み出すには、時間が必要です。しばらく想像力に刺激を与えるような環境に身を置き、くつろいだ状態からひらめきが起こるのを待ちます。

アイデアが形になったら、具体化するために情報を共有します。アイデアが有効なものであることの理解を得るために構想を練り、計画を立てて検証を行いながら具現化するという流れです。

アイデアの出し方・フレームワーク7選

アイデアを出すテクニックとして、複数のフレームワークがあります。ここでは、代表的なアイデアのフレームワークを7つ紹介します。

ブレインストーミング

ブレインストーミングは、グループでアイデアを引き出す手法です。複数のメンバーが自由に意見を出し合い、新たな発想を生み出すことを目的としています。

参加者は与えられたテーマに対して自由に発言しますが、発言に対して批判や否定をしないのがルールです。

メンバーは次々に出てくる発言により刺激を受け、一人では思いつかないようなアイデアが浮かんだり、アイデア同士の結合で思いがけないアイデアが生まれたりすることがあります。

KJ 法

KJ法は1人でもできるフレームワークです。考案者のイニシャルを取って KJ 法と名付けられています。

付箋に思いつくままにアイデアを書き出して、カードを並べ変えたり、グループ分けしたりすることにより、断片的なアイデアを整理する手法です。

KJ法では整理の対象となるアイデアが必要であり、ブレインストーミングでアイデアを出してから行うと、アイデアを効率的に整理できます。そのため、KJ法とブレインストーミングはセットで行われることが少なくありません。

マンダラート法

マンダラートとは仏教に登場する曼荼羅模様に由来する言葉で、曼荼羅とアートを組み合わせた造語です。3×3で構成される曼荼羅模様のマス目を作り、中心にテーマを書きます。それを取り囲む残りのマスに、テーマから思いつく言葉を書いていく手法です。

連想からアイデアを引き出していく方法で、引き出された言葉に対して新たなマンダラートを作り、アイデアが広がっていくのが特徴です。

マインドマップ

マインドマップは、人間の自然な思考プロセスを可視化する手法です。まず、紙やホワイトボードの中心にテーマとなる問題、もしくは関連するキーワードを書きます。その周りに解決策やアイデアを書き込み、中心にあるテーマと線でつなぎます。

さらに細分化させ、アイデアを出し切るまで連想する要素をつないでいくという流れです。

マインドマップの作成により漠然としたアイデアを分解し、具体的な形にしていくことが可能です。

ストーリーボード

ストーリーボードは、イラストでアイデアを可視化するフレームワークです。アイデアとそこから想定される結果を、イラストや画像を使ってストーリーとして可視化します。発想したばかりのアイデアを整理する際に役立つ手法です。

思いついたばかりのアイデアは抽象的で、言葉で説明してもイメージしにくいことが少なくありません。イラストによるストーリーにすれば、言語化が難しいものでもイメージが可能です。

SCAMPER(スキャンパー)法

SCAMPER法とは、7つの質問リストに回答するだけで、短時間でアイデアを量産できるフレームワークです。「SCAMPER」は、7つの質問の頭文字をとって名付けています。

たとえば、「SCAMPER」の「S」はSubstitute(代用する)の略で、ほかのものに代用できないかを探る質問です。「プロセスや手順を変えるとどうなるか」「場所や時間を置き換えるとどうなるか」といった質問に答えることで、発想の転換を促します。

希望点列挙法、欠点列挙法

希望点列挙法と欠点列挙法は、それぞれ対極に位置するフレームワークです。

希望点列挙法は、「こうすればもっと良くなる」という理想や夢を可能な限り書き出します。その中から現実味のあるものを選び、革新的なアイデアを得るという手法です。

欠点列挙法は、些細な欠点や問題点を探し出して列挙します。あえてマイナス面を見つけ出すことで普段は見逃している問題点を洗い出し、解決策やアイデアを拾い出す手法です。

アイデア出しに困ったら?考え方のポイント

フレームワークをいろいろ試してもアイデアがなかなか出なかったり、出尽くしてしまったりした場合は、視点を変えた手法がおすすめです。

ここでは、アイデアの出し方に悩んだときの「奥の手」を解説します。

消去法

消去法とは、とても採用できないようなアイデアから順に消去していく方法です。これを何度も繰り返し、最後に比較的良いアイデアが残ります。

各フレームワークで出したアイデアがどれも今ひとつで、どれを採用すればいいかわからないといった場合に役立ちます。

積極的に良いアイデアを求めている場合には向きませんが、現在出ている時点で最も良いアイデアを選びたいときに効果的です。

逆張り思考

逆張り思考とは、アイデアがなかなか浮かばないとき、自分の中で常識としていることの逆の思考・行動をしてみる方法です。

逆張り思考は本来、投資で使われる戦略を指します。市場では見向きもされない安い株式を安値で購入し、高値がついたときに利益を得るという戦略で、市場の流れとは逆の発想をする投資方法です。

アイデアの出し方にも使うことができ、固定観念や先入観を新しい発想に転換することで、思わぬアイデアが生まれる可能性があります。

ビジネスアイデアの企業事例

画期的なビジネスアイデアで成功している企業事例は、数多くみられます。ここでは、ユニークなアイデアで成功している3社の事例を紹介します。

ecbo株式会社

ecbo株式会社では、これまでにない荷物一時預かりサービスのecbo cloak(エクボクローク)を提供しています。カフェをはじめとする店舗の空いているスペースに、コインロッカーと同じ料金で荷物を預けられるサービスです。

店舗はコストをかけず、スマホと空きスペースがあれば一時預かりサービスを提供できます。会社側は荷物預かり代金の数十%をシステム利用料として徴収し、残りを店舗に支払う仕組みです。

訪日外国人が増える状況でコインロッカーが不足している実情があり、荷物預かりの課題を解決する方法として生み出されたアイデアが「ecbo cloak」です。

サービスはさまざまなメディアが取り上げるなど注目を集めており、サービスも拡大を続けています。

参考:創業手帳 ecbo 工藤 慎一|荷物預かりサービス「ecbo cloak」は、ある旅行者との出来事から始まった。独占インタビュー

株式会社発明ラボックス

株式会社発明ラボックスの代表取締役は、数々のヒット発明品を生み出している主婦発明家です。誰でも考えられるような簡単な構造に特徴を持たせて権利を取得し、数多くの企業とロイヤルティ契約を結んでいます。

ゴミを吸引しながら拭き掃除ができる掃除機ノズルは、嫌な水拭き掃除を楽にしたいという考えから生み出されたアイデアです。販売個数は14万個というヒット商品になりました。

同社では、その後も特許・実用新案権10件、意匠3件を出願し、いずれも商品化されてヒットしています。

参考:発明ラボックス 松本 奈緒美|起業で使える発明家の発想術(前編) | 起業・創業・資金調達の創業手帳

株式会社陣屋

日本旅館を経営する株式会社陣屋は、クラウド型宿泊施設向け管理システム「陣屋コネクト」を自社開発しました。一時は年間マイナス6,000万円の大赤字という存続の危機に陥りましたが、システムの発明により経営の危機を立て直しています。

「陣屋コネクト」は、ゲストが利用するサービスから施設のスタッフが管理する機能までをクラウドにより連携し、包括的にサポートするシステムです。顧客の快適な滞在を実現し、 省人化や収益の拡大、利益率の改善へとつなげます。

同社は「陣屋コネクト」によりサービス品質・生産性を向上させ、2012年よりシステムの外販を開始しました。2024年現在で、全国500以上の施設で活用されています。

参考:陣屋グループ概要

アイデアの出し方は豊富にある

アイデアは才能やひらめきとは異なり、既存の要素を新しく組み合わせるテクニックです。アイデアを出すときは情報を集めて分析・組み合わせを行い、時間を置いて具体化するというプロセスをたどります。

アイデアの出し方・フレームワークは豊富にあり、活用することで新しいアイデアの創出が可能です。

ユニークなアイデアで成功している事例も参考に、これまでにないアイデアを作り出しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事