• 更新日 : 2025年2月12日

エクセルを使った適正在庫の管理表作成方法|無料テンプレも紹介

適正在庫の管理は、在庫の過不足を防ぎ、効率的な運用を実現するために役立ちます。特にエクセルを活用すれば手軽に在庫データを整理し、計算式を使って適正在庫を算出することが可能です。しかし、「エクセルの関数が難しそう」「管理が煩雑になりそう」と感じる方もいるでしょう。

当記事では、適正在庫の管理をエクセルで行うメリット・デメリットや、適正在庫の計算式、管理表の作成方法を解説します。適正在庫の管理表の無料テンプレートがほしい方も、ぜひご覧ください。

適正在庫の管理をエクセルでするメリット・デメリット

適正在庫とは、過不足なく商品を確保し、需要と供給のバランスを維持できる状態を指します。在庫が多すぎると管理コストが増え、少なすぎると機会損失につながるため、適切な管理が求められます。エクセルを活用すれば手軽に在庫データを可視化し、管理コストを抑えることが可能です。

以下では、エクセルを用いた適正在庫管理のメリット・デメリットについて解説します。

【メリット】管理がしやすい

エクセルを使った在庫管理は、シンプルな操作で視認性が高く、誰でも扱いやすいのが特長です。フィルターや並べ替え機能を活用すれば必要なデータを即座に抽出でき、在庫の過不足も一目で確認できます。テンプレートを利用すれば入力フォーマットが統一され、属人化を防ぐことが可能です。

また、クラウド共有機能を活用すれば、複数人でリアルタイムに管理でき、業務の効率化につながります。専用システムと比較して導入コストがかからず、使い慣れた環境でスムーズに運用できる点も大きなメリットです。

【メリット】低コストで簡単に始められる

適正在庫の管理を行う際、専用の在庫管理システムを導入するにはライセンス料や運用コストがかかります。その点、エクセルでの管理なら、既存のソフトを活用するだけでコストをかけずに運用を開始できます。

テンプレートを活用すれば設定の手間も少なく、従業員への教育コストも抑えられます。スモールスタートで在庫管理を始め、必要に応じてマクロやVBAを活用すれば、業務に合わせたカスタマイズも可能です。特に中小企業や個人事業主にとって、低コストで管理体制を整えられるのは大きな利点となります。

【デメリット】エクセルの知識が必要になる

エクセルで適正在庫の管理を行うには、関数やピボットテーブル、条件付き書式などの基本的な操作を理解しておくことが必要な場合があります。在庫の増減を自動的に計算するためにはSUMIFやVLOOKUPといった関数の活用が必要になり、誤った設定をしてしまうと在庫データに誤差が生じる可能性もあります。

また、エクセルの知識が不足していると、複雑な在庫管理の仕組みを構築するのが難しく、業務の効率が落ちてしまうこともあります。

【デメリット】大規模な管理には向いていない

エクセルは自由度が高く、独自の管理ルールを設定しやすい反面、在庫の品目が増えるとシートが複雑になり、管理しにくくなる傾向があります。例えば、複数の拠点や倉庫にまたがる在庫管理を行う場合、手作業でデータを更新しなければならず、ヒューマンエラーが発生しやすくなります。

適正在庫の管理表の無料テンプレート

適正在庫の管理をスムーズに行うには、フォーマットが整理されたテンプレートを活用するのが便利です。エクセルを使用すれば必要な項目を自由にカスタマイズでき、業務に合わせた管理が可能です。

以下の無料テンプレートをダウンロードして、ぜひ在庫管理の効率化に役立ててください。

在庫管理表(縦)のテンプレートのダウンロードはこちら

在庫管理表(横)のテンプレートのダウンロードはこちら

備品在庫管理表のテンプレートのダウンロードはこちら

適正在庫の計算式

適正在庫は、需要変動や供給の遅延に対応し、在庫不足や過剰在庫を防げる適切な量を確保するために計算されます。基本的な計算式として、適正在庫は「安全在庫」と「サイクル在庫」の合計で算出されます。

適正在庫=安全在庫+サイクル在庫

安全在庫とは、予期しない需要の変動や供給の遅延に備えるための在庫で、以下の式で求められます。

安全在庫=安全係数(1.65)×使用量の標準偏差×√(発注リードタイム+発注間隔)

サイクル在庫は、通常の販売や使用に対応するために確保する在庫量を指し、需要量や発注間隔を考慮して決定します。適正在庫の計算を活用することで、無駄なく安定した在庫管理が可能になります。

エクセルを利用した適正在庫の管理表の作成方法

エクセルを利用した適正在庫の管理表を作成すると、在庫の状況を視覚的に把握しやすくなり、管理の効率化につながります。適正在庫の計算や過去データの記録を活用することで、過剰在庫や品切れのリスクを減らし、安定した運用が可能になります。

以下では、エクセルを活用して適正在庫を管理するための表の作成方法について、必要な項目の入力や計算式の設定、データ活用のポイントを解説します。

必要な項目を入力する

エクセルで適正在庫を管理するには、まず必要な項目を整理し、シートに入力できるように準備します。一般的に、「商品コード」「商品名」「入庫数」「出庫数」「在庫数」などの基本情報が必要です。加えて、仕入先や発注日、発注残数などを記録すると、在庫状況をより正確に把握できます。エクセルでは、これらの項目ごとに列を作成し、管理しやすいレイアウトにすることが重要です。

また、別のシートにマスターデータを作成し、商品ごとの詳細情報を登録しておくと、管理の精度が向上します。

計算式を入力する

必要な項目を入力したら、計算式を活用して在庫の増減を自動で更新できるようにしましょう。「残在庫=初期在庫+入庫数-出庫数」の式を入力しておくと、リアルタイムで在庫変動を把握できます。適切な発注タイミングを判断するために、「発注量=発注点-現在の在庫数」の数式を設定すると、発注点を下回った際に発注すべき数量が自動で算出されます。

また、IF関数を用いることで、一定の在庫数を下回った場合に「発注要」と表示するような仕組みを作ることも可能です。エクセルの関数を活用することで、手作業の負担を減らし、ミスを防ぎながら効率的な在庫管理を実現できます。

過去のデータを入力する

エクセルで適正在庫を管理する際には、過去のデータを適切に記録し、分析に活用することも重要です。まず、入庫数・出庫数・在庫数といった基本情報を入力し、一定期間の推移を把握できるようにしましょう。例えば、「商品コード」「商品名」「日付ごとの在庫数」「発注数」などの項目をシートに追加し、日別・月別の動向を記録すると、在庫の変動を可視化できます。

また、出庫数のデータを蓄積することで、商品の回転率を把握しやすくなり、発注タイミングの最適化につながります。過去のデータをもとにAVERAGE関数やSTDEV関数を活用し、平均使用量や標準偏差を算出すれば、将来的な適正在庫をより正確に見積もることが可能です。

条件付き書式を設定する

シートの準備が整ったら、在庫管理をスムーズに行うために条件付き書式を活用して、発注が必要なタイミングを一目で分かるようにしましょう。在庫数が発注点を下回った際に、セルの色を自動で変更することで、担当者がすぐに対応できるようになります。

設定方法は、まず対象となるセル範囲を選択し、「条件付き書式」メニューから「新しいルール」をクリックします。その後、「セルの値」を「次の値より小さい」に設定し、発注点のセルを参照します。最後にセルの色を変更し、適用すれば完了です。条件付き書式により、在庫が不足した際に即座に発注対応ができるため、適正在庫の維持に役立ちます。

適正在庫をエクセルで管理するときのポイント

エクセルで適正在庫を管理する際には、効率的な運用のためにいくつかのポイントを押さえておくことが大切です。

  • データの入力ルールを統一する
    商品コードや品名、入庫数、出庫数などのデータはフォーマットを統一し、誤入力を防ぐようにしましょう。入力規則を設定することで、データの一貫性を保てます。
  • クラウド管理を検討する
    エクセルファイルはローカル保存だけでなく、クラウドストレージを利用することで複数人での共有やデータの保全がしやすくなります。
  • 定期的な見直しを行う
    在庫の管理方法が現場の実情に合っているか定期的に確認し、不要な項目の整理や改善を行うことで、より使いやすい管理表にしていくことが重要です。

エクセルで適正在庫を効率的に管理しましょう

エクセルを活用した適正在庫管理は、コストを抑えつつ視認性の高い在庫管理が可能な点がメリットです。計算式や条件付き書式を設定することで、在庫の過不足を自動で把握し、効率的な運用ができます。一方で、大規模な管理には不向きであり、エクセルの知識が求められる点はデメリットです。

適正在庫を正確に計算し、過去データを活用することで、より精度の高い在庫管理が実現できます。在庫管理を行う際には、無料テンプレートもぜひご活用ください。


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