• 作成日 : 2024年11月5日

ペーパーレスFAXとは?電子帳簿保存法の対応方法や代替システムを解説

ペーパーレスFAXとは、紙を使わずにインターネットを経由して書類データのやり取りができるサービスのことです。この記事では、ペーパーレスFAXの概要やメリット・デメリット、さらには電子帳簿保存法に対応するための方法などについて解説しています。また、代替システムも紹介しているため、ペーパーレス化に興味もある方はぜひ参考にしてください。

ペーパーレスFAXとは?

ペーパーレスFAXとは、インターネットを経由して書類のデータを送受信するサービスのことです。

従来のFAXの場合、受信した文書を印刷する必要がありました。ペーパーレスFAXの場合、ボックスに保存でき、パソコンなどの端末上でファイルを開けます。そのため、印刷の手間がかからず、印刷コストも削減できます。さらに、印刷しないため紛失の心配もありません。

なお、ボックス上に保存されている文書データは転送やメール添付などもできるため、文書の共有も簡単に行えます。

ペーパーレスFAXの主な機能

ペーパーレスFAXはサービスを提供するベンダーによって機能やサービス内容は異なりますが、主な機能としては以下のようなものがあります。

  • パソコンを使ったFAXの送受信
  • FAX文書の自動仕訳
  • FAX文書の検索機能

このようにFAXとしての基本的な機能はベンダーに関係なく搭載しているため、業務におけるペーパーレス化を進めたいビジネスパーソンにとってはペーパーレスFAXが一つの選択肢となるでしょう。

ペーパーレスFAXで送信する主な書類

ペーパーレスFAXを使えばさまざまな書類の送信が可能ですが、基本的にはそれまで紙のFAXで送信していた書類をペーパーレスFAXでも送信することとなります。たとえば受発注に関する各種書類や製品カタログ、企業によっては設計書などを送信することもあるでしょう。

また、請求書などをペーパーレスFAXで送信することも可能です。それまで紙で送っていた書類をペーパーレスに切り替えるだけでも、大幅に手間を軽減できるでしょう。

ペーパーレスFAXを利用するメリット

ここではペーパーレスFAXを利用することで得られる主なメリットを紹介します。導入するべきかどうか迷っている方は、ぜひメリットを参考にしてみてください。

印刷用紙やインク代がかからない

ペーパーレスFAXはその名の通りペーパーレスであり、送信するために印刷する必要も、受信したデータを印刷する必要もありません。

そのため、FAXを送信するのに印刷用紙やインク代を抑えられます。もちろん、必要に応じて受信した書類を印刷して書き込むことはあるかもしれませんが、それでも従来のコストと比べると大幅に抑えられるでしょう。

テレワークや外出先からFAX業務が可能

ペーパーレスFAXの導入によりテレワークや外出先からでも書類が確認できるようになり、より多様な働き方が可能となります。

ペーパーレスFAXはオンライン上で書類のやり取りができるため、インターネット環境とパソコンやスマートフォンなどの端末があれば場所に関係なく利用可能です。専用端末などを用意する手間がかからないため、企業のテレワーク推進にも貢献してくれます。

FAX用紙の仕分けや保管が効率化できる

ペーパーレスFAXを導入することで書類の管理の手間も省けます。紙のFAXの場合、印刷した書類をファイリングして保管しなければなりません。しかし、保管場所の確保が必要となるほか、量が多くなると必要な書類が見つからない事態にもなりかねません。

ペーパーレスFAXであればオンライン上に保管でき、検索機能もついているため、すぐに必要な書類にアクセスできます。

FAX内容が他の人の目に触れにくい

紙に印刷しないため、FAXの内容が他の人に見られにくい点もメリットの一つです。書類によっては重要な情報を扱うこともあるため、セキュリティをいかに強化するかは重要なポイントです。

ペーパーレスFAXの種類

ペーパーレスFAXと一言でいっても、いくつかの種類があります。ここでは具体的にどのような種類のペーパーレスFAXがあるのか解説します。自社にあったものを選ぶためにもぜひ参考にしてください。

複合機を活用する

ペーパーレスFAXの種類の一つが、複合機を利用するものです。複合機とパソコンを接続して、書類データの送受信を行います。仕組みとしては。パソコンから複合機へと文書が転送され、その後複合機から固定電話回線を経由してFAXとして送信される形です。

インターネットFAXを利用する

ペーパーレスFAXには、インターネットFAXと呼ばれる種類もあります。これは、電話回線を使用するのではなく、インターネット回線を利用したサービスです。基本的な仕組みは複合機を利用したものと変わりありません。インターネットFAXはパソコンやスマートフォンからでも利用できるため、リモートワークなどにも適しています。

クラウドFAXを利用する

クラウドFAXとは、PBXと呼ばれる電話交換機をクラウド上に設置して、電話機能を利用できるようにしているクラウドPBXのベンダーが提供するサービスです。

インターネットFAXと似たようなものですが、違いとしては、専用アプリもしくはブラウザのいずれかを使用する点です。

ペーパーレスFAXのデメリット

ペーパーレスFAXにはメリットの一方で、少なからずデメリットも存在します。ここではどのようなものがあるのか解説します。メリット・デメリットの双方を踏まえたうえで導入を検討しましょう。

データのためメモが書き込めない

ペーパーレスFAXはデータで書類を受信するため、書き込みができません。従来のFAXであれば受信直後に紙に直接書き込めた点を考えると、デメリットといえます。書き込みたい場合は、印刷するほか、書き込みをするためのツールなどを用意する必要があるでしょう。

手書き書類の送信には手間がかかる

手書き書類を送信したい場合は、スキャンしたうえでデータ化してから送信しなければならないため手間がかかります。たとえば製品イメージのラフ画を送る、設計図のイメージを送るなど、手書きの書類を送るケースは意外と多いため、この点を考慮する必要があります。

専用ソフトが必要になる場合もある

ーパーレスFAXを利用する場合、専用ソフトが必要になる場合もあります。たとえば、手書きの書類をデータ化するためのスキャナーがない企業は別途導入しなければなりません。導入に伴うコストも発生するため注意が必要です。

ペーパーレスFAXを電子帳簿保存法へ対応させるには?

近年では法改正などによって業務で使用する書類をペーパーレスで保存できるようになりました。ここではペーパーレスFAXを電子帳簿保存法に対応させる方法について解説します。

紙のFAXとペーパーレスFAXとの保存方法の違い

まずは、紙のFAXとペーパーレスFAXで保存方法にどのような違いがあるのか確認しておきましょう。それぞれの概要は以下のとおりです。

電子データで書類を送信する(ペーパーレスFAX)
  • 電子取引に該当するため、送信したデータを電子データで保存する必要がある
紙で書類を送信する(従来型のFAX)
  • 電子取引には該当しないため、送信した書類は紙のままで保存できる
電子データで書類を受信する(ペーパーレスFAX)
  • 電子取引に該当するため、電子データのまま保存する必要がある
紙で書類を受信する(従来型のFAX)
  • 電子取引には該当しないため、受信した書類は紙のままで保存できる
  • スキャナー保存できるケースもある

このように、ペーパーレスFAXで送受信すると電子取引に該当するため、電子データで保存する必要があります。

電子帳簿保存法への対応方法

ペーパーレスFAXで送受信したデータは電子データとして以下の要件に従って保存しなければなりません。

真実性の要件以下4つのうち1つ以上を満たす必要がある

  • タイムスタンプ付与後にFAXデータの授受を行う
  • FAXデータの授受後、速やかにタイムスタンプを付与し、保存を行う者または監督者に関する情報を明確にする
  • 記録事項の訂正・削除を行ったとき、変更の履歴が残るシステム・記録事項の訂正・削除が行えないシステムで契約書の授受および保存を行う
  • 事務処理規程を自社で定め、規程に沿った運用を行う
可視性の要件以下3つの要件を全て満たす必要がある

  • 保存場所に電子計算機・プログラム・ディスプレイ・プリンターおよびこれらの操作マニュアルを備え付けたうえで、画面や書面に明確な状態で速やかに印刷または表示できるようにしておく
  • 電子計算機処理システムの概要書を備え付ける
  • ファイル名などでA~Cの検索機能を確保する
  1. 取引年月日、取引金額、取引先名の記録項目により検索できる
  2. 日付または金額の範囲指定により検索できる
  3. 2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により記録できる

出典:国税庁「電子帳簿保存法が改正されました」

このような要件を満たすことで、ペーパーレスFAXで送受信したデータをデータとして保存できるようになります。ペーパーレスFAXを導入する場合は、保存方法も理解しておきましょう。

ペーパーレスFAXを導入する際の注意点

ここでは、ペーパーレスFAXを導入する際に覚えておきたい注意点を紹介します。導入後の業務への影響を最小限に抑えるためにも、ぜひチェックしてください。

電話番号が変わる場合がある

ペーパーレスFAXの中でも電話回線を使用するタイプの場合、新たに電話番号を取得すると電話番号が変わることとなります。電話番号の変更は取引先などへの周知や名刺やカタログなどの印刷物の修正などの手間がかかるため、早めに対応する必要があるでしょう。

費用対効果を確認する

ペーパーレスFAXを導入する場合、費用対効果を確認することが大切です。ペーパーレスFAXは、印刷コストを削減できるほか、業務効率化も期待できるため、うまくいけば人件費削減につながるでしょう。

しかし、システムや専用機器の導入など、導入コストが高いケースがあるので注意が必要です。社員がペーパーレスFAXを使いこなせていないと、費用対効果がかえって悪くなる可能性もあります。

ペーパーレスFAX・紙のFAXの代替手段

ペーパーレスFAXや紙のFAXなど、FAXを利用する機会はビジネスシーンにおいて少なくありませんが、代替手段もあります。ここでは具体的にどのような代替手段があるのか解説します。

メール・チャットツール

ペーパーレスFAXの最も代表的な代替手段が、メールやチャットでPDFファイルを送ることです。請求書や契約書などをスキャンしてデータ化することでメールやチャットに添付できるようになるため、それを送るだけで簡単に取引先と共有できます。

また、チャットであればグループを作れるため、グループ内にPDFファイルをアップロードして共有することも可能です。

電子帳票システム

電子帳票システムとは、見積書や請求書、発注書といった各種帳票を電子データとして作成、管理できるシステムのことです。電子データとして作成・管理できるようになることで、ペーパーレスFAX同様に印刷コストなどの発生を抑えられます。

電子帳票システムは各社から展開されていますが、ここではおすすめのサービスとして「マネーフォワード クラウドインボイス」を紹介します。

マネーフォワード クラウドインボイスは電子取引、スキャナー保存のどちらにも対応しているため、ペーパーレス化を推進する企業にぴったりのサービスです。タイムスタンプの付与や画質のチェック、検索要件のデータ化など電子帳簿保存法に則った保存ができるため、安心して利用できます。

請求書の受け取り、請求書のデータ化、電子保存、他のシステムとのAPI連携などさまざまな機能を備えているため、ペーパーレス化に興味のある企業の担当者はぜひ「マネーフォワード クラウドインボイス」の利用をご検討ください。

ペーパーレスFAXでコスト削減と業務効率化を実現

ペーパーレスFAXとは、インターネットを経由して書類のデータを送受信するサービスのことで、その名の通り紙を使用しないため、印刷コストを抑えられます。また、保管場所を必要としないほか、探す手間も省けるため、業務効率化にも貢献してくれるでしょう。

一方で、メモの書き込みができない、手書き書類の送信には手間がかかるといったデメリットも忘れてはいけません。

ペーパーレス化を実現したい場合は、ペーパーレスFAXの代替手段も検討してみてください。メールやチャットで書類データを共有するほか、「マネーフォワード クラウドインボイス」のような電子帳票システムの利用もおすすめです。


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