- 作成日 : 2023年12月19日
業務効率化とは?手法や進め方、効率化のアイデアを紹介
業務効率化とは、無駄な仕事をなくしたり非効率な業務の改善をしたりすることです。時間や労力の削減ができ、従業員のモチベーションアップにつながるメリットがあります。
企業の生産性向上にもつながるため、積極的な導入が求められます。
本記事では、業務効率化の意味や生産性向上との違い、アイデア・ツールについて解説します。
目次
業務効率化とは?
業務効率化とは、無駄な業務をなくして非効率な作業を改善することです。ビジネスにおける生産性向上に役立つため、多くの企業で取り組まれています。
ディップ株式会社が行ったアンケートによると「勤務先で無駄な業務や作業がある」と答えた方は63%と報告されました。仕事において無駄を感じている人が多いため、業務効率化に対する需要は高い傾向です。
業務効率化においては、以下のように「ムリ・ムダ・ムラ」をなくす点が重要です。
ムリ | 能力に見合わない業務を行うこと |
---|---|
ムダ | 従業員の能力や社内の設備を有効活用できていない |
ムラ | 業務効率が安定していない(不要な工程がある) |
業務効率化を意識して取り組むと、1日の労働時間が短くなり売上向上につながります。
参考:ディップ株式会社
生産性向上との違い
生産性向上とは、少ない資源で多くの成果を生み出すことです。少ない労力で、多くの商品や利益を生み出せれば、生産性向上に成功したと見なせます。
一方で、業務効率化とは、非効率な作業の工程を見直し改善することであり、生産性向上を実現するための手段の一つです。
業務効率化した後に、生産性向上を目指す流れがよいでしょう。
業務効率化のメリット
業務効率化のメリットは、時間や労力の削減ができる点です。従業員の労力を減らせて業務負担の削減につながります。その結果、ワークライフバランスが整い、従業員の満足度向上にも役立てられます。
また、業務効率化により空いた時間は別の作業に取り組めるため、企業の生産性向上にも寄与するでしょう。
本項では、業務効率化のメリットを3つ解説します。
時間や労力の削減・短縮ができる
業務効率化によって、時間を短縮でき従業員の労力を減らせます。その結果、長時間労働が減り、働きやすい環境になるでしょう。
勤務時間が減少すると、企業は従業員満足度が高くなる傾向にあります。株式会社ワーク・ライフバランスの調査によると、アンケートに回答した方のうち、51%が業務効率化を含む働き方改革により従業員満足度が向上したと答えました。
従業員の離職を減らすためにも、業務効率化による時間や労力の削減が求められます。
従業員のモチベーションアップにつながる
業務効率化により、従業員のモチベーションアップにつながります。みずほ情報総研株式会社によると、残業時間が増えるほど、労働者のメンタルヘルスは悪化すると報告されました。
したがって、いままで時間がかかっていた作業が短時間で完了すると、従業員のストレス軽減につながります。そして、長時間労働が減り、モチベーションが高まるでしょう。
参考:みずほ情報総研株式会社「過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究」
生産性が向上する
業務効率化により、無駄な業務がなくなるため、本来必要な仕事に労力をかけられ生産性が向上します。
総務省によると、省力化(人の作業を見直して無駄を省くこと)や効率化ができれば、ビジネスの成果が出やすくなると報告されています。業務効率化で人間にしか行えないクリエイティブな仕事を従業員に行ってもらえて、生産性が向上するでしょう。
そのため、売上を上げたり顧客数を増やしたりしたい企業は、業務効率化への取り組みが勧められます。
業務効率化の進め方
業務効率化を行う際には、毎日の仕事内容を把握して効率化の優先順位を決めてください。この際には、自社の成果に大きく寄与する部分から効率化する方法が効果的です。
その後、効率化の手法を選んで実施する方法が求められます。実施した後には、効果検証をして、改善していきましょう。
本項では、業務効率化の進め方について解説します。
①業務内容を把握する
業務効率化を行うには、自社で行っている業務をリストアップして把握してください。
挙げた業務の中で無駄な仕事がないかを確認してみましょう。具体的には「誰が・どこで・いつ・どのような業務・かかっている時間」を確認することで、業務の詳細を把握できます。
そして「成果が出ていないのに時間をかけている業務はあるか」「人によってかかる時間に乖離がある仕事はないか」を確認してください。
候補に挙がった仕事を効率化しましょう。
②効率化の優先順位を決める
すべての業務をまとめて効率化すると、従業員の負担が大きくなってしまいます。そのため、どの作業を優先的に効率化したいのかを考えてみましょう。
業務効率化において優先するべき作業は、以下のとおりです。
- 売上に直結する業務
- 多くの人員や時間が投下されている業務
業務効率化の実施により、大きな成果につながる業務から先に着手しましょう。
③効率化の方法やツールを選ぶ
優先順位を決めたら、業務効率化の方法を選んでください。まずは、既存の業務を見直す必要があります。
総務省によると、業務の効率化には以下の方法を推奨しています。
- 業務の標準化
- マニュアル化
- 不要業務
- 重複業務の見直し
- 業務の簡素化
とくに重複している業務を見直すと、従業員の工数を減らせるのがメリットです。1日に何回も同じ作業をしていないかを確認しましょう。
さらに、自社の目的に合うツール選択も必要です。チャットツールやRPA、タスク管理ツールなどがあります。
最近では、クラウド上で起動してスマホからも利用できるツールがあるため、積極的に利用してください。
参考:中小企業庁「深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命」
④業務の改善策を実施する
業務効率化の手法を考えたあとには、実行に移しましょう。スムーズに取り組めるように、部署のメンバーに対して、業務効率化の方法を細かく伝えておく必要があります。
この際に注意するべきポイントは、一気に実行しない点です。従業員に対して大幅な負担が生じてしまうため、少しずつ実施する必要があります。
慣れてきたら、別の作業の効率化に着手しましょう。
⑤業務効率化の検証を行う
業務効率化に着手したあとには、効果検証が欠かせません。「本当に効率化できているのか」「問題点の改善ができているのか」を確認するためです。
事前に立てた計画との乖離を調査してください。例えば「20%の労働時間削減を目指していたが、10%しか改善できていない」といった状況です。
数値で効果を確認しながら、改善につなげていきましょう。
業務効率化を促進するアイデア
業務効率化をする際には、ITツールの導入が効果的です。昨今はさまざまなツールがあるため、自社に合ったものを選べます。IT導入補助金が支給される場合もあるため、積極的な導入が期待されます。
また、アウトソーシングの活用も効果的です。業務効率化の戦略策定まで行ってくれるアウトソーシング企業もあるため、実行するのにかかる時間を削減できます。
本項では、業務効率化に関わるアイデアを解説します。
ITツールを導入する
業務効率化には、グループウェアやチャットツール、タスク管理ツールなどのITツールの活用を推奨します。
業務の管理やチーム内での仕事の進捗管理ができ、効率化につながるでしょう。
経済産業省によると、ITツールの導入には「IT導入補助金」の支給対象となる場合があります。
補助金を活用して、組織内でITツールを導入してみましょう。
アウトソーシングを活用する
業務効率化には、アウトソーシング(自社の業務を外部に委託して効率化を図ること)も効果的です。
アウトソーシングに精通している企業に依頼すると、業務効率化の戦略策定まで行ってくれる場合もあるため、時間をかけずに効果を感じやすいでしょう。
自社のメイン事業に集中できるため、アウトソーシングの利用も勧められます。
RPAを導入する
RPA(人間が行っている業務を、ロボットが代わりに自動化する技術)の利用により、業務効率化につながります。
RPAの特徴は、データ入力といった定型作業に強い点です。あらかじめルールを作成することで、自動的に作業してくれます。
一方で、個別のルールが多い作業には向いていないため、RPAを活用する業務をあらかじめ確認しておきましょう。
マニュアル・フローを作成する
業務を属人化せずに、マニュアルや業務フローを作成して、社内の従業員の多くが同じ仕事に取り組めるようにしましょう。
マニュアルやフローを作る際には、業務のやり方を文章で記載するだけでなく、箇条書きや図、表などを活用しながら説明文を作成します。
誰が読んでも実践しやすいように、わかりやすく説明文を作成してください。
費用対効果の低い業務は減らす
業務効率化をする際には、費用対効果を意識して、投資したコストに対して得られた利益を把握しておきましょう。効果のない効率化にお金や時間をかけすぎると、本末転倒になります。
例えば「RPAツールにより経理作業の効率化を試みたが、会計にかかる時間を削減できていない」という事例が挙げられます。
この際には、別のRPAツールに切り替える方法が考えられるでしょう。
このように、取り組んでも効果を感じない業務効率化の方法はないかを確認してください。
業務効率化の注意点
業務効率化を行う際には、注意点の把握が必要です。実際に、業務効率化を実施すると、商品や顧客対応の質が下がってしまう場合もあります。
そのほかにも、業務効率化を行うまでに手間やコストをかけすぎてしまう可能性もあります。そのため、あらかじめどのくらいの時間や費用をかけるのか確認しておきましょう。
本項では、業務効率化の注意点を解説します。
品質の低下につながらないようにする
業務効率化を意識しすぎて、品質が低下してしまっては本末転倒です。顧客からの信頼低下につながるため、高品質な商品や対応を維持しながらも効率化の取り組みに着手しましょう。
例えば、RPAを導入して自動化した場合、最終的な確認を人が行うことは多いです。このように、すべてをツールに任せるのではなく、重要な業務は人が介在するようにしましょう。
業務効率化に手間をかけすぎないようにする
業務効率化を実行する際には、時間をかけすぎない点も重要です。
よくある事例として、効率化する仕事のリストアップやツールの選定などに時間をかけすぎてしまう場合があります。その結果、労働時間がかえって増えてしまうこともあるでしょう。
そのため、事前に業務効率化の方法策定にどのくらい時間をかけるのかを考えてください。
業務効率化を成功させて生産性向上につなげよう
業務効率化は、従業員の労働時間を減らし、社内の生産性を上げられるのがメリットです。
業務効率化を行うためには、ITツールを導入したりRPAを活用したりする方法がよいでしょう。業務効率化を行う際には、品質の維持を意識しながらも、手間をかけすぎないようにしてください。
業務効率化を行い、自社の生産性向上につなげましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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