• 更新日 : 2025年2月12日

ブランディングの企画書とは?詳しい書き方や無料テンプレートを紹介

商品やサービスが溢れている今の社会において、企業が売り上げを伸ばし成長するためにはしっかりとしたブランド力が必要です。しかし、ブランディングは社内のメンバーが同じ目標のもと、協力して進めなければうまく行きません。目標を共有し、ブランディング戦略を立てるのに役立つ書類が、ブランディング企画書です。

この記事では、ブランディング企画書の作り方や記載項目、作成にあたっての注意点を解説するとともに、無料のテンプレートを紹介します。

ブランディングの企画書には2種類がある

ブランディングの企画書とは、なぜ自社にブランディングが必要なのかを伝えるものです。大きく分けて、「ブランディング戦略の必要性を説明する企画書」と「自社のブランディング戦略を具体的にまとめた企画書」の2種類があります。

ブランディング戦略の必要性を説明する企画書

経営層やステークホルダーに対して、なぜブランディングが必要なのかを伝えるために作成される企画書です。

例えば、自社ブランドの認知度が低い、競合との差別化ができていないといった課題がある場合、ブランド施策の強化が必要になります。しかし、必要性・重要性が決裁権を持つ層に十分に理解されていなければ、実際にプロジェクトを行うのは困難です。

そのため、ブランディングが企業成長にどのような影響を与えるのかを説明し、取り組むべき理由を明確にする提案資料としてブランディング企画書が必要です。経営陣の理解を得れば、予算やリソースの確保がしやすくなり、本格的なブランディング戦略の立案につなげることができます。

自社のブランディング戦略を具体的にまとめた企画書

すでにブランディングの必要性が認識され、具体的な施策を検討する段階で作成される企画書です。自社が目指すブランドの方向性やターゲットとなる顧客層、市場環境の分析結果などを盛り込み、今後のブランディング戦略を決める目的で作られます。

また、ブランドのコンセプトやビジョンを明確にし、どのような価値を提供するのかを定めたり、競合他社との差別化ポイントやプロモーション戦略を詰めたりするのもこの企画書です。

主に自社のブランディング戦略を具体的にまとめた企画書は、マーケティングや広報の担当者が主導で作り、社内の関係者と認識を共有しながら進めていくのが一般的です。

この記事では、主に自社のブランディング戦略を具体的にまとめた企画書の作成方法について解説します。

ブランディングの企画書の無料テンプレート

ブランディングの企画書は、今後の自社のブランディングを決める書類のため、社内のさまざまなメンバーが関わります。決まったフォーマットで企画書を作っていれば、情報共有が楽になるでしょう。

また、検討する情報に抜け漏れがあると、後々思わぬ失敗につながる可能性があります。テンプレートを活用すれば、決まったフォーマットに必要な情報を記入すればよいため、便利です。

以下のような無料テンプレートを活用して、ブランディングの企画書を作りましょう。

ブランディングの企画書テンプレートのダウンロードはこちら

ブランディングの企画書に記載する項目

ブランディングの企画書には、以下のような項目を書くのが基本です。企画書テンプレートに記載された各項目の書き方について、詳しく解説します。

ブランディング活動の必要性・目的

企画書を作るときは、まず関係者全員に、「なぜ自社にブランディングが必要なのか」「どこを目指すのか」を共有する必要があります。ブランディングの必要性や目的がしっかり共有されていないと、企画書全体の方向性が定まらず、効果的なブランディング戦略を立てるのが難しくなります。

ブランディングが必要になる理由は、企業や商品の現状と市場環境によって変わります。自社の商品やサービスをもっと多くの人に知ってもらいたい、競合他社との差別化を図りたい、企業のイメージを良くしたい、といった自社の課題を伝えましょう。

その上で、「ブランドの知名度を上げる」「顧客からの信頼を深める」「新市場での認知を広げる」といった形で、課題と関連付けてブランディングの目的をまとめましょう。課題解決にブランディングが必要であると納得させ、具体的な目的を決めることで、関係者が共通のゴールを持てるようになります。

市場分析・リサーチ

ブランディングの企画書を作成する上で、市場の状況を正しく把握することは欠かせません。リサーチをし、データに基づいて市場・競合分析を行えば、自社のブランドが置かれている環境を理解でき、適切な戦略を立てられます。

市場分析を行う際に活用される代表的なフレームワークとしては、「PEST分析」「3C分析」「SWOT分析」があります。

PEST分析政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの観点から市場環境を分析する手法です。

政府の政策や法律の改正が自社のビジネスに影響を与えるリスクや、経済状況の変化によって消費者の購買行動が変わる可能性などを洗い出し、分析します。

自社だけではコントロールできない外部環境の変化を把握し、戦略を立てる際の参考にするために使われます。

3C分析市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの視点から市場を分析する手法です。ブランド戦略を考える際にポピュラーなやり方の1つです。

まず、市場や顧客のニーズを分析してどのような商品やサービスが求められているのか検証し、次に、競合の強みや弱みを把握して自社との違いを分析します。最後に、自社の強みを生かせるポイントを探り、分析をもとに競争力のあるブランディング戦略を考えるという手順を踏みます。

SWOT分析強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの観点から自社の状況を整理するための手法です。内部環境と外部環境を総合的に分析し、戦略を立てる際に活用されます。

自社の強みやチャンスとなる流れを生かしつつ、弱点を補い、脅威に備える方法を考えることで、ブランディング戦略に役立てられます。

ただし、フレームワークは「これを使えば正解が分かる」というものではなく、よい戦略を立てるためには正確なデータが必要になります。しっかりと調査を行い、データに基づいた戦略を立てましょう。

ターゲット顧客・ペルソナ

ブランディング戦略を成功させるには、訴求相手になるメインターゲットを明確にする必要があります。そのために行うのがペルソナ設計です。

ペルソナとは、自社の商品やサービスを利用する典型的な顧客像を具体的に描いたものです。単に「20代女性」や「会社員」といった大まかなターゲット設定ではなく、より詳細な情報を盛り込むことで、ターゲットに響くブランディング戦略を立てやすくなります。

ペルソナ設計では、主に以下のような項目について書きます。

  • ターゲット属性
    ペルソナを設定する際、まずはターゲットの大まかな属性を決めます。例えば、「東京都在住」「配偶者と子供2人と同居」「大学卒業」といった居住地、家族構成、学歴などの基本的な情報を設定すれば、ペルソナの生活環境や背景を理解しやすくなります。
  • 年齢・性別
    ライフステージや関心事、購買行動の傾向を考えるために、年齢と性別を設定します。例えば、「25歳の女性」であれば結婚や恋愛とキャリアアップの双方に関心を持っている、「60代の男性」であれば健康や退職後の生活に興味を惹かれる、といった推測が可能です。
  • 職業
    職業もペルソナ設計において重要なポイントです。職種や業界、役職、勤務形態などを考慮することで、ターゲットの生活リズムや価値観、情報収集の方法が見えてきます。例えば、IT企業のエンジニアであれば、新しい技術やガジェットに関心があり、オンラインでの情報収集が多いと考えられます。一方、経営者であれば、論理的な説明やデータに基づいた提案が響きやすいでしょう。
  • 特徴
    ペルソナの特徴とは、ターゲットの性格や価値観、趣味、ライフスタイルなどを設定するための項目です。例えば、「新しいものが好きで、SNSで話題の商品をチェックするのが日課」という特徴を持つペルソナなら、インフルエンサーを使ったブランディングが有効になる可能性が高いでしょう。対して、「堅実な性格で、購入する際には口コミを重視する」というタイプなら、信頼性の高い情報発信や実績を強調する戦略が求められます。ターゲットの価値観を明確にすることで、ブランドの方向性やコミュニケーションの仕方が決まってきます。

ブランド戦略

ターゲットのペルソナが決まったなら、ペルソナに基づいてブランディング戦略を考えます。ブランディング戦略を考える上で重要なのが、ブランドコンセプト・ブランドパーソナリティ・ブランドコミュニケーションの3つです。

ブランドコンセプト

ブランドコンセプトとは、「ブランドが何を大切にし、誰にどのような価値を届けるのか」を明確にするものです。ブランドコンセプトがしっかりしていると、商品やサービスの方向性がぶれることなく、一貫性のあるブランディングが可能になります。

例えば、シンプルで高品質なライフスタイルを提案するコンセプトを持つブランドであれば、無駄を省いたデザインや上質な素材を重視した商品展開をする戦略を立てます。

ブランドコンセプトはブランドの軸になる部分のため、企業の理念や市場のニーズに基づいたブランド価値を考えることが大切です。

ブランドパーソナリティ

ブランドパーソナリティとは、「ブランドが持つ個性やイメージ」のことです。まるで人の性格のように、ブランドにも「親しみやすい」「高級感がある」「革新的」といった特徴を持たせることで、消費者にとって記憶に残りやすくなります。例えば、あるブランドが「誠実で信頼できる」というパーソナリティを持つ場合、落ち着いたデザインをブランドのロゴなどに使い、顧客の安心感を高める戦略を取るでしょう。

よくできたブランドパーソナリティは顧客に共感をおぼえさせ、リピーターになったり、他の人に薦めたりすることを促し、顧客満足度を向上します。

ブランドコミュニケーション

ブランドコミュニケーションとは、「ブランドが顧客と関わり、情報を伝える方法」のことです。どれほど優れたブランドでも、魅力がうまく伝わらなければ、多くの人に知ってもらうことはできません。したがって、どのような手段でブランドのメッセージを発信するのか、ブランドコミュニケーションの形で決定します。

ブランドコミュニケーションの手法はさまざまです。SNSやWebサイトを活用して情報を発信する企業もあれば、テレビCMや雑誌広告を使う企業もあります。また、リアルイベントを開催して実際に商品を体験してもらう方法も効果的です。ブランドのターゲット層に合わせて、最も適したコミュニケーション方法を選ぶことが大切です。

ブランディングの企画書を書くときに押さえておきたいポイント

ブランディングの企画書を書くときは、以下のようなポイントを押さえておくのが大切です。

  • 初期設計を綿密に行う
    ブランディングの企画書を作成する際、いきなり書き始めるのではなく、まず初期設計をしっかりと固めることが重要です。初期設計が不十分だと、ブランディングの方向性が曖昧になり、施策の軸がぶれてしまう可能性があります。
    企画書に取りかかる前に、ブランディングの目的やターゲット、市場環境などを十分にリサーチしておきましょう。また、ブランディングに関わるメンバーと事前に意見をすり合わせておけば、後から修正が必要になる手間を減らすことができます。
  • 企画書を読めば認識を合わせられるようにする
    ブランディングの企画書は、関係者が読んだだけで「何を目指すのか」「どのように進めるのか」が理解できる内容になっていることが重要です。
    ブランディングには、マーケティング担当者やデザイナー、営業チーム、経営層など、多くの人が関わります。異なる立場の人々が企画書を読んで共通の認識を持てるよう、分かりやすく、論理的な構成にすることが求められます。
    したがって、専門用語をなるべく使わず、シンプルで明確な言葉を選ぶことが大切です。また、文章だけでなく、図や表、ビジュアル資料を活用すれば、視覚的にも理解しやすい企画書を作れます。

テンプレートを活用してブランディングの企画書を作ろう

ブランドの価値を高めるには、一貫した方針に沿って動き続けるのが大切です。ブランディングの企画書に、市場分析やペルソナ設定、ブランドコンセプト・パーソナリティ・コミュニケーションなどの情報をまとめておけば、更新の際にも便利です。企画書を適宜アップデートしながら、時代の変化や顧客の声を取り入れ、長く愛されるブランドを目指しましょう。

企画書作成にあたっては、無料のテンプレートを使えば、見落としがちなポイントを整理しやすくなるので便利です。


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