• 作成日 : 2024年10月18日

介護職におけるペーパーレスのやり方は?メリット・デメリットも解説

介護職におけるペーパーレス化が注目されています。書類作業の負担軽減や効率化は、業務の質向上や人材不足問題の解決に寄与する可能性があるためです。介護施設では多くの書類が作成され、管理や保管にかかる時間やコストが課題となっており、ペーパーレス化の導入が推奨される理由も納得できます。

当記事では、介護現場でのペーパーレス化のやり方や、導入するメリット・デメリットについて詳しく解説します。

介護職においてペーパーレス化が重要視されている理由

介護職でペーパーレス化が重要視されているのは、高齢化による介護施設利用者の増加と、少子化による人材不足が理由です。介護職員一人ひとりが抱える仕事量が多くなっている現状の課題解消を目的に、ペーパーレス化による書類作業の負担軽減が重要と考えられています。

介護職で主に作成・管理される書類は、下記の通りです。

  • 介護記録・介護計画書
  • シフト表
  • 報告書
  • 介護保険請求関連書類

作成する書類の中には、行政への提出が必要な書類も存在します。提出先によって書式を変える必要があるなど、書類作成に時間を要しているのが実状です。

出典:「小泉進次郎 Official site」介護現場のペーパーレス化、書類負担ゼロへ

ペーパーレス化は、紙の書類より手間がかかりません。介護職員の負担軽減のため、ペーパーレスへの移行が重要視されています。

介護職にペーパーレスを導入するメリット

ペーパーレス化は、書類の作成・管理業務に関する介護職員の負担軽減を図るのに役立つ方法です。また、職員の負担軽減だけではなく、施設全体にプラスとなるような以下で紹介するメリットも存在します。

印刷にかかわるコストを削減できる

介護業界は、介護記録や行政への提出書類など毎日の印刷物が多く、印刷にかかるコストが決して少なくありません。ペーパーレス化を進めると印刷物の減少を図れるなど、印刷に関するさまざまなコストの削減に役立ちます。

例えば、介護職の印刷にかかるコストには以下が挙げられます。

  • コピー用紙の購入
  • インク代
  • 書類を管理するファイルの購入
  • 保管用の棚の購入

ペーパーレスを導入すると、施設内のみで使用する書類は印刷せずにデジタル管理が可能です。印刷物は行政への提出物や利用者へ渡すものだけになるなど、最小限に抑えられるため、紙の消費量が減り用紙の購入から管理・保管にかかるコスト削減が見込めます。

コア業務に集中してサービス品質を高められる

ペーパーレス化するとタブレットやパソコンを使用して、あらゆる情報のデジタル入力・管理が可能です。手書きや書類の印刷といった手間がなくなります。アナログ作業に比べると、端末1台で情報の記録・管理と共有ができるため、介護ケアに集中して取り組める時間を確保できるようになります。

介護ケア業務にかける時間を増やせると、利用者とより丁寧に向き合うことが可能です。利用者家族に連絡する際も、余裕を持って多くの情報を伝えられるようになるため、サービス品質の向上に役立ちます。

施設内のスペースを有効活用できる

介護施設で記録する書類の中には、5年間の保管が義務付けられている種類があります。利用者数と施設を運用した日数分の書類が増え続けるため、紙で保管する場合は広いスペースの確保が必要です。大きな倉庫を完備していなければ、増え続ける書類に貴重な施設内のスペースを圧迫されるケースもあるでしょう。

ペーパーレス化で記録情報をデータとして保存すると、紙の書類の保管に要するスペースを最小限に抑えられます。書類に圧迫されている場所をすっきりと片付けられるほか、空いたスペースを有効活用するのも可能です。通路や事務所など、施設内の各場所が広く使えるようになると、介護職員の働きやすさにもつながります。

利用者の情報を効率的に引き出せる

日々の記録をデジタル管理すると、検索機能を使用することによって、膨大なデータの中から必要な情報だけを素早く見つけ出し参照できます。数年前の過去の記録なども、検索によって少ない手順で見つけられるため、情報把握にかける作業時間の短縮が可能です。

紙による記録では、陳列しているファイルの中から情報を得たい利用者の書類を手作業で探したり、参照したい日付まで遡ったりと時間がかかります。情報を得るのに手間を要すると、介護ケアへの十分な時間が確保できなくなる可能性もゼロではありません。

ペーパーレス化によって利用者の記録をデータで保存することは、効率的な情報の参照と把握に役立ちます。くわえて、介護ケアにかける時間の確保も見込める方法です。

介護職にペーパーレスを導入するデメリット

ペーパーレスの導入には、デメリットがあるのも事実です。どのようなデメリットがあるか事前に把握し、導入するかどうか判断する材料にしてください。

ペーパーレスの導入によって考えられるデメリットは、以下の通りです。

導入や運用にコストが発生する

ペーパーレスを導入するには、デジタル環境を整えなければなりません。介護関連のソフトウェアや記録アプリ、場合によっては新たにタブレット・パソコンなどの端末の購入も必要です。導入にかかる初期費用にくわえて、運用を始めてからも何らかの利用料が発生する可能性があるため注意しましょう。

導入時から大掛かりなペーパーレス化を進めると想定以上のコストがかかり、費用面の負担が大きくなる場合があります。まずは既存のパソコンに対応したソフトから導入を始めるなど、少しずつデジタル環境に移行するのも一案です。

システムやアプリの操作に慣れるまで時間を要する

紙の書類は人を問わず、誰でも記録や管理をしやすいメリットがあります。一方で、デジタル環境は人によっては使い慣れておらず、操作に慣れるまでに時間を要する可能性があるため注意が必要です。

操作方法や手順が複雑なソフトウェアを選ぶと、思うようにペーパーレス化を進められないことも考えられます。導入時はソフトウェアの仕様を十分に確認し、複雑な部分がないか、またデジタル環境に慣れていない人も扱いやすい操作性かどうか、把握するのがおすすめです。

セキュリティ対策が求められる

インターネットにつながるデジタル環境では、コンピューターウイルスなどの何らかの悪影響を及ぼすプログラムの被害に遭う可能性が否定できません。個人情報の漏洩やデータの改ざんといった被害に遭う危険性を避けるためにも、セキュリティ対策を講じるのが重要です。

介護ソフトの種類によっては、購入時からセキュリティ面の工夫が施されている場合があります。例えば、情報漏洩やデータ改ざん予防のために設けられたアクセス制限のほか、データ通信の暗号化などです。介護ソフトそれぞれで組み込まれているセキュリティが異なるため、どのような仕様となっているのか確認した上で選ぶのをおすすめします。

介護職におけるペーパーレス化のやり方

介護ソフトには、大きく分けてインストール型とクラウド型の2種類があります。ペーパーレスに移行する際はそれぞれの違いを把握し、どちらの導入が最適か施設環境を考慮して選びましょう。インストール型は施設内サーバーへのデータ保存となるため、社内ネットワークだけで完結する管理方法です。対して、クラウド型は施設外となるデータセンターに利用者情報を保存するため、情報漏洩のリスクが高まる点に注意してください。

また、ペーパーレス化をスムーズに進めるには、事前に介護職員に周知し理解を得ることが大切です。周知せずに進めると、デジタル環境に苦手意識がある人の不満が募る可能性があります。ペーパーレス化が進まなくなることを避けるためにも、周知をしっかり行いましょう。

ペーパーレス化の目的や、どのような業務に活用するのかを洗い出しておくのがおすすめです。介護職員と一緒にペーパーレス化によってどのような課題の解決につながるか、そのために必要なソフトウェアの話し合いや選定をすると、理解を得るのにつながります。

導入後も定期的にソフトフェアの運用効果の検証や評価をすると、現在の環境の見直しと改善ができ、ペーパーレスの最適化に役立ちます。

介護業界が抱える課題解決にはペーパーレス化が重要

介護職におけるペーパーレス化は、業務の効率化やコスト削減に大きく貢献する可能性があります。デジタル管理の導入により、介護職員はコア業務に集中でき、施設全体のサービス品質向上が期待できます。

一方で、導入には費用やセキュリティ対策が必要であり、これらの課題も考慮することが大切です。施設のニーズに合わせたデジタル化を進め、ペーパーレスのメリットを最大限に生かしましょう。


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