• 更新日 : 2024年11月27日

運転日報のペーパーレスとは?手書きを解決するおすすめアプリ(無料テンプレート付)

貨物・旅客の運送事業を営む企業や、一定台数以上の社用車を保有している企業は、法律によって運転日報の作成が義務付けられています。運転日報の作成・管理にあたって、効率化や正確性に課題を持つ企業も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、運転日報をペーパーレス化する方法やメリット、役立つテンプレートやアプリについてご紹介します。

運転日報をペーパーレス化するには?

運転日報は、運転の状況を把握するために運転を終了した運転者が記載する記録です。安全な運転の確保を目的として、運転日報の作成は下記の法律で義務付けられています。

参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び゙運用について|国土交通省

参考:旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び゙運用について|国土交通省

参考:安全運転管理者制度|千葉県警察

トラックで荷物を運送する「貨物自動車運送事業者」に対し、バスやタクシーで旅客を運送する事業者は「旅客自動車運送事業者」です。また外回りや役員の送迎用など、一定数の社用車を保有している企業は、「安全運転管理者」等の選任が義務付けられています(道路交通法施行規則第九条の八)。

上記の法律では、記載すべき事項や保存期間の規定はありますが、保存方法の規定はありません。そのため電子化した運転日報に記録すべき事項が含まれており、一定期間保存されていれば、ペーパーレス化しても何ら問題はないのです。

運転日報を紙に手書きする際の問題点

電子化されないまま、紙ベースの運転日報に手書きしていると、さまざまな問題点が生じます。ここでは、ペーパーレス化されていない運転日報の問題点について見ていきましょう。

作成や管理に手間がかかる

運転日報がペーパーレス化されていないと、作成や管理に手間がかかる点が問題です。運転状況を思い出しながら、手書きで運転日報を記録する作業は時間がかかり、記入ミスをすることもあるでしょう。一方、管理者は転記や集計といった手間がかかるのです。さらに休憩が取れていたか、運行指示通りだったか、運転者が提出した運転日報の内容を管理者は手作業で精査しなくてはなりません。

内容に個人差が出る場合がある

紙の運転日報は、業務終了後に運転者が思い出しながら仕上げるケースがほとんどです。運転者の記憶や資質に頼らざるを得ないために、運転日報の内容の正確さや情報の細やかさに個人差が出てしまう点も問題といえます。

読みにくい場合がある

クセのある手書きの文字は、本人以外は読みにくい問題点があります。運転者が急いでいて殴り書きのようになってしまい、全く判読できないケースもあるでしょう。運転者自身が後から何を書くつもりだったのか思い出せなければ、運転日報の記録内容を誰も理解できないリスクもあります。

運転日報をペーパーレス化する方法

運転日報は、手書きからエクセル、アプリやシステムによるペーパーレスへと移行する企業が増えています。ここでは、運転日報を電子化する3つの方法について見ていきましょう。

Excel(エクセル)

すでにPCにインストールされている表計算ソフトのエクセルを使用すれば、項目の抜けモレなく運転日報のペーパーレス化を始められます。コストをかけたくない方は、インターネット上で公開されている無料テンプレートを活用してみましょう。

ファイル管理になることから、エクセルにはデータの一元管理ができない問題点があります。また手書きと同じように、業務終了後に思い出しながら入力作業を行うために、大幅な業務効率化にはつながりません。

運転日報アプリ

運転日報アプリは、基本的にスマホによる運転日報の作成に特化したアプリです。スマホアプリ上のフォーマットに入力したり、メーターとスマホアプリを連携させることで走行距離を自動入力できたりします。ドロップダウンリストや自動入力によって運転者の入力作業を簡素化できるものの、アプリによっては入力作業の手間がかなり残る点を押さえておきましょう。

運転日報システム

運転日報システムは、搭載したテレマティクスサービスで収集したデータによって、運転日報の作成をほとんど自動化できます。テレマティクスサービスは移動体通信システムを利用することによって、リアルタイム位置情報など車両の動態を管理者がリアルタイムに把握できるサービスです。

走行データを自動で収集することによって運行管理業務の大幅な効率化に加え、危険運転の検知や車両管理など、より高度な管理を実現できるシステムもあります。豊富な機能が搭載されているために、特化型のアプリより導入費用や運用コストがかかる点は否めません。

運転日報のテンプレート-無料ダウンロード

「マネーフォワード クラウド給与」では、 実務ですぐに活用できる運転日報(ワード)のテンプレートをご用意しています。下記リンクより、無料ダウンロードが可能です。

運転日報(ワード)テンプレート

無料テンプレートのダウンロードはもちろんのこと、運転日報の書き方や保管義務について確認したい方は、下記リンクよりご覧ください。

運転日報とは?書き方や保管期間を解説 – 無料テンプレートつき

運転日報をペーパーレス化するメリット

ここでは、紙の運転日報を電子化し、ペーパーレス運用を行うメリットについて見ていきましょう。

業務効率がアップする

運転日報をペーパーレス化すると、簡単に作成できて省力化につながるほか、管理がしやすくなります。たとえば利用車両や利用日時をドロップダウンリストから選択できるアプリであれば、運転者が入力する手間を省けるでしょう。またアプリで集計が可能になることから、管理者が運転日報を転記して、月末の集計に向けてデータをまとめる作業も不要になります。

自動で日報を作成できる

ペーパーレス化すると、運転者が入力した情報をもとに、運転日報を自動作成することが可能です。さらにデジタルタコグラフ (デジタコ)やスマホのGPSと運転日報アプリを連携できれば、走行距離を自動で計算し、記録できるようになります。そのため手書きより正確な情報を収集できる点も、ペーパーレス化のメリットです。

日報の情報を一元管理できる

運転日報を電子化できるアプリを導入すると、運転状況に関する情報をクラウドで一元管理できるようになります。ファイリングの手間から解放され、過去の運転日報の情報閲覧・検索を、必要なときに管理者画面から容易にできるようになる点はメリットです。アルコールチェックなどのデータも連携し、法令で必要とされている情報全てを一元的に管理できるようになれば、管理者の事務負担を軽減できるでしょう。

運転日報アプリとは?

ここでは、運転日報アプリの主な機能やタイプについて見ていきましょう。

運転日報アプリの主な機能

運転日報アプリの主な機能は、下記のとおりです。

  • ペーパーレス化(使用者、使用車両、使用日時、走行距離の記録と自動作成機能)
  • アルコールチェックの記録
  • 日常点検記録

他にも車両予約管理機能、安全運転スコア機能などが搭載されているアプリもあります。自社の実情に合った機能を提供する運転日報アプリを選びましょう。

運転日報アプリのタイプ

運転日報アプリには、主に次の2つのタイプがあります。

  • 運転日報作成に特化したアプリ
  • 動態管理にも対応したアプリ

動態管理に対応したアプリは、運転者がどこを走行・停止しているかリアルタイムで把握可能です。動態情報を生かし、事故を未然に防ぐ安全運転管理の支援と運行管理の効率化をワンストップで提供しているアプリや、走行ルートの最適化など車両管理に比重を置いたアプリもあります。

運転日報に特化したタイプと比べて、高度な機能が数多く含まれているために、料金は高くなりがちです。運転日報の作成機能に絞ってペーパーレス化したい場合には、特化したアプリを選ぶとよいでしょう。

おすすめの運転日報アプリ5選

ここでは、特に運送業のトラックドライバーや社用車の運転者を対象にした運転日報アプリを5つご紹介します。

MOVO Driver(株式会社Hacobu)

物流向けアプリケーション開発を手がける株式会社Hacobuは、トラックドライバーの働き方を変えるアプリ「Move Driver(ムーボ・ドライバー)」を提供しています。Move Driverの「ドラログ」は、初期設定で使える無料機能の一つです。

スマホで作成した運行記録を電子化された運転日報として生成・保管できるほか、その日報を運行管理者や配送依頼元などを複数指定して共有できます。

地点情報を自動取得した上で、荷役・付帯作業を記録すると日報に反映されるため、入力の手間を省くことも可能です。乗務開始時と終了時のメーター情報から自動算出した走行距離も日報に反映されるので、いつでも正しい情報を把握できます。

MOVO Driver

AI-Contact フリート(ジェネクスト株式会社)

道路交通事故による死傷者削減という目標を掲げて、人々が安全に過ごせる社会の実現を目指し、交通安全管理システムを運営しているのはジェネクスト株式会社です。ジェネクト株式会社は、アルコールチェックに対応した運行管理システム『AI-Contact(アイコンタクト) フリート』を完全無料で提供しています。

運行管理、動態管理、車両管理、運転日報作成、アルコールチェック電子記録を、会社関係者の間で容易に共有・効率化できる無料アプリです。手元のスマホで走行情報を記録するために、車載器の購入・設置も必要ありません。「月額200円×登録アカウント数分」の料金で、別途、交通安全に向けたサポートを受けられます。

AI-Contact フリート

DriveReport(NTPシステム株式会社)

業務請負事業や人材派遣事業を営むNTPグループの一員であるNTPシステム株式会社が開発したアプリが、社用車を対象にした「DriveReport(ドライブレポート)」です。スマホでデジタルODOメーターを撮影するだけという手軽さで、読み取られた走行距離が運転日報に自動で反映されます。

利用車両や利用日・時刻は、ドロップダウンメニューから選択可能です。無料オプションとしてアルコールチェック対応機能、運行前チェック項目を複数表示や、レシートなどの画像保存機能を利用できます。初期費用はかからず、社用車1台あたり月額300円(税別)と非常に低価格で利用可能です。

DriveReport

どらたん(株式会社NX総合研究所)

物流コンサルタント企業の株式会社NX総合研究所が開発したアプリが、「LINE」を利用した運行管理ツール「どらたん」です。LINEに友達登録するだけで使えるため、ドライバーは特別なアプリの操作に慣れる必要はありません。いつも利用しているLINEを操作する感覚で、LINE画面に表示されるボタンをドライバーがタップし、記録した作業内容や場所などのデータにより、Webで運転日報を自動作成できます。

手元にスマホとインターネットに接続しているパソコンを保有していれば、アプリ導入に伴う初期費用は不要です。運用コストとして月額利用料金(税別)は、5,000円の基本料金と利用するドライバー1人あたり500円かかります。

どらたん

LINKEETH DRIVE(NTTコミュニケーションズ株式会社)

NTTコミュニケーションズ株式会社が開発したアプリが、安全運転支援や車両管理をワンストップで提供する「LINKEETH DRIVE(リンキースドライブ)」です。ドライブレコーダーのAIやセンサーが危険挙動を検知しドライバーに警告するほか、外部サービスとのAPI連携で車両管理DXを促進するという特徴があります。

ドライバーはスマホアプリを活用し、走行データや行先、精算データ、業務報告、車両点検など、運転日報に必要な情報の登録が可能です。必要な情報を追加登録すれば、効率よく運転日報を作成できるため、ドライバーの手間を減らせます。料金はSafetyプラン、Locationプラン、セットプランがあり、詳細については見積りの依頼が必要です。

LINKEETH DRIVE

運転日報をペーパーレス化して、業務を改善しよう

運転日報の保存方法は、紙媒体でも電子化された状態であっても法律的に問題ありません。ペーパーレス化すると、走行距離などの情報を自動で取得できるなど、運転日報の作成作業の省力化につながります。月末にデータをまとめるために、管理者が日報を転記する手間もなくなるのです。

本記事ではおすすめの運転日報アプリも紹介しましたので、管理者の方はぜひ参考にしてください。


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