- 更新日 : 2024年7月3日
Copilotとは?ChatGPTとの違いや使い方、ビジネスでの活用例を紹介
昨今、Microsoft製品を利用している企業の間で、Copilotという生成AIが注目を集めています。Copilot(コパイロット)とはMicrosoft社が開発した生成AIツールであり、Microsoft製品と組み合わせて活用できるのが特徴です。
この記事ではCopilotの機能やChatGPTとの比較、ビジネスでの活用方法などを紹介します。
目次
Copilot(コパイロット)とは?
「Copilot(コパイロット)」とは、Microsoft社が提供する生成AIツールのブランドです。ChatGPTを開発したOpen AI社が提供している生成AIモデル「GPT」を元に開発されています。
また、文章生成AIである「Copilot」とは別に「GitHub Copilot」というツールもあります。これは、GitHub社が開発したプログラミング用生成AIツールです。GitHub社はMicrosoft社の子会社であるため、開発された生成AIツールにCopilotと名づけられています。
Copilotを一括りにするのではなく、それぞれの特徴を把握してニーズに沿ったツールを利用しましょう。
Copilotの主な機能と特徴
生成AIツールは、日々進化を続けています。多くの人が注目しており、日々の業務に生成AIツールを導入する企業も増えています。
しかし、生成AIツールについてあまり詳しくない方なら、具体的に何ができるのか想像がつかないかもしれません。そこで、生成AIツールであるCopilotが備える機能や特徴を、以下の項目に絞って紹介します。
- リアルタイムでの情報検索と文章生成
- プログラミングの生成
- テキストの画像生成や画像認識
- 音声解析とテキスト変換、音声出力
- Microsoft 365との連携
リアルタイムでの情報検索と文章生
Copilotに気になることや教えてほしいことを入力すると、AIがその回答を調べ答えてくれます。通常の検索エンジンとは異なり「企業の業務効率化を実現したいんだけど、おすすめの本はある?」といった曖昧な文章形式であっても回答が得られます。
また、文章や疑問に対する回答だけでなく「上司に送るお詫びのメールを教えて」などと入力すると、内容に沿った文章の作成も可能です。
しかし、Copilotで生成される回答はMicrosoft社の検索エンジン「Bing」上でたどり着けるサイトを参考にしているため、情報の真偽や文章の独自性に関しては、必ず再確認しなければなりません。
プログラミングの生成
GitHub Copilotでは、プログラミングコードの生成も行えます。具体的には以下のようなサポートが可能です。
- コードの自動補完:入力された文字列を参考に、次の文字列候補を予測表示する
- コードの生成:入力されたコードより、次に必要となるコードを自動で生成する
- コードのレビュー:入力されたコードを分析し、問題点や改善案を提案する
GitHub Copilotはさまざまなプログラミング言語に対応しており、その中でもとくにPython、JavaScript、TypeScript、Ruby、Go、C#、C++に適しています。
テキストの画像生成や画像認識
Copilotで自分が生成したい画像のイメージを入力すると、指示文章に沿った画像を生成します。指示文を具体的にしたり、生成された画像に対してさらに指示を追加したりすることで、より自分のイメージに近い画像を生成できるでしょう。
また、Copilotには画像を認識する機能もあるため、画像をアップロードしたうえで「この画像の詳細を教えて」などの質問をすることも可能です。
音声解析とテキスト変換、音声出力
Copilotではマイクやヘッドフォンと接続することで、音声入力ならびに回答の生成が可能です。生成される回答もテキストと音声の両方で提供されます。
また、音声解析機能を利用して音声ファイルの文字起こしや翻訳もできます。会議やセミナー、インタビューなどの音声ファイルを文字起こしする際に重宝するでしょう。
Copilot以外にも音声ファイルの文字起こしや翻訳ができるツールはありますが、情報検索、画像生成などの機能も同時に備わっているのが利点となります。
Microsoft 365 との連携
有料版の「Microsoft Copilot Pro」や「Copilot for Microsoft 365」なら、Microsoft 365と連携してCopilotを利用できます。指示を入力するだけで、Wordの文章作成やExcelでの表作成、PowerPointのスライド作成などの操作が可能です。
もちろん、自動生成された資料をそのままビジネス利用できるとは限りませんが、Microsoft 365における単純作業を効率化できるでしょう。
CopilotとChatGPTとの違い
同じく生成AIツールとしては、ChatGPTも有名です。無料で利用できる、対話形式で文章に対する回答が得られる、などの共通点があるので、Copilotとどのように違うのか疑問に思う人もいるでしょう。
ここでは以下の観点に着目して、CopilotとChatGPTとの違いを紹介します。
- 開発者の違い
- 得意分野の違い
- 使用する学習データの違い
- チャットの文字数
- 最新情報の更新頻度
それぞれの違いや特徴を把握し、CopilotとChatGPTのどちらが自社に適しているのかを確認していきましょう。
開発者の違い
CopilotはMicrosoft社によって開発されたのに対し、ChatGPTはOpenAI社によって開発された点が異なります。
しかし、CopilotもOpenAI社が開発した大規模言語モデル「GPT-4」を元にしています。Microsoft社のアプリを仲介する「Microsoft Graph」とGPT-4を組み合わせることで、Copilotは開発されました。
このようにCopilotとChatGPTの開発者は違うものの、元となった言語モデルは同一です。
得意分野の違い
CopilotはMicrosoft社が自社の製品とGPT-4を組み合わせています。そのため「Windows」や「Microsoft 365」といった、Microsoft製品を利用した業務の生産性向上が得意です。一方で、ChatGPTは文章の生成や翻訳、質問への応答が得意です。
WordやExcelなどのMicrosoft製品を用いた業務の効率化を目指す際はCopilot、ビジネスメールの作成や物語のアイデアなど創造的な分野で助力が欲しい場合はChatGPT、と使い分けるとより有効活用できるかもしれません。
使用する学習データの違い
Copilotでは、質問に関する回答は「Bing」を利用してリアルタイムに収集されます。
一方で、ChatGPTはWeb上のサイトや論文、書籍、過去のユーザーとの会話などのデータから事前にトレーニングされたモデルを使用します。収集した情報をデータベースに記録し、利用者からの指示を受けると、そのデータベース内の情報を参照しながら回答となる文章を生成するのです。
Copilotは最新の情報に基づいた回答を提供しやすい一方、ChatGPTは幅広いデータに基づく柔軟な回答を得意としています。
チャットの文字数
CopilotとChatGPTでは、それぞれ1回のチャットで送信できる文字数が制限されています。無料版の場合、Copilotは2,000字まで、ChatGPTでは詳細な制限文字数は公開されていないものの、約5,000トークン(約2,000~3,000字程度)までといわれています。ただし、実際の利用者からは5,000トークン以上入力できるという声もあり、アップデートされているようです。
制限以上の文字数を送信したい場合は、複数回に分けてチャットを送るとよいでしょう。また、有料版を契約すると送信できる文字数も多くなるため、長文の指示文を送信する機会が多い人は、有料版の利用も検討してみましょう。
最新情報の更新頻度
Copilotでは、指示文に対する回答をリアルタイムでBingから調査しています。この機能をブラウジングと呼び、Bing上にあるなら常に最新の情報を収集可能です。
ChatGPTの場合、最新モデルがリリースされる前に事前学習でインプットされた情報のみが、指示文に対する回答として用いられます。そのため、ChatGPTで用いられる情報の更新頻度はモデルの更新時となり、リアルタイムの情報は得られません。ただし、有料版であればブラウジング機能が備わっており、最新の情報をリアルタイムで取得することが可能です。
「今日の天気」や「アプリの最新情報」などを調べる際は、CoplotもしくはChatGPTの有料版の使用がおすすめです。
Copilotの無料版と有料版との違い
Copilotには「Microsoft Copilot Pro」と「Copilot for Microsoft 365」という2種類の有料プランがあります。
Microsoft Copilot Proでは、以下のような機能が追加されます。
- 利用者の多い時間帯でも優先的にアクセスできる
- 利用者のニーズや関心を学習し、独自のCopilot GPT を構築する
- Microsoftのアプリ(Word、Excel、PowerPoint、Outlook )に関するサービスが受けられる
Copilot for Microsoft 365は法人向けの有料プランであり、自社で活用しているMicrosoftアプリにおいて、社内のデータも情報源として活用できます。
Copilotの基本の使い方
続いてCopilotの使用方法を紹介していきます。主な使用方法としては、以下の3点が挙げられます。
- Microsoft Edge で Copilot を使う
- Edge 以外のブラウザで Copilot を使う
- スマートフォンで Copilot を使う
それぞれの方法について具体的に見ていきましょう。
Microsoft Edge で Copilot を使う方法
Microsoft社が提供しているWebブラウザ「Microsoft Edge」では、右側のサイドバーに表示されているCopilotのアイコンをクリックするだけで、Copilotへアクセスできます。
もし、Copilotのアイコンが表示されていない場合、Microsoft Edgeの設定画面より「サイドバー」→「アプリと通知の設定」→「Copilot」と移動し「Copilotの表示」をONにしましょう。
Edge 以外のブラウザで Copilot を使う方法
Microsoft Edge以外のブラウザでCopilotを使用する場合、Microsoft社の検索エンジンBingからアクセスしましょう。Bingの検索バー上部にはCopilotのアイコンが配置されているため、クリックするとCopilotへアクセス可能です。
また、Bingを経由しなくとも、ほかの検索エンジンから直接CopilotのURL(https://copilot.microsoft.com/)を入力してアクセスすることもできます。
スマートフォンで Copilot を使う方法
スマートフォンでもPCと同じく、Microsoft EdgeやBingよりCopilotへアクセスすることが可能です。
一方で「Microsoft Copilot」というアプリもリリースされており、頻繁にCopilotを使用するのであれば、アプリをインストールしてみましょう。iOS版とAndroid版の両方で配信されており、登録や契約なしでダウンロード後そのままCopilotを活用できます。
Copilotのビジネスでの活用方法、アイデア
有料版であるMicrosoft Copilot Proに契約すると、Microsoftアプリ上でもCopilotを活用できるようになります。ここでは各アプリで利用できる機能を紹介していきます。
- Word:議事録の作成や企画書の作成
- Excel:自動集計やグラフ生成
- PowerPoint:データを基にした資料の自動生成
- Outlook:メールの整理や返信文の自動生成
どのように使えるのかを把握し、業務効率化を実現しましょう。
Word:議事録の作成や企画書の作成
Word上でCopilotを開き、指示文を入力すると、その内容に沿った文章を自動で作成します。
会議で誰が何を発言したのかをまとめたファイルがあれば、Copilotに「このファイルを基に議事録を作成して」と指示するだけで、議事録が作成されます。また、企画の背景や目的、ターゲットなどを指定したうえで「企画書を作って」と指示すると、内容に沿った文章の生成も可能です。
最終的には内容を人が確認する必要がありますが、まとまった内容の文章が自動で作成されるため、業務効率化へとつながるでしょう。
Excel:自動集計やグラフ生成
すでにデータや数値が入力されているExcelで集計やグラフ作成を行う際にも、Copilotは活用できます。はじめにデータや数値が記載された範囲を選択し「挿入」から「テーブル」をクリックしましょう。これにより、データや数値の羅列がテーブルとして認識されます。
そのうえで「売上金額の合計を集計して」や「企業と売上金額のグラフを作成して」といった指示をすると、指示に沿った操作が自動で実行されます。このようにCopilotを活用することで、単純作業を自動化できるでしょう。
PowerPoint:データを基にした資料の自動生成
PowerPointでも、作成したいプレゼンテーションの内容をCopilotに指定することで、対応するスライドを作成してくれます。
この時、Wordドキュメントを指定すると、Wordの内容に沿ったスライドを作成します。あらかじめデータをWordに貼付しておくことで、データを基にして資料の作成も自動化できるでしょう。
また、作成されたスライドが少ない場合は、足りない内容を指摘しスライド追加を指示すれば、Copilotが追加のスライドを自動作成してくれます。
Outlook:メールの整理や返信文の自動生成
OutlookのCopilotでは以下のような操作が実行できます。
- メールの要約
- メールの下書き作成
- メールの文面の指導
受信したメールを指定し「Copilotで要約」を選択すると、メール内から重要なポイントを抽出します。返信するメール内容についても、誰にどういった内容のメールなのかなどを指定すると、メールの下書きが自動生成されます。
文章のトーンや情報に気に入らない点があれば、指示内容を調整したうえで、再生成も可能です。
Copilot利用時の注意点
Copilot利用時の注意点としては、以下のような点が挙げられます。
- 情報の内容が誤っている可能性がある
- 生成された文章がほかのサイトからそのまま流用されている恐れがある
- 情報の信頼性や独自性に欠ける など
CopilotはBingからたどり着いた各種サイトの情報を参考に、回答を生成しています。そのため、生成される文章は参考サイトの影響を大きく受けていることに注意しなければなりません。
Copilotを利用する際は、生成された情報や文章の内容を必ずチェックし、間違いがないのか、実際に使用しても大丈夫なのかを確認するようにしましょう。
Copilotを利用して単純作業を効率化しよう
CopilotはMicrosoft社が開発した生成AIツールであり、Microsoft製品と組み合わせて使用できることが最大の特徴です。Wordでは議事録や企画書の作成、PowerPointでは資料のスライド作成などを自動で行い、単純作業を効率化します。
一方で、Copilotは学習元が検索エンジンBing上のサイトからであるため、100%情報が正確であるとは限りません。Copilotを利用して業務効率化を目指すのであれば、必ずファクトチェックや内容の調整を行いましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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