• 更新日 : 2024年12月12日

プロジェクトのスケジュールの作り方とは?手法やテンプレを紹介

プロジェクトの成功には、効果的なスケジュール管理が不可欠です。スケジュール管理とは、プロジェクトの開始から終了までの全工程を時間軸に沿って算出するプロジェクト計画のプロセスであり、納期や予算の達成に直結します。

この記事では、プロジェクトのスケジュールの作り方について、具体的な手法や活用できるテンプレート、スケジュール作りのポイントを紹介します。これからプロジェクトを始める方や、スケジュール管理に課題を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

プロジェクトにおけるスケジュール管理とは

スケジュール管理とは、プロジェクトの開始から終了までの全工程を時間軸に沿って計画・監視・調整する、プロジェクトマネジメントの業務プロセスの1つです。主に、各タスクの開始日と終了日、必要なリソース、タスク間の依存関係などを明確にする業務を行います。

適切なスケジュール管理がされていれば、納期遅延や予算超過といったリスクを最小限に抑えられるため、プロジェクトの成功率が高まります。

また、チームメンバー全員が現在の進捗状況や今後の予定を共有するので、チームのコミュニケーションも円滑になるでしょう。

プロジェクトのスケジュール管理に使われる手法

プロジェクトのスケジュール管理には、主にWBS(Work Breakdown Structure)とガントチャートの2つの手法が使われています。

  • WBS

プロジェクトを細かなタスクや作業パッケージに分解し、階層的に整理する手法です。プロジェクト全体を見える化することで、タスクの漏れや重複を防ぎ、各タスクの範囲と目標を明確にできます。WBSを使ってタスク管理をする手順は、以下の通りです。

1プロジェクトの目標を達成するために必要なすべての作業を洗い出します。大きな作業はさらに小さなタスクに分割し、管理しやすい単位にします。
2タスクを親子関係で整理し、上位から下位への流れを作って、タスク間の関係性を明確にします。
3各タスクの目的、成果物、所要時間、必要なリソースを書き出し、各タスクに担当者を割り当てて、誰が何をするのかを可視化します。
  • ガントチャート

タスクの開始日、終了日、期間、そしてタスク間の依存関係を視覚的に表現する手法です。ガントチャートはプロジェクト全体のスケジュールを直感的に把握できるため、遅延やリソース不足に気付いて対応しやすくなるメリットがあります。ガントチャートを使ってタスク管理をする手順は、以下の通りです。

1縦軸にすべてのタスクを列挙し、横軸にプロジェクトの期間を設定します。
2各タスクの開始日と終了日をバーで示し、期間と進行状況を視覚化します。
3バーの上にタスクの完了状況を書き入れ、進捗を確認しやすくします。

プロジェクトスケジュールの無料テンプレート

プロジェクトのスケジュール管理をする際には、テンプレートを活用するのがおすすめです。無料のテンプレートを使えば、コストをかけずにスケジュール管理の手間が省けるでしょう。

プロジェクトのスケジュール管理に役立つ無料テンプレートは、以下からダウンロードできます。

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プロジェクトにおけるスケジュール管理の目的

スケジュール管理は、プロジェクトの成功を左右する重要な要素です。適切にスケジュールを管理できれば、遅延することなくプロジェクトの成功率を高められるでしょう。

以下では、プロジェクトのスケジュール管理を行う目的を解説します。

納期や予算などの要件を達成しやすくなる

スケジュール管理をすれば、どのタスクを優先すべきかが明確になり、納期や予算を計画通り達成しやすくなります。コスト管理やリソース管理も楽になるため、プロジェクトの規模が大きくなり、関わる人数が増えるほどスケジュール管理は重要です。

プロジェクトには重要度や緊急度が異なるさまざまなタスクが含まれます。しかし、プロジェクトのスケジュールが管理されていなければ、優先するべきタスクが分かりづらくなり、重要なタスクを後回しにしてしまうといった問題が起きるでしょう。

スケジュール管理により進捗状況を可視化すれば、各メンバーが自分のタスクが全体に与える影響を理解できます。遅延が予想される場合やリソースが不足している場合の対策スピードも上がり、納期遅れや想定外の支出といったトラブルを防止できます。

無駄な時間を削減できる

プロジェクトメンバーが担当するタスクに優先順位を付けやすくして、無駄な時間を減らすのもスケジュール管理の目的の1つです。

「今、何をすべきか」を明確にすれば、業務を効率化でき、生産性が上がります。各メンバーがやるべきことを理解していれば、誤って同じタスクを二重に行ったり、期日までに終わらせるべきタスクが抜け漏れたりする可能性を減らせます。ほかにも、重要度の低い業務や後回しにできるタスクに時間を費やすのを防げるでしょう。

また、スケジュール管理を通じて、各メンバーの役割と責任が明確になるため、コミュニケーションの効率化が図れるのもメリットです。例えば、定例会議の回数を減らし、情報共有はプロジェクト管理ツールで行うなどの効率的な方法を採用できます。

現在の進捗状況を第三者と共有できる

適切なスケジュール管理をしていれば、プロジェクトメンバーだけでなく顧客をはじめとしたステークホルダーに対する進捗報告が簡単になります。報告作業の手間が省けるだけでなく、プロジェクトの透明性を高め、ステークホルダーからの信頼を得やすくなるため、スケジュール管理は重要です。

進捗状況の共有は、リスク管理の側面でも効果的です。問題が早期に発見された場合、プロジェクトチームだけでなく顧客とも協力し、すぐに対策を講じることができます。

また、今後も同様のプロジェクトを行う場合、スケジュール管理表はプロジェクト管理における重要な参考資料になります。プロジェクトの計画を立てる上で、工期短縮や工数削減の糸口にもつながるでしょう。

プロジェクトのスケジュールを立てるステップ

プロジェクトを成功させるためには、適切にスケジュールを立て、遅延につながる予測不能な出来事をできる限り減らすのが大切です。大規模公共事業の計画立案をコンサルティングしている、オックスフォード大学教授のベント・フリウビヤは「すばやく考え、ゆっくり動く」スケジュールを立ててはならないとしています。プロジェクトの規模が大きいほど、「ゆっくり考え、すばやく動く」スケジュール作りが重要です。

スケジュールを立てる際に時間がかかっても、大きなトラブルは起きず、予算が超過することはまずありません。一方で、スケジュールの立て方がずさんで工期が延長するほど、予測不能なトラブルが発生する確率は高まります。

プロジェクトが大きくなるほど、以下のようなステップを踏んでじっくりと熟慮した上で、素早く着実に実行できるスケジュールを作りましょう。

プロジェクトの目標を設定する

最初のステップとして、プロジェクトの最終目標を明確に設定し、関係者全員で共有します。

ゴールが曖昧だと、プロジェクトの方向性が定まらず、成果物の品質にも影響します。「いつまでに」「何を」「どのような状態にするのか」を定めましょう。

プロジェクト目標を設定するときは、抽象的な内容にするのではなく、測定可能で具体的な数値目標を定めるのが大切です。「○月〇日にリニューアル後のECサイトを公開、以後1年間で売上を10%以上伸ばす」といった具体的な目標を設定してください。

ゴールを設定すれば、プロジェクト全体の方向性が定まり、関係者全員が同じ目標に向かって進めます。また、ゴールが明確であれば、必要なリソースや期間の見積もりの精度が上がります。

目標達成に必要なタスクを洗い出す

次に、設定した目標を達成するために必要なすべてのタスクを洗い出しましょう。タスクを洗い出すときは、大まかに分けるのではなく、細かく具体的な作業の単位まで分解するのが重要です。

例えば、サイトリニューアルのタスクであれば、「競合サイトの分析」という大きなプロセスで分けるのはNGです。「SEOツールによる数値分析」「ユーザーアンケートのまとめ」など、実際の細かな作業単位で分けてください。

タスクを細分化すれば、作業の漏れや重複を防ぎ、所要時間や必要なリソース、工数を正確に見積もることができます。また、必要なリソースに応じて担当者を割り振りやすくなるのも細分化のメリットです。

同時に、各タスクで何が必要なのか、考えられるトラブルは何か、突然の計画変更が起きないか、といった点についても書き出してください。プロジェクトが遅延する可能性を減らせます。

タスク同士の関係性をチェックして順序を決める

洗い出したタスクの関係性を確認し、所要時間を見積もってから適切な順序を決定しましょう。タスクには、並行して進められるものと、先行タスクの完了が必要なものがあります。例えば、ECサイトをリニューアルする場合なら、サイトデザインが完成してからでなければコーディングには進めません。

タスクの関係性は以下のように分類できます。

強制依存関係タスクの性質上、特定の順序でしか実行できない関係性です。例えば、「家を建てる際、壁ができていなければ壁紙は貼れない」といった関係は強制依存関係です。
任意依存関係タスク同士に明確な依存関係がなく、効率やリスク低減など状況に応じて順序を決められる関係性です。「家を建てる際、壁紙をどの壁から貼るか」は任意依存関係であるため、自由に決められます。
外部依存関係プロジェクト内の人間にはコントロールできない、外部的な要因によって順序が変わる関係性です。「家を建てる頭金を用意するために、住宅ローンの事前審査をクリアする必要がある」は外部依存関係と言えます。

タスクの順序を決める際には、それぞれの関係を考慮して優先付けを行いましょう。

スケジュールを設定してプロジェクトを実行する

タスクの順序と所要時間に基づいて、具体的なスケジュールを作成し、プロジェクトを開始しましょう。期日を設定する際は、メンバーの負荷や他の業務との兼ね合いを考慮し、無理のない計画を立てるのが大切です。一方で、遅延を前提としてスケジュールを組むのは避けましょう。

スケジュールの設定で重要なのは、楽観的にならず、リスクを考慮した上で可能な限り短いスケジュールを立てることです。

例えば、「2020年から新型コロナウイルスが全世界で蔓延する」と2019年以前に予測できた人はごく少数です。もし、2019年に2年かかるプロジェクトを始めていた場合、コロナ禍で計画は大きく遅延する可能性が高いでしょう。しかし、スケジュールを吟味した結果1年で完了できるように計画を短縮できたなら、スケジュール通り動く可能性が大きく高まります。

したがって、細かなトラブルの可能性まで洗い出しておき、トラブルが起こった場合の対処も含めて計画に組み込みましょう。

テンプレートを活用してプロジェクトのスケジュールを作ろう

プロジェクトが大きくなるほど、計画段階での綿密なスケジュール作成とリスク管理が重要となります。WBSやガントチャートを活用しながら、タスクの漏れや重複を防ぎ、進捗状況を可視化して効率的に管理しましょう。また、スケジュールをステークホルダーと共有することで、プロジェクトの透明性を高め、信頼関係を築きやすくなります。

リスクを考慮した現実的なスケジュールを立てれば、予期せぬトラブルにも迅速に対応でき、納期遅れや予算超過のリスクを最小限に抑えられます。テンプレートを活用しつつ、成功するように熟慮してプロジェクトのスケジュールを立てましょう。


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