• 作成日 : 2024年7月4日

PDFが文字化けする原因と直し方は?Windows、Mac、スマホの場合を解説

PDFの文字化けとは、PDFファイルを開いたり印刷したりする際に、文字が正しく表示されず異なる文字や記号で表示される現象を指します。文字化けは作業効率を大幅に低下させるため、原因を特定し迅速に対処することが重要です。

本記事では、PDFの文字化けの原因と対策について詳しく解説します。

PDFの文字化けとは?

そもそも文字化けとは、コンピュータが文字を正しく表示できず、異なる文字・漢字や記号で表示する症状です。

文字化けはHTMLページ・PDFファイル・テキストファイルなど、コンピュータで文字を表示するさまざまな場所で発生します。PDFファイルの場合は「ファイルを開いた時」「文字列のコピー&ペーストをした時」「印刷した時」に文字化けが発生する可能性があります。

文字化けが発生すると、ファイルに書かれている正しい文字が分からないため作業が進められません。PDFファイルに文字化けが発生した場合は、早急に原因を突き止めて文字化けを解消する必要があります。

PDFの文字が四角「□」やその他の記号に文字化けする

PDFファイルで発生する文字化けは、主に下記に挙げる3つの症状があります。

文字が四角「□」で表示される
ファイル内の文字が四角「□」で表示される症状です。元の文字・文字列が何であったかが分からなくなります。

・文字が記号で表示される
ファイル内の文字が何らかの記号で表示されて、四角「□」で表示される場合と同様にファイルの中身が読み取れなくなります。

・一部の文字が抜ける
ファイル内の一部の文字が抜けて空白表示になる症状です。データ形式が異なるファイルをPDF変換したり、PDFファイルを印刷したりする時に発生しやすい傾向があります。

開いたPDFファイルに異常な文字や空白がある場合は、文字化けを疑ってみましょう。

PDFの文字化けの原因

PDFファイルの文字化けはさまざまな原因で発生する可能性があります。文字化けの原因によって対処法が異なるため、まずは原因を正しく把握することが大切です。

PDFファイルで文字化けが発生する主な原因を3つ紹介します。

文字コードの違い

1つ目の原因が文字コードの違いです。PDFファイルが保存された時点での文字コードと、表示する時の文字コードが異なる場合、異なる文字や記号が表示されて文字化けが発生します。

そもそも文字コードとは、コンピュータに文字を表示させることを目的として、文字の種類ごとに割り振る符号(コード)のことです。よく知られている文字コードとしては「UFT-8」や「Shift_JIS」などがあります。

データとしては同じコードであっても、処理を行う文字コードが違えば全く別の文字が表示されます。結果として元の文字列を正しく表示できず、文字化けが発生するという仕組みです。

PDFファイル自体が破損

閲覧や印刷をするPDFファイル自体の破損を原因として、文字化けが発生するケースもあります。破損しているPDFファイルが開けたとしても、内部のデータが正常な状態ではないため文字を正しく表示できません。

PDFファイル自体の破損は、ファイルの作成時や送受信時などで発生した何らかのトラブルによって引き起こされます。「ファイルの保存中にパソコンがシャットダウンした」「メール添付ファイルのダウンロード処理を中断した」などが、主な破損の原因です。

PDFファイル自体が破損している場合、ファイル修復ソフトなどでファイルの修復処理をする手段はあるものの、完全なデータ復旧ができるとは限りません。可能であればPDFデータ作成者に連絡し、正常なファイルの送信を依頼するとよいでしょう。

機種依存文字を使用

PDFファイルに機種依存文字を使用した場合は、機種依存文字の部分に文字化けが発生する可能性があります。

機種依存文字とは、コンピュータの種類やOSに依存していて、他の種類やOSとの互換性がない文字のことです。一般的に下記のような文字が機種依存文字に該当します。

・丸囲みの数字
・ローマ数字
・全角一文字の結合文字
・特殊な単位記号
など

また、機種依存文字ではないものの、半角カタカナも閲覧環境によっては文字化けの可能性がある文字です。

【Windows】PDFが文字化けした時の対処法

PDFファイルの文字化けはどのようなコンピュータであっても発生し得るため、対処法を知っておくことが大切です。

以下ではWindowsOSのパソコンを使用している方に向けて、PDFファイルが文字化けした3つのケースにおける対処法を解説します。

PDFを開くと文字化けする

PDFファイルを開くと文字化けする場合は、2つの対処法があります。

●Adobe Acrobat Readerから開く
PDFファイルの閲覧・印刷に特化した「Adobe Acrobat Reader」を使用する方法です。他ソフトウェアでは文字化け発生が見られたファイルも、Adobe Acrobat Readerであれば文字化けのない状態で閲覧できる可能性があるでしょう。

なお、Windows10・11は、PDFファイルをMicrosoft Edgeで開くデフォルト設定がされています。Adobe Acrobat ReaderからPDFファイルを開くには、同ソフトウェアのインストールが必要です。

●フォントの埋め込みを行う
フォントの埋め込みとは、PDFファイルにフォントの字形情報を取り込むことです。埋め込まれたフォントは、閲覧環境の端末がフォントに対応していなくても元の形で表示できるようになります。

Adobe Acrobat Readerでの設定方法を紹介します。

1印刷ダイアログボックスからプロパティを開く
PDFファイルを開き、メニューの「ファイル」「印刷」をクリックして印刷ダイアログボックスを開きます。

「プリンター」で「Adobe PDF」を選択してから、「プロパティ」をクリックしてください。

2Adobe PDF設定の編集画面を開く
「Adobe PDF設定」タブの「PDF設定」横にある「編集」をクリックします。
3フォントの埋め込みを設定する
「フォント」をクリックし、「すべてのフォントを埋め込む」にチェックを入れます。

「常に埋め込まないフォント」リストのすべてを選択してから「削除」をクリックします。リストが空になったことを確認して「名前を付けて保存」をクリックし、任意の名前を付けて保存してください。

4埋め込み設定の確認をする
「Adobe PDF設定」タブの「PDF設定」が、新しく名前を付けた設定に変更されていることを確認します。

「システムフォントのみ使用し、文書のフォントを使用しない」のチェックを外して、「OK」をクリックします。

以上でフォントの埋め込みは完了です。後は印刷を行えば、埋め込みされたフォントでPDFファイルが印刷されます。

PDF内の文字をコピペすると文字化けする

PDFファイル内の文字は基本的にコピペができるものの、下記のようなケースではコピペをしようとしても、文字化けする可能性が高くなります。

・PDFファイル内の文字がテキストデータではなく、画像データになっている
PDFファイル内の文字が画像データになっていて、単純な操作ではテキストデータのみのコピペができないケースです。

OCRソフトを活用すれば、文字が画像データになっていてもテキストデータを抽出してコピペができます。

OCRソフトとは、画像に含まれている文字データを読み込み、テキストデータとして出力できるツールです。

・PDFファイルとアプリケーションの相性が悪い
PDFファイルのフォントと貼り付け先のアプリケーションとの相性が悪く、コピペをしてもアプリケーション側で正しく表示できないケースです。

PDF編集ソフトを活用することで、アプリケーション側で識別できるテキストデータをコピペできる可能性があります。

PDF編集ソフトはPDFの編集が行えるツールです。PDF編集ソフトを使えば、編集画面で文字列のコピペができます。

PDFを印刷すると文字化けする

PDFを印刷すると文字化けする場合は、下記のような原因と対処法があります。

・PDFファイルにフォントが埋め込まれていない
PDFファイルにフォントを埋め込むことで解決できます。

フォントの埋め込みについては、Windowsの対処法における「PDFを開くと文字化けする」の項を参照してください。

・字詰めが発生している
字詰めは、印刷時に文字が重なって表示される現象です。

字詰めは特定のフォントを使用している時に発生しやすいため、使用するフォントを変更すると回避できます。

・プリンタードライバーがフォントに対応していない
古いプリンタードライバーを使用していると、新しいフォントが使用されたPDFファイルを印刷する時に文字化けが発生するケースがあります。

プリンタードライバーを最新の状態にアップデートすることで、文字化けが発生する可能性を低減できます。

【Mac】PDFが文字化けした時の対処法

MacOSのパソコンを使用している場合も、PDFファイルを開く・コピペする・印刷するといった操作時に文字化けが発生する可能性があります。

以下では、MacのパソコンでPDFファイルの文字化けが発生した場合の対処法を解説します。

PDFを開くと文字化けする

PDFファイルを開くと文字化けする場合は、下記の対処法を試しましょう。

●Adobe Acrobat Readerから開く
Macのプレビューアプリで閲覧した時に文字化けする場合は、Adobe Acrobat Readerから開くと文字化けせずに表示できる可能性があります。

Adobeの公式ページで、Mac版のAdobe Acrobat Readerをインストールしましょう。

●PDFファイルにフォントの埋め込みを行う
MacOSの場合も、PDFファイルにフォントの埋め込みを行う方法が有効です。WindowsOSの場合とは違い、下記の手順で操作してください。

1プレビューアプリでPDFファイルを開く
PDFファイルをマウスで右クリックして、「このアプリケーションで開く」から「プレビュー.app」を選択します。
2書き出すを選択する
メニューバーの「ファイル」から「書き出す」を選択します。
3PDF/Aを作成にチェックを入れる
「PDF/Aを作成」にチェックを入れて、保存します。

以上でフォントの埋め込みは完了です。

PDF内の文字をコピペすると文字化けする

PDFファイル内の文字をコピペすると文字化けする場合は、WindowsOSの場合と同様にOCRソフトやPDF編集ソフトで対処します。

なお、どちらのソフトを使用する場合も、OSの種類・バージョンが対応しているMac版のソフトウェアを選択してください。

・OCRソフトでテキストデータを抽出する
OCRソフトでPDFファイルからテキストデータを抽出することにより、文字化けせずにコピペできるようになります。

・PDF編集ソフトでテキストデータをコピペする
PDF編集ソフトを使い、PDFファイルの編集画面からテキストデータをコピペする方法です。テキストデータのみをコピペすることで、文字コードやフォントを原因とする文字化けを回避できます。

PDFを印刷すると文字化けする

PDFを印刷すると文字化けする場合の対処法を3つ紹介します。

・フォントの埋め込みや、文字化けが発生するフォントの変更を行う
PDFファイルにフォントの埋め込みを行う、もしくは文字化けが発生しているフォントの変更を行うと、印刷時の文字化けを回避できる可能性があります。

フォントの埋め込みは、Macの対処法における「PDFを開くと文字化けする」を参照してください。

・PDFファイルを画像として印刷する
Adobe Acrobat Readerの「ファイル/印刷」を選択し、「詳細設定」から「画像として印刷」にチェックを入れると、文字化けせずに印刷できます。

・プリンタードライバーをアップデートする
使用しているプリンタードライバーが古い場合は、アップデートすることで文字化けが発生しなくなる可能性があります。

【iPhone(スマホ)】PDFをプリントすると文字化けする

スマホからPDFファイルをプリントする場合も、フォントの埋め込みをしていないとプリントした文書が文字化けする可能性があります。

主な対処法を3つ紹介します。

・PDFファイルにフォントを埋め込む
PDFファイルにフォントを埋め込むことで、スマホでプリントする場合にも文字化けを防げます。

フォントの埋め込みのやり方は、使用するOSの「PDFを開くと文字化けする」の項を参照してください。

・PDFの画像を印刷する
スマホのスクリーンショット機能でPDFファイルを撮影し、画像データとしてプリントする方法です。

文字の読み取りをする必要がないため、プリントした文書の文字化けが発生しません。

・プリンター専用アプリを利用する
プリンターメーカーが提供する専用アプリでプリントすると、プリントした文書に文字化けが発生しない可能性があります。

自分のスマホがアプリの動作環境を満たしているかを確認した上で、利用を検討してみるとよいでしょう。

PDFが文字化けした時のその他の方法

今までに紹介した対処法を試しても、PDFの文字化けが解消できないケースもあります。

PDFの文字化けはさまざまな原因で発生する可能性があるため、下記の対処法も試してみるとよいでしょう。

PDFを最新バージョンにアップデート

Adobe Acrobat Readerのバージョンが古いと、PDFファイルを開いた時に文字化けする場合があります。下記の手順で最新バージョンに変更しましょう。

1アップデートを確認する
PDFファイルを開き、「メニュー」から「ヘルプ」を選択して「アップデートの有無」をクリックします。
2アップデートファイルをダウンロードする
Adobe Updaterの起動後、「利用可能なアップデートがあります」と表示された場合は、「ダウンロード」をクリックしましょう。
3インストールを行う
ダウンロード完了後、「アップデートのインストール準備ができました」のバルーン表示をクリックします。

アップデーターの表示後に「インストール」をクリックし、ユーザーアカウント制御で変更の許可が求められた場合は「はい」を選択します。

4アップデート後にシステムの再起動をする
「アップデートが成功しました」の表示後は、システムの再起動が必要であるため「今すぐ再起動」ボタンをクリックします。

以上でAdobe Acrobat Readerを最新バージョンにアップデートできました。

PDFファイルをWordファイル形式に変換する

PDFファイルをWordファイル形式に変換すると、ファイルをWord文書として表示できて、コピペ・印刷も文字化けなく行える可能性があります。

PDFファイルをWordファイル形式に変換する方法としては、Acrobatオンラインツールの利用が簡単です。Acrobatオンラインツールは無料で利用可能で、PDFファイルをページの範囲内にドラッグアンドドロップするだけで、自動でWord形式に変換してくれます。

Windowsでフォントキャッシュを削除する

PDFファイルのフォントが正しく表示されない場合は、フォントキャッシュを削除すると文字化けが解消される可能性があります。

フォントキャッシュの方法は、OSによって異なります。

●WindowsOSの場合

1System32フォルダを開く
「C:WindowsSystem32」のパスで、System32フォルダを開きます。
2FNTCACHE.DATを削除する
System32フォルダ内にある「FNTCACHE.DAT」を削除後、コンピュータを再起動します。

以上の操作手順で、Windowsのフォントキャッシュを削除できます。

●MacOSの場合

1セーフモードで起動する
Macをセーフモードで起動します。

なお、セーフモードでの起動方法は搭載されているチップ・プロセッサにより異なるため、正しい起動方法を確認してから行いましょう。

2再起動する
Macの再起動をします。

以上でフォントキャッシュの削除は完了です。

PDF文字化けを防ぐためには対策が重要

PDFファイルの文字化けは、文字コードの違いやファイルの破損、機種依存文字の使用が主な原因です。WindowsやMac、スマホでの具体的な対処法を理解し、Adobe Acrobat Readerの利用やフォントの埋め込み、プリンタードライバーのアップデートなどを行うことで、文字化けを効果的に防げます。今回紹介した対策を講じて、重要なPDFファイルの文字化けを未然に防ぎましょう。


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