• 作成日 : 2024年3月7日

ヒューマンエラー対策の具体例10選!ミスの原因と実践方法を解説

ヒューマンエラー対策の具体例10選!ミスの原因と実践方法を解説

ヒューマンエラーとは、人間が原因となって発生するミスや事故のことです。ヒューマンエラー対策には、「業務フロー・マニュアルの見直し」「ヒヤリハットの共有」「システム・ツールの活用」「ヒューマンエラー研修・教育の実施」などがあります。この記事では、ヒューマンエラーが起こる原因や企業が行うヒューマンエラー対策の具体例などを紹介します。

ヒューマンエラーとは?

ヒューマンエラーとは、人間が原因となって引き起こされるミスや事故のことです。ヒューマンエラーには、うっかりミスから企業全体に深刻なダメージを与えるものまで幅広い種類があります。

ヒューマンエラーは日常的に発生しやすいトラブルですが、ミスが発生しやすい状態を放置すると、企業の社会的信用を失うリスクがあります。そのため、ヒューマンエラーについて理解を深め、適切に対処することが大切です。

ヒューマンエラーの種類

ヒューマンエラーは、主に以下の2種類に分けられます。

意図的なヒューマンエラー
人間が意図をもって行ったことにより引き起こされるミス・事故のことです。ルールや作業手順がしっかり決まっていることについて、あえて手を抜いたり、工程を省略したりして発生します。面倒くさいという考えや業務の忙しさなどが原因となることが多い傾向です。
過失によるヒューマンエラー
主にうっかりミスが該当します。注意不足や確認漏れ、勘違い、見逃し、聞き間違えなどが原因になることが多い傾向です。また、やるべきではないことややる必要がないことを誤って行った際などにも発生します。

ヒューマンエラーの具体例

「意図的なヒューマンエラー」と「過失によるヒューマンエラー」の具体例は以下の通りです。

意図的なヒューマンエラーの具体例過失によるヒューマンエラーの具体例
  • メールの送信前には宛先のダブルチェックが義務付けられていたが、時間がもったいないので省略したところ誤送信が発生した
  • 注文内容の復唱が面倒なので省略し、オーダーミスが発生した
  • 時間短縮のために作業工程を1つ飛ばし、事故を起こした
  • オーダーを聞き間違え、別のメニューを提供した
  • 不注意で足場を踏み外し、転んで怪我をした
  • 書類に記載された提出期限を見落とし、提出が遅れた
  • 宛先の確認を失念し、重要なメールを無関係の相手に送信した

ヒューマンエラーが起きる原因

ヒューマンエラーが起きる主な原因として、以下の6つが挙げられます。

  • 思い込み
  • 確認不足
  • 知識・経験不足
  • 連絡ミス
  • 慣れによる気の緩み
  • 疲労やストレス

環境や周囲の人、マニュアル・仕組み、作業員本人など、ヒューマンエラーの発生原因はさまざまです。以下では、それぞれの原因について詳しく解説します。

思い込み

先入観や固定観念といった要因によって正しい判断ができなかった場合、ヒューマンエラーにつながります。以下のような事例は思い込みによるものです。

  • バッグに書類を入れたつもりが入っていなかった
  • 書類の提出期限を来週だと思い込んでいたが、昨日だった
  • 普段100個発注している部品を今回に限り500個発注してほしいと指示されたが、いつも通り100個だけ発注してしまった

思い込みによるヒューマンエラーは無意識に発生することが多く、後から考えてもなぜそう思い込んでいたのかが判然としないケースが多いのが特徴となっています。

確認不足

すべき確認を怠ったり、チェックを雑に行ったりすることで起こるヒューマンエラーです。確認不足によって以下のようなミスが起こる可能性があります。

  • メールボックスを確認せずに業務を進め、緊急の仕様変更に気付かなかった
  • 納期の確認をおろそかにし、納品が遅れた
  • 定例会議の時間はいつも通りだと自己判断した結果、時間変更に気付かなかった

たとえば、いつも同じ流れで行っている作業では、今回も同じだろうという思い込みから確認不足が生じ、ヒューマンエラーにつながりやすいため注意が必要です。

知識・経験不足

業務に関する知識・経験が不足していた場合も、ヒューマンエラーが起こりやすくなります。たとえば、知識・経験不足によって以下のようなミスが起こる可能性もあります。

  • 入社したばかりで経験が不足しており、誤った方法でデータを入力してしまう
  • 経理に必要な知識が不足しており、間違った計算方法で見積もりを出してしまう

特に入社して間もない新人の場合、実際には間違っているにもかかわらず「このやり方で合っているはずだ」と思い込み、ミスを起こしやすい傾向です。新人のミスの場合は、新人本人だけではなく、新人に適切な教育を行えなかった上司や先輩の責任でもあると言えるでしょう。

ただし、上司や先輩が正しく新人教育を行ったとしても起こり得る問題なので注意する必要があります。

連絡ミス

従業員同士の情報共有や報告・連絡・指示などがうまくいかなかった結果生じるヒューマンエラーです。たとえば、以下のような事例が連絡ミスに該当します。

  • 先輩から新人への指示が曖昧で、新人が自己流で業務を進めざるを得なくなった
  • 早番のスタッフから遅番のスタッフへの引き継ぎが正しく行われず、業務が滞った

連絡ミスは個人間だけではなく組織的に発生することも多く、遅かれ早かれヒューマンエラーを引き起こす可能性が高いため注意が必要です。

慣れによる気の緩み

仕事に慣れることも、ヒューマンエラーの原因になり得ます。人は慣れると、最初は気を付けていたことでも気を抜きやすくなります。特にやり慣れた単純作業では注意力がおろそかになりやすく、うっかりミスが発生しやすい傾向です。慣れによる気の緩みは、以下のようなミスにつながる可能性があります。

  • 作業に慣れたので本来確認すべき手順書の一部を省略し、製造工程にミスが生じた
  • これまで一度もミスをしたことがない作業なので最終確認を怠り、不良品を出した

慣れによる気の緩みはベテラン作業者が起こしやすいヒューマンエラーです。仕事に慣れてきたときこそ自分を過信せず、きちんと情報を確認して正しい行動を取りましょう。

疲労やストレス

長時間労働による疲労やストレス、体調不良などによっても注意力は散漫になり、ヒューマンエラーにつながります。疲労やストレスは、体だけではなく心にも大きな負荷をかける要因です。疲労やストレスによるミスの具体例は、以下の通りです。

  • 残業続きで疲労が極度に溜まっており、社用車の運転中に事故を起こした
  • 休日出勤でストレスが溜まっており、検査項目を飛ばして不良品を出してしまう

また、疲労やストレスが溜まっている人は、作業工程を丸々1つ飛ばすなど、心身が元気なときでは考えられないようなミスを起こす危険性があります。

疲労やストレスが慢性化している場合、自分でも疲れに気付けないケースが多い傾向です。残業が多い職場や人間関係が悪い職場などは、特に疲労やストレスが蓄積しやすい環境と言えるでしょう。

企業が行うヒューマンエラー対策の具体例

ヒューマンエラーはミス・事故を起こした個人だけの問題ではなく、ミス・事故に至ったプロセスや作業環境にも問題があります。ヒューマンエラーは複数の要因が連鎖して起こるケースも多いため、しっかりと対策を講じることでエラーチェーンを断ち切り、発生・再発防止に努めることが大切です。

ここからは、ヒューマンエラーを未然に防ぐために企業ができる対策を紹介します。

業務フローの見直し

業務フロー作成時にはあらゆることを想定して織り込むため、煩雑になりやすい傾向があります。しかし、実際に作業をしてみると無駄な工程があるケースも多く、作業員が業務フローを信用しなくなって工程が曖昧になり、ヒューマンエラーにつながりやすいです。定期的に業務フローの見直しを行い、可能な限り簡潔で分かりやすい工程に変更しましょう。

また、業務フローの中で作業ミスが発生しやすい工程が見つかった場合、ITツールに置き換えるなどの対策を講じることも有効です。

マニュアルの整備

作業マニュアルを作成し、知識やノウハウの可視化・共有を図るのも、ヒューマンエラーの予防策として効果的です。マニュアルを整備することで作業者の役割や作業の全体像が分かるようになり、ミスが発生しにくくなります。マニュアルがあることで、人による作業方法のバラつきを抑えられるのもポイントです。

マニュアルを整備する際には、作業に慣れた人の目線で作ると効果が低下する恐れがあります。初めて作業をする人でも、マニュアルを見れば理解できるように作成しましょう。

ヒヤリハットの共有

「ヒヤリハット」とは、ミスや事故にはならなかったものの、一歩間違えれば重大な事故や災害の発生につながっていたかもしれない出来事のことです。1件の重大な事故の背後には29件の軽微な事故が、さらにその背後には300件のヒヤリハットが存在すると言われています。ヒヤリハットの時点で対策を講じ、重大な事故・災害が発生しないように努めることが大切です。

ヒヤリハット発生時には報告することを徹底し、なぜ発生したのかを分析した上で情報共有を行いましょう。

チェック体制の強化

1人でミスを防ぐことには限界があるため、ダブルチェックなどでチェック体制を強化することが大切です。ダブルチェックを行っても確実にミスを防げるわけではないものの、ヒューマンエラーが発生する回数は減らせます。また、チェック体制が整っていれば作業の手抜きを抑制できるほか、ミスがあれば迅速に修正できるのが大きなメリットです。

チェック項目自体に抜け漏れがあっては意味がなくなるため、チェックをする際にはチェックリストなどを活用するとよいでしょう。

システム・ツールの活用

ヒューマンエラーが起こりやすい作業については、人間が行わなくて済む仕組みを導入することで抜本的に解決することが可能です。人間が作業する以上、ヒューマンエラーが発生する可能性をゼロにはできませんが、システム・ツールを活用して人間が関わる工程を減らせれば確率は下げられます。

たとえば、自動化が可能な作業や定型化できる仕事にツールを活用するのがおすすめです。また、プロジェクト管理ツールなどを導入することで、ヒューマンエラー削減に加えて業務効率アップも期待できます。

ミスしにくい設計(フールプルーフ)

あらかじめミスが起こりにくい体制を構築することは、ヒューマンエラーを防ぐのに非常に効果的です。誤った操作を行っても重大な事故につながらないような設計のことを「フールプルーフ」と言います。

フールプルーフを行うことで、過失によるヒューマンエラーはもちろん、意図的なヒューマンエラーも防ぐことが可能です。たとえば、誤操作をするとエラー画面が表示されるシステムや、特定の人しかデータを削除できない仕組みなどが挙げられます。

注意喚起の徹底

注意喚起を行って作業する人の意識に働きかけることも有効な手段です。たとえば、デリケートな製品が入った荷物を運ぶときに、「天地無用」の注意書きがあれば誰もが荷物を逆さまにしないように気を付けるでしょう。注意喚起は目立つ方法で行い、作業員に慎重な行動を促すことが大切です。

注意喚起は、作業者が知らず知らずのうちにミスをした場合、自分でミスに気付くきっかけにもなります。見落としが起こりやすい箇所は指差し確認するなどの対策を取るとよいでしょう。

作業者スキルの向上

作業者のスキルを向上させるために、教育や訓練、講習などを実施するのも有効です。作業員それぞれがスキルアップすれば、異常が発生した場合に作業者自身で気付けるようになり、ヒューマンエラーを予防できます。また、作業者のスキルが向上すれば、作業効率が上がり生産性アップにもつながるでしょう。

作業者のスキル向上は、マニュアルの整備や注意喚起の徹底と合わせて行うのがおすすめです。教育・訓練の際には、実際の業務と同じ材料・工程を用いることで効果が上がります。

ヒューマンエラー研修・教育の実施

ヒューマンエラー研修・教育を実施し、従業員一人ひとりのリスクリテラシーを高めることで、ヒューマンエラーの削減につなげられます。研修・教育を通してヒューマンエラーが起こる原因や取るべき防止策を学ぶことで、普段の業務に対する意識を変えられるでしょう。

ヒューマンエラー防止のためには、外部研修を利用するのもおすすめです。ヒューマンエラー対策のエキスパートに依頼することで、より正確性が高い詳細な知識を身につけやすくなります。

職場環境の改善

複数人が同じミスを起こしている場合、職場環境に問題があるかもしれません。たとえば、操作性が悪い機械を使っているケースや、注意書きの文字がかすれて見えなくなっているケースなどがあります。原因を特定して職場環境を改善し、働きやすい環境にしましょう。

職場環境を改善する際には、環境整備の合言葉である「5S」に則った対策を取るのが有効です。5Sは以下の要素の頭文字を取った言葉になります。

  • 整理
  • 整頓
  • 清掃
  • 清潔
  • しつけ

5Sは職場環境を常に清潔な状態に保てるほか、整理整頓を心掛けることで必要な資料や備品を探す時間を省けるメリットがあります。5Sに取り組むことで従業員が業務に集中できる環境を整備でき、ミスや事故の防止にもつながるでしょう。

ヒューマンエラー対策の企業事例

ヒューマンエラーは、なぜ起きるのかを理解し適切な手段を取ることで対策できます。今回は、実際にヒューマンエラー対策を行い効果を上げている企業の事例を2つ紹介するので、参考にしてください。

「ポカヨケ」トヨタ生産方式|トヨタ自動車株式会社

製造業でヒューマンエラーを予防するためには「ポカヨケ」を徹底することが重要です。ポカヨケとは、確認不足や不注意によるミス(=ポカ)を未然に防ぐための仕組みを指します。

ポカヨケの概念はトヨタ自動車の生産方式から誕生しました。トヨタ自動車では、「1つの機械が加工するたびに作業者が品質チェックを行う」という工程が繰り返されます。品質チェックは標準作業票に盛り込まれており、作業員の独断で飛ばすことはできないため、ミスや不良品の発生を最小限に抑えられる点が大きなメリットです。

参考:トヨタ自動車株式会社「よく分かる「トヨタ生産方式」 | トヨタバーチャル工場見学 | 企業情報」

SASの導入|株式会社ミスミグループ

ミスミグループでは、「SAS」を導入することで物流倉庫における業務効率化とミス防止を実現しています。

SASは「シャッター・アソート・システム」の略です。物流倉庫での商品の仕分けの際に、作業員が手に持った商品を格納すべき場所のシャッターだけが自動で開く仕組みとなっています。従来のように作業員の判断で仕分けをする場合、どうしても仕分けミスが発生します。しかし、SASの導入によって単純作業で完結する仕事になり、ヒューマンエラーが削減されました。

参考:株式会社ミスミグループ本社「トップ」
アイオイ・システム「仕分けシステム(SAS)」

ヒューマンエラー対策をしてミスや事故を防止しよう

ヒューマンエラーとは、人間の思い込みや確認不足などが原因となって引き起こされるミスや事故のことです。ヒューマンエラーを防止するには、業務フローの見直しやマニュアルの整備、ヒヤリハットの共有が大切です。知識や経験が不足していたり疲労やストレスが溜まっていたりしてミスが発生することもあるため、職場環境の改善やヒューマンエラー研修・教育を実施して対策するのもおすすめです。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事