• 更新日 : 2024年9月11日

課題管理とは?課題の見つけ方や管理表の作り方、無料テンプレート付き

課題管理とは、プロジェクトの進行を妨げる複数の課題を整理し、優先順位や担当者を決めるなどして管理することです。課題管理表を用いて適切に管理することで、対応漏れやトラブルを回避し、プロジェクトを円滑に進行できます。

本記事では、課題の見つけ方や課題管理の流れ、管理表の作り方や無料テンプレートを紹介します。

課題管理とは?

課題管理とは、プロジェクトの進行中に発生した複数の課題を整理し、優先順位に応じて対応期限や担当者を決めて、解決へ向けて取り組むことを意味します。

課題管理は、プロジェクトを成功させるための重要なプロセスのひとつです。課題管理を適切に行うことで正確な現状把握が可能になり、複数の課題を適切な順序で対処したり、対応漏れを防いだりすることにもつながります。

タスク管理との違い

「課題」と「タスク」は同じような意味で使われることもありますが「課題管理」と「タスク管理」は同義ではありません。課題管理は、プロジェクトの進行を妨げる課題を管理することです。対してタスク管理は、プロジェクトの完遂に必要な作業の優先順位や期限を設定し、進捗状況を管理することを意味します。

課題管理は「プロジェクトの進行中に発生した課題」を管理するのに対し、タスク管理は「あらかじめわかっているプロジェクトに必要な作業」を管理する点が、大きな違いです。

課題の見つけ方、課題管理が必要なケース

プロジェクトにおける課題は、目標や理想と現状の差に目を向けると見つけやすくなります。たとえば、設定した目標が「自社サイトからの問い合わせが月20件以上」だった場合、現状が「月10件」であれば、その差を埋めることが課題です。

課題が見つかったら「アクセス数を増やす」「有益な情報を増やす」など、さらに課題を細分化していきます。課題が複数あると、それぞれの課題について誰がいつまでに対応するかが不明瞭になりやすいため、課題管理が必要です。

課題管理がうまくいかない原因

課題管理がうまくいかない原因としては、次の3つが考えられます。

  • 課題の洗い出しが不十分
  • 進捗管理者が決まっていない
  • 情報共有がされていない

それぞれについて解説します。

課題の洗い出しが不十分

課題の洗い出しが不十分だと、些細な課題を見逃してしまい、重大なトラブルにつながる恐れがあります。現状ではプロジェクトへの影響が少ないと思うような課題でも、対応が遅れることによって影響が大きくなってしまう場合もあります。

対応漏れがないようにするためには、重要度の大小を問わず、発生した課題はすべて課題管理表に書き出すとよいでしょう。なかには対応不要と判断される課題があるかもしれませんが、個人の思い込みで判断することのないよう、まずはすべての課題をメンバー間で共有して検討することが大切です。

進捗管理者が決まっていない

課題管理の進捗状況を管理する人がいないと、対応漏れが生じる恐れがあります。進捗管理とは、作業計画と実績のずれを把握して管理することを意味します。課題管理においては「対応が遅れているものはないか」「担当者や対応期限が決まっていない課題はあるか」などをチェックして、調整する役割が必要です。

プロジェクトマネージャーやチームリーダーなど、誰が進捗管理者の役割を担うのかを明確にしておきましょう。

情報共有がされていない

せっかく課題管理を実施しても、課題への対応方法について情報共有されていないと、計画どおりに実行するのは難しいでしょう。たとえば、個人が独自のやり方で属人的に解決したり、対応漏れが発生したりする恐れがあります。

それぞれの課題について、誰がいつまでにどのような対応をするのか、どのような状態になったら「完了」といえるのかなどを明確にして共有することが大切です。

課題管理の作成に役立つツール

課題管理表の作成に利用できるツールは、主に次の3つです。

  • エクセル(Excel)
  • Googleスプレッドシート
  • プロジェクト管理ツール

それぞれのツールの特徴を解説します。

エクセル(Excel)

エクセル(Excel)は表計算ソフトとして認知度が高く、特別な知識やスキルがなくても簡単に使えるため、導入しやすいでしょう。条件付き書式を使って優先度の高い課題を強調したり、プルダウンメニューを設定して入力作業を簡略化したりするなど、カスタマイズしやすい点もメリットといえます。

ただし、エクセルはプロジェクトごとにファイルを作成する必要があるため、プロジェクトの数が多いと管理が煩雑になりやすいというデメリットがあります。

Googleスプレッドシート

スプレッドシートはエクセルと同等の表計算機能があり、特別な知識やスキルがなくても簡単に使える点や、カスタマイズしやすい点も共通しています。インストール不要で利用できるため、導入のハードルが低いのもメリットのひとつです。

ただし、ほかのサービスとの連携が難しい点や、スマートフォンなどの小さい画面では見にくいといったデメリットもあります。

プロジェクト管理ツール

プロジェクト管理ツールとは、進捗管理機能やタスク管理機能などを搭載した、プロジェクトに関わる情報を管理できるシステムです。同時編集が可能で、入力した情報がリアルタイムで反映されるため、スムーズに情報を共有できます。また、リマインダー機能やチャット機能などが搭載されたツールなら、より効率的に業務を進められるでしょう。

プロジェクト管理ツールには無料のものもありますが、利用できる機能に制限があります。有料のものは機能が多いほどコストがかさむ傾向にあるため、導入は慎重に検討することが大切です。

課題管理表を作成する流れ

課題管理表を作成する流れは、次のとおりです。

  1. 課題の洗い出し
  2. 課題の内容・解決事案を記載
  3. 優先順位の設定
  4. 担当者の割り当て
  5. 期限の設定
  6. 進捗状況を更新

それぞれのステップについて解説します。

①課題の洗い出し

まずはプロジェクトの目的や目標と現状を比較して、スムーズな進行を妨げている課題をすべて洗い出しましょう。その際、重要度の大小を問わず、些細な課題でもすべて洗い出すことが大切です。

対応漏れによってプロジェクトの遅延や重大なトラブルを引き起こさないためにも「発生した課題はすべて課題管理表に書き出す」というルールを設けておくとよいでしょう。

②課題の内容・解決事案を記載

洗い出した課題について、それぞれ具体的な内容を整理して解決策を検討しましょう。「どのような点が問題なのか」「どのような状態になれば解決といえるのか」などを整理し、具体的な対応方法を検討して課題管理表に記載します。

ただ課題を記載しているだけでは解決しないため、課題に関する情報を収集し、メンバー間で対応方法を検討して明確化することが大切です。

③優先順位の設定

それぞれの課題に優先順位を設定する際には、重要度と緊急度をもとに考えるとよいでしょう。たとえばプロジェクトへの影響が大きいものや期日が迫っているものは、優先順位が高い課題と判断できます。

なお、洗い出した課題のなかには「対応する必要がない」と判断できるものもあるでしょう。優先順位を設定しながら対応すべき課題を取捨選択し、課題管理表に記載しましょう。

④担当者の割り当て

それぞれの課題の内容や優先順位を踏まえて担当者を振り分け、課題管理表に明記しましょう。その際、課題の起票者が必ずしも担当者に適しているとは限りません。各メンバーのスキルやスケジュール、抱えているタスクなどを踏まえて担当者を割り当てることが大切です。

また「手が空いている人がやればいい」「気付いた人が対応してくれるだろう」と担当者が曖昧な状態では課題が放置される恐れがあり、対応漏れにつながります。担当者を決めることで責任の所在も明確になるため、どんなに小さい課題でも必ず担当者を決めましょう。

⑤期限の設定

それぞれの課題の期限を決める際は、具体的な工数を見積もり、実現可能なスケジュールを設定することが大切です。それぞれの課題を独立して考えるのではなく、ほかの課題やプロジェクト全体のスケジュールとの兼ね合いも意識するとよいでしょう。

期限を設定する際にはなるべく正確に工数を見積もることが重要ですが、想定以上の時間がかかってしまうこともあるため、スケジュールに余裕をもたせることも必要です。

⑥進捗状況を更新

課題管理表に基づいてそれぞれのメンバーが課題解決に向けて取り組み始めたら、進捗状況をその都度更新するように周知しておきましょう。進捗管理表に「ステータス」の欄を設けて「未対応」「対応中」「完了」など、課題の進捗状況がひと目でわかるようにすることが大切です。

進捗状況が常に最新の状態に更新されていれば、対応が遅れている課題にほかのメンバーがフォローに入ったり、スケジュールを調整したりと、素早い対応が可能になります。

エクセルを利用した課題管理表の作り方

エクセルで課題管理表を作成する場合には、プロジェクトの内容に応じて必要な項目を設定しましょう。一から作成するのは手間がかかるため、無料でダウンロードできるテンプレートを活用するとよいでしょう。

たとえばマネーフォワードクラウドの無料テンプレートの場合、次のような課題管理表を作成できます。

課題管理表1

項目は次のとおりです。

  • 課題番号
  • 発生日
  • 発見者
  • 現象区分
  • 重要度
  • 概要
  • 影響範囲
  • 対応内容
  • 対応者
  • 対応期日
  • 完了日
  • ステータス

上記以外にもプロジェクトに必要な項目があれば、追加してもよいでしょう。また、細かい設定は次の「リスト」のシートタブで編集できます。

課題管理表2

現象区分や重要度、ステータスなどの各項目は、使いやすいようにアレンジしてもよいでしょう。

課題管理表の無料テンプレート(エクセル)

新しいプロジェクトが立ち上がるたびに課題管理表を一から作成するのは非効率的であるため、テンプレートを活用すると便利です。一から作成するのに比べて手間がかからず、ダウンロードすればすぐに課題管理を始められます。

マネーフォワードクラウドでは、課題管理表の無料テンプレートをご用意しております。ご自由にダウンロードしていただけますので、ぜひお気軽にご利用ください。

▶課題管理のテンプレートのダウンロードはこちら

課題管理を効果的に解決するには?

課題管理を効果的に解決するコツは、次の3つです。

  • 進捗状況の更新を習慣化する
  • タスクを細分化する
  • チェックをこまめに実施する

それぞれについて解説します。

進捗状況の更新を習慣化する

課題管理表を効果的に活用するためには、進捗状況を常に最新の状態に更新することが重要です。課題管理表が更新されていないと、担当者にその都度確認しなければならず、非効率的です。また、対応が遅れていると思った別のメンバーが誤って同じ課題に着手することで、作業が重複し、二度手間になってしまう恐れもあります。

進捗状況に応じて課題管理表を更新することを習慣化できるよう、メンバー全員に周知することが大切です。

タスクを細分化する

課題への対応方法を検討する際は、担当者がひとりで解決できる単位までタスクを細分化することが大切です。たとえば「プレゼンの資料を作成する」という課題の場合は、「資料の構成を決める」「必要なデータをそろえる」のように、タスクをできるだけ細かく分解します。

タスクを細分化すると業務量を可視化しやすく、やるべきことが明確になります。大枠のままでは見えにくかったプロセスがわかりやすくなり、具体的な行動をとれるようになるでしょう。

チェックをこまめに実施する

課題管理表を効果的に活用するためには、進捗状況は定期的に更新されているか、対応が遅れている課題はないかなど、チェックをこまめに実施することが大切です。

たとえば「毎日始業時に必ず課題管理表をチェックする」「定例のミーティングを始める前にチーム全体でチェックする」など、課題管理表の確認を習慣化できるようなルールを設けてもよいでしょう。

課題管理に役立つツール・選び方

課題管理ツールを利用すると、プロジェクト全体の進捗状況に加え、個々のタスク内容や進捗状況を把握しやすくなります。複数のプロジェクトが同時進行している場合でも管理が煩雑になりにくいため、エクセルによる課題管理のデメリットをカバーすることが可能です。

また、チャット機能やファイル共有機能を活用し、写真や資料などの必要な情報を共有することで、プロジェクトが円滑に進みます。

ツールには進捗管理機能やコスト管理機能、ガントチャート作成機能など、多様な機能が備わったものや、プロジェクト管理機能に特化したものなど、さまざまな種類があります。プロジェクトに必要な機能が備わっているか、価格は適切かなどを踏まえて選ぶようにしましょう。

課題管理を適切に行い、プロジェクトを成功させよう

課題管理を適切に行うことは、対応漏れやトラブルの回避につながるため、プロジェクトのスムーズな進行にも役立ちます。

課題管理表は、エクセルやスプレッドシート、プロジェクト管理ツールなど、さまざまな方法で作成可能です。プロジェクトに合った方法を選択し、課題管理を適切に実施していきましょう。


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