• 更新日 : 2024年9月11日

案件管理とは?なぜ必要?業務別の例やツールの種類、事例を解説

案件管理とは、進行中の案件の進捗状況を記録・管理することです。営業やプロジェクトなどのシーンで活用できます。適切に案件管理をすることで、進捗管理の効率化や、提案内容の可視化などのメリットがあります。

今回は、案件管理の必要性や、Excel・Googleスプレッドシートなどのツールについて解説し、活用した企業事例も紹介します。

案件管理とは?

案件管理とは、目標達成のために業務の進捗状況を可視化し、管理することです。「だれが」「いつ」「どこで」「何を」「なぜ」「どのように」という5W1Hの情報や、受注の見込み、受注予定日などを管理します。

チームの目標達成には、最終目標に対する達成状況を確認できる案件管理が欠かせません。案件管理によりマネージャーが各案件の状況や情報を把握でき、的確な指示を出せます。

案件ごとの詳細記録を残して必要な情報を蓄積することで、受注に向けた戦略を設計でき、生産性も向上するでしょう。

業務別の案件管理

業務ごとに、案件管理の方法は異なります。ここでは、案件管理の種類と具体的なシーンを解説します。

営業の案件管理

営業の案件管理とは、営業担当者が行っている営業活動の内容を記録し、進捗や情報を管理することです。受注額の向上を最終目的とし、そのために各営業担当が担当する案件の現状を明らかにします。

営業の場合は、いつどこで、どの顧客とどのような商談をしたのか、その結果、顧客はどのような状態にあるのかを記録します。受注決定までのプロセスを詳細に記録し、行動計画を立てることが大切です。

契約の案件管理

契約の案件管理は、企業間取引における契約内容や契約に関する書類などを管理することです。

契約内容が遵守されているかを確認するとともに、契約締結時に定めた契約の期限や更新について、定められたタイミングに必要な手続きをとるなどの管理を行います。

契約には、契約期間が過ぎたら自動的に更新されるものや、解除されるものがあります。手続きが必要な場合は、どのような手続きを行うかを判断し、処理しなければなりません。

契約の更新手続きをしなければならないのに期限が過ぎてしまい、解除されていたというような事態にならないよう、契約の案件管理が必要です。

プロジェクトの案件管理

プロジェクトを円滑に進めて成功させるためには、案件管理が欠かせません。案件管理により進捗を可視化でき、情報の一元管理でメンバー間の情報共有をスムーズにします。

大規模で長期的なプロジェクトでは、計画に沿って順調に進行しているかを定期的に確認しなければなりません。案件管理を行うことで、遅れや問題が発生した場合にも迅速な対応が可能です。

サポートの案件管理

社員や顧客からの問い合わせに対応するヘルプデスクのサポート業務においても、案件管理が重要です。進捗管理や情報の一元管理、メンバー間の情報共有がうまくできていないと、問い合わせへの対応漏れや、担当者ごとに対応が違うなどの問題が起こりやすくなります。

案件管理により問い合わせの記録を残すことで、問題が起きたときも迅速に原因の究明ができ、解決することが可能です。

案件管理はなぜ必要?

案件の効率的な進捗管理や提案内容の可視化、情報の一元管理などのために、案件管理が必要です。

ここでは、案件管理の必要性についてみていきましょう。

案件の進捗管理が効率良くできる

案件管理は、案件の進捗を確認し、効率の良い管理をするために必要です。ツールを利用すれば一連の進捗状況をリアルタイムでチェックでき、進捗の遅れや対応漏れがある場合は、速やかに担当者に注意を促せます。

フォローが必要な案件があれば、タイムリーな指示や適切なアドバイスを行い、サポートすることもできるでしょう。

提案内容が可視化される

案件管理をツールで行うことで、顧客とのやりとりや、使用している資料、顧客の反応などを可視化できます。

担当者が活動を進めているだけで提案内容がわかるため、同一の顧客に複数人の担当者がいる場合などは、情報や認識の食い違いを防げます。

案件管理により組織的な対応ができ、受注確度をより高めることができるでしょう。

取引情報がすべて紐付けられる

他のシステムと連携できる案件管理ツールを使えば、会社名や住所、担当部署、連絡先などの取引情報がすべて紐付けできるため、一度の入力で簡単に確認できます。

進捗が滞っていたり、問題が起きたりしたとき、過去のアプローチ履歴などの関連情報を確認でき、速やかな対応ができるでしょう。

情報管理に費やす時間や手間を削減し、業務の効率化を実現できます。

案件分析することで業務改善につながる

案件管理ツールでは各案件のデータが蓄積されるため、それらをもとに分析ができます。成果の出た案件を分析することで、他案件に応用できるノウハウを見つけることができるでしょう。成果の出ていない案件は、売上実績などの数値を分析し、対策を立てることも可能です。

また、全体の生産効率を下げている工程を見つけ、業務改善につなげることもできます。

属人化を回避できる

案件管理により、担当者の属人化を回避することもできます。業務管理を担当者個人に任せていると、業務に関する手順や情報が担当者しか把握できない状態になります。人事異動や退職の際に、すぐ対応できなくなるでしょう。

組織としての業績が個人の意欲やスキルに依存することになり、担当者不在時に問い合わせを受けたときにも迅速な対応ができません。

案件管理で属人化を解消すれば、組織全体の能力を高め、業績アップにつながります。

案件管理の無料テンプレート

マネーフォワード クラウドでは、案件管理の無料テンプレートをご用意しております。ご自由にダウンロードしていただけますので、ぜひお気軽にご利用ください。

案件管理ツールの種類

案件管理に活用できるツールには、GoogleスプレッドシートやExcelなど豊富にあります。自社に合うものを選んで利用してみるとよいでしょう。

ここでは、案件管理ができるツールの種類と特徴を解説します。

Googleスプレッドシート

Googleスプレッドシートは、Googleが提供する表計算ソフトです。Googleアカウントがあれば無料で利用でき、オンラインで共同編集できるため、チームで案件管理の情報を共有できるのが大きな特徴です。コメント機能もあり、シート上でコミュニケーションがとれるというメリットもあります。

ただし、基本的にオフラインでは利用できないため、通信障害により使用できなくなったり、パフォーマンスが低下したりするリスクがあります。

参考:Google スプレッドシート

Excel(エクセル)

Excel(エクセル)は、Microsoft社が提供する表計算ソフトです。パソコンに標準装備している企業も多く、使い慣れている社員も多いことから案件管理しやすいという特徴があります。

自社向けのフォーマットにカスタマイズしやすく、ほとんどコストがかからない点もメリットです。

ただし、オンラインの共有はできないため、情報共有が遅れやすい点がデメリットです。部署をまたいだ情報の共有や数値の集計をしたい場合、ファイルを送付して再集計するといった手間がかかるのも、デメリットといえるでしょう。

参考:無料のオンライン スプレッドシート ソフトウェア: Excel | Microsoft 365

タスク管理ツール

タスク管理ツールとは、プロジェクトの進捗やメンバーの作業状況など、メンバーのタスクを可視化するツールのことです。

進捗を管理する機能が充実しており、さまざまな管理手法に対応できます。チームや取引先との情報共有もしやすくなります。

ただし、あくまでもタスクを管理するためのツールであり、案件管理として使うためには、自社向けにカスタマイズすることが必要です。

SFAツール

SFAとは「Sales Force Automation」の略で、「営業支援システム」のことです。業務プロセスを自動化し、営業活動で管理する情報をデータ化して蓄積・分析ができます。

顧客ごとに営業の進捗状況を可視化でき、営業活動の効率化を図れる点がメリットです。

SFAツールにはさまざまな種類があり、自社に合うツールを選ぶのが難しいというデメリットがあります。導入しても機能をうまく使いこなせず、使われなくなってしまうということのないよう、精査して選ばなければなりません。

CRMツール

CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、顧客関係管理と訳されます。CRMツールは、顧客管理を適切に行いながら信頼関係を構築するためのツールです。顧客に関する情報を一元管理し、マーケティングや営業活動に必要な情報を共有できます。

CRMツールもSFAツールと同様、さまざまな種類があるため、自社に必要な機能を見極めて選ぶ必要があります。

案件管理ツールを導入するポイント

案件管理をスムーズに行うためには、案件管理に特化したツールの導入がおすすめです。案件管理ツールは多くの会社が提供しており、導入する際はいくつか押さえるべきポイントがあります。

詳しくみていきましょう。

必要な機能が搭載されているか

案件管理ツールには、進捗管理や情報共有、ガントチャート機能といったさまざまな機能があります。「データを有効活用したい」「効率的にタスク管理したい」など、自社のニーズに合わせ、必要な機能が備わっているかをチェックしましょう。

そのためには、案件管理についてどのような課題があるかを明確にし、それを解決できるシステムを選ぶことが必要です。

ツールの連携ができるか

案件管理ツールを選ぶ際は、自社が利用しているツール・システムと連携できるかのチェックも行いましょう。

案件管理ツールを導入しても情報を入力する手間がかかり、負担となって使われなくなるというケースがあります。

自社の既存システムと連携できれば、データを自動で読み込んだり、顧客関係の予定を案件に紐づくようにカスタマイズしたりすることで、情報を何回も入力する手間がなくなります。

マルチデバイスに対応しているか

マルチデバイスに対応しているかも、チェックしたいポイントです。スマホに対応していないツールの場合、情報の入力や確認をするために、その都度パソコンを立ち上げなければなりません。

マルチデバイス対応であれば、顧客を訪問するなど外出する機会が多い営業でもリアルタイムに情報を更新でき、案件管理がスムーズになります。

使いやすいか

案件管理ツールは、使いやすさも重要です。ITの操作に慣れていない社員が使いこなせない場合、日々の業務で活用するのは難しくなるでしょう。

搭載されている機能にばかり着目して多機能なツールを選ぶと、操作性が悪くなりがちです。無料お試し期間などを利用して実際に業務で使用し、使いやすさを確かめるとよいでしょう。

サポートがあるか

サポート体制が充実しているか、どのようなサポートを行っているかの確認も大切です。ITツールを導入した直後は、慣れないために使い方がわからなかったり、問題が発生したりしやすくなりがちです。

疑問やわからないことはその都度しっかり解決しておかないと、せっかく導入したツールが社内に定着しないという事態にもなるでしょう。

サポート内容は、同じシステムでもプランによって異なる場合があるため、事前によくチェックしておきましょう。

案件管理ツールの企業事例

案件管理ツールの導入に成功している企業は多く、自社が導入する際の参考になります。

ここでは、企業事例をいくつかみていきましょう。

法務相談や案件管理もワンストップ

システム構築の支援などを手がける株式会社FAプロダクツは、複数のツールを利用して管理していたため情報が散らばり、紙の契約書の管理に手間や工数がかかっているなどの課題を抱えていました。また、法務業務が属人化しているという問題もありました。

このような課題を解決するために導入したのが、 紙の契約書と電子契約をシステム上で一元管理できるマネーフォワード クラウド契約です。

システムの導入により、案件受付から審査・社内承認・締結・管理までの案件管理がひとつのサービス内で完結できるようになり、電子契約の活用で業務の工数削減にも成功しています。契約状況の可視化により、契約業務の属人化も解消できたということです。

着実な案件管理とノウハウ蓄積を実現

案件管理ツールは、個人の事業でも活躍しています。副業で個人事業を行っているAさんは、効率的に案件を進めるため、進捗管理や顧客管理などを目的に案件管理ツールを活用しました。それまではExcelや手書きの管理を行ってきましたが、受注が増えてきて抜けや漏れが多くなり、副業の情報をストックする場所もなく、情報が散らばるという課題がありました。

ツールの導入により顧客の状況やタスクの優先度が一目でわかるようになり、副業に関する情報を一元管理できるようになったということです。

案件管理ツールで業務を効率化しよう

案件管理は営業や契約、プロジェクトなどのシーンで、効率的な進捗管理や情報の一元管理などを行うために必要です。案件管理ツールを導入すれば、リアルタイムな進捗管理や情報の共有ができます。

ツールを導入する際は、必要な機能が備わっているか、既存システムと連携できるかなどをチェックし、自社の業務に合うものを選ぶとよいでしょう。


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