• 作成日 : 2024年11月5日

DX推進のペーパーレスと4つのレスとは?遅れる要因や取り組みを解説

企業の業務効率化を実現するために、昨今注目されている「DX化」。DX推進の初歩として、ペーパーレスの実現を考えている企業は多いです。この記事では、DXの定義およびペーパーレス化との違い、そしてDX化やペーパーレス化を実現するメリットを解説します。

DX推進のペーパーレスと4つのレスとは?

東京都政が2025年度の到達目標に掲げる7つのコア・プロジェクトの1つに「5つのレスの推進」が挙げられます。

これまで進めてきた3つのレス(ペーパーレス、はんこレス、キャッシュレス)に加えて、FAXレスやタッチレスを実現することで、オンラインやデジタルベースで仕事を遂行できるDX推進を目指しています。

ペーパーレス

ペーパーレス化とは、紙媒体で行っていた業務や資料の管理をデジタル化する取り組みを指します。具体的な取り組みとして、PCモニターや会議モニターの導入、コピー用紙の上限規制、コピー機の削減などが挙げられます。

2025年度にはペーパーレスを徹底した業務遂行が定着するような方針で取り組みが推進されています。

はんこレス

はんこレスは、都と都民・事業者間で行われる行政手続きに関わる契約書や申請書への押印を廃止し、デジタル化や電子署名に置き換える取り組みを指します。

押印を求める趣旨や目的が明確でない慣習的な押印を廃止し、実印や代表者印などの本人確認・意思決定が必要な場合には、デジタル化を推奨することで、押印不要を徹底しています。

2025年度にはデジタル化による押印廃止の完了を目指すべく、はんこレスが推進されています。

キャッシュレス

キャッシュレスとは、紙幣や硬貨などの現金を使わずに、電子的な手段で支払いを行うことを指します。全ての都立施設でのキャッシュレス化の実現に向け、クレジットカード、電子マネー(Suica、PASMOなど)、QRコード(PayPay、楽天ペイなど)などの決済手段の導入を徹底しています。

2025年度には、全ての都立施設でキャッシュレスを実現し、利用率を向上させることを目標として、取り組みが推進されています。

FAXレス

FAXレスは、デジタルツールを活用し、紙での送受信をデータに切り替えることを指します。具体的な取り組みとして、送信時に相手方組織・企業の協力を仰ぎ、デジタルツールへの移行を徹底する、機器の設定変更により電子ファイルでの受信を徹底するなどが挙げられます。

2025年度にはFAXレスを達成することを目標に、FAXの送信数・受信数の削減が推進されています。

タッチレス

タッチレスとは、機器やシステムを操作する際に物理的な接触を必要としない技術や仕組みを指します。具体的な取り組みとして、Web相談やチャットボットの導入を促進した行政相談の対応の実施やデジタル活用した説明会・講演会の実施の促進などが挙げられます。

都民・事業者の満足度を把握しつつ改善や拡充につなげ、2025年度には非接触・非対面の行政サービスが定着することを目指しています。

参照:東京都「都政の構造改革QOSアップグレード戦略」

そもそもDX化とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授によって「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と提唱されたことが始まりです。

日本では、2018年に経済産業省が、「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」を打ち出して以降、DX化が浸透してきています。

2024年9月19日に改訂された「デジタルガバナンス・コード3.0」では、DXによる企業価値向上を目指した提言を企業経営者向けに発信しており、DX化の拡充が注目されています。

参照:経済産業省「デジタルガバナンス・コード3.0」

DX化とペーパーレス化との違い

DX化と類似する言葉にペーパーレス化が挙げられます。ペーパーレス化は、従来の紙ベースの業務をデジタルに置き換えるプロセスを指します。たとえば紙の契約書を電子化してクラウドに保存し、いつでもどこでもアクセスできるようにすることで、業務の効率を図ります。

一方、DX化は、単に業務をデジタル化するだけでなく、デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセス全体を変革することを目指します。DX化を推進する手法の一つにペーパーレス化が位置づけられるという考え方が正しいです。

DX化・ペーパーレス化が進まない理由

行政も含めた国内組織のDX化・ペーパーレス化が囁かれている中、取り組みを進めているものの、なかなか浸透していかないケースもあります。ここでは、DX化・ペーパーレス化を阻む要因を解説します。

企業文化や慣習が根強い

日本企業では、長年にわたる紙文化が根強く残っており、DX化・ペーパーレス化の推進の妨げとなるケースがあります。紙に対する安心感や従来のやり方に固執する姿勢が、デジタル化への抵抗感を生むのです​。

特に、経営層がDXの本質を十分に理解していない場合、変革が進まず、取り組みが形だけとなってしまうでしょう。

DXに関する理解不足

組織および社員のDXに対する理解が浅いと、 DX化・ペーパーレス化の効果を十分に得られません。DX化・ペーパーレス化の目的は、企業全体のビジネスモデルや運営体制を変革することです。

しかしながら、DXの本質を十分に理解していなかったり、誤った理解をしていたりするために、単にITツールを導入すればDXが達成されると誤解しているケースが多いのです​。

ITリテラシーが低い

自社にIT人材がおらず、組織のITリテラシーが低い企業が多いのも、DX化・ペーパーレス化が進まない理由の1つです。システムやツールの開発から運用までを組織に浸透させるには、高いITリテラシーを持つ人材が必要です。

また、紙の作業に慣れている社員は、デジタル化への移行に対して抵抗感やストレスを感じることが多く、DXやペーパーレスを推進した場合においても、生産性が低下するリスクがあります。

コスト面の不安

コスト面に不安を抱える企業も多いのではないでしょうか。DXやペーパーレスの推進にあたり、専用のシステム導入やネットワーク整備が不可欠です。

これらにかかる初期費用やランニングコストに対して生産性の向上を期待できるか、費用対効果の最大化を迫られるため、中々DXやペーパーレスに向けた改善施策の実施に踏み切れない企業が多い現状があります。

DX化・ペーパーレス化のメリット

DX化・ペーパーレス化を実現するメリットにはどんなものがあるでしょうか。ここでは、各メリットの詳細を解説します。

多様な働き方に対応できる

デジタルデータはクラウド上で共有されるため、オフィス外でもアクセスが可能で、リモートワークや出張時でも業務を継続できます。

時間と場所に縛られない柔軟な働き方を実現することは、ワークライフバランスの改善にもつながるでしょう。

リアルタイムの情報共有で業務効率が向上する

業務効率の向上にも大きな効果が望めます。デジタル文書はリアルタイムで閲覧、編集が可能なうえ、権限を付与することで、共同編集を行えます。

そして、チャットツールを介したコミュニケーションは、履歴の振り返りが可能で、業務に必要な情報を後から思い出す際に、役に立つ機能が豊富です。

属人化を解消できる

紙の書類では情報が分散しやすいですが、ペーパーレス化により、データが一元的に管理されるため、誰でも必要な情報に即座にアクセスでき、属人化を防止できます。

業務の属人化は、人材の流動性の高い企業にとっては無視できない課題です。DXやペーパーレスを推進し、属人化を防止する体制の構築や運用を実現することが大切です。

人的ミスの防止につながる

紙ベースの業務は手作業が多く、書類の紛失や誤記入、承認忘れなどのミスが発生しやすいです。ペーパーレス化により書類がデジタル化されると、ミスが減少します。

多くの電子システムには、スケジュールやタスク管理に役立つリマインド機能が搭載されています。リマインド機能を活用することで、スケジュールの勘違いやタスクの漏れを防げます。また、操作ミスや書類の二重入力などのミスも、システムによるチェック機能や自動化された手続きで回避できます。

保管スペースの削減

ペーパーレスは、保管スペースの削減にも効果があります。契約書や請求書などの書類を電子化することで、オフィスの収納や保管場所を圧縮でき、オフィスを有効活用できます。

また、デジタル化された文書はクラウドやデジタルストレージに保存され、簡単に検索・アクセスできるため、管理する労力やコストも削減されます。

災害やセキュリティ対策を強化できる

書類をデジタルデータとしてクラウドに保存しておけば、物理的な影響を受けにくく、どこからでも安全にアクセスできるため、災害時の業務継続がしやすくなります​。

また、データのバックアップを定期的に行うことで、万が一のシステムトラブルやサイバー攻撃に備えることができ、セキュリティの強化にもつながります。

DX化・ペーパーレス化を加速するマネーフォワード

DX化・ペーパーレス化を実現するには、ソフトの導入が必要です。マネーフォワードでは、バックオフィスの各種業務に応じたサービスを展開。状況に合わせて適切なソフトをご利用いただけます。

バックオフィスのペーパーレス

ペーパーレスの実現には、以下3つのサービスがおすすめです。

マネーフォワード クラウド請求書では、煩雑化しやすい請求書の管理を一元管理し、業務の効率化を図れます。

マネーフォワード クラウドインボイスには、電子帳簿保存法インボイス制度に対応した請求書の受領・送付機能が搭載されており、最新の法改正に対応した経理業務をオンラインで完結できます。

マネーフォワード クラウド勤怠は、タイムカードの集計や管理、各種計算機能など、さまざまな雇用形態に対応した機能が充実しており、勤怠管理業務の手間を削減できます。

バックオフィスのはんこレス

はんこレスの実現には、以下のサービスがおすすめです。

マネーフォワード クラウド契約では、契約書の作成から締結、管理まで、押印の伴う業務を効率化できます。電子契約に加え、紙の契約書もマネーフォワード クラウド契約の画面でまとめて管理。契約プロセスをスムーズに進めるうえでの機能が網羅されています。

バックオフィスのキャッシュレス

キャッシュレスの実現には、以下のサービスがおすすめです。

マネーフォワード クラウド経費では、経費精算で必要な承認ワークフローをオンラインで完結できます。また、明細データ&領収書画像の自動取得など、入力の自動化もサポートしています。

マネーフォワード クラウド給与は、利用中の勤怠管理システムと連携し、業務の効率化を図れます。そして、給与明細もクラウド上で確認できるため、ペーパーレスの実現にもつながります。

自社の課題に応じて最適なツールを導入しましょう!

DX化・ペーパーレス化は、重要性が高まっている一方で、定義やメリットを正しく理解していなければ、生産性の向上や業務の効率化に効果はみられません。さらに、従業員の負担が増えるリスクにもなり得ます。

自社の業務課題を把握し、DX化・ペーパーレス化の実現で何を達成したいのか、目的を明確にすることが大切です。効率的にDX化・ペーパーレス化を進めるには、最適なツールを導入することもポイントです。この記事を参考に、自社の業務を今一度見直してみてはいかがでしょうか。


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