- 作成日 : 2024年12月27日
IFERROR関数とは?使い方をわかりやすく解説
Excelやスプレッドシートを利用する際、データの計算や分析は欠かせない作業です。しかし、エラーが発生すると作業効率が低下し、見栄えも悪くなります。
そこで役立つのが「IFERROR関数」です。この関数は、指定した計算式がエラーを返した場合に、代わりに別の値を表示できるため、スムーズなデータ処理が可能になります。
本記事では、IFERROR関数の基本的な使い方から実際の業務での活用法まで、わかりやすく解説します。
目次
IFERROR関数とは
IFERROR関数の基本構文
IFERROR関数の基本構文は、エラーが発生した場合に指定した値を返すためのものです。この機能を活用することで、エラー表示を理解しやすい文字列として表示させ、エラー処理がしやすいシートを作成できます。
IFERROR関数の基本構文は以下の通りです。
=IFERROR(value, value_if_error)
- value:値
- value_if_error:エラー時の値
ここで「値」は評価したい式や計算結果を指し、「エラー時の値」は、その式の評価がエラーとなった場合に返す値を指定します。この構文を理解することで、エラー処理がスムーズに行えるようになります。
たとえば、セルA1に数値、セルB1に数値が入力されているとします。このとき、セルC1でA1とB1の除算を行う場合の式は「=A1/B1」となります。もしB1が0の場合、Excelは「#DIV/0!」というエラーを返します。これを回避するために、IFERROR関数を利用し、以下のように記載します。
=IFERROR(A1/B1, “エラー: ゼロで除算”)
この例では、B1が0の場合、C1には「エラー: ゼロで除算」というメッセージが表示される仕組みです。
このように、IFERROR関数を使用することで、エラーを視覚的に分かりやすくするだけでなく、シートの品質を向上させられます。
さらに、IFERROR関数は他の関数と組み合わせて、複数の計算をまとめて処理する際にも便利です。複雑な算式を扱う場合、IFERRORにたとえばIF関数を組み合わせることで、全体の処理をより安定させられます。これにより、検索作業の効率が大幅に向上します。
IFERROR関数の機能
IFERROR関数は、エラー処理を簡単に行うための非常に便利なツールです。この関数を使用することで、計算やデータ取得の際に発生するエラーを適切に処理し、見た目を整えられます。これにより、スプレッドシートの使い勝手や見栄えが大幅に向上します。
通常、スプレッドシートでエラーが発生すると、たとえば「#DIV/0!」や「#N/A」といったエラーメッセージが表示されることがありますが、それを別のテキストや数値に置き換えができるのです。
エラー処理の重要性
エラー処理はデータ分析やレポーティングにおいて非常に重要です。
作業効率やユーザー体験を高めるために、エラーが発生した場合も問題と解決策の両方を容易に把握できるユーザーフレンドリーな表現にすることが求められます。
たとえば、何かの検索結果が見つからない場合には「データがありません」と表示することで、ユーザーにとってわかりやすくなります。
使用例と実際の効果
IFERROR関数の効果は、実際の例を通じて理解しやすくなります。たとえば、数式の中でゼロで割る場合、通常はエラーが返されますが、IFERROR関数を使うと、代わりに「計算不可」と表示できます。
これにより、エラーメッセージを見るたびに混乱することが少なくなり、データの解析や報告を進めやすくなります。
IFERROR関数の使用例
基本的な使用例
ここでは、IFERROR関数の基本的な使用例について詳しく説明します。
「=IFERROR(A1/B1, “計算エラー”)」という数式では、もしB1がゼロでA1/B1が計算できない場合に、「計算エラー」というテキストが表示されます。このように、エラーが発生するとエラー値が表示される代わりに、より親しみやすいメッセージをユーザーに提示できます。
IFERROR関数は実際のデータ処理において非常に役立ちます。たとえば、財務データや売上データを扱う際、特定の計算が失敗した場合には、その結果を無視するだけでなく、ユーザーにエラーメッセージを表示させることで、業務の中での混乱を避けられます。
条件を含むリストでの使用例
条件を含むリストにおいてIFERROR関数を活用すると、複雑なデータ処理を効率的に行えます。この方法を理解することで、エラーを気にせずに条件に基づいたデータを簡単に扱えるようになります。
例として、学生の成績データを考えてみます。各学生には試験の点数がありますが、欠席した場合や未提出の課題にはエラーとなる場合があります。これをIFERROR関数を使って、点数の取得に失敗した時に「不明」と表示させることで、データを整理することが可能です。
また、条件付きのリストを作成する際には、IF関数と組み合わせて特定の条件を満たすデータのみを取り出すことも可能です。
たとえば、合格基準を設定し、合格した学生には点数を、不合格またはエラーの場合には「再試験」と表示させられます。式は「=IFERROR(IF(A2>=60, A2, “再試験”), “不明”)」とすれば、点数が60以上の場合にはその点数を、60未満やエラーならば「再試験」、完全にエラーの場合は「不明」と表示できます。
このように、IFERROR関数を用いることで、条件を含むリストをより使いやすく、エラーを含むデータでも一貫した表示が可能となります。これにより、数値データの分析やプレゼンテーションがスムーズに進むでしょう。
実際の業務での活用例
IFERROR関数は、業務のさまざまな場面で非常に役立つツールです。この関数を利用することで、エラーを回避し、より効率的にデータを処理することが可能になります。以下に、実際の業務での具体的な活用例をいくつか紹介します。
1. 財務データの集計
企業における財務分析では、売上、経費、利益などの数字を一元的に管理することが求められます。
この際、売上データが不足している場合や、数式の途中でエラーが発生した場合でも、IFERROR関数を用いれば、問題を回避し、エラーの影響を最小限に抑えられます。
たとえば、売上が入っていないセルに対してIFERROR関数を活用することで、「エラー」と表示されるのを防ぎ、代わりに「0(ゼロ)」、非表示(空白セル)あるいは特定のメッセージを表示させることが可能です。
2. データベースの照合作業
営業部門やマーケティング部門において、顧客データベースと販売データを照合することは日常的な業務です。
このときにVLOOKUP関数と組み合わせてIFERROR関数を使うと、照合結果が見つからなかった際に「#N/A」のエラー値が表示されることを防ぎ、見栄えの良い報告書を作成できます。
=IFERROR(VLOOKUP(D2, 顧客データベース!A2:B11, 2, FALSE), “顧客が見つかりません”)
たとえば、顧客情報が存在しない場合でも「未登録」と表示させることで、データ管理がしやすくなります。
3. レポート作成におけるエラー処理
定期的にレポートを作成する際は、データの集計や分析に時間を要します。この際、数式によって自動的にデータを取得することが可能ですが、外部データソースに問題がある場合や、データの整合性に問題が生じることがあります。
IFERROR関数を使ってエラーを処理すれば、エラーが表示されず、実用的な情報を維持できるため、手間のかかる修正作業を避けられます。
IFERROR関数の応用
IFERROR関数とVLOOKUP関数との組み合わせ方
IFERROR関数とVLOOKUP関数を組み合わせることで、データ検索時のエラーをスムーズに処理できます。この組み合わせにより、特にデータが存在しない場合のエラーメッセージをカスタマイズし、よりわかりやすい結果を得ることが可能です。
VLOOKUP関数は、特定の値を検索し、それに関連する情報を返す関数です。しかし、検索する値が見つからなかった場合にはエラーが発生します。そこで、IFERROR関数を用いることで、このエラーを処理し、ユーザーにとって理解しやすい結果を表示できます。
以下は、IFERROR関数とVLOOKUP関数を組み合わせた基本的な構文です。
=IFERROR(VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 検索の型), “表示したいエラーメッセージ”)
この構文では、まずVLOOKUP関数を用いて検索処理を行います。検索に成功すればその結果が表示され、不成功の場合にはIFERRORにより指定したエラーメッセージが表示されます。たとえば、VLOOKUPによって指定したデータが見つからなかった場合に「データが見つかりませんでした」といったメッセージを返せます。
具体例として、以下のようなシートを考えてみましょう。たとえば、A列に製品のID、B列に価格が記載されているとします。このとき、A列にある製品IDを基に、B列で価格を取得したい場合に、次のように数式を記載します。
=IFERROR(VLOOKUP(A2, A:B, 2, FALSE), “該当する価格は見つかりません”)
この式により、A2に入力されたIDに関連する価格がA:B列の範囲から見つかればその価格が表示され、見つからなければ「該当する価格は見つかりません」と表示されます。この組み合わせは、データの整合性を保ちながら、ユーザーにより良い体験を提供するために非常に役立ちます。
このように、IFERROR関数とVLOOKUP関数を組み合わせることで、エラー処理をスムーズに行い、業務の効率化を図れます。実務においても、この組み合わせは多くの場面で役立ちますので、ぜひ活用してみてください。
IFERROR関数を複数条件で指定する方法
IFERROR関数を複数条件で指定する方法は、複雑なデータ処理を行う際に非常に有用です。IFERROR関数単体では単一のエラー処理に特化していますが、他の関数と組み合わせることで、より柔軟なエラー処理が可能になります。
まず、IFERROR関数の基本的な使い方を理解した上で、これを他の条件に基づく式と組み合わせることが重要です。たとえば、特定のセルが特定の値であった場合にのみ乗算するなどの条件を追加できます。ここでは、IF関数を使って複数の条件を設定する方法について、詳しく見ていきましょう。
IF関数との組み合わせ
IFERROR関数を条件と合わせて使用する場合、まずはIF関数を使って条件を設定します。IF関数は、指定した条件が真である場合に特定の処理を行い、偽の場合には別の処理を行うものです。
たとえば、次のような設定が考えられます。A2セルに入力された数値が100未満の場合には、A2セルに入っている値に10%を乗算し、そうでない場合には500未満かどうかを確認します。値が500未満の場合には35%を乗算し、そうでない場合には40%を乗算します。この数式にエラーが発生した場合には、「0」を表示します。一方で、それ以外の場合には、数式の結果が返されるという流れです。この場合の構文は以下のようになります。
=IFERROR(IF(A2<100,A2*10%,IF(A2<500,A2*35%,A2*40%)),0)
IFERROR関数で0を表示させない方法
方法1: エラー値を空白セルに置き換える
最初の引数の数式 (A2セルの値をB2セルの値で除算) にエラーがあるかどうかをチェックします。エラーがあれば0を返す数式は次のとおりです。
=IFERROR(A2/B2, 0)
ここではエラー時に「0」を表示させるのではなく、空白セルに置き換える数式を見ていきましょう。
=IFERROR(A2/B2, “”)
このようにダブルクォーテーションマークで囲むと、発生したエラー値を空の文字列値、つまり空白セルとして扱えるようになります。
方法2: 数値以外の表示に変更する
IFERROR関数を使用する際、エラーが発生した場合に任意の数値以外の表示を行うことが可能です。これは特に、エラーが発生した際に視覚的に分かりやすく情報を伝えるために有効です。
たとえば、データを扱う際に特定の計算結果が存在しない場合、単に「0」を表示するのではなく、「データなし」や「エラー」などのメッセージを表示するよう指定することで、より明快に内容を伝えられます。これにより、データを確認する人がエラーを一目で理解できるようになります。
ここでは、IFERROR関数を使用して数値以外の表示に変更する方法について詳しく説明します。
この方法は、特にデータ分析や報告書の作成において、使いやすいメッセージを表示できるため、業務の効率向上や誤解の防止に寄与します。
まず、IFERROR関数の基本的な使い方と、エラーが発生した際に表示させるメッセージを設定するための例を見てみましょう。
具体的な例として、次のような数式を考えてみます。この数式は二つのセルの除算を行いますが、もし分母がゼロの場合、エラーが発生します。
=IFERROR(A1/B1, “計算エラー”)
この場合、A1が10、B1が0のとき、通常であれば「#DIV/0!」というエラーメッセージが表示されます。しかし、IFERROR関数を使うことで、『計算エラー』という理解しやすいメッセージが表示されるようになります。このようにすることで、フィードバックが得られやすくなり、エラーの内容をすぐに把握できることが実感できるでしょう。
このアプローチは、特に大量のデータを扱う場合に役立ちます。エラーを単に数字やコードで表示するのではなく、具体的なメッセージを表示することによって、より迅速かつ正確に意思決定を行えるのです。
さらに、表示させるメッセージは自由にカスタマイズ可能です。「データなし」と表示させることも可能ですし、状況に応じて他の表現を選ぶこともできます。この柔軟性があるのも、IFERROR関数の大きなメリットです。
このように、IFERROR関数を用いて数値以外のメッセージを表示することで、エラーを有効に管理でき、データの見やすさや理解度を高められます。
方法3: セルの書式設定を変更する
セルの書式設定を変更することは、エクセルを活用して数値を見やすくする一つの方法です。特に、データ(数値)の表示形式を調整することで、エラーを回避し、よりわかりやすい形で情報を提示できます。
たとえば、セルに入力されているデータにあわせて数値の表示形式を変更することで、エラーが発生しても視覚的に整理されたデータを維持することが可能です。小数点の前後の桁数の表示を制御したり、付加する通貨記を選択したりすることで、使用者がデータを扱う際のストレスを軽減し、理解を深める効果があります。
書式設定の変更手順
数値の表示形式を変更する手順は以下の通りです。
- Excelのシートを開き、書式設定を変更したい数値を含むセルを選択します。
- 「Ctrl+1」キーを押します。Macでは、「Control+1または「Command+1」キーを選びます。
- 表示されるダイアログボックス「セルの書式設定」で、所望の書式(たとえば、数値、通貨、パーセンテージなど)のタブを選択します。
- 設定を終えたら、「OK」ボタンをクリックして変更を適用します。
この方法では、IFERROR関数がエラーを返す場合でも、セルの書式が適切に設定されているため、視覚的な情報が損なわれません。
条件付き書式を利用して、空白セルに見せる方法があります。たとえば、エラーになった場合でも「0」と表示させたくない場合、「ホーム」タブの 「条件付き書式」から「新しいルール」を選択し、書式設定のユーザー定義で数値の表示を変更することが効果的です。さらに「条件付き書式」から「0」を含むセルや、エラーが発生したセルのフォントカラーを白(背景と同じ色)に設定する方法もあります。
具体的な例
たとえば、ある列に計算結果を表示しているとしましょう。この列にIFERROR関数を使ってエラー処理を施し、エラーが発生した場合は「#DIV/0! 」の代わりに「0」を表示できます。しかし、その際に条件付き書式を適用すると、実際の値 「0」 はセルに残したままセル内の「0」を消せます。「種類」ボックスに「;;;」(セミコロン3つ) を入力するのがポイントです。また、書式設定の表示形式タブにある「ユーザー定義」から自由な表示形式に設定することも可能です。たとえば、種類の欄に「#」を入力して「OK」をクリックすれば、エラー時に「0」が入力されているセルを非表示(空白セル)にできるなど、利用者のニーズに応じた柔軟な対応ができます。
このように、セルの書式設定を変更することによって、IFERROR関数の使用をより効果的にし、データの可読性を高められます。特に初学者にとっては、見やすい形式でデータを扱うことが理解の助けとなるでしょう。
IFERROR関数を使いこなそう
IFERROR関数は、Excelにおけるエラーハンドリングの強力なツールです。データ分析や業務において、エラーが絡むと作業が滞ってしまうことがありますが、IFERROR関数を活用することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。特に、VLOOKUP関数や複雑な条件との組み合わせによって、効率的なデータ処理を実現します。また、適切なエラーメッセージを設定することで、ユーザーに対する配慮も行き届きます。このように、IFERROR関数は、業務の生産性向上に貢献する必須の関数といえるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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