- 更新日 : 2024年9月11日
仕事の効率化とは?8つの考え方と進め方、効率化に適さない仕事
仕事の効率化は、仕事上の「ムリ・ムダ・ムラ」を排除し、効率的に業務を行えるようにすることです。仕事を適切に効率化することで、生産性の向上やワークライフバランスの改善などが期待できます。
本記事では、仕事の効率化における8つの考え方や進め方、メリットや仕事が早い人の特徴、効率化に適さない仕事について解説します。
目次
仕事の効率化とは?
仕事の効率化とは、仕事を進めるプロセスにおける「ムリ・ムダ・ムラ」を排除することです。たとえば「残業をしても仕事が終わらない」という場合、ムダな業務を省いたりデジタルツールを活用したりするなどして、効率的に仕事を進められるように工夫することが「仕事の効率化」の一例です。
仕事の効率化を図ることで、コストの削減や生産性の向上、モチベーションの向上、ワークライフバランスの改善など、さまざまなメリットがあります。
仕事の効率化がもたらすメリット
仕事の効率化がもたらす主なメリットは、次のとおりです。
- 生産性の向上
- ストレスの軽減
- ワークライフバランスの改善
それぞれについて解説します。
生産性の向上
仕事の効率化を進めることで、より少ない資源で多くの売上や利益を生み出せるようになり、生産性の向上が期待できます。これまで残業をしないと終わらなかった業務を、就業時間内に完了できるようになれば残業代が不要になるため、企業にとってコストの削減にもつながります。
また、仕事の効率化によって生み出された時間を、他の業務や新たな取り組みに充てることも可能です。
ストレスの軽減
仕事の効率化によって、ムリのある仕事量や過密スケジュールを改善できれば、労働者のストレス軽減にもつながります。
厚生労働省が実施した「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事でストレスを感じる事柄がある正社員の労働者において、その内容で最も多いのが「仕事の失敗、責任の発生等」、次いで「仕事の量」となっています。
ムダな作業を省いて仕事の量を減らすことは、労働者のストレスを軽減し、メンタルヘルスを良好に維持することにもつながるでしょう。
出典:「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」(厚生労働省)
ワークライフバランスの改善
仕事を効率化して残業時間や休日出勤を削減できれば、ワークライフバランスの改善にもつながるでしょう。長時間労働はプライベートの時間を奪うことにつながり、リフレッシュのための時間を確保できなかったり、家事や育児との両立が難しくなったりする恐れがあります。
仕事の効率化が進めば、残業時間や休日出勤の削減をはじめ、テレワークや時短勤務といった柔軟な働き方を実現することにもつながります。
仕事が早い人・遅い人の特徴
仕事が早い人は、業務の全体像を俯瞰(ふかん)で把握し、わからないことはその場ですぐに解決しながら適切にペース配分をして業務を進めます。一方で仕事が遅い人は、見通しを持たずに手当たりしだいに業務に当たったり、人に頼らずに完璧にこなそうとしたりして、かえって非効率的になってしまうことがあります。
仕事が早い人と遅い人の特徴は、それぞれ次のとおりです。
仕事が早い人の特徴 | 仕事が遅い人の特徴 |
---|---|
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|
仕事の効率化が進まない理由
仕事の効率化が進まない場合、組織の体制や個人の取り組み方に問題や原因があるのではないかと疑いましょう。一般的に、仕事の効率化が進まない理由は次の5つが考えられます。
- 業務がマンネリ化している
- 業務に対する問題意識が希薄化している
- 部門間で情報が分割されている
- 組織が縦割りになっている
- システムを適切に活用できない
それぞれについて解説します。
業務がマンネリ化している
業務がマンネリ化していると、仕事に対して「楽しい」「工夫したい」と思えなくなり、仕事を効率化しようという意識が生まれにくくなってしまいます。
マンネリ化とは、ルーティンワークのように同じ業務を繰り返すことで新鮮さがなくなり、変化のない状態が続くことです。波がなく安定した状態ではあるものの、向上心をもてず、ただ業務をこなすだけの状態になってしまう恐れがあります。
仕事に対して目標や理想をもてなかったり、達成感を得られなかったりと、モチベーションが低下しているときは、仕事の効率化を進めにくい状態であるといえるでしょう。
業務に対する問題意識が希薄化している
業務に対する問題意識が希薄な状態では、仕事の効率化を進めるための課題を明確に洗い出せない恐れがあります。たとえば変化を嫌う人や現状維持を望む人など、自身の担当する業務の変化を望んでいない従業員がいる場合、仕事の効率化を進めるのが難しくなってしまいます。
仕事を効率化することで得られる具体的なメリットを従業員へ提示して共有し、一人ひとりの問題意識を高めていくことが大切です。
部門間で情報が分割されている
企業内の各部門が独自に情報を管理している場合、必要な情報を得るのに時間がかかったり、理解の食い違いによってムダな業務が発生したりする恐れがあります。たとえば、各部門で使用しているツールやデータ形式が異なる場合、情報共有がうまくいかず、連携するためにはデータの加工が必要になるなど手間がかかってしまいます。
また、各部門が独立して業務を行っている場合、部門を超えた情報共有の機会がないと、業務内容の一部が重複してムダな作業が生じてしまうこともあるでしょう。
組織が縦割りになっている
縦割り組織とは、たとえば経営層の下に「営業部」「製造部」「開発部」「経理部」を配置するように、業務内容ごとに部門を細分化する組織形態です。専門性が求められる案件に対応しやすいというメリットがある反面、他部門とのコミュニケーションの機会が不足しやすいというデメリットもあります。
他部門との情報共有や意見交換が行われにくくなると、既存のやり方に固着してしまい、仕事の効率化を阻害している要因を見落としてしまう恐れがあります。組織として仕事の効率化を進めるためには、部門の垣根を超えた横断的なプロジェクトを編成するなどの工夫も大切です。
システムを適切に活用できない
仕事の効率化に適したシステムを活用できない状態では、単純作業に時間をとられたり、ミスに気づかずトラブルに発展したりする恐れがあり、非効率的です。
仕事の効率化に適したシステムには、ワークフローシステムや勤怠管理システム、営業支援システムなどさまざまな種類があります。システムを適切に活用して自動化できる作業を増やせば、作業時間の削減や、人為的ミスの防止につながります。
仕事の効率化を進める8つの考え方
仕事の効率化を進める際には、次の8つの考え方を意識すると良いでしょう。
- ムダな業務・会議はないか
- 目標・優先順位を設定しているか
- 時間を区切っているか
- マニュアル化・自動化できているか
- 迅速に情報共有しているか
- 情報整理されているか
- ミスの許容範囲を持っているか
- システムを活用しているか
それぞれについて解説します。
ムダな業務・会議はないか
ムダな業務や会議はないかを常に意識しながら仕事に取り組むと、これまでは必要だと思っていたことでも、実は削減可能だと気づける場合があります。たとえば前任者が行っていた業務をそのまますべて引き継いだものの、各業務を見直したら削減できるものを見つけられることがあります。
また、会議においても「定例だから」という理由だけで開いていたものの、目的が不明瞭で何も決まらなかったり、単なる報告の場に単なる報告の場に終わってしまうこともあるでしょう。本当に集まって話し合うべきなのか、報告だけであれば別の方法で代用できないかなどを検討し、会議は必要最低限で済むように工夫しましょう。
目標・優先順位を設定しているか
仕事の効率化を進めるには、目標を設定し、業務の優先順位を決めてから始めることが重要です。
ゴールが明確になると、スケジュールを立てやすくなります。全体像を把握し、「緊急性が高い」「納期が近い」などすぐに対応すべき業務や、「利益率が高い」といった重要度の高い業務から優先的に取り組むように計画することが大切です。ムダを排除して、効率的に業務を進められるようなスケジュールを意識しましょう。
時間を区切っているか
集中して業務に取り組むためには、時間を区切ってメリハリをつけることが大切です。時間を設定せずに同じ業務をダラダラと長時間続けると、集中力が途切れて作業効率が低下してしまう恐れがあります。
無計画に仕事に取り組むよりも、始業時に1日の業務を確認したら、まずはその日のスケジュールを考えることが大切です。「この業務は1時間で終わらせる」「午前と午後で30分ずつに分けてやる」など、自分が集中できる範囲で目標を設定してから取り組みましょう。
マニュアル化・自動化できているか
ルーティーンワークをマニュアル化したり、繰り返しの作業を自動化したりすることで、業務にかかる手間や時間を大幅に削減できることがあります。普段から行っている業務の場合、ルールや手順を明確にしてマニュアル化したり、定期的に作成する資料のテンプレートを用意したりすると良いでしょう。
また、マクロを利用してExcel上の作業を自動化することも有効な手段です。
迅速に情報共有しているか
仕事の効率化には、迅速に情報共有ができる仕組みを整備することも重要です。迅速な情報共有には、誰がどの業務をしているのか、どの工程まで完了しているのかなど、業務の進捗状況を可視化することが求められます。
また、社内の情報をデータベース化し、スムーズに情報共有ができるようにすることも大切です。必要な情報をすぐに得られるため「すでにデータがあることを知らずに、データ収集をしてしまった」のようなムダな作業を削減することにもつながります。
情報整理されているか
情報が整理されていると、必要な場面ですぐに取り出せるため、探す手間を省くことが可能です。蓄積したデータをデータベース化すれば、顧客からクレームがあった場合も、過去の問い合わせ内容やその回答を効率的に取り出して活用できます。
また、パソコン内のファイルや紙の資料など、身の回りの情報もわかりやすく整理しておくことも大切です。
ミスの許容範囲を持っているか
仕事を効率化するには、常に完璧を求めるのではなく、ミスの許容範囲を持っておくことが大切です。多少のミスは起こるものと想定し、ある程度のミスであれば許容するという心持ちでいると、スムーズに業務を進められるようになります。
また「100%の完成度でないと次に進めない」という意識では、時間的にも精神的にも負担が大きくなってしまいます。「80%程度の完成度なら次に進む」のように、ある程度見切りをつけられると、効率的に進められるようになるでしょう。
システムを活用しているか
仕事の効率化に適したシステムを活用することで、時間や手間を大幅に削減できるケースがあります。
たとえば営業業務を効率化するための営業支援システムは、顧客情報を一元管理し、やり取りの履歴なども記録できるため、担当者が代わってもスムーズに対応が可能です。また、営業プロセスが可視化されることで、営業マネジメントの効率化にもつながります。
仕事の効率化に適したシステムにはさまざまな種類があるので、組織の特性に応じてどのようなシステムを導入すれば良いかを検討することが大切です。
仕事の効率化の進め方
仕事の効率化の具体的な進め方は、次のとおりです。
- 業務を洗い出し整理する
- 非効率な部分を見つける
- 改善策を検討する
- 計画を立てて実行する
- 振り返りをする
それぞれについて解説します。
業務を洗い出し整理する
まずは現状の業務内容を洗い出して整理し、全体像を把握しましょう。業務内容はなるべく細分化して具体的にリストアップし、それぞれの業務は完了までにどのくらいの時間がかかっているかも確認することが大切です。
現状の業務内容や所要時間を細かく洗い出すことで、次のステップで課題や問題点を見つけやすくなります。
非効率な部分を見つける
次に、洗い出した業務内容を丁寧に確認しながら非効率な部分を見つけていきます。たとえば、手作業で時間がかかっている業務や他の従業員と重複している業務、同じような作業が不必要に繰り返される業務など、非効率だと感じるものをピックアップしておきましょう。
非効率だと感じる業務には「ムリ・ムダ・ムラ」が潜んでいる可能性があるため、課題や問題点として捉えて洗い出しておくことが大切です。
改善策を検討する
非効率な業務を洗い出したら、それぞれの業務の改善策を検討していきましょう。省いても問題ない工程はないか、別の方法で代用できないかなど、効率的に進める方法を考えていきます。
効率化のための改善策には「システムを導入する」「自動化する」「他部門と連携する」など、多様な選択肢があります。状況に適した方法を検討し、選択していきましょう。
計画を立てて実行する
効率化のための改善策を検討した後、実践するために計画を立てていきます。重複している工程を省いたり、作業の手順を見直したりしながら、優先順位の高い業務から取り組めるようにスケジューリングしていきましょう。
計画を実行する際は、実際にどのくらいの時間がかかったかを記録しておくと、仕事の効率化に効果があったかを振り返る際に役立ちます。
振り返りをする
計画を実行した後、改善前後でどのくらい効率化が実現したかを振り返ります。具体的にどの改善策に効果があったのか、効率化できなかった場合は何が原因だったのかを振り返り、さらに効率化を進めるための方法を検討していきましょう。
仕事の効率化は一度取り組めば終わりではなく、定期的に振り返って改善していくことが大切です。
仕事の効率化をしない方が良いとされる仕事は?
どのような仕事でも手当たり次第に効率化を進めるのが良いというわけではありません。以下のような仕事は効率化をしない方が良いとされています。
- アイデアを生み出す仕事
- 人間関係を構築する時間
- ヘルスケアを伴う仕事
それぞれについて解説します。
アイデアを生み出す仕事
アイデアを生み出す仕事は、効率化しようとするとクオリティの低下につながる恐れがあります。たとえば、デザイナーやコピーライター、イラストレーターのようなクリエイティブな仕事や、提案書の作成や企画の立案のような業務などがあります。
アイデアを生み出すには、考える時間が必要です。作業時間の短縮を重視するあまり、考える時間まで短縮してしまっては、品質の低下や顧客満足度の低下につながりかねません。
人間関係を構築する時間
仕事を効率化しようとして人間関係を構築する時間を省いてしまうと、適切なコミュニケーションがとれなくなり、かえって生産性を低下させてしまう恐れがあります。
従業員同士はもちろん、取引先の相手や顧客に対しても、信頼関係や相互理解を深めるにはある程度の時間が必要です。人間関係の構築は効率化できるものではないため、相手と向き合う時間は大切にしましょう。
ヘルスケアを伴う仕事
ヘルスケアとは、医療や介護、運動や栄養、保険など、幅広い分野が該当します。ヘルスケアを伴う仕事は、個々のニーズに応じたケアや慎重な判断が必要とされます。安易に効率化を進めると、命や健康に関わることもあるため、危険です。
ヘルスケアを伴う仕事のなかでも、事務作業など効率化できる業務と、人の命や健康に直結するような効率化に適さない業務を区別して考えることが大切です。
仕事の効率化には社員と企業の努力が必要
仕事の効率化の実現には、社員と企業の双方の努力が必要です。NTTコム リサーチが2008年2月に実施した「残業と仕事の効率化に関する意識調査」によると、20歳以上のビジネスパーソン1,080人のうち、「ワークライフバランスは根付くと思うか」という問に対して、約半数の45.3%が「根付くとは思わない」と答えています。
また、「残業が減らない理由は、個人がどのような考えを持っているからだと思うか」については、「時間内に仕事が終わらなければ、残業すれば良い」という考えが1位になっています。
さらに、「残業が減らない理由は、企業側がどのような考えを持っているからだと思うか」については、「社員が残業するのはあたりまえ」という考えが1位という結果でした。
以上の結果から、「残業することがあたりまえ」「残業している人ががんばっている人」といった考え方が定着していることが考えられます。ワークライフバランスの考え方が根付くよう、企業側が社員の業務効率を改善する姿勢を示すことや、社員自身が仕事の効率化に対する意識を持つことが求められるといえるでしょう。
出典:NTTコム リサーチ「残業と仕事の効率化に関する意識調査」
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以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
「ムリ・ムダ・ムラ」を減らして仕事の効率化を進めよう
仕事を効率化することで、生産性の向上やストレスの軽減、ワークライフバランスの改善など、さまざまな効果が期待できます。仕事上の「ムリ・ムダ・ムラ」を見つけ、不要な工程の削除や手順の見直しを行い、必要に応じて自動化やシステムの導入を検討するなどして仕事の効率化を進めていきましょう。
しかし、なかには効率化しない方が良い仕事もあるため、効率化することが適切であるかを見極めたうえで取り組むことが大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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