- 更新日 : 2025年9月22日
スプレッドシートで足し算するには?数式や関数、セル参照の基本と応用まで解説
Googleスプレッドシートの「足し算」は、セルに直接数式を入力する方法から、SUM関数による効率的な合計、条件付き合計や配列関数による高度な集計まで、多様なやり方があります。
使い分けを理解すれば、売上集計や経費計算といった日々のデータ処理が格段にスピードアップし、手作業でのミスも防げます。本記事では、足し算の基本から実務で便利な関数まで体系的に解説し、初心者でもすぐに実務に活かせるスキルを紹介します。
スプレッドシートで足し算する方法
数式を直接入力する基本的な方法
スプレッドシートで足し算を行う最も基本的な方法は、セルに直接数式を入力することです。すべての数式は「=」(イコール)記号から始まります。これはスプレッドシートに「これから計算式を入力します」と伝える合図です。
- =5+3 → 結果:8
- =100+250+75 → 結果:425
- =1000+2000+3000+4000 → 結果:10000
数式を入力してEnterキーを押すと、セルには計算結果が表示されます。数式自体は数式バーで確認できます。この方法は、固定の数値を計算する場合や、電卓代わりに使用する場合に便利です。
実務での活用例として、経費精算で領収書の金額を足し合わせる場合: =2500+1800+3200+850 (交通費+会議費+資料代+通信費)
このように、それぞれの費目を明確にしながら計算できるため、後から確認する際にも分かりやすくなります。
SUM関数を使った効率的な足し算
複数の数値を足し合わせる場合、SUM関数を使用すると効率的です。SUM関数は、指定した範囲内のすべての数値を合計する、最も使用頻度の高い関数の一つです。
SUM関数の基本構文: =SUM(値1, 値2, 値3, …)
- =SUM(5,10,15) → 結果:30
- =SUM(100,200,300,400,500) → 結果:1500
SUM関数の利点は、後から数値を追加・削除する際の編集が容易なことです。また、数式が見やすくなり、計算の意図が明確になります。
さらに、SUM関数は数値以外の値(文字列や空白セル)を自動的に無視するため、エラーが発生しにくいという特徴もあります。これは、手入力でのミスを防ぐ上で重要な機能です。
セル参照を使った動的な足し算
実務では、固定の数値ではなく、セルに入力された値を参照して計算することが一般的です。セル参照を使用することで、元のデータが変更されても自動的に計算結果が更新される動的な計算が可能になります。
- =A1+B1 → A1セルとB1セルの値を足す
- =A1+B1+C1+D1 → 4つのセルの値を足す
- =SUM(A1,B1,C1,D1) → SUM関数でも同じ結果
例えば、月別売上の集計では
A列:月、B列:売上金額
A1: 1月 B1: 1,500,000
A2: 2月 B2: 1,800,000
A3: 3月 B3: 2,100,000
B4: =B1+B2+B3 (第1四半期合計)
範囲指定による効率的な計算
連続したセルの範囲を指定することで、大量のデータも簡単に合計できます。範囲は「開始セル:終了セル」の形式で指定します。
- =SUM(A1:A10) → A1からA10までの10個のセルを合計
- =SUM(B2:B100) → B2からB100までの99個のセルを合計
- =SUM(A1:C3) → 3×3の範囲(9個のセル)を合計
- 大量のセルを個別に指定する必要がない
- データが追加されても、範囲内であれば自動的に計算に含まれる
- 数式が簡潔で分かりやすい
実務での活用例: 年間の経費集計で、各月の経費がB2:B13に入力されている場合 =SUM(B2:B13) で年間合計を簡単に計算できます。
複数範囲の同時計算
SUM関数では、複数の範囲を同時に指定することも可能です。カンマで区切ることで、離れた範囲も一つの数式で合計できます。
- =SUM(A1:A5,C1:C5) → A列とC列の範囲を合計
- =SUM(A1:A10,D1:D10,G1:G10) → 3つの範囲を合計
- =SUM(A1:C3,E1:G3) → 2つの3×3範囲を合計
これは、部門別の売上を合計する場合などに便利です。
営業1課:A2:A13
営業2課:C2:C13
営業3課:E2:E13
全営業部合計:=SUM(A2:A13,C2:C13,E2:E13)
スプレッドシートの足し算に縦一列の範囲を指定する方法
列全体を指定する方法
スプレッドシートでは、列全体を範囲として指定することができます。これは、データが随時追加される場合に特に便利です。
- =SUM(A:A) → A列全体を合計
- =SUM(B:B) → B列全体を合計
- =SUM(C:D) → C列とD列全体を合計
この方法の利点は、新しいデータを列の最後に追加しても、自動的に計算に含まれることです。売上日報や在庫管理など、日々データが追加される業務で威力を発揮します。
注意点として、列全体を指定する場合、ヘッダー行に数値が含まれていると、それも合計に含まれてしまいます。これを避けるためには、次の方法を使用します。
ヘッダーを除外した範囲指定
実務では、1行目にヘッダー(項目名)があることが一般的です。ヘッダーを除外して合計を計算する方法。
- =SUM(A2:A) → A列の2行目以降を合計
- =SUM(B3:B) → B列の3行目以降を合計
- =SUM(C2:C1000) → C列の2行目から1000行目まで
例えば、売上管理表ですと次のようになります。
A1: 日付(ヘッダー)
B1: 売上金額(ヘッダー)
B2以降: 実際の売上データ
合計: =SUM(B2:B)
スプレッドシートの足し算にまつわる便利な関数
SUMIF関数:条件を満たす値のみを合計
SUMIF関数は、指定した条件を満たすセルのみを合計する強力な関数です。
構文: =SUMIF(条件範囲, 条件, 合計範囲)
実務での活用例:
- 部署別の経費集計A列:部署名、B列:経費金額
営業部の合計:=SUMIF(A:A,”営業部”,B:B) - 一定金額以上の取引の合計A列:取引先、B列:取引金額
10万円以上の取引合計:=SUMIF(B:B,”>=100000″,B:B) - 特定の商品カテゴリの売上合計A列:商品カテゴリ、B列:売上金額
食品の売上合計:=SUMIF(A:A,”食品”,B:B)
SUMIFS関数:複数条件での合計
SUMIFS関数は、複数の条件すべてを満たす場合のみ合計する関数です。
構文: =SUMIFS(合計範囲, 条件範囲1, 条件1, 条件範囲2, 条件2, …)
実務での活用例:
- 期間と部署を指定した売上集計A列:日付、B列:部署、C列:売上
2024年1月の営業部売上:
=SUMIFS(C:C,A:A,”>=2024/1/1″,A:A,”<=2024/1/31″,B:B,”営業部”) - 商品カテゴリと価格帯での集計A列:商品カテゴリ、B列:単価、C列:売上個数
食品で単価1000円以上の売上個数:
=SUMIFS(C:C,A:A,”食品”,B:B,”>=1000″)
SUMPRODUCT関数:配列の積の合計
SUMPRODUCT関数は、複数の配列の対応する要素を掛け合わせ、その合計を求める関数です。
構文: =SUMPRODUCT(配列1, 配列2, …)
実務での活用例:
- 単価×数量の合計(売上総額)A列:単価、B列:数量
売上総額:=SUMPRODUCT(A2:A100,B2:B100) - 加重平均の計算A列:評価点、B列:重み
加重平均:=SUMPRODUCT(A2:A10,B2:B10)/SUM(B2:B10)
SUBTOTAL関数:フィルター適用時の合計
SUBTOTAL関数は、フィルターで絞り込んだデータのみを集計する際に便利です。
構文: =SUBTOTAL(機能番号, 範囲) ※機能番号9または109がSUMに相当
特徴:
- フィルターで非表示の行を除外して計算
- 9:手動で非表示にした行も含む
- 109:手動で非表示にした行も除外
活用例:
フィルター適用後の売上合計:=SUBTOTAL(9,B:B)
RUNNING TOTAL(累計)の計算
日々の売上や在庫の累計を計算する方法:
方法1:相対参照と絶対参照の組み合わせ
B2: =SUM($B$2:B2) ← 下にコピーすると累計になる
B3: =SUM($B$2:B3)
B4: =SUM($B$2:B4)
方法2:SCAN関数(利用可能な場合)
=SCAN(0,B2:B100,LAMBDA(累計,値,累計+値))
ARRAYFORMULA関数での一括計算
大量のデータに対して一度に計算を適用する場合:
横方向の合計を縦に一括計算:
=ARRAYFORMULA(A2:A100+B2:B100+C2:C100)
条件付き合計の一括適用:
=ARRAYFORMULA(IF(A2:A100=”営業部”,B2:B100,0))
スプレッドシートの足し算を活用して業務効率を向上させよう
スプレッドシートの足し算機能は、単純な計算から複雑な集計まで、幅広い業務ニーズに対応できます。基本的な数式入力から始めて、SUM関数、条件付き合計、そして高度な関数まで段階的にマスターすることで、日々の集計作業が劇的に効率化されます。
本記事で紹介した様々な手法を実務で試しながら、自分の業務に最適な方法を見つけていきましょう。小さな効率化の積み重ねが、大きな時間削減につながります。
この記事をお読みの方におすすめのガイド5選【部署別紹介】
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経理担当者向け
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