- 作成日 : 2025年10月16日
スプレッドシートでスケジュール表を作成するには?効率的な管理術まで解説
Googleスプレッドシートを活用したスケジュール管理は、チームでの共有や自動化機能により、従来のカレンダーアプリとは異なる、関数・条件付き書式・共有権限など「表計算ならではの柔軟性」を活かせます。
本記事では、基本的なスケジュール表の作成方法から、条件付き書式や関数を使った高度な管理術まで、プロジェクト管理や個人の予定管理に役立つテクニックを詳しく解説します。
テンプレートの活用法や、Googleカレンダーとの連携方法も含めて、効率的なスケジュール運用を実現しましょう。
目次
スプレッドシートでスケジュール表を作ろう
基本的な週間スケジュール表の作成手順
週間スケジュール表は、1週間の予定を一覧で管理でき、個人の時間管理やチームの稼働状況を把握するのに最適です。シンプルな構造ながら、カスタマイズ性が高く、様々な用途に応用できます。
STEP1:基本構造を作成
- A1セルに「時間」と入力
- B1からH1に曜日を入力(月〜日)
- A2から下に時間帯を入力(例:9:00、10:00…)
- 必要な時間数分の行を作成
STEP2:書式設定で見やすくする
- ヘッダー行(1行目)を選択
- 背景色を設定(例:薄い青)
- 文字を太字に変更
- 中央揃えに設定
- 罫線を追加して区切りを明確に
STEP3:セルのサイズを調整
- 列幅を内容に合わせて調整
- 行の高さを統一(推奨:30〜40ピクセル)
- 固定行を設定(表示→固定→1行)
STEP4:入力規則を設定
データ → データの入力規則
– 条件:プルダウン
– 項目:会議,作業,休憩,外出,その他
この基本構造により、予定の入力と管理が効率的に行えるようになります。
月間カレンダー形式のスケジュール表作成
月間カレンダー形式は、1ヶ月の全体像を把握しやすく、長期的な計画立案や締切管理に適しています。祝日や週末の色分けも簡単に設定でき、視認性の高いスケジュール表を作成できます。
STEP1:カレンダーの枠組みを作成
- A1セルに年月を入力(例:2025年1月)
- A2からG2に曜日ヘッダー(日~土)を入力
- 7列×11行の表を作成
STEP2:日付を自動生成する数式を設定
=IF( MOD(ROW()-3,2)=0,
IF( (COLUMN()-1) + INT((ROW()-3)/2)*7 + 1 >= WEEKDAY(DATE(2025,1,1),1),
IF( (COLUMN()-1) + INT((ROW()-3)/2)*7 – WEEKDAY(DATE(2025,1,1),1) + 2 <= DAY(EOMONTH(DATE(2025,1,1),0)),
(COLUMN()-1) + INT((ROW()-3)/2)*7 – WEEKDAY(DATE(2025,1,1),1) + 2, “” ), “”), “”)
STEP3:条件付き書式で週末を色分け
- カレンダー範囲を選択
- 条件付き書式を開く
- カスタム数式:=OR(COLUMN()=1,COLUMN()=7)
ヘッダーは「日〜土」の順と明記。月曜始まりの場合は式を変更。 - 背景色を薄いグレーに設定
STEP4:予定記入エリアを追加
- 各日付セルの下にある空白行を選択
- セル内での改行を許可(表示形式→テキストの折り返し)
- フォントサイズを調整して複数予定に対応
月間ビューにより、締切や重要イベントの把握が容易になり、計画的な業務遂行が可能になります。
ガントチャート形式のプロジェクトスケジュール
ガントチャート形式は、複数のタスクの進行状況と期間を視覚的に表現でき、プロジェクト管理に最適なスケジュール表です。タスクの依存関係や進捗率も表示でき、チーム全体の作業状況を一目で把握できます。
STEP1:タスクリストの作成
- A列:タスク名
- B列:担当者
- C列:開始日
- D列:終了日
- E列:進捗率(%)
- F列:ステータス
STEP2:日付軸の設定
- G1から右に日付を横に展開
- プロジェクト期間分の列を作成
- 日付は=G1+1の数式でコピー
STEP3:条件付き書式でバーを表示
カスタム数式:
=AND(G$1>=$C2,G$1<=$D2)
背景色:青(タスク期間を表示)
STEP4:進捗状況の可視化
// 進捗率に応じて色を変更
function updateProgress() {
var sheet = SpreadsheetApp.getActiveSheet();
var lastRow = sheet.getLastRow();
for (var i = 2; i <= lastRow; i++) {
var progress = sheet.getRange(i, 5).getValue();
var color = progress < 50 ? ‘#ffcccc’ :
progress < 100 ? ‘#ffffcc’ : ‘#ccffcc’;
sheet.getRange(i, 5).setBackground(color); }}
ガントチャートにより、プロジェクト全体の時間軸と各タスクの関係性が明確になります。
テンプレートを活用した効率的な作成方法
Googleが提供する公式テンプレートや、コミュニティで共有されているテンプレートを活用することで、作成時間を大幅に短縮できます。基本構造が整っているため、必要に応じてカスタマイズするだけで使用開始できます。
STEP1:テンプレートギャラリーにアクセス
- Googleドライブを開く
- 「新規」→「Googleスプレッドシート」
- 「テンプレートから」を選択
- スケジュール関連テンプレートを探す
STEP2:テンプレートをカスタマイズ
- 不要な項目を削除
- 必要な列や行を追加
- 会社やチームのロゴを挿入
- カラーテーマを統一
STEP3:マスターテンプレートとして保存
- ファイル→コピーを作成
- 「テンプレート_スケジュール」と命名
- 共有設定で「リンクを知っている全員」→「閲覧可」に設定
- チームメンバーに共有
STEP4:定期的な更新とメンテナンス
- 月次でテンプレートを見直し
- フィードバックを収集して改善
- バージョン管理を実施
テンプレートの活用により、統一感のあるスケジュール管理が実現できます。
スプレッドシートでのスケジュール管理術
条件付き書式を使った視覚的な管理方法
条件付き書式を活用すると、締切間近のタスクや重要度の高い予定を自動的にハイライトし、見落としを防ぐことができます。また、色分けルールを適切に設定することで、優先順位が一目瞭然になります。
STEP1:締切アラートの設定
- 範囲を選択(締切日列)
- カスタム数式:=AND(D2-TODAY()<=3,D2-TODAY()>=0)
- 背景色:黄色(3日前から警告)
- 別ルール:=D2<TODAY()
- 背景色:赤(期限切れ)
STEP2:優先度による色分け
- 優先度列を作成(高・中・低)
- 各優先度に色を割り当て
- テキストが「高」の場合→赤
- テキストが「中」の場合→黄
- テキストが「低」の場合→緑
STEP3:進捗状況のビジュアル化
- 進捗率列を選択
- 条件付き書式→カラースケール
- 最小値(0%):赤
- 中間値(50%):黄
- 最大値(100%):緑
STEP4:カスタムアイコンの活用
- ✓ 完了タスク
- ⚠ 要注意タスク
- 🔄 進行中タスク
- 📅 予定タスク
視覚的な管理により、重要な情報を瞬時に把握でき、的確な判断が可能になります。
関数を使った自動化と効率化
スプレッドシートの関数を活用することで、日付計算や進捗集計などを自動化し、手動更新の手間を削減できます。適切な関数の組み合わせにより、動的なスケジュール管理が実現します。
STEP1:自動日付計算
残り日数の計算:
=IF(D2=””,””,D2-TODAY())
営業日計算:
=NETWORKDAYS(TODAY(),D2)
週番号の表示:
=WEEKNUM(A2)
STEP2:ステータス自動更新
=IFS(
E2=100,”完了”,
D2<TODAY(),”遅延”,
D2-TODAY()<=3,”間近”,
E2>0,”進行中”,
TRUE,”未着手”)
STEP3:集計関数の活用
タスク数のカウント:
=COUNTIF(F:F,”進行中”)
完了率の計算:
=COUNTIF(F:F,”完了”)/COUNTA(F:F)
担当者別の集計:
=COUNTIFS(B:B,”山田”,F:F,”完了”)
STEP4:動的なダッシュボード作成
=QUERY(A:F,
“SELECT B, COUNT(A), AVG(E)
WHERE F != ‘完了’
GROUP BY B
LABEL COUNT(A) ‘タスク数’, AVG(E) ‘平均進捗率'”)
関数による自動化で、リアルタイムな状況把握と迅速な意思決定が可能になります。
チームでの共有と権限を管理するための工夫
スプレッドシートの共有機能を適切に活用することで、チーム全体でスケジュールを効率的に管理できます。権限設定とルール整備により、セキュアで生産的な環境を構築できます。
STEP1:適切な権限レベルの設定
- 閲覧者:スケジュール確認のみ必要なメンバー
- コメント可:フィードバックは必要だが編集は不要
- 編集者:自分のタスクを更新する担当者
- オーナー:全体管理とメンテナンス担当
STEP2:編集ルールの策定
- 編集可能な範囲を明確化
- 色の使用ルールを統一
- 更新頻度とタイミングを規定
- バックアップの責任者を指定
STEP3:コメント機能の活用
効果的なコメント活用:
– 変更理由の記載
– 関連資料へのリンク
– @メンションでの通知
– 解決済みを含むコメント履歴を表示、必要に応じて再開も可能
STEP4:変更履歴の管理
- ファイル→変更履歴を表示
- 重要な変更にバージョン名を付与
- 定期的に主要バージョンを保存
- 問題発生時の復元手順を文書化
適切な共有設定により、情報の透明性とセキュリティを両立できます。
Googleカレンダーとの連携活用
Googleカレンダーとスプレッドシートを連携させることで、スケジュールデータの一元管理と多様な表示形式での活用が可能になります。以下はエクスポート/インポートの実装例です。双方向同期には、イベントIDの保存と差分更新(重複防止)ロジックが必要です。
STEP1:カレンダーへのエクスポート
function exportToCalendar() {
var sheet = SpreadsheetApp.getActiveSheet();
var calendar = CalendarApp.getDefaultCalendar();
var lastRow = sheet.getLastRow();
for (var i = 2; i <= lastRow; i++) {
var title = sheet.getRange(i, 1).getValue();
var startDate = sheet.getRange(i, 3).getValue();
var endDate = sheet.getRange(i, 4).getValue();
if (title && startDate && endDate) {
calendar.createEvent(title, startDate, endDate); }}}
STEP2:カレンダーからのインポート
function importFromCalendar() {
var calendar = CalendarApp.getDefaultCalendar();
var startDate = new Date();
var endDate = new Date();
endDate.setMonth(endDate.getMonth() + 1);
var events = calendar.getEvents(startDate, endDate);
var sheet = SpreadsheetApp.getActiveSheet();
events.forEach(function(event, index) {
sheet.getRange(index + 2, 1).setValue(event.getTitle());
sheet.getRange(index + 2, 3).setValue(event.getStartTime());
sheet.getRange(index + 2, 4).setValue(event.getEndTime());
});}
STEP3:自動同期の設定
- Apps Scriptでトリガーを設定
- 毎日定時に同期を実行
- 変更検知による差分更新
- エラーログの記録
STEP4:活用シーン
- 会議室予約との連携
- リマインダー通知の自動化
- モバイルアプリでの確認
- 外部カレンダーとの統合
連携により、場所やデバイスを問わない柔軟なスケジュール管理が実現します。
スプレッドシートでスケジュール管理を最適化する
Googleスプレッドシートを活用したスケジュール管理は、その柔軟性と拡張性により、個人からチームまで幅広いニーズに対応できる強力なツールです。基本的な表作成から、条件付き書式や関数を使った自動化、さらにGoogleカレンダーとの連携まで、本記事で紹介した手法を組み合わせることで、効率的で視覚的なスケジュール管理システムを構築できます。
定期的な見直しと改善により、組織全体の生産性向上に貢献するスケジュール管理を実現してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
REPT関数完全ガイド|文字列を繰り返す方法と実践的な活用術
REPT関数は、指定した文字列を指定回数だけ繰り返して表示するExcelの文字列関数です。データの視覚化やレポート作成、簡易的なグラフ作成など、様々な場面で活用できる便利な機能です。 本記事では、REPT関数の基本的な使い方から実践的な応用…
詳しくみるスプレッドシートで文字列を操作するには?数値変換や基本操作ガイド
Googleスプレッドシートで文字列を正しく扱うことは、データ管理の基本です。顧客IDや電話番号、商品コードのように、数値ではなく文字列として処理する必要があるデータは少なくありません。先頭のゼロが消える、数値が勝手に計算対象になるといった…
詳しくみるエクセルでセル内改行する方法とは?できない場合はどうする?
エクセルを使用する際、セル内での改行はデータを整理し、見やすくするために非常に重要です。しかし、多くの方がその方法が分からず、困っていることが多いです。本記事では、エクセルでセル内に改行を加える具体的な手法について詳しくご紹介します。また、…
詳しくみるスプレッドシートのSUMIFS関数で複数条件の集計を効率化するには?使い方から応用テクニックまで徹底解説
Googleスプレッドシートで複数の条件を指定して数値を合計したい場合、SUMIFS関数が最も効率的な解決策となります。売上データの月別・部門別集計、在庫管理での条件付き合計、経費精算での項目別集計など、ビジネスシーンで頻繁に必要となる複数…
詳しくみるTRIMMEAN関数の使い方:外れ値を除いた平均を計算する方法
TRIMMEAN関数は、データセットの上下から指定した割合のデータを除外して平均を計算する関数です。異常値や外れ値の影響を受けにくい統計値を求めたい場合、例えば採点競技での得点計算、給与データの分析、品質管理での測定値の評価などで活用されま…
詳しくみるHOUR関数の使い方:時刻データから時間を抽出する方法
HOUR関数は、時刻データから「時」の部分だけを取り出す関数です。勤怠管理での労働時間計算、スケジュール管理での時間帯別集計、24時間営業の売上分析など、時間に関するデータ処理で頻繁に使用されます。例えば、「14:30:45」という時刻から…
詳しくみる