- 更新日 : 2025年10月16日
スプレッドシートとNotionを連携するには?埋め込みから使い分けまで解説
GoogleスプレッドシートとNotionは、それぞれ異なる強みを持つ生産性ツールです。
スプレッドシートの高い計算・分析能力と、Notionの柔軟なデータベース・ドキュメント機能を組み合わせることで、情報管理やチームの共同作業をより効率的に行えます。
本記事では、両ツールを連携させる具体的な方法から、埋め込み手順、活用シーン別の使い分けまでを詳しく解説します。API連携から簡単な埋め込みまで幅広く紹介し、自社の業務に最適な統合方法を見つけられるようサポートします。
目次
スプレッドシートとNotionを連携する主な方法は?
スプレッドシートとNotionを連携する方法には、Zapierなどの自動化ツール経由、Notion API直接利用、CSV経由の手動同期、埋め込み表示の4つがあり、用途と技術レベルに応じて選択できます。
それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、データの更新頻度、技術的なスキル、予算などを考慮して最適な方法を選ぶことが重要です。
Zapierを使った自動連携
Zapierは、プログラミング知識不要で様々なアプリを連携できるツールです。スプレッドシートとNotionの間でデータを自動同期する最も簡単な方法の一つです。
Zapierでの連携設定手順は以下の通りです。まず、Zapierアカウントを作成し、新しいZap(自動化フロー)を作成します。トリガーとしてGoogle Sheetsを選択し、「New Spreadsheet Row」などのイベントを設定します。次に、アクションとしてNotionを選択し、「Create Database Item」を設定します。
具体的な活用例として、スプレッドシートで管理している顧客リストを、新規追加があるたびにNotionのCRMデータベースに自動追加する仕組みが構築できます。これにより、データの二重管理を避けながら、それぞれのツールの強みを活かせます。
Zapierの無料プランでは月100タスクまで利用可能ですが、本格的な業務利用には有料プランが必要になる場合があります。最新の公式情報を確認してください。
Notion APIを使った直接連携
より高度な連携が必要な場合は、Notion APIを直接利用する方法があります。Google Apps Script(GAS)を使用することで、カスタマイズ性の高い連携システムを構築できます。
基本的なGASコードの例:
function syncToNotion() {
const sheet = SpreadsheetApp.getActiveSheet();
const data = sheet.getDataRange().getValues();
const notionUrl = ‘https://api.notion.com/v1/pages’;
const token = ‘YOUR_NOTION_TOKEN’;
const options = {
method: ‘post’,
headers: {
‘Authorization’: ‘Bearer ‘ + token,
‘Content-Type’: ‘application/json’,
‘Notion-Version’: ‘2022-06-28’ },
payload: JSON.stringify({
parent: { database_id: ‘YOUR_DATABASE_ID’ },
properties: {
// データマッピング } }) };
UrlFetchApp.fetch(notionUrl, options);}
この方法により、定期的な自動同期、条件付き同期、双方向同期など、複雑な要件にも対応できます。ただし、プログラミングスキルが必要であり、APIの仕様変更にも対応する必要があります。
Make(旧Integromat)による視覚的な連携
Makeは、Zapierと同様の自動化ツールですが、より複雑なワークフローを視覚的に構築できる特徴があります。条件分岐、ループ処理、エラーハンドリングなど、高度な処理も可能です。
Makeの利点は、データ変換機能が充実していることです。スプレッドシートの日付形式をNotionの形式に変換したり、複数の列を結合してNotionの1つのプロパティにマップしたりすることが、ビジュアルインターフェースで簡単に設定できます。
価格面では、無料プランでは月1,000オペレーションまで利用可能です。プラン改定の可能性もあるので、最新情報をご確認ください。
CSV経由での手動同期
技術的なツールを使わずに連携する最も簡単な方法は、CSV形式を介した手動同期です。定期的な更新で十分な場合や、一時的なデータ移行に適しています。
- スプレッドシートで「ファイル」→「ダウンロード」→「CSV」を選択
- Notionでデータベースページから「インポート」を選択
- CSVファイルをアップロードして、プロパティをマッピング
この方法は、初期セットアップが不要で誰でも実行できますが、リアルタイム性がなく、定期的な手作業が必要になります。
Notionにスプレッドシートを埋め込む手順は?
Notionページにスプレッドシートを埋め込むには、埋め込みブロックを使用して共有リンクを貼り付ける方法と、Google Drive埋め込みを使用する方法があり、表示形式や権限設定に注意が必要です。
埋め込み機能により、Notionのドキュメント内で直接スプレッドシートを表示・編集できるようになります。
基本的な埋め込み手順
スプレッドシートをNotionに埋め込む基本手順を詳しく説明します。
まず、Googleスプレッドシートで共有設定を行います。右上の「共有」ボタンをクリックし、「リンクを取得」から「リンクを知っている全員」に変更します。このとき、閲覧権限か編集権限を選択できますが、Notion内での編集を可能にする場合は編集権限を設定します。権限設定後は「リンクをコピー」をクリックし、共有リンクを取得してください。
次に、Notionページで埋め込みを行います。埋め込みたい位置で「/」を入力し、「embed」と検索して埋め込みブロックを選択します。スプレッドシートの共有リンクを貼り付けて、Enterキーを押すと埋め込みが完了します。
埋め込まれたスプレッドシートは、Notion内でサイズ調整が可能です。ブロックの端をドラッグすることで、幅や高さを自由に変更できます。
表示オプションとカスタマイズ
埋め込んだスプレッドシートの表示をカスタマイズすることで、Notionページとの統一感を高められます。
Notionのアクションによる制御:埋め込んだスプレッドシート上にマウスカーソルを合わせたとき、右上に表示されるアクションで表示などをカスタマイズできます。
- コメント – スプレッドシートにコメントなどを記載
- 配置 – 表示ウィンドウの位置を微調整
- キャプション – スプレッドシートの説明などを記載
- オリジナル – オリジナルのスプレッドシートを表示
- その他アクション – 置換・全画面表示・リンクのコピーなどを利用可能
権限管理とセキュリティ考慮
埋め込みスプレッドシートの権限管理は重要な課題です。
- Notionページの閲覧権限
- スプレッドシートの閲覧/編集権限
両方の権限が必要になるため、適切な設定が重要です。機密データを含む場合は、限定公開リンクではなく、特定のユーザーのみに権限を付与する方法を推奨します。
また、埋め込みではなくリンクとして表示する選択肢もあります。この場合、クリックすると別タブでスプレッドシートが開きます。セキュリティを重視する場合はこちらの方法が安全です。
埋め込み時のトラブルシューティング
埋め込みがうまくいかない場合の対処法を紹介します。
「埋め込みが表示されない」場合は、共有設定を再確認します。「制限付き」になっていると埋め込みができません。
「This content is blocked」というエラーが表示される場合、組織のGoogle Workspaceの設定で外部埋め込みが制限されている可能性があります。IT管理者に確認が必要です。
表示が崩れる場合は、埋め込みブロックのサイズを調整するか、URLパラメータで表示範囲を限定します。
スプレッドシートとNotionの使い分けは?
スプレッドシートは複雑な計算とデータ分析に優れ、Notionは情報の構造化とコンテンツ管理に強みがあるため、用途に応じて使い分けることで最大の効果を発揮します。
両ツールの特性を理解し、適材適所で活用することが生産性向上の鍵となります。
スプレッドシートが優れている場面
スプレッドシートが最適な用途と、その理由を詳しく解説します。
数値計算とデータ分析:
複雑な数式、ピボットテーブル、統計関数など、高度な計算機能はスプレッドシートの独壇場です。売上分析、予算管理、財務モデリングなど、数値を扱う業務では圧倒的に優位です。
グラフとビジュアライゼーション:
多様なグラフタイプ、カスタマイズ可能な軸設定、トレンドラインなど、データの視覚化機能が充実しています。プレゼンテーション資料の作成にも適しています。
大量データの一括処理:
数万行のデータでも、フィルター、並べ替え、検索置換などの操作が高速に実行できます。CSVファイルのインポート/エクスポートも簡単で、他システムとの連携も容易です。
リアルタイム共同編集:
複数人が同時に編集する場合、セル単位での編集が可能なスプレッドシートは、競合が起きにくく効率的です。
Notionが優れている場面
Notionが特に効果を発揮する用途を説明します。
プロジェクト管理:
カンバンボード、ガントチャート、カレンダービューなど、多様な表示形式でタスクを管理できます。ステータス、担当者、期限などのプロパティを使った柔軟な管理が可能です。
ナレッジベース構築:
階層構造のページ、リッチテキスト編集、画像・動画の埋め込みなど、ドキュメント作成機能が充実しています。社内Wikiや操作マニュアルの作成に最適です。
データベースとコンテンツの統合:
1つのページ内にテキスト、表、画像、埋め込みコンテンツを自由に配置できます。議事録にタスクリストを含めるなど、複合的な情報管理が可能です。
テンプレート機能:
繰り返し使用する構造をテンプレート化し、ワンクリックで複製できます。定型業務の効率化に貢献します。
併用による相乗効果
両ツールを組み合わせることで、それぞれの弱点を補完できます。効果的な併用パターンを以下に紹介します。
- データ分析+レポート作成
- スプレッドシート:生データの収集と分析
- Notion:分析結果のレポート化と共有
- 予算管理+プロジェクト管理
- スプレッドシート:詳細な予算計算
- Notion:プロジェクト全体の進捗管理
- 顧客データ+営業活動記録
- スプレッドシート:顧客リストと売上データ
- Notion:商談履歴と提案資料の管理
このような使い分けにより、情報管理の効率と質を同時に向上させることができます。
実践的な連携活用事例は?
実際の業務でスプレッドシートとNotionを連携させることで、売上管理システム、タスク管理システム、コンテンツカレンダーなど、高度な情報管理システムを構築できます。
具体的な事例を通じて、連携の価値を理解できます。
売上データの統合管理システム
営業チームでの活用事例を紹介します。
- スプレッドシート:日次売上データの入力と集計
- Notion:月次レポートと分析結果の可視化
- 連携方法:Zapierで日次自動同期
スプレッドシートでは、各営業担当が日々の売上を入力し、自動計算で部門別・製品別の集計を行います。これらのデータは毎晩Zapier経由でNotionデータベースに転送され、ダッシュボードページで可視化されます。
Notionでは、売上トレンドのグラフ、達成率のプログレスバー、重要指標のカードビューなどを配置し、経営層が一目で状況を把握できるようにします。また、分析コメントや改善提案もNotion内で管理します。
コンテンツ制作ワークフロー
マーケティングチームでの活用パターンです。
- Notion:コンテンツカレンダーで企画管理
- スプレッドシート:SEOキーワード分析と効果測定
- 連携:Makeを使用して相互同期
Notionのカレンダービューで公開スケジュールを管理し、各コンテンツの企画書、下書き、レビューコメントを一元化します。一方、スプレッドシートではキーワードボリューム、競合分析、公開後のパフォーマンスデータを詳細に分析します。
両者をMakeで連携することで、Notionで企画したコンテンツのパフォーマンスデータが自動的にスプレッドシートに記録され、分析結果がNotionにフィードバックされる循環が生まれます。
在庫管理と発注システム
ECビジネスでの実装例です。
- スプレッドシート:在庫数計算と発注点管理
- Notion:商品カタログと仕入先情報
- 連携:GASによるリアルタイム同期
スプレッドシートで在庫の入出庫を記録し、自動計算で現在庫数と発注推奨数を算出します。発注点を下回った商品は、GAS経由でNotionの「要発注リスト」に自動追加されます。
Notionでは、商品の詳細情報、仕入先の連絡先、過去の発注履歴を管理します。発注担当者は、Notionの要発注リストを確認し、ワンクリックで発注処理を進められます。
連携における技術的な考慮点は?
スプレッドシートとNotionの連携を実装する際は、API制限、データ型の違い、同期タイミング、エラーハンドリングなど、技術的な課題に対処する必要があります。
これらの課題を事前に理解し、適切に対処することで、安定した連携システムを構築できます。
APIレート制限と対策
両サービスのAPI制限を理解し、適切に対処することが重要です。
- リクエスト数:3リクエスト/秒
- ペイロードサイズ:最大で1000ブロック要素、全体で500kb
- ブロックの子要素:最大100個
- バッチ処理の実装:複数のデータをまとめて送信
- キューイングシステム:リクエストを順次処理
- 指数バックオフ:エラー時の再試行間隔を段階的に延長
実装例(GAS):
function batchSync() {
const batch = [];
const batchSize = 10;
// データをバッチに分割
for (let i = 0; i < data.length; i += batchSize) {
batch.push(data.slice(i, i + batchSize)); }
// 各バッチを順次処理
batch.forEach((items, index) => {
Utilities.sleep(1000); // 1秒待機
syncBatch(items); });}
データ型の変換と整合性
スプレッドシートとNotionでは、データ型の扱いが異なります。
- 日付:スプレッドシート(シリアル値)→ Notion(ISO 8601形式)
- チェックボックス:TRUE/FALSE → boolean
- 選択肢:文字列 → Select/Multi-selectプロパティ
変換関数の例:
function convertDateFormat(spreadsheetDate) {
const date = new Date(spreadsheetDate);
return date.toISOString();}
function convertSelect(value) {
return { name: value.toString() };}
同期の方向性と競合解決
双方向同期を実装する場合、データの競合に注意が必要です。
- タイムスタンプベース:最新の更新を優先
- マスター設定:一方向を優先(例:スプレッドシートが常にマスター)
- 手動解決:競合時に通知して手動で解決
- 更新日時の記録と比較
- ロック機構の実装
- 変更ログの保持
スプレッドシートとNotionを効果的に統合して業務を最適化する
スプレッドシートとNotionの連携は、それぞれのツールの強みを最大限に活かし、弱点を補完する強力な手法です。Zapier、Make、APIなど様々な連携方法から、技術レベルと要件に応じて最適な方法を選択できます。スプレッドシートの計算能力とNotionの情報構造化能力を組み合わせることで、単独では実現できない高度な情報管理システムを構築できます。
両ツールの特性を理解し、適切に使い分けながら連携させることで、業務の効率と質を大幅に向上させることができるでしょう。まずは簡単な埋め込みから始めて、徐々に高度な連携へと発展させていくことをお勧めします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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