- 作成日 : 2025年9月22日
スプレッドシートの作り方完全ガイド!編集・共有から料金まで初心者向けに解説
クラウド上で動作し、リアルタイムで共同編集ができるGoogleスプレッドシート。エクセルからの移行を検討している方や、初めて表計算ソフトを使う方にとって、どこから始めればよいか迷うことも多いでしょう。本記事では、企業のバックオフィス担当者向けに、Googleスプレッドシートの作成方法から基本的な編集、共有設定、エクセルとの比較、料金体系、スマートフォンでの使い方まで、実務で必要な知識を分かりやすく解説します。
目次
スプレッドシートの作り方
Googleアカウントの準備
Googleスプレッドシートを使用するには、まずGoogleアカウントが必要です。既にGmailを使用している方は、そのアカウントでそのまま利用できます。アカウントを持っていない場合は、無料で作成できます。
企業で使用する場合、個人のGoogleアカウントを使うか、組織向けのGoogle Workspace(旧G Suite)アカウントを使うかを検討する必要があります。Google Workspaceは有料ですが、独自ドメインのメールアドレスが使用でき、管理機能やセキュリティが強化されているため、ビジネス利用には適しています。
アカウントの作成は、Googleのトップページから「アカウントを作成」をクリックし、必要な情報を入力するだけで完了します。企業での利用を考えている場合は、セキュリティの観点から2段階認証の設定も推奨されます。
スプレッドシートの新規作成方法
Googleアカウントでログインしたら、スプレッドシートを作成する方法はいくつかあります。
方法1:Googleドライブから作成 最も一般的な方法は、Googleドライブを経由する方法です。drive.google.comにアクセスし、左上の「新規」ボタンをクリックします。表示されるメニューから「Googleスプレッドシート」を選択すると、新しいスプレッドシートが作成されます。
方法2:スプレッドシートのホームページから作成 sheets.google.comに直接アクセスすると、スプレッドシートのホームページが表示されます。ここには最近使用したファイルや、様々なテンプレートが表示されています。空白のスプレッドシートを作成する場合は、上部の「+」マークをクリックします。
方法3:テンプレートを使用した作成 業務でよく使用される形式のスプレッドシートは、テンプレートから作成すると効率的です。予算管理、プロジェクト管理、請求書、在庫管理など、様々なテンプレートが用意されています。テンプレートギャラリーから目的に合ったものを選択し、「使用」をクリックすると、そのテンプレートを基にした新しいスプレッドシートが作成されます。
ファイル名の設定と保存
新しく作成されたスプレッドシートは、デフォルトで「無題のスプレッドシート」という名前になっています。左上のファイル名部分をクリックすると、名前を変更できます。
ファイル名は後から検索しやすいように、具体的で分かりやすい名前を付けることが重要です。例えば、
- 「2024年度_売上管理表」
- 「○○プロジェクト_進捗管理」
- 「経費精算_202412」
Googleスプレッドシートの大きな特徴は、自動保存機能です。データを入力したり編集したりすると、数秒以内に自動的にGoogleドライブに保存されます。画面上部に「すべての変更がドライブに保存されました」と表示されれば、保存が完了しています。手動で保存する必要がないため、作業中にデータが失われる心配がありません。
フォルダによる整理
作成したスプレッドシートは、Googleドライブ内で適切に整理することが重要です。業務の種類や部署、プロジェクトごとにフォルダを作成し、関連するファイルをまとめて管理します。
ファイルの移動は、Googleドライブ内でドラッグ&ドロップするか、ファイルを右クリックして「移動」を選択します。スプレッドシートを開いている状態でも、ファイル名の横にあるフォルダアイコンから現在の保存場所を確認し、移動することができます。
定期的にフォルダ構造を見直し、不要なファイルを削除することで、必要なファイルを素早く見つけられる環境を維持できます。
スプレッドシートの編集方法
基本的なデータ入力
スプレッドシートへのデータ入力は、非常に直感的です。入力したいセルをクリックし、キーボードで文字や数値を入力します。入力が完了したらEnterキーを押すか、別のセルをクリックすると確定されます。
セル内で改行したい場合は、WindowsではAlt+Enter、MacではCmd+Enterを押します。これにより、一つのセル内で複数行のテキストを入力できます。
連続したデータの入力には、オートフィル機能が便利です。例えば、A1セルに「1月」と入力し、セルの右下にある小さな四角(フィルハンドル)を下にドラッグすると、「2月」「3月」と自動的に入力されます。曜日、連番、日付なども同様に自動入力できます。
書式設定の基本
データを見やすくするための書式設定も重要です。セルを選択した状態で、ツールバーから様々な書式を適用できます。
- フォントの種類とサイズの変更
- 太字(Ctrl+B)、斜体(Ctrl+I)、下線(Ctrl+U)
- 文字色と背景色の設定
- 配置(左寄せ、中央、右寄せ)
- 通貨形式(¥マークと3桁区切り)
- パーセント表示
- 小数点以下の桁数調整
- 日付と時刻の表示形式
- 罫線の追加(セルの境界線)
- セルの結合と結合解除
- 条件付き書式(特定の条件で自動的に色を変更)
数式と関数の使用
スプレッドシートの真価は、計算機能にあります。基本的な四則演算から、複雑な関数まで使用できます。
数式は必ず「=」で始まります。例えば、
- =A1+B1(A1とB1の合計)
- =A1*0.1(A1の10%)
- =SUM(A1:A10)(A1からA10までの合計)
よく使用される関数には以下のようなものがあります。
- SUM:合計
- AVERAGE:平均
- COUNT:個数をカウント
- IF:条件分岐
- VLOOKUP:データの検索
関数を入力する際は、関数名を入力し始めると自動補完機能が働き、使用可能な関数の候補が表示されます。これにより、関数名を完全に覚えていなくても使用できます。
データの操作と整理
大量のデータを扱う際に便利な機能も豊富です。
並べ替え機能: データを選択し、「データ」メニューから「範囲を並べ替え」を選択すると、特定の列を基準に昇順・降順で並べ替えができます。売上順、日付順、アルファベット順など、様々な基準で整理できます。
フィルター機能: 「データ」→「フィルタを作成」で、各列にフィルターボタンが追加されます。これにより、特定の条件に合うデータのみを表示できます。例えば、特定の部署のデータのみ、一定金額以上の取引のみなど、必要な情報だけを抽出できます。
ピボットテーブル: 大量のデータを様々な角度から分析する際に便利な機能です。「挿入」→「ピボットテーブル」から作成でき、ドラッグ&ドロップで簡単に集計表を作成できます。
スプレッドシートの共有方法
共有の基本設定
Googleスプレッドシートの最大の特徴の一つが、リアルタイムでの共同編集機能です。複数の人が同時に同じファイルを編集でき、変更は即座に全員に反映されます。
共有を開始するには、画面右上の「共有」ボタンをクリックします。表示されるダイアログで、共有したい相手のメールアドレスを入力します。Gmailアドレスであれば、入力中に候補が表示されるため、選択するだけで追加できます。
共有する際は、相手に付与する権限レベルを選択する必要があります。
- 編集者:ファイルの内容を自由に編集できる
- 閲覧者(コメント可):閲覧とコメントの追加のみ可能
- 閲覧者:閲覧のみ可能
業務の性質に応じて適切な権限を設定することが重要です。例えば、部下からの報告を受ける場合は編集権限、上司への報告は閲覧権限、レビューを依頼する場合はコメント権限が適しています。
リンクによる共有
メールアドレスを指定せずに、リンクを知っている人なら誰でもアクセスできるように設定することも可能です。「リンクを取得」セクションで、アクセス権限を設定します。
- 制限付き:特定のユーザーのみアクセス可能(デフォルト)
- リンクを知っている全員:URLを知っていれば誰でもアクセス可能
リンク共有は便利ですが、セキュリティには注意が必要です。機密情報を含むファイルは、必ず「制限付き」に設定し、特定のユーザーのみアクセスできるようにしましょう。
共同編集の活用
複数人での同時編集時には、各ユーザーのカーソル位置が色分けして表示されます。誰がどこを編集しているかが一目で分かるため、作業の重複を避けられます。
コメント機能を使えば、セルに対して質問や提案を残すことができます。セルを選択して右クリック→「コメントを追加」で、ディスカッションを開始できます。@メンションを使えば、特定の人に通知を送ることも可能です。
変更履歴機能により、誰がいつ何を変更したかを追跡できます。「ファイル」→「変更履歴」→「変更履歴を表示」で、過去のバージョンを確認し、必要に応じて復元することもできます。
スプレッドシートとエクセル、どちらがいい?
それぞれの特徴と強み
GoogleスプレッドシートとMicrosoft Excelは、どちらも優れた表計算ソフトですが、それぞれに特徴があります。
- 無料で使用可能(基本機能)
- リアルタイム共同編集
- 自動保存機能
- どこからでもアクセス可能(クラウドベース)
- バージョン管理が簡単
- Google他サービスとの連携
- 高度な機能と豊富な関数
- 大量データの処理性能
- マクロ(VBA)による自動化
- オフラインでの安定動作
- 複雑なグラフや分析ツール
- 業界標準としての互換性
用途による使い分け
どちらを選ぶかは、使用目的や環境によって決まります。
- チームでの共同作業が多い
- 外出先からもアクセスしたい
- 初期費用を抑えたい
- シンプルな表計算で十分
- Google Workspace を使用している
- 複雑な分析や大量のデータ処理
- 高度なグラフ作成が必要
- マクロによる自動化を行いたい
- オフライン環境での作業が多い
- 既存のExcelファイルとの互換性が重要
「一部の企業では、両方を使い分けているケースが増えています。日常的な共同作業はGoogleスプレッドシート、複雑な分析や最終的な報告書作成はExcel、といった使い分けが一般的です。
移行時の注意点
ExcelからGoogleスプレッドシートへ移行する際は、いくつかの注意点があります。
基本的な関数(SUM、AVERAGE、IFなど)は互換性がありますが、一部の高度な関数やマクロは動作しません。また、複雑な書式設定やグラフの一部も、完全には再現されない場合があります。
移行前に、使用している機能がGoogleスプレッドシートでサポートされているか確認し、必要に応じて代替方法を検討することが重要です。小規模なファイルから段階的に移行し、問題がないことを確認してから本格的な移行を進めることをお勧めします。
スプレッドシートの料金はいくら?
個人利用は基本無料
Googleスプレッドシートは、個人のGoogleアカウントで使用する場合、基本的に無料です。これには以下の機能が含まれます。
- スプレッドシートの作成・編集・共有
- 15GBのGoogleドライブストレージ
- Googleドキュメント、スライドなど他のGoogleアプリ
- 基本的なサポート
15GBのストレージは、Gmail、Googleフォト、Googleドライブで共有されます。一般的な使用であれば、この容量で十分なことが多いです。
Google Workspaceの料金プラン
ビジネス利用では、Google Workspace(旧G Suite)の有料プランが推奨されます。(価格は1ユーザーあたり/月額):
- 30GBのストレージ/ユーザー
- 独自ドメインのメール
- 100人までのビデオ会議
- 2TBのストレージ/ユーザー
- 150人までのビデオ会議と録画
- 共有ドライブ
- 5TBのストレージ/ユーザー
- 500人までのビデオ会議
- 高度なセキュリティ機能
価格は為替レートや地域により変動する場合があります。年間契約により割引が適用されることもあります。
有料プランのメリット
有料プランを選択する主なメリットは以下の通りです。
セキュリティとコンプライアンス: 企業向けのセキュリティ機能、データ損失防止、監査ログなど、ビジネスに必要な機能が充実しています。
管理機能: 管理者は、ユーザーアカウントの一元管理、アクセス権限の設定、使用状況の監視などが可能です。
サポート: 24時間365日のサポートが受けられ、問題が発生した際の対応が迅速です。
ストレージ容量: 大容量のストレージにより、大量のファイルを保存できます。
中小企業であれば、Business Starterプランから始めて、必要に応じてアップグレードするのが一般的です。
スマホでスプレッドシートを使うには?
アプリのインストールと初期設定
スマートフォンでGoogleスプレッドシートを使用するには、専用アプリをインストールします。
- iPhone:App Storeで「Google スプレッドシート」を検索
- Android:Google Playストアで「Google スプレッドシート」を検索
アプリは無料でダウンロードできます。インストール後、Googleアカウントでログインすると、PCで作成したファイルが自動的に同期されます。
初回起動時には、通知の許可やオフライン使用の設定を求められます。オフライン機能を有効にすると、インターネット接続がない環境でもファイルの閲覧・編集が可能になります(後でオンラインになった時に同期されます)。
スマホアプリでできること
スマホアプリでは、PCブラウザ版のほとんどの基本機能が使用できます。
データの入力と編集: セルをタップして選択し、キーボードで入力します。数式の入力も可能で、関数の候補も表示されます。
書式設定: 文字の色、背景色、罫線など、基本的な書式設定が可能です。ただし、PCほど細かい設定はできません。
共有と共同編集: ファイルの共有設定や、リアルタイムでの共同編集も可能です。コメントの追加や返信もできます。
オフライン編集: 事前に設定しておけば、オフラインでも編集可能です。地下鉄や飛行機内でも作業を継続できます。
スマホ特有の便利機能
スマホアプリならではの機能もあります。
カメラを使った入力: スプレッドシートには撮影画像を画像として挿入する機能があります。OCR で文字を抽出してセルに入れたい場合は、Google レンズや Keep/Drive/Docs の OCR を使ってテキスト化 → Sheets に貼り付け、という手順が現実的です。
音声入力: スマホの音声入力機能を使って、話した内容をセルに入力できます。移動中や手が塞がっている時に便利です。
通知機能: ファイルが共有されたり、コメントが追加されたりした際に、プッシュ通知を受け取れます。
スマホ使用時の注意点とコツ
スマホでの作業には、いくつかの制限があります。
画面サイズの制約: 画面が小さいため、大きな表の全体像を把握するのが困難です。ピンチ操作でズームイン・アウトを活用し、必要な部分を表示しましょう。
複雑な操作の制限: ピボットテーブルの作成や、高度なグラフ作成など、一部の機能は使用できません。これらの作業はPCで行う必要があります。
入力効率: 大量のデータ入力には向いていません。スマホは主に、外出先での確認や簡単な修正に使用し、本格的な作業はPCで行うという使い分けが推奨されます。
効率的に使うコツとして、よく使うファイルはオフラインで使用できるように設定し、ホーム画面にショートカットを作成しておくと、素早くアクセスできます。
スプレッドシートで業務効率化を始めよう
Googleスプレッドシートは、無料で使えるうえにどこからでもアクセスでき、自動保存や共同編集ができる表計算ツールです。アカウントを作成すれば、ドライブやテンプレートから簡単に新規ファイルを作成でき、基本的な編集・関数・共有設定も直感的に操作できます。
エクセルと比べると高度な分析やマクロは弱いものの、日常的な共同作業には最適です。料金プランは個人利用は無料、ビジネスではGoogle Workspaceの有料プランを選択可能。スマホアプリでも閲覧・編集できるため、外出先でも活用しやすい点が魅力です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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