• 作成日 : 2025年3月31日

営業でテレワークが難しいのはなぜ？原因や改善策、職場環境の整え方も解説

テレワークで営業をするように言われたとき、「顧客との関係をどう維持すればいいのか」「オンラインで成果を出せるのか」と不安に感じることがあるかもしれません。営業は対面でのコミュニケーションが重要というイメージが強く、リモート環境でうまくいくのか疑問に思う人も多いです。

しかし、実際にはテレワークでも成果を上げている営業は存在します。適切なツールを活用し、効果的なコミュニケーション方法を取り入れることで、対面営業と変わらない結果を出すことも可能です。この記事では、営業のテレワークが難しいと感じる原因やその解決策、具体的な取り組みについて詳しく解説します。

テレワークで営業はどう変わる？

顧客訪問がオンライン商談に変わる

従来の営業では、顧客のオフィスを訪問し、対面で商談を行うのが一般的でした。しかし、テレワーク営業では、これがオンライン商談に変わります。ZoomやMicrosoft Teamsなどのビデオ会議ツールを使い、資料を画面共有しながら提案を行う形式が増えています。移動時間がなくなり、より多くの商談を短時間で実施できる一方で、対面ならではの細かいニュアンスが伝わりにくいという課題もあります。

会話がデジタルツールでのやり取りに変わる

オフィスでは、営業担当者同士が気軽に会話し、情報を交換することができます。しかし、テレワークでは、チャットツールやメールを通じたやり取りが主流になります。SlackやMicrosoft Teamsのようなツールを活用し、リアルタイムで相談できる環境を整えることが必要です。また、情報共有のためのデータベースを活用し、過去の商談内容や顧客情報を簡単に検索できるようにすることも大切です。

商材のデモンストレーションが動画や資料に変わる

対面営業では、製品を実際に手に取ってもらいながら説明できましたが、テレワークではこれが難しくなります。そのため、デモンストレーション動画や高品質なプレゼン資料を活用し、顧客に視覚的に伝える工夫が求められます。これにより、対面と同じように説得力のある提案を行うことが可能になります。

営業でテレワークを導入するメリット

営業でテレワークを導入すると、業務の効率化やコスト削減、ワークライフバランスの向上など、多くのメリットがあります。それぞれ詳しく見ていきます。

業務の効率を高める

テレワークでは、移動時間が不要になるため、1日に対応できる商談数が増えます。対面営業では、顧客のオフィスを訪問するために長時間の移動が必要ですが、オンライン商談を活用すれば、効率よく営業活動を進められます。

また、テレワークでは顧客管理システム（CRM）を活用し、過去のやり取りや商談の進捗を即座に確認できるため、より適切なタイミングでアプローチできるようになります。これにより、成約率の向上にもつながります。

コストを削減する

営業のテレワーク導入により、交通費や宿泊費、オフィスの賃料などのコストを削減できます。特に、全国各地の顧客を訪問する営業スタイルの場合、移動費や出張費の負担が大きくなりますが、オンライン商談を活用することで、これらの経費を大幅に減らせます。

また、ペーパーレス化が進むことで、印刷や郵送にかかるコストも削減できます。資料をデジタル化し、オンラインで共有することで、業務の効率も向上します。

ワークライフバランスを向上させる

テレワークを導入することで、営業担当者のワークライフバランスが向上します。出張や長時間の移動がなくなり、仕事とプライベートの時間をより柔軟に調整できるようになります。これにより、業務のモチベーション向上や、離職率の低下にもつながります。

また、リモートワーク環境では、自宅やカフェなど、働く場所を選べるため、ストレスを軽減しながら業務を遂行できます。適切な労働環境を整えることで、社員の満足度も高まります。

幅広い人材を採用できる

テレワークを導入すると、勤務地に縛られずに人材を採用できるため、より優秀な人材を確保しやすくなります。例えば、地方在住の営業担当者や、育児や介護をしながら働く人も、リモート環境であれば無理なく営業活動を続けられます。

また、多様な人材が活躍できる環境を整えることで、企業全体の競争力を高めることができます。

営業でテレワークを導入することで、業務の効率化やコスト削減、ワークライフバランスの向上など、多くのメリットが得られます。

営業でテレワークが進まないのはなぜ？

営業職のテレワークがなかなか進まない背景には、企業側の事情も関係しています。会社によっては、オンライン営業の仕組みを整えるのに時間がかかったり、管理の問題から導入に慎重になったりすることがあります。

主な理由として、次のような点が挙げられます。

営業は「足で稼ぐもの」という考え方が根強い

長年の営業の現場では「営業は足を使って顧客のもとへ通い、信頼関係を築くもの」という考え方が一般的でした。このため、オンラインでの営業活動に切り替えることに対して抵抗感を持つ企業が少なくありません。対面であれば、訪問の回数を重ねることで「熱意」を伝えられると考えられてきましたが、オンラインではこれが難しく、成果が出にくいと感じる企業も多いのが現状です。

経営層がオンライン営業のメリットを理解していない

オンライン営業のメリットには、移動時間の削減、商談数の増加、コストの削減などが挙げられます。しかし、経営層がこれらの利点を十分に理解していないケースが多く、新しい営業手法への移行が進みにくい現状があります。特に、従来の営業スタイルで長年成功してきた企業ほど、変化に慎重になる傾向があります。

営業の進捗が見えにくく、成果を把握しにくい

営業活動の進捗が見えにくいこともテレワーク導入の障壁になっています。対面営業であれば、訪問の回数や顧客とのやり取りの頻度から営業の動きを把握しやすいですが、オンラインでは商談の件数や成約率など、データをもとに評価する必要があります。そのため、営業マネージャーが部下の動きを把握しづらくなり、適切な管理方法を見つけられない企業が多いのです。

チーム内の連携が取りづらく、業務の共有がしにくい

オフィスでは、営業担当者同士が気軽に会話し、成功事例や課題を共有することができますが、テレワークではチャットツールやメールでのやり取りが中心となり、リアルタイムでの情報共有が難しくなります。結果として、営業チーム全体の動きが鈍くなり、営業戦略の一貫性が保ちにくくなります。

ツールの活用が進んでいない

テレワークに必要なオンライン商談ツールや顧客管理システム（CRM）の導入が遅れている企業も多く、営業活動の効率が低下する要因になっています。特に、ITツールに不慣れな営業担当者が多い企業では、新しいツールに適応するまでに時間がかかり、スムーズな運用が難しくなります。

このような問題があるため、営業のテレワーク導入が進みにくい状況が続いています。しかし、適切な対策を講じることで、テレワーク営業を成功させることは可能です。

テレワークの営業が難しいと感じる理由と解決策

営業の仕事は、顧客と直接会って信頼関係を築くことが基本だと考えられています。対面での商談では、表情や態度から相手の反応を読み取り、臨機応変に対応することが可能です。しかし、テレワークではこれが難しくなります。

また、営業には次のような特徴があり、テレワークでは不利に働くことがあります。

顧客との関係構築

営業では顧客との信頼関係が欠かせません。対面なら、雑談や身振り手振りを交えながら自然に関係を深められます。しかし、テレワークでは画面越しのやり取りが中心となり、表情や声のトーンだけで関係を築かなければなりません。例えば、訪問時ならオフィスの雰囲気やデスク周りの小物から話題を広げることができますが、オンラインではそのような情報が得られません。そのため、関係を築くまでに時間がかかることがあります。

この問題を解決するためには、オンラインでも適切なコミュニケーションを意識することが大切です。例えば、ビデオ通話では背景を整え、顔をはっきり見せることで安心感を与えることができます。また、ミーティングの前後で軽い雑談を取り入れることで、リラックスした雰囲気を作ることも関係構築の助けになります。さらに、顧客ごとの関心事を事前にリサーチし、興味を持ちやすい話題を提供することで、オンラインでも自然な関係を築くことができます。

商品・サービスの魅力の伝え方

営業では、顧客に商品やサービスの魅力をしっかり伝えることが欠かせません。しかし、テレワークでは対面のように直接見たり触れたりすることができず、説明の説得力が弱くなりがちです。例えば、新製品を紹介する際、対面なら実際に試してもらいながら説明できますが、オンラインでは動画や画像に頼らざるを得ません。そのため、顧客が具体的にイメージしにくく、納得感が得られないことがあります。

この課題を解決するには、オンラインでも伝わりやすい工夫をすることが大切です。例えば、デモ動画を作成し、実際の使用感を伝える方法があります。また、オンライン商談ではスクリーン共有を活用し、視覚的にわかりやすい資料を提示することが効果的です。さらに、顧客の具体的な課題に応じた事例を紹介し、どのようなメリットがあるのかを具体的に説明することで、より魅力的に伝えることができます。

チーム内での情報共有

オフィスなら、営業チーム内での情報共有がスムーズに行えます。雑談の中で成功事例や課題を共有しやすく、すぐに相談できる環境があります。しかし、テレワークではそうしたやり取りが減り、情報がうまく伝わらないことがあります。例えば、顧客との商談後に「こういう提案をすればよかった」という気づきをチームで共有しにくく、次の営業活動に活かせないケースがあります。

この問題を解決するためには、デジタルツールを活用した情報共有が欠かせません。例えば、クラウド型の顧客管理システム（CRM）を活用し、商談内容や顧客の反応をリアルタイムで記録することで、チーム全体が最新の情報を把握できるようになります。また、チャットツールを導入し、気軽に相談できる環境を整えることも有効です。さらに、定期的にオンライン会議を開催し、成功事例や失敗事例を共有することで、営業活動の質を高めることができます。

営業でテレワークを進めるための職場環境の整え方

テレワーク営業を成功させるには、適切な職場環境を整えることが大切です。業務の円滑化と生産性の向上につながる環境の整備について説明します。

快適な作業スペースを作る

集中して業務を進めるためには、静かで落ち着いた作業スペースが必要です。自宅では、デスクや椅子の配置を見直し、長時間作業しても負担がかからない環境を整えることが大切です。また、照明や音環境を調整し、快適な空間を作ることも、集中力の維持につながります。

高速で安定したインターネット環境を確保する

オンライン商談や会議をスムーズに行うためには、高速で安定したインターネット環境が欠かせません。通信が途切れると、顧客との信頼関係に影響を与える可能性があります。Wi-Fiルーターのアップグレードや有線接続の活用を検討し、安定した接続を確保しましょう。

業務効率を上げるツールを活用する

テレワークでは、営業活動をスムーズに進めるために、オンライン商談ツールや顧客管理システム（CRM）の活用が重要です。適切なツールを導入し、業務の効率を向上させることで、成果を出しやすくなります。

営業でテレワークを成功させる方法

テレワーク営業を成功させるには、適切な戦略と実践が欠かせません。業務の効率化、顧客との関係強化、チームワークの向上など、成功のポイントを紹介します。

目標を明確にし営業活動を可視化する

テレワークでは、業務の進捗が見えにくくなるため、目標設定とデータ管理が重要です。売上目標や商談数の目標を設定し、営業担当者が意識を持って取り組めるようにします。CRM（顧客管理システム）を活用し、商談の進捗や成約率をデータとして管理することで、改善ポイントが明確になり、より効率的な営業活動が可能になります。

効果的なオンライン商談を行う

オンライン商談では、対面営業と異なる点に注意する必要があります。画面越しでは顧客の反応が読み取りにくいため、適切なタイミングで質問を投げかけたり、視覚的な資料を活用したりすることが大切です。商談前には、事前に資料を共有し、顧客が内容を理解しやすいように工夫します。また、商談中は要点を簡潔にまとめ、相手の興味を引くプレゼンテーションを意識すると、スムーズに進めやすくなります。

顧客との関係を維持・強化する

テレワークでは、顧客との対面機会が少なくなるため、定期的なフォローアップが欠かせません。商談後には、簡単なメールやメッセージを送信し、関係を維持します。さらに、業界の最新情報や有益な資料を提供することで、顧客との接点を増やし、長期的な関係構築につなげます。オンラインイベントやウェビナーを開催することで、顧客と直接交流する機会を増やし、営業担当者と顧客の信頼関係を深めることも有効です。

チームの連携を強化し情報共有を円滑にする

テレワーク営業では、チーム内のコミュニケーション不足が課題となりがちです。定期的なオンライン会議やチャットツールを活用し、情報共有を円滑に行うことが大切です。例えば、週1回の進捗報告ミーティングを実施し、各営業担当者が成果や課題を共有することで、チーム全体の方向性を一致させることができます。また、成功事例を共有することで、営業手法の改善にもつながります。

継続的なスキルアップを行い環境変化に対応する

テレワーク営業では、環境の変化に適応し続けることが求められます。そのため、オンライン研修やセミナーを活用し、営業スキルを継続的に向上させることが重要です。例えば、プレゼンテーションのスキル向上セミナーや、オンライン商談のテクニックを学ぶ研修に参加することで、営業力を強化できます。また、外部講師を招いて定期的な勉強会を開くことで、新しい営業手法を学ぶ機会を増やせます。

テレワーク営業を成功させよう

テレワーク営業を成功させるには、業務の効率化とチームの連携強化が欠かせません。営業目標を明確にし、商談の進捗をデータで管理することで、営業活動を可視化できます。オンライン商談では、顧客の反応を見極めながら適切なプレゼンテーションを行い、関係を強化することが重要です。また、定期的なフォローアップや情報提供を行い、長期的な信頼関係を築くことも大切です。さらに、チーム内での情報共有をスムーズにし、営業スキルの向上に努めることで、成果を最大化できます。これらの取り組みを組み合わせることで、テレワーク環境でも成果を出せる営業チームを作ることができます。

• 監修：青井 真吾（AOIS Consulting株式会社代表取締役）

  大学卒業後はIT企業に入社。システムエンジニアとして大手企業向けのERPシステム開発を経験。その後ITコンサルタントとして独立。人材派遣会社の基幹システムの開発、不動産会社の商業施設での販促システムの導入、自動車メーカーでコネクティッドカー開発のプロジェクト管理、SIerでのSalesforceの導入、ファッション業界の企業でのDX推進プロジェクトを経験。現在はAOIS Consulting株式会社を設立し、コンサルティングの傍らIT記事の監修および執筆を手掛ける。