- 更新日 : 2024年10月16日
システム企画書に必要な項目と書き方・無料テンプレート
システム企画書とは、システム開発における出発地点となる書類です。社内でそのシステムが実際に必要なのか判断する材料となります。承認してもらうには、決裁権のある方にシステム導入の必要性を十分に認識してもらう必要があります。
当記事では、システム企画書に必要な項目と書き方を解説します。システム企画書のテンプレートも紹介するため、ぜひ作成時にお役立てください。
目次
システム企画書に必要な項目と内容の書き方
システム企画書は、提案するシステムの詳細をまとめた資料であり、企業がシステムの導入可否を判断する材料です。企業はシステム企画書を通してシステム開発・導入にかかるコストとリターンを検討するため、完成度の高いシステム企画書を作成する必要があります。
以下では、システム企画書に記載すべき5つの項目を挙げて、各項目の内容と書き方を説明します。
プロジェクトの背景と目的
システム企画書には最初に、プロジェクトの背景と目的を記載します。
プロジェクトの背景は、企業にシステム導入が必要となった理由を書く項目です。「企業が展開している事業」に触れた上で、「現状はどうなっているか」「どのようなビジネス課題が存在するか」などを簡潔に説明します。背景説明に具体性を持たせるには、売上・顧客人数などの具体的な数字を盛り込むとよいでしょう。
もう1つのプロジェクトの目的では、「システム導入によって何を達成したいか」を記載します。
プロジェクトの背景と目的を記載することで、システム企画書を読んだ人が企業の現状・課題と目指すゴールを明確に認識できます。
現状の問題と課題
現状の問題と課題は、企業で現在発生している問題や、目的達成のために解決する必要のある課題を説明する項目です。システム企画書に現状の問題と課題を記載することで、システム導入によって解決すべき問題・課題が一目で分かります。
現状の問題と課題の書き方では、取り上げる問題・課題を列挙した上で、「現状ではどうなっているか」「どのような不利益が発生しているか」を説明します。また、問題・課題は業務レベルで発生している内容と、業務の仕組み上で発生している内容を分けて書きましょう。
例として「製品の不良率が高い」が業務レベルの問題であれば、「生産ラインの監視が不足している」「作業者のスキルが低い」などが業務の仕組み上の問題です。
業務レベルと業務の仕組み上の内容を分けることで、問題・課題の本質が理解しやすくなります。
課題解決策と効果
課題解決策と効果は、課題解決のために導入するべきシステムを提示し、導入によって得られる効果を記載する項目です。
システム要件定義を簡単に紹介した上で、システムがどのように課題を解決するかを説明します。システムの導入方法はスクラッチかパッケージか、運用方法はオンプレミスかクラウドかについても企画書内で触れる必要があります。
導入によって得られる効果は、具体的な数字を使って説明しましょう。「業務効率化が実現して1日あたりの稼働コストが○万円に抑制され、年間では○万円になる」のように根拠のある数字を使うと、読んだ人が効果をイメージできます。
プロジェクトのスケジュールと納期
プロジェクトのスケジュールと納期では、システム導入に想定するスケジュールと納期を記載します。
システム導入のスケジュールは、システムの要件定義からリリースまでをいくつかのフェーズに分けて記載しましょう。ガントチャートのように工程管理ができる表を使用すると、システム導入の大まかな流れを視覚的に表せます。
また、納期はスケジュールをもとに、大まかな期日として設定します。システム導入はスケジュール通りに進むとは限らないため、企画段階の納期は余裕を持って設定することが大切です。
収支計画
収支計画は、システム導入にかかる費用と、導入後に回収できる利益を明らかにする項目です。収支計画をもとに予算・リソースや利益の評価が行われるため、プロジェクト実行の判断に大きな影響を与えます。
システム企画書の収支計画を記載するときは、発生する費用・利益の項目ごとに具体的な数字を提示しましょう。例として、支出では人件費や設備導入費などにいくらかかり、収入では商品販売として何万円の利益アップが見込めるかを記載します。
収支計画の金額を計算するときは、既存の収支関係や他社の事例などを参考にすることがおすすめです。説得力のある収支計画を作成できると、プロジェクトの承認を得やすくなります。
システム企画書の無料テンプレート
システム企画書を作るときは、テンプレートを使用するとスムーズに手間なく作成できます。
インターネット上には無料のテンプレートがあります。無料テンプレートをダウンロードしてシステム企画書の作成に活用しましょう。
システム企画書を書く際のコツと注意点
よいシステム企画書は、企画書を読む側の立場を徹底的に考えて企画・内容が記載されています。承認を得られるシステム企画書を書くには、以下で紹介するコツと注意点を押さえることが大切です。
フレームワークで整理する
システム企画書の内容はフレームで整理すると、論理的かつ読み手が受け取りやすい書き方ができます。
例として、下記のようなフレームワークを使うとよいでしょう。
6W2Hは、「Why(なぜ)」「What(なにを)」「When(いつ)」「How(どのように)」といった疑問文に使う英単語の頭文字から取ったフレームワークです。システム導入について6W2Hへの回答を考えることで、システムへのニーズをはっきりと認識できます。
4C分析は自社を取り巻く環境を分析し、現状を把握するためのフレームワークです。4Cとは「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」「Channel(流通チャネル)の4つを指します。4C分析を行うことで、システム導入の必要性やシステムに求める機能、導入すべき時期を把握できます。 |
システム企画書の作成時に使えるフレームワークには、他にもSWOT分析やPEST分析などがあります。
データを使用し説得力を高める
システム企画書の内容を読み手に納得させるには、データを使用して説得力を高める必要があります。
自社が保有するデータはもちろん、業界の動向やトレンド、競合他社のデータなども参照して、システム企画書にさまざまな数値を盛り込みましょう。
また、システム企画書にグラフや図を掲載して、視覚的に情報を伝えることもおすすめです。
データにもとづくシステム企画書は、システム導入の実現可能性が高いと読み手に判断してもらえます。
読みやすさを考慮する
システム企画書は決裁者が読むだけでなく、承認後にはプロジェクトチームのメンバーやベンダーの担当者など多くの人が読む資料です。読み手となる人が企画書の内容をスムーズに理解できるよう、読みやすさを考慮して書きましょう。
読みやすさを考慮するには、箇条書きを使って要点をまとめることがおすすめです。要点をまとめたシステム企画書は、一目見れば内容が分かるようになり、企画書の枚数も少なく抑えられます。
また、文章はなるべく分かりやすい言葉選びを心がけましょう。誤字脱字をなくすことはもちろん、適宜改行を入れたり、専門用語ではなく平易な言葉を使ったりすると、誰にとっても読みやすいシステム企画書が作れます。
決裁権のある方にシステムの必要性が伝わる企画書を作成しよう
システム企画書は、システム導入を検討するにあたって、プロジェクトの背景や目的、現状の課題、課題解決策と効果などをまとめ、実際に導入が必要か判断するために作る書類です。システム企画書を作成する際には、フレームワークを利用して論理的に記載し、データを使用して説得力をもたせるのがコツです。他人に読んでもらうため、文章の読みやすさや企画書のみやすさなども大切になります。
テンプレートを利用すればすでに見やすいフレームになっているため、内容を入れていくだけで手間がかかりません。システム企画書を作成する際は、ぜひ以下の無料テンプレートをご利用ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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