- 作成日 : 2025年9月22日
スプレッドシート集計を効率化!関数とピボットテーブル活用法
毎月の売上データや経費の集計、在庫管理など、スプレッドシートでの集計作業に時間を取られていませんか。実は、適切な関数やピボットテーブルをうまく活用すれば、今まで手作業で行っていた集計作業を効率化できるケースが多くなります。
この記事では、集計作業を自動化できる便利な関数から、ピボットテーブルまで、実務ですぐに使えるテクニックをわかりやすくご紹介します。初めて使う方でも安心して取り組めるよう、具体例を交えながら解説していきますね。
スプレッドシートの集計関数で作業時間を半分に短縮
SUM関数とSUMIF関数で条件付き合計を簡単に
集計作業の基本となるSUM関数は、みなさんもよくご存知かもしれませんね。でも、実はSUM関数には便利な派生形があることをご存知でしょうか。通常のSUM関数は指定した範囲の数値をすべて合計しますが、SUMIF関数を使えば、特定の条件に合うデータだけを合計できるんです。
例えば、部署別の経費データがあるとき、「営業部の経費だけを合計したい」という場合にSUMIF関数が活躍します。=SUMIF(部署の列,”営業部”,金額の列)という形で記述すれば、営業部のデータだけを自動で抽出して合計してくれます。さらにSUMIFS関数を使えば、複数の条件を同時に指定することも可能です。「営業部の2024年10月分の経費」のように、部署と期間の両方を条件にして集計できるので、月次報告書の作成がとても楽になりますよ。
条件の指定方法も柔軟で、完全一致だけでなく「○○以上」「○○を含む」といった条件も設定できます。ワイルドカードを使って「東京*」と指定すれば、東京支店、東京営業所など、「東京」で始まるすべてのデータを集計対象にできるんです。この機能を覚えておくと、様々な切り口でのデータ集計が可能になりますね。
COUNTIF関数で件数を瞬時にカウント
データの件数を数えるときに便利なのがCOUNTIF関数です。単純に数値が入力されているセルを数えるCOUNT関数とは違い、COUNTIF関数なら特定の条件に合うデータの個数を数えることができます。顧客リストから「東京都在住の顧客は何人いるか」「売上が100万円を超える取引は何件あるか」といった集計が一瞬でできるようになります。
実務でよく使うのが、アンケート結果の集計です。「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」といった5段階評価があるとき、それぞれの回答数を数えるのにCOUNTIF関数を使います。=COUNTIF(回答の範囲,”満足”)と入力するだけで、「満足」と回答した人数がすぐにわかります。手作業で数えていた時間を考えると、本当に便利な機能ですよね。
COUNTIFS関数を使えば、複数条件での集計も可能です。「20代で満足と回答した人」のように、年代と満足度を組み合わせた集計もできるので、より詳細な分析が可能になります。マーケティング部門の方なら、顧客セグメント別の分析に活用できそうですね。
AVERAGE関数とその仲間たちで平均値を賢く計算
平均値の計算にはAVERAGE関数を使いますが、実はこの関数にも便利な仲間がいくつかあります。AVERAGEIF関数を使えば、条件に合うデータだけの平均を計算できます。例えば、全社員の給与データから「営業部の平均給与」や「勤続5年以上の社員の平均給与」といった特定グループの平均値を簡単に求められます。
空白セルや文字列を含むデータでも、AVERAGE関数は数値だけを対象に計算します。ゼロは平均に含まれ、空白は無視されます。ゼロを除外したい場合は、AVERAGEIF(範囲,”<>0″) のように条件を付けると正確です。
さらに高度な集計をしたい場合は、AVERAGEIFS関数を活用しましょう。「東京支店の正社員の平均売上」のように、複数の条件を組み合わせた平均値も簡単に計算できます。経営分析や人事評価など、様々な場面で活用できる便利な関数ですよ。
より高度な集計を可能にする関数テクニック
QUERY関数でデータベースのような集計を実現
QUERY関数は、SQLに似た構文でデータを操作・集計できる関数です。SQL言語に似た構文を使うので最初は少し難しく感じるかもしれませんが、慣れてしまえば複雑な集計も簡単にできるようになります。
基本的な使い方として、=QUERY(データ範囲,”SELECT A, SUM(B) WHERE C=’営業部’ GROUP BY A”)のような形で記述します。これは「営業部のデータを商品別に売上合計を出す」という意味になります。GROUP BY句を使えば、カテゴリー別の集計が一発でできるので、月別、部署別、商品別など、様々な切り口での分析が可能になるんです。
QUERY関数の便利な点は、集計と同時にソートや絞り込みもできることです。「売上上位10商品だけを表示」「前年比110%以上の店舗だけを抽出」といった条件も、ORDER BY句やLIMIT句を使って簡単に実現できます。ピボットテーブルを作るほどではないけれど、ちょっと複雑な集計をしたいときに重宝しますよ。
UNIQUE関数とSORT関数を組み合わせた集計
重複を除いたデータの集計をしたいときは、UNIQUE関数が便利です。顧客リストから重複を除いた顧客数を数えたり、取引先企業のリストを整理したりするときに活躍します。=UNIQUE(データ範囲)と入力するだけで、重複のないリストが作成できます。
UNIQUE関数で作成したリストを、SORT関数でさらに並び替えることもできます。=SORT(UNIQUE(データ範囲))のように関数を組み合わせれば、重複を除いて昇順に並んだリストが完成します。このテクニックは、マスターデータの作成や、レポート用のリスト作成にとても便利ですね。
さらに、COUNTIF関数と組み合わせることで、各項目の出現回数を集計することもできます。商品別の販売回数や、顧客別の購入頻度など、頻度分析に活用できます。これらの関数を組み合わせることで、データ分析の幅がぐっと広がりますよ。
ARRAYFORMULA関数で大量データを一括処理
大量のデータに同じ計算式を適用したいとき、一つ一つコピーするのは大変ですよね。そんなときはARRAYFORMULA関数を使いましょう。この関数を使えば、一つの数式で複数のセルに一括で計算結果を表示できます。
例えば、単価×数量の計算は =ARRAYFORMULA(IF(A2:A=””,””,A2:A*B2:B)) のように開放範囲を使うと、行を追加しても自動的に計算が反映され、メンテナンスが楽になります。」
IF文と組み合わせて条件分岐を含む計算も可能です。売上金額に応じて手数料率を変える、といった複雑な計算も一括で処理できます。大規模なデータを扱う業務では、作業時間を大幅に短縮できる強力な味方になってくれますよ。
ピボットテーブルで瞬時にクロス集計を作成
STEP1:ピボットテーブルの基本的な作り方
ピボットテーブルは、大量のデータを様々な角度から分析できる優れた機能です。作り方はとても簡単で、まず集計したいデータ範囲を選択し、メニューの「挿入」から「ピボットテーブル」を選択するだけです。新しいシートか既存のシートのどちらに作成するかを選べるので、用途に応じて選択しましょう。
ピボットテーブルエディタが開いたら、行、列、値の各エリアにフィールドをドラッグ&ドロップで配置していきます。例えば、行に「商品名」、列に「月」、値に「売上金額」を配置すれば、商品別・月別の売上クロス集計表があっという間に完成します。この直感的な操作性が、ピボットテーブルの大きな魅力ですね。
集計方法も自由に選べます。合計だけでなく、平均、最大値、最小値、件数など、様々な集計方法を選択できます。同じデータから違う切り口の分析をしたいときは、値エリアに複数のフィールドを追加することも可能です。売上金額と利益率を同時に表示する、といった使い方もできるんですよ。
STEP2:フィルターとスライサーで動的な分析を実現
ピボットテーブルにフィルター機能を追加すると、特定の条件でデータを絞り込んで分析できます。フィルターエリアにフィールドを追加すれば、例えば「2024年のデータだけ」「東京支店のデータだけ」といった絞り込みが簡単にできます。プレゼンテーションで特定の期間や部署のデータを見せたいときに便利ですね。
さらに便利なのがスライサー機能です。ピボットテーブルを選択した状態で「データ」メニューから「スライサーを追加」を選ぶと、視覚的にわかりやすいフィルターボタンが作成できます。スライサーのボタンをクリックするだけで、瞬時にデータの絞り込みができるので、会議中にリアルタイムで分析を変更したいときなどに重宝します。
複数のスライサーを組み合わせることも可能です。地域、商品カテゴリー、期間など、複数の軸でフィルターを設定しておけば、様々な組み合わせでの分析が瞬時にできます。経営会議や営業会議で「この地域のこの商品の売上は?」といった質問にも、すぐに答えられるようになりますよ。
STEP3:ピボットテーブルの見た目をカスタマイズ
せっかく作ったピボットテーブルも、見づらければ活用されません。書式設定を工夫することで、より見やすく、理解しやすい集計表に仕上げることができます。条件付き書式を使えば、売上が高い商品を自動的に色分けしたり、前年比がマイナスのセルを赤く表示したりできます。
グループ化機能も便利です。日付データを月単位や四半期単位でグループ化したり、数値データを範囲でグループ化したりできます。例えば、売上金額を「0-100万円」「100-500万円」「500万円以上」のような階級に分けて集計することも可能です。データの傾向を把握しやすくなりますね。
計算フィールドを追加すれば、元データにない項目も集計できます。売上と原価から利益率を計算したり、前年同期比を算出したりと、分析の幅が広がります。一度設定すれば、データが更新されても自動的に再計算されるので、定期的なレポート作成にも最適です。
スプレッドシートの集計機能をマスターして業務効率を改善しよう
スプレッドシートの集計作業は、基本関数の使い方を知るだけでも効率が大きく変わります。SUMIFやCOUNTIF、AVERAGEIFといった条件付き関数を活用すれば、必要なデータだけを簡単に集計できます。さらにQUERYやARRAYFORMULAを組み合わせることで、複雑な処理も自動化できるようになります。
ピボットテーブルを使えば、大量のデータを瞬時にクロス集計し、多角的に分析可能です。これらの機能をバランスよく活用することで、日々の業務がよりスムーズになり、分析精度も向上します。
ぜひ一つずつ試してみて、自分の業務に最適な集計方法を見つけてくださいね。
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