- 更新日 : 2023年9月28日
クラウドサービスとは?種類や例、企業が導入するメリットを解説
近年、業務効率化や多様な働き方を実現するため、クラウドサービスを導入する企業が増えています。しかしながら、クラウドサービスの仕組みを正しく理解できていない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、クラウドサービスの種類や代表例、企業が導入するメリット・デメリットを中心に解説します。
目次
クラウドサービスとは?
クラウドサービスとは、アプリケーションやソフトウェアをインターネット経由で利用するサービスの総称を指します。
従来であれば、利用者側でサーバー、ハードウェア、データなどを保有・管理して運用するのが基本でした。しかし、クラウドサービスではそういった環境を用意せずともサービスを利用できる点が大きな特徴です。
クラウドサービスの身近な例としては、GmailなどのフリーメールやTwitterなどのようなSNSツールが挙げられます。
クラウドサービスの提供形態
クラウドサービスは、提供形態によって「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の2つに分類されます。それぞれの特徴について見ていきましょう。
パブリッククラウド
パブリッククラウドは、利用者を問わずインターネット上で誰でも利用できるクラウドサービスのことをいいます。クラウドサービス事業提供者が構築した環境を、不特定多数のユーザーで共有して使うことが特徴です。
一般的にクラウドサービスといえば、パブリッククラウドを指す場合がほとんどです。
プライベートクラウド
プライベートクラウドは、誰でも利用できるパブリッククラウドとは異なり、自社内や特定のユーザー向けに構築されたクラウドサービスのことをいいます。企業内でシステムを自由に設計・管理できることから、カスタマイズの自由度が高いのが特徴です。
プライベートクラウドはさらに「ホスティング型」と「オンプレミス型」の2種類に分かれています。ホスティング型は、パブリッククラウドの一部を自社専用として提供してもらう形態です。一方、オンプレミス型は、サーバーやネットワークを自社で用意して、その上にクラウド環境を構築するという点に違いがあります。
クラウドサービスの種類
クラウドサービスは、利用形態によって主に以下の3種類に分類されます。
- Saas(サース:Software as a Service)
- PaaS(パース:Platform as a Service)
- IaaS(アイアース:Infrastructure as a Service)
それぞれの特徴を分かりやすく解説します。
SaaS
Saas(Software as a Service)は、電子メール、顧客管理、会計処理などのソフトウェア機能をインターネット経由で利用できるサービス形態のことです。あらかじめパソコンにソフトウェアをインストールする必要がなく、データにアクセスするだけですぐにサービスを利用できます。
著名な例としては「Dropbox」や「Slack」など、業務効率化に役立つツールが多いのは特徴です。
PaaS
PaaSは、Platform as a Serviceの略称で、アプリケーション開発のための環境を提供するサービス形態のことです。アプリケーションの構築に欠かせない基盤として、エンジニア職を中心に利用されています。
代表的な例としては、後述する「Amazon Web Services」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」などが挙げられます。
Iaas
IaaS(Infrastructure as a Service)は、インフラ機能の提供を行うサービス形態です。ITサービスの運営で欠かせないサーバーやネットワークなどがこれに当てはまります。
著名なサービスとしては「Amazon EC2」や「Google Compute Engine」などが挙げられます。Iaasを活用するためには、Saas・PaaSと比べて高い専門知識が求められるため、導入する際は注意が必要です。
クラウドサービスを導入するメリット
クラウドサービスを導入するメリットには、以下のような点が挙げられます。
- 初期費用が安く済む
- システム導入がかんたん
- メンテナンス不要
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
初期費用が安く済む
クラウドサービスは、サーバーやソフトウェアを購入する必要がないため、初期費用が安く済む点が特徴です。初期費用をかけづらい場合であっても、低コストでサービスが利用できるのはクラウドサービスの大きなメリットでしょう。
また運用にかかるコストも削減可能で、ランニングコストにも優れています。
システム導入がかんたん
クラウドサービスは、インターネット接続ができるデバイスさえあればすぐに利用できます。オンプレミスのように自社で一からシステムを構築する必要がなく、難しい設定などもありませんので、スムーズな導入が可能です。
メンテナンス不要
クラウドサービスを利用すると、メンテナンスや障害対応は運営事業者が行います。オンプレミスでは必要だった更新作業も、クラウドサービスなら気にする必要がありません。
メンテナンスやソフトウェアのバージョンアップをユーザーで行わなくてもよい分、ほかの作業に時間を割けるようになるため、業務効率の向上に期待が持てます。
クラウドサービスを導入するデメリット
クラウドサービスには、以下のようなデメリットがあります。
- カスタマイズの自由度が低い
- オフラインでの利用不可
- セキュリティはベンダー依存
クラウドサービスのデメリットを3つ紹介します。
カスタマイズの自由度が低い
クラウドサービスは自社ですべてを調達するオンプレミス型と比べると、カスタマイズ性の自由度は低いです。ある程度のカスタマイズは可能ですが、オンプレミスのように自由にカスタマイズできる領域が極めて限られていることは、意識しておく必要があるでしょう。
使いたい機能が構築できないといったトラブルを防ぐためにも、契約前に機能や仕様を確認しておくことをおすすめします。
オフラインでの利用不可
クラウドサービスを利用するには、オンライン環境が必須です。インターネット環境が整っていない場所では利用できません。もしオフライン下での利用が想定される場合は、導入の際に考慮する必要があります。
セキュリティはベンダー依存
クラウドサービスを利用する場合は、データ管理上のほとんどをベンダーのセキュリティ対応に委ねることになります。仮にクラウドサービスがサイバー攻撃を受けた場合、クラウド上に保存していた機密情報が漏れてしまう可能性も否定できません。
ベンダーの信頼性を確認したり、付帯するセキュリティ機能を確認するなどの対策を行うのが望ましいといえます。
クラウドサービスの代表例
クラウドサービスのなかでも代表的な製品、「AWS(Amazon Web Services)」「Microsoft Azure」「 GCP(Google Cloud Platform)」の3つを紹介します。
AWS(アマゾン ウェブ サービス)
AWS(Amazon Web Services)は、アマゾンが提供しているクラウドサービスの総称です。アプリケーション開発、Webサイト運営、ストレージを利用したデータ保存、Iot構築、AI機能の利用など、インターネットで利用できるサービスのほとんどを構築することが可能です。
クラウドサービス黎明期から17年以上にわたって、世界中で数百万のユーザーにクラウドサービスを提供し続けており、確固たる地位を築いています。
Microsoft Azure(アジュール)
Microsoft Azureは、マイクロソフトが提供するクラウドサービスの総称です。PaaSとIaaSを提供しており、短時間でのアプリケーション作成を可能とするAzure App Service、開発者向けサービスAzure DevOpsなどがあります。
データセンターを世界55拠点に展開しており、日本国内でも東日本・西日本の2拠点を構え、多くのユーザーが利用しています。
GCP(ジーシーピー)
GCPは、Google Cloud Platformの略であり、グーグルがクラウド上で提供するサービスの総称を指します。ビッグデータの解析や機械学習の構築に優れたサービスに強みを持っている点が特徴です。
Googleドライブ、Gmail、Googleカレンダーなどを提供するグループウェアサービス「Google Workspace」との連携が安易に行えるため、Google製品を活用しているユーザーにもおすすめです。
クラウドサービスを活用して業務効率化を図ろう
この記事では、クラウドサービスの種類や代表例、企業が導入するメリット・デメリットを中心に解説しました。
クラウドサービスは、インターネット環境さえあれば、いつでも誰でも自由に利用できるサービスです。クラウドストレージや顧客管理システムなど、業務効率化に役立つツールが数多くリリースされています。
この機会に自身のニーズに合ったクラウドサービスを選定し、導入も視野に検討してみてはいかがでしょうか。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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