• 作成日 : 2025年7月17日

マニュアル作成にExcelを活用するには?手順やポイントをわかりやすく解説

Excelは、業務マニュアルの作成においても幅広く活用されているツールです。表形式での情報整理や関数による計算、グラフの活用などが可能なため、定型業務や数値を扱う手順書に適しています。近年はクラウド型の専用ツールも普及していますが、Excelは手軽で導入しやすく、小規模なマニュアル作成には今なお有効な選択肢です。

この記事では、Excelを使ったマニュアルの特徴、メリット・デメリットや作成の手順をご紹介します。

Excelで作成するマニュアルの特徴

Excelは表計算ソフトですが、文字入力や図表の挿入もできるため、マニュアル作成に活用する企業も少なくありません。社内にExcelが標準導入されている場合、新たなソフトを使わず既存環境でマニュアルを作れる手軽さから、初心者のビジネスパーソンにも扱いやすい選択肢と言えます。

Excelでマニュアルを作成する際の特徴として、複数のシートに情報を整理できる点が挙げられます。例えば1つのファイル内に工程別のシートを用意すれば、章立てのように項目を分割でき、必要な情報にすぐアクセスできます。またExcelは文章だけでなく表や画像、図形なども配置可能で、手順書に図解を交えて視覚的に分かりやすくすることができます。とはいえ、Excelは本来数値データを扱うツールであるため、文章主体のマニュアル作成には向き不向きもあります。

Excelでマニュアルを作成するメリット

Excelでマニュアルを作成することには、導入の手軽さや自由な構成力といった複数のメリットがあります。ここでは初心者にも扱いやすい理由を含め、主な利点を解説します。

既存の環境で導入しやすく手軽

Excelは多くのビジネス現場で標準ソフトとして使われており、新たな導入コストが不要です。社員の多くが基本操作に慣れているため、初心者でも比較的簡単にマニュアル作成を始められます。社内の既存データや書式と親和性が高く、業務フローに沿った形でスムーズにマニュアルを作成できます。

自由なレイアウトと表・図の活用

セル単位で文字や図形を配置できるため、表やチェックリストを使った手順整理がしやすく、レイアウトの調整も自由度が高いです。画面キャプチャや図表を組み合わせて、視覚的にわかりやすいマニュアルを作ることができ、説明文との組み合わせで理解を促しやすくなります。

数値データや計算結果を盛り込める

Excelの関数機能を使えば、進捗率や集計データなどをリアルタイムで計算し、マニュアル内に反映させることが可能です。さらにマクロを組み込むことで、作業の自動化やミスの防止につながる手順も提示でき、数値処理が必要な業務マニュアルに適しています。

印刷・配布物としても使いやすい

Excelは印刷設定に柔軟に対応しており、必要に応じてレイアウトを調整し、紙資料として配布することが容易です。シートを章ごとに分けることで、冊子形式の構成にも向いており、PDF保存によるメール配布や社内共有フォルダでの閲覧など、配布方法の選択肢も広がります。ファイル形式が一般的で、多くのPC環境で開ける点も安心材料です。

Excelでマニュアルを作成するデメリット

Excelは便利なソフトですが、マニュアル作成にはいくつかの課題があります。共同作業の難しさや長文の扱いにくさなど、弱点を理解しておくことが必要です。

共同編集やバージョン管理が難しい

Excelは単独ユーザーでの編集を想定しているため、複数人による同時作業には不向きです。共有フォルダ上での編集では「読み取り専用」になることが多く、保存のタイミング次第で上書きトラブルも発生します。また、バージョン管理機能が乏しく、履歴確認や差分の把握がしづらいため、更新内容が混乱することもあります。ファイル名のルールや保存場所の統一といった運用工夫が不可欠です。

操作ミスによるデータ破損のリスクがある

柔軟な編集ができる反面、セルの削除や列の挿入などでフォーマットが乱れやすく、手順や図表の対応がずれてしまうと内容が伝わりにくくなります。また、計算式が崩れる、セル参照が壊れるといったトラブルも起こりがちです。これらに備えて、セルの保護やPDF化、バックアップの実施が推奨されます。

長文やデザインには不向き

長文の文章や複雑なレイアウトは、Excelでは扱いにくくなります。セルごとに文章を分けると読みにくくなり、まとめて入力すると編集がしづらくなるため、文章中心のマニュアルでは他のツールの方が適しています。装飾や段組みといった高度なデザインも難しく、印刷調整に時間がかかる点にも注意が必要です。

複雑な構造や多媒体への対応に限界がある

多数のシートにまたがる大規模なマニュアルや、動画・画像を多用する資料にはExcelは不向きです。シートの数が増えると閲覧者が迷いやすく、印刷ミスも起こりやすくなります。また、動画の埋め込みやスマートフォンでの快適な閲覧にも対応しにくいため、用途に応じて他のツールの活用を検討することが現実的です。Excelが万能でないことを前提に、目的に合った使い分けが求められます。

マニュアル作成におけるExcelと他ツールの比較

マニュアル作成にはExcel以外にも多くのツールがあり、それぞれ特長があります。ここでは代表的なツールとの違いや、用途に応じた使い分けについて解説します。

Word(ワード)-文章中心の定番ツール

Wordはテキスト中心のマニュアルに適した文書作成ソフトです。段落やページ構成がしやすく、目次やページ番号も自動設定できます。スペルチェックや校正機能も充実しており、文章量が多い場合や印刷を前提としたマニュアルには最適です。一方、表計算や複雑な数値処理ができないので、表中心の内容ならExcelが向いています。用途に応じて「文章ならWord」「数値ならExcel」と考えると使い分けがしやすくなります。

Googleドキュメント-共同編集に優れたオンライン文書

Googleドキュメントはクラウドベースの文書ツールで、複数人によるリアルタイム編集が可能です。社内外から同時にアクセスでき、履歴やコメント機能も備えているため、チーム作業との相性が良いです。操作はWordに近く、テキスト中心のマニュアルであれば問題なく対応できます。ただし、Excelのような関数やマクロは使えず、インターネット接続が必須という制限があります。

PowerPoint(パワーポイント)-視覚的な手順書に最適

PowerPointは画像や図解を多用する手順書に適したツールです。スライド形式で1ステップずつ手順を示せるため、視覚的にわかりやすいマニュアルを作成できます。画面キャプチャや矢印、枠線などの視覚効果を活かし、操作説明などに力を発揮します。文字量の多いマニュアルには不向きですが、「見せるマニュアル」には適しています。

専用マニュアル作成ツール-効率的なクラウド運用

近年はTeachme BizやNotePMなど、マニュアル作成に特化したクラウドサービスも登場しています。文章・画像・動画を一体化し、スマホ対応や検索機能、アクセス管理など運用面でも優れています。大規模運用や頻繁な更新がある場合に最適で、ExcelやWordのファイルを取り込める製品もあります。ただし、導入コストが発生するため、規模や目的に応じて検討するとよいでしょう。

Excelでマニュアルを作成する手順

Excelでマニュアルを作る際は、計画的な構成と操作を押さえることで、初心者でも実用的なドキュメントが作成できます。ここでは、作業を効率的に進めるための手順を5つに分けて解説します。

手順1:ひな形の準備と全体構成の設計

まずは、テンプレートを活用してひな形を準備します。インターネット上には業務手順書やチェックリスト形式のExcelテンプレートが多数公開されており、目的に合ったものを選べば、体裁を整えやすくなります。テンプレートがなければ、シンプルな構成から作り始めても問題ありません。

構成はファイル内のシートごとに分けて設計します。目次シートを作成し、章ごとの見出しやリンクを記載すれば、クリックだけで該当箇所へ移動でき、閲覧性が向上します。全体の流れを明確にしておくことで、読者にも制作者にも分かりやすいマニュアルになります。

手順2:章ごとにシートを作成し内容を入力

構成が決まったら、各シートに具体的な内容を記載していきます。シート名は内容がひと目で分かるよう、「手順A」「第1章_○○」などに設定します。説明は長文を避け、セルごとに区切って記載すると読みやすくなります。表形式で手順と補足を並べると、情報が整理され理解しやすくなります。

文書内では、平易な言葉を選び、専門用語には注釈を添えるなど配慮を忘れずに。Excelでも段落や箇条書きをセル単位で表現できるため、見出しや文の構成に一貫性を持たせましょう。太字やフォントサイズを工夫することで階層構造も分かりやすくなります。

手順3:図や画像を挿入して視覚的に補足

マニュアルは視覚的な情報を加えることで、さらに伝わりやすくなります。画面キャプチャや作業中の写真をセル内に貼り付けると、操作手順が具体的にイメージしやすくなります。画像のサイズは読みやすさを考慮して調整し、必要に応じて「手順③の画面」といった説明文を添えると、本文との連携がしやすくなります。

また、矢印や枠などを使った簡単な図解はオートシェイプ機能で作成可能です。ただし、画像を入れすぎるとバランスが崩れるため、あくまで補助的な使い方を意識しましょう。動画を使いたい場合は、リンクを貼る形式で社内サーバーと連携する方法もあります。

手順4:書式やデザインを整えて仕上げ

入力が完了したら、全体のデザインや書式を整えて仕上げに入ります。見出し、本文、注意書きなどに使うフォントや色を統一し、情報の優先順位がひと目で分かるようにします。たとえば章見出しは太字・大きめのフォント、注意点は赤字など、視覚的に整理された紙面が理想です。

余白や行間の調整、セルの枠線の有無なども整えて、見た目に違和感のないように仕上げます。過度な装飾は避け、シンプルで読みやすいデザインを心がけましょう。印刷する場合は、ページの区切れや改ページ位置を確認し、紙にしたときの完成度にも配慮します。最終的には誤字脱字、表記ゆれがないか確認し、完成度を高めましょう。

手順5:レビューと共有・配布

マニュアルが完成したら、同僚などにレビューを依頼します。第三者の目で読んでもらうことで、内容の誤りや説明の不足が明らかになり、より実用的なマニュアルに仕上がります。必要があれば修正・加筆を行い、社内共有へと移ります。

配布方法は、社内共有フォルダやクラウドストレージに保存するのが一般的です。アクセス制限を設定することで、誤編集や情報漏洩のリスクを減らせます。メールで配布する場合は、編集防止のためPDF形式に変換すると安心です。最新版を管理するため、バージョンを明記したり、古いファイルの削除を徹底することも大切です。

さらに、マニュアルは定期的に見直し、内容を最新に保つ運用が求められます。業務の変化に応じて継続的に更新することで、現場で役立つ「活きたマニュアル」として長く活用できます。

Excelで作成したマニュアルの活用事例と参考リソース

Excelは、日常業務のマニュアル作成において今もなお幅広く利用されています。ここでは、活用事例とあわせて、役立つテンプレートや情報源をご紹介します。

Excelのマニュアルは定型業務の手順書に向いている

Excellは、在庫管理や経費精算といった定型業務におけるマニュアル作成に適しています。これらの業務は手順が明確で繰り返し行われるため、項目を表形式で整理しやすく、処理内容に対応する数式や関数を使ってリアルタイムな集計を盛り込むことも可能です。また、グラフ機能を活用すれば、売上や費用の推移などを視覚的に説明でき、読み手の理解を助けます。

こうした特徴から、Excelによるマニュアルは、社内でのノウハウ共有や属人化の防止、さらには業務効率の向上にも効果を発揮しています。中小企業では、手軽に導入できることから、マニュアル整備の第一歩として活用されるケースが多く見られます。

テレワーク時代に求められるデジタル対応の動き

近年では、働き方の多様化にともない、マニュアルのデジタル化やクラウド化が進んでいます。Teachme BizやNotePMといったマニュアル作成・共有に特化したクラウドサービスを利用することで、場所を問わず閲覧・編集が可能となり、情報共有の効率がさらに高まります。

ただし、こうした専用ツールは導入コストや学習コストが伴うこともあり、小規模チームや簡易的な手順書では、手慣れたExcelを使い続ける選択肢も根強く支持されています。段階的に導入する例も多く、「まずはExcelで始め、業務が複雑化したらクラウド型に移行する」といった柔軟な運用も有効です。

参考になるテンプレートサイトとリソース

Excelでマニュアルを作成する際には、信頼性の高いテンプレートを活用することで効率が大きく向上します。Microsoft公式のテンプレート集では、業務マニュアル向けに整ったデザインのテンプレートが無料で提供されており、初心者でも扱いやすい構成になっています。

そのほか、日本語のテンプレートを探す場合には、bizocean(ビズオーシャン)、Bizroute、SILAND.JPといったサイトが有名です。これらのサイトでは、チェックリスト形式のひな形や業務フローに沿った操作マニュアルの例が豊富に揃っており、自社の目的に合った形式を見つけやすいのが特徴です。

さらに、「業務マニュアル テンプレート 無料」といった検索ワードで調べると、多くの企業ブログや専門サイトがExcelやWordでの作成ポイント、注意点、活用事例などを紹介しています。これらの情報を取り入れることで、実用性の高いマニュアルを効率的に作成するヒントが得られるでしょう。

マニュアル作成にExcelを活用しよう

Excelは、定型業務や数値を扱う手順書の作成に適したツールです。表やグラフ、関数を活かして分かりやすく整理できるため、中小企業を中心に広く活用されています。近年はクラウド型マニュアルツールも普及していますが、手軽さからExcelを第一歩として使う企業も多くあります。目的に応じてテンプレートや情報サイトを活用すれば、初心者でも実用的なマニュアル作成が可能ですので挑戦してみてください。


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