• 作成日 : 2025年5月21日

エクセルグラフの「凡例」とは?意味・表示・編集方法を解説

この記事では、Excel初心者の方や、改めてExcelの使い方を学びたい方に向けて、グラフにおける凡例の基本的な意味から、表示・非表示の切り替え、位置や書式、項目名の編集方法、さらには少し応用的なテクニックまで、網羅的に解説します。この記事を読めば、凡例に関する疑問が解消され、より見やすく、伝わりやすいグラフを作成できるようになるはずです。ぜひ最後までご覧ください。

エクセルのグラフにおける凡例の意味とは

まずは、グラフにおける「凡例」がどのような役割を持っているのか、その基本的な意味から確認しましょう。

凡例とは何か?グラフを読み解くための「地図」

凡例とは、グラフ内に表示される各データ系列(棒グラフの棒、折れ線グラフの線、円グラフの扇など)が何を表しているのかを示す「説明書き」のことです。

例えば、複数の商品(商品A, 商品B, 商品C)の月別売上推移を折れ線グラフで表した場合、どの色の線がどの商品のデータなのかを一目で区別できるようにするのが凡例の役割です。

凡例がない場合

  • どの線がどの商品を表しているのか分からない
  • 色の違いだけでは、データの意味を正確に読み取れない
  • グラフの意図が伝わりにくく、誤解を招く可能性がある

凡例がある場合

  • 各データ系列(色やマーカー)が何を示しているのか明確になる
  • 複数のデータを正確に比較・分析できる
  • グラフの内容を直感的に理解しやすくなる

このように、凡例はグラフを正しく読み解くための「地図」や「ガイド」のような存在と言えます。複雑なデータも、凡例があることで格段に分かりやすくなります。

なぜ凡例が必要なのか?複数データの区別と誤解防止

グラフを作成する目的は、データを視覚的に分かりやすく表現し、そこから何らかの情報を読み取ることです。特に、複数のデータ系列を比較・分析するグラフ(積み上げ棒グラフ、複数の折れ線グラフ、複合グラフなど)においては、凡例の重要性がさらに高まります。

凡例が必要である主な理由

  1. データ系列の識別: 複数のデータ系列が存在する場合、凡例がなければ、どの要素がどのデータに対応しているのかを区別することが困難になります。凡例は、色、マーカー、パターンなどとデータ名を結びつけ、明確に識別できるようにします。
  2. グラフの正確な解釈: 凡例がない、あるいは不適切な凡例が表示されていると、グラフの読み手がデータを誤って解釈してしまう可能性があります。例えば、色の凡例がなければ、どの棒が高い売上を示しているのかは分かっても、それが「どの商品」の売上なのかまでは分かりません。凡例は、このような誤解を防ぎ、正確な情報伝達を助けます。
  3. プレゼンテーション効果の向上: ビジネスシーンなどでグラフを用いてプレゼンテーションを行う際、凡例は聞き手の理解を助ける重要な要素となります。分かりやすい凡例は、グラフ全体の説得力を高め、スムーズなコミュニケーションを促進します。

円グラフのように、データラベル(各要素に直接表示される数値や項目名)で情報が十分に伝わる場合は、凡例が不要なケースもあります。しかし、多くのグラフ、特に複数の要素を比較するグラフにおいては、凡例は必須の要素と言えるでしょう。

エクセルのグラフにおける凡例の表示方法

次に、Excelでグラフに凡例を表示させる具体的な方法を見ていきましょう。多くの場合、グラフを作成すると自動的に凡例が表示されますが、手動で追加・削除したり、表示設定を変更したりすることも可能です。

グラフ作成時に自動で表示される仕組み

Excelでグラフを作成すると、通常、データの内容に基づいて自動的に凡例が表示されます。

  1. データ範囲の選択: グラフ化したいデータ(項目名や系列名を含む)を選択します。
  2. グラフの挿入: 「挿入」タブの「グラフ」グループから、作成したいグラフの種類(棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなど)を選択します。
  3. グラフの生成と凡例表示: グラフがシート上に挿入されると同時に、多くの場合、グラフの右側や下側に凡例が自動的に表示されます。Excelは、選択されたデータ範囲の行見出しや列見出しを基に、凡例の項目名を自動で生成します。

この自動表示機能により、多くの場合、特別な操作をしなくても基本的な凡例付きのグラフを作成できます。

手動で凡例を追加・表示する手順

グラフ作成時に凡例が表示されなかった場合や、一度削除した凡例を再表示させたい場合は、以下の手順で手動で追加できます。主な方法として、「グラフ要素」ボタンを使う方法と、リボンの「グラフのデザイン」タブを使う方法があります。

方法1:「グラフ要素」ボタン(グラフ右上の「+」ボタン)を使用する

  1. グラフの選択: 凡例を追加したいグラフをクリックして選択します。
  2. グラフ要素ボタンのクリック: グラフの右上隅に表示される「+」マーク(グラフ要素)ボタンをクリックします。
  3. 「凡例」にチェックを入れる: 表示されたメニューの中から「凡例」の項目にチェックを入れます。チェックを入れると、グラフ上に凡例が表示されます。
    • 「凡例」の右側にある矢印をクリックすると、凡例を表示する位置(右、上、左、下)を簡単に選択できます。

方法2:リボンの「グラフのデザイン」タブを使用する

  1. グラフの選択: 凡例を追加したいグラフをクリックして選択します。グラフを選択すると、リボンに「グラフのデザイン」タブと「書式」タブが表示されます。
  2. 「グラフ要素を追加」をクリック: 「グラフのデザイン」タブ(バージョンによっては「デザイン」タブ)の左端にある「グラフ要素を追加」ボタンをクリックします。
  3. 「凡例」を選択: ドロップダウンメニューから「凡例」にカーソルを合わせます。
  4. 表示位置の選択: サブメニューが表示されるので、「なし」「右」「上」「左」「下」の中から、凡例を表示したい位置を選択します。

これらの手順で、簡単に凡例を表示・非表示にしたり、基本的な表示位置を変更したりできます。

凡例が表示されない場合の対処法

グラフを作成したのに凡例が表示されない、または「グラフ要素」ボタンやリボンメニューに「凡例」の項目が見当たらない場合、以下の原因が考えられます。

  • グラフの種類: 単一のデータ系列しか持たないグラフ(例:単純な円グラフや、1系列のみの棒グラフ・折れ線グラフ)の場合、比較対象がないため、デフォルトでは凡例が表示されないことがあります。この場合でも、上記の手順で手動で追加することは可能です(ただし、通常は不要です)。
  • データソースの選択範囲: グラフの元データとして選択した範囲に、凡例として表示すべき項目名(系列名)が含まれていない場合、凡例が正しく生成されないことがあります。データ範囲の選択を見直してみましょう。
  • グラフテンプレート: 特定の書式設定が保存されたグラフテンプレートを使用している場合、そのテンプレートの設定で凡例が非表示になっている可能性があります。
  • Excelのバージョンや設定: まれに、Excelのバージョンや特定の設定によって挙動が異なる場合があります。

凡例が表示されなくて困った場合は、まず「グラフ要素」ボタンや「グラフ要素を追加」メニューを確認し、「凡例」の項目が表示されているか、チェックが入っているかを確認してみてください。それでも解決しない場合は、グラフの元データの選択範囲を見直すか、一度グラフを削除して作り直してみるのも有効な手段です。

エクセルのグラフにおける凡例の編集方法

凡例が表示できたら、次はその見た目や内容を調整して、より分かりやすいグラフに仕上げていきましょう。凡例の位置、書式(文字サイズや色)、項目名などを自由に編集できます。

凡例の位置を変更する(上下左右、任意の位置)

凡例の表示位置は、グラフ全体のレイアウトや見やすさに大きく影響します。デフォルトでは右側や下側に表示されることが多いですが、最適な位置はグラフの種類やデータの特性によって異なります。

簡単な位置変更:

前述の「グラフ要素」ボタンや「グラフのデザイン」タブの「グラフ要素を追加」>「凡例」から、「右」「上」「左」「下」を選択することで、簡単に基本的な位置変更が可能です。

任意の位置への移動:

より細かく位置を調整したい場合は、凡例を直接ドラッグ&ドロップします。

  1. 凡例エリアの選択: グラフ内の凡例部分をクリックして選択します。凡例全体が四角い枠で囲まれます。
  2. ドラッグ&ドロップ: 凡例の枠線上にマウスポインターを合わせ、ポインターの形が十字矢印に変わったら、そのままドラッグして任意の位置まで移動し、ドロップします。

これにより、グラフエリアの内外を問わず、好きな場所に凡例を配置できます。ただし、グラフエリア内に配置する場合は、データ表示の邪魔にならないよう注意が必要です。

「凡例の書式設定」での位置調整:

より詳細な設定を行いたい場合は、「凡例の書式設定」作業ウィンドウを使用します。

  1. 凡例エリアを右クリックし、「凡例の書式設定」を選択します。
  2. 画面右側に「凡例の書式設定」作業ウィンドウが表示されます。
  3. 「凡例のオプション」の中にある「凡例の位置」で、「右」「上」「左」「下」「右(グラフに重ねずに配置)」などを選択できます。(※Excelのバージョンにより項目名や選択肢が若干異なります)

凡例の書式設定(フォント、サイズ、色、枠線など)

凡例の文字が見づらい場合や、グラフ全体のデザインに合わせて調整したい場合は、フォント、サイズ、色、背景、枠線などを変更できます。

書式設定の基本的な手順:

  1. 凡例エリアの選択: 書式を変更したい凡例エリアをクリックして選択します。
  2. 書式設定オプションの表示:
    • 右クリックメニュー: 凡例エリアを右クリックし、「フォント」を選択すると、フォントの種類、スタイル、サイズ、色などを変更できます。また、「凡例の書式設定」を選択すると、塗りつぶし(背景色)や枠線の設定が可能な作業ウィンドウが表示されます。
    • リボンメニュー: 凡例エリアを選択した状態で、「ホーム」タブの「フォント」グループや「配置」グループから、文字の書式や配置を調整できます。また、「書式」タブ(グラフツール)からは、図形の塗りつぶし、枠線、効果などを設定できます。

主な書式設定項目:

  • フォント: 種類(メイリオ、游ゴシックなど)、サイズ、太字、斜体、下線、色
  • 塗りつぶし(背景): 凡例エリアの背景色や透明度を設定
  • 枠線: 凡例エリアを囲む線の種類、色、太さ

これらの書式設定を適切に行うことで、凡例の視認性を高め、グラフ全体のデザイン性を向上させることができます。ただし、装飾しすぎると逆に見づらくなる可能性もあるため、シンプルで見やすいデザインを心がけましょう。

凡例の項目名を変更する(データソースの編集、手動入力)

凡例に表示される項目名(各データ系列の名前)は、通常、グラフの元データとなっているセル範囲の行見出しや列見出しから自動的に取得されます。しかし、元データの表記をそのまま使いたくない場合や、より分かりやすい名前に変更したい場合があります。

凡例の項目名を変更するには、主に2つの方法があります。

方法1:元データの項目名を変更する(推奨)

最も確実で、後々のデータ管理もしやすい方法は、グラフの元になっているワークシート上のデータ(系列名が入力されているセル)を直接編集することです。

  1. グラフの元データが入力されているワークシートを開きます。
  2. 凡例項目名として参照されているセル(通常は表の列見出しや行見出し)を見つけます。
  3. そのセルの内容を、凡例に表示したい名前に変更します。
  4. Enterキーを押して編集を確定すると、グラフ上の凡例項目名も自動的に更新されます。

この方法のメリットは、グラフと元データの一貫性が保たれることです。元データを修正すればグラフも自動で変わるため、修正漏れを防ぐことができます。

方法2:「データの選択」ダイアログボックスで編集する

元データ自体は変更せずに、グラフ上の凡例項目名だけを変更したい場合は、「データの選択」機能を使います。

  1. グラフの選択: 凡例項目名を変更したいグラフをクリックして選択します。
  2. 「データの選択」ダイアログボックスを開く:
    • 「グラフのデザイン」タブ(または「デザイン」タブ)の「データ」グループにある「データの選択」をクリックします。
    • または、グラフエリアを右クリックし、「データの選択」を選択します。
  3. 編集したい系列を選択: 「データソースの選択」ダイアログボックスが表示されます。左側の「凡例項目(系列)」ボックスの中から、名前を変更したい系列を選択します。
  4. 「編集」ボタンをクリック: 「編集」ボタンをクリックします。
  5. 系列名の編集: 「系列の編集」ダイアログボックスが表示されます。「系列名」の入力ボックスに、現在参照しているセル番地(例: =Sheet1!$B$1)が表示されているので、これを削除し、凡例に表示したい名前を直接入力します(例: 商品A 売上)。
    • 注意: ここで直接名前を入力すると、元データとのリンクが切れます。元データを変更しても、凡例名には反映されなくなります。
  6. 「OK」をクリック: 「系列の編集」ダイアログボックスと「データソースの選択」ダイアログボックスの両方で「OK」をクリックして閉じます。

グラフ上の凡例項目名が、指定した名前に変更されます。元データを変更できない場合や、一時的にグラフ上の表記だけを変えたい場合に有効な方法ですが、データとの不整合が起きる可能性がある点に注意が必要です。基本的には、方法1(元データの編集)を推奨します。

不要な凡例項目を削除する

グラフによっては、特定のデータ系列を凡例に表示したくない場合があります。例えば、合計値の系列など、グラフ上では重要でも凡例には不要なケースなどです。

凡例から特定の項目だけを削除するには、いくつかの方法があります。

方法1:「データの選択」ダイアログボックスで非表示にする

上記「凡例の項目名を変更する」の方法2で利用した「データソースの選択」ダイアログボックスを使います。

  1. グラフを選択し、「グラフのデザイン」タブ > 「データの選択」をクリックします。
  2. 「凡例項目(系列)」ボックスの中から、凡例から削除したい(非表示にしたい)系列を選択します。
  3. 「削除」ボタンはクリックしない: ここで「削除」ボタンをクリックすると、グラフ上のデータ系列そのものが削除されてしまいます。凡例項目だけを消したい場合は、「削除」は使いません。
  4. 「OK」をクリックして閉じる: このダイアログボックスでは直接的な削除操作はできません。
  5. 凡例項目を個別に選択して削除: ダイアログボックスを閉じた後、グラフ上の凡例エリアをクリックし、さらに削除したい凡例項目(文字部分)をもう一度クリックします。すると、その項目だけが選択された状態になります。
  6. Deleteキーを押す: その状態でキーボードの Delete キーを押します。

これで、選択した凡例項目だけが凡例エリアから削除されます。グラフ上のデータ系列(棒や線など)は残ったままです。

方法2:凡例全体を編集可能なテキストボックスに変換する(非推奨)

少しトリッキーな方法ですが、凡例を選択してコピーし、「形式を選択して貼り付け」で「図 (拡張メタファイル)」として貼り付け、その図のグループ化を解除すると、凡例の各要素(マーカーとテキスト)が個別のオブジェクトになります。その後、不要なテキストボックスを削除する方法があります。しかし、この方法は元の凡例とのリンクが完全に切れ、編集も煩雑になるため、あまり推奨されません。

基本的には、方法1の手順で、削除したい凡例項目を選択して Delete キーを押すのが最も簡単で確実です。

【応用編】凡例をさらに活用するテクニック

基本的な表示・編集方法をマスターしたら、もう少し応用的なテクニックも見てみましょう。凡例を工夫することで、グラフはさらに分かりやすく、洗練されたものになります。

特定の凡例項目だけを強調する

多くのデータ系列があるグラフで、特に注目してほしい系列がある場合、その凡例項目だけを目立たせることができます。

  1. 凡例エリアの選択: 凡例エリア全体をクリックして選択します。
  2. 強調したい凡例項目の選択: 強調したい凡例項目(文字部分)をもう一度クリックします。その項目だけが個別に選択された状態になります。
  3. 書式設定の変更: 個別に選択した状態で、「ホーム」タブのフォント設定や、「書式」タブの文字の効果などを使って、太字にしたり、文字色を変えたり、下線を引いたりして強調します。

これにより、読み手に対して、特にどのデータに注目すべきかを視覚的に示すことができます。

凡例をグラフエリア外に配置する

グラフエリア内にデータが多く表示されている場合、凡例をグラフエリア内に置くとデータが見にくくなることがあります。そのような場合は、凡例をグラフエリアの外(プロットエリアの外側、グラフ全体の枠内の空白部分など)に移動させると、グラフエリアを広く使えます。

これは、前述の「凡例の位置を変更する」で説明した、凡例エリアをドラッグ&ドロップする方法で簡単に行えます。凡例を選択し、グラフエリアの外側の好きな位置に移動させるだけです。必要に応じて、凡例エリアのサイズも調整できます。

凡例を使いこなして分かりやすいグラフを作成しよう

今回は、Excelグラフの「凡例」について、その基本的な意味から、表示・非表示、位置や書式、項目名の編集方法、そして応用的なテクニックまで詳しく解説しました。凡例は、グラフ作成において決して脇役ではありません。適切に設定・編集された凡例は、グラフの情報を正確かつ効果的に伝え、説得力を高めるための強力なツールとなります。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事