- 作成日 : 2025年2月6日
ナレッジマネジメントツールとは?選ぶポイントやおすすめのツールを紹介
従業員が培った知見やノウハウを集約し、社内で共有するツールが注目されています。文字だけではわかりにくいナレッジは、専用ツールで図形、画像や動画を活用すれば、より直感的に伝えられるでしょう。
そこで本記事では、ナレッジ共有を効率化できるナレッジマネジメントツールについて解説します。導入のメリット、選定のポイントやおすすめも紹介するのでぜひ参考にしてください。
目次
ナレッジマネジメントツールとは
ナレッジマネジメントツールとは、従業員や組織に蓄積された知見やノウハウを共有して活用する取組を支援するツールのことです。この取組はナレッジマネジメントと呼ばれ、チームの生産性向上や新機軸の商品・サービス開発につながる経営手法として注目されています。
多種多様なナレッジマネジメントツールが登場しているために、ナレッジ共有によって達成したいゴールを明確にした上で選ぶことが重要です。
主なナレッジマネジメントツールの種類
ナレッジマネジメントを実践するためのツールには、いくつか種類があります。ここでは3種類に分けて解説しますので、自社の実情に合ったナレッジマネジメントツールはどの種類に該当するのか確認しましょう。
ヘルプデスク型
ヘルプデスク型は、社内で業務遂行に必要な情報をFAQや文書ファイルとして登録しておくことで、従業員が問題や疑問を自己解決できるツールです。ヘルプデスク型には、キーワード検索に対応しているタイプやチャットボットが回答するタイプがあります。企業内検索エンジンは、別名エンタープライズサーチとも呼ばれているので参考にしてください。導入すれば、問い合わせ量の増加や求められる専門知識の高度化など、ヘルプデスク担当者が抱える負担の軽減につながります。
経営分析・戦略策定型
経営分析・戦略策定型は、すでに収集・蓄積したナレッジを有効活用し、経営戦略の策定に役立てるツールです。具体的にはDWH(データウェアハウス)、データマイニング、BI(ビジネスインテリジェンス)などを活用して膨大なナレッジを整理・分析し、収益向上につながる新しい価値創造に生かします。またツールが作成したチャートやレポートからトレンドを把握すれば、経営判断に活かすことが可能です。
顧客知識・ベストプラクティス共有型
顧客知識共有型は、カスタマーサービスの質を向上させるツールです。顧客への対応履歴を社内で共有することで、どの部門のどの担当者であっても状況を把握し、適切な対応を提供できるようになります。
ベストプラクティス共有型は、優秀な従業員の行動や思考を共有することで他の従業員のパフォーマンスを向上させ、業務の質を高めるツールです。たとえば、成績優秀なセールスパーソンの商談ノウハウをチーム内で共有するといった使い方が考えられます。
ナレッジマネジメントツールの導入がおすすめなケース
社内ドキュメントの検索スピードや精度を高めたいなら、ヘルプデスク型がおすすめです。Windows標準のエクスプローラでは、ファイル検索に時間がかかる場合があります。社内ドキュメントをクラウドストレージで一元管理しているケースでは、搭載されている検索機能を使っても必要な情報がうまく表示されないことがあるかもしれません。
蓄積したデータを経営判断に使いたい場合には、経営分析・戦略策定型の利用がおすすめです。また近年では、部門の垣根を超えて一気通貫したサービスを提供し、顧客体験を向上させて企業の評判を高めながら収益を改善させる手法が注目されています。収益を改善したい場合には、顧客知識・ベストプラクティス共有型の導入を検討するとよいでしょう。
ナレッジマネジメントツールを導入するメリット・注意点
企業の中には、表計算ツールを活用して、知識を蓄積する取り組みを行っているケースが見られます。しかし必要なときに探している情報をスピーディーに見つけ出すためには、ナレッジマネジメントツールの導入がおすすめです。ここでは、ナレッジマネジメントツールの導入メリットと注意点について見ていきましょう。
メリット
ナレッジマネジメントツールなら、ナレッジの収集・蓄積・管理・活用を効果的に行えます。導入するメリットは、次のとおりです。
- 社内ドキュメントを探す時間を削減できる
- 従業員のスキルを向上し、人材育成に役立つ
- ナレッジをもとに意思決定を効率化できる
- 組織・部門間の連携が進み、競争力の向上につながる
- ビジネスや業務におけるイノベーションが促進される
ツールの導入によってナレッジマネジメントが促進されると、部門を横断してさまざまなナレッジが交差し、有機的に作用するようになるでしょう。新しいアイデアが生まれやすい空気が醸成され、人材育成も活性化されることから、競争力の強化につながります。
注意点
ナレッジマネジメントは、全社的な取り組みとなることから、従業員の理解を深めるほか、推進体制などリソースの確保が重要です。担当者は自社に合ったナレッジマネジメントツールの選定にはじまり、ナレッジを収集・登録し、情報を常に更新する体制を整えなくてはなりません。
ときには、ナレッジマネジメントの考えを社内に浸透させる啓蒙活動も必要になります。運用をスタートさせた後もフィードバックをもとに改善したり、マニュアルを整備したりして、現場でツールが使われる環境作りをしましょう。
ナレッジマネジメントツールを選ぶポイント
ここでは、ナレッジマネジメントツールの導入にあたって、選定に役立つポイントを4つご紹介します。
自社の規模や目的とマッチしている
規模や導入する目的によってナレッジマネジメントツールに必要な機能は異なるため、自社のニーズにマッチした機能とサポートが備わったツールを選びます。ユーザー数の上限や下限が設けられているツールがあるので、選定の際には従業員の数に留意が必要です。
まずは自社がナレッジマネジメントを実践する目的を明確にしてから選定をスタートします。たとえば、コールセンター業務に検索スピードにすぐれたFAQシステムを導入すれば、タイムリーな対応が可能になり、エスカレーション件数も削減できるようになります。必要な情報を迅速に提供できれば、オペレーターの自信向上や顧客のリピート率上昇にもつながるでしょう。
マルチデバイスに対応している
PC、スマホ、タブレットなどのマルチデバイスに対応していれば、従業員はいつでもどこでもナレッジマネジメントツールにアクセス可能です。PCのみに対応しているツールを選ぶと、オフィスでの利用に限られてしまいます。ブラウザ・アプリはもちろん、オフラインにも対応しているツールであれば、外出中やテレワーク時などあらゆるビジネスシーンでナレッジにアクセスできるでしょう。
操作性が高い
従業員に積極的なナレッジマネジメントツールの利用を促すためにも、情報の登録や検索などの操作性の高さを重視します。入力フォームの使い勝手やナレッジ照会のしやすさ、検索スピードや精度を、無料トライアルを利用してチェックしておくことが重要です。
現場によっては、ITリテラシーが低い従業員が多いケースもあります。この場合は特にユーザーインターフェースがシンプルでわかりやすく、操作マニュアルを閲覧しなくても、誰もが直感的に操作できるツールを選ぶことが大切です。
セキュリティ対策が充分になされている
クラウド型(SaaS)のナレッジマネジメントツールを利用する際は、セキュリティ対策が充分になされているツールを選びましょう。
社内のナレッジには「ヒト・モノ・カネ」に関連する情報が含まれているため、情報漏えいリスクを回避しなければなりません。SaaSプロバイダーが運用するデータセンターの信頼性を調べることは容易ではないため、ISMSクラウドセキュリティ認証など、クラウド関連の第三者認証マーク取得状況を確認するようにしましょう。
おすすめのナレッジマネジメントツール
ここでは、おすすめのナレッジマネジメントツールを6つご紹介します。
Confluence
Confluenceは、コラボレーションツール、あるいはWikiツールと呼ばれるナレッジマネジメントツールです。社内ポータルとして使えて検索しやすく、編集・閲覧の権限管理にすぐれた特徴があります。大規模ユーザー、グローバル企業向けのプランを用意している点が強みです。
| プラン | Standard、Premium、Enterprise |
|---|---|
| 提供形態 | クラウド、オンプレミス |
| ユーザー数の制限 | 11ユーザーから最大50,000ユーザーまで対応 |
| 無料トライアル |
|
出典:Confluence Cloud プランと価格|Ricksoft
Teachme Biz
Teachme Bizは、画像や動画を使いマニュアルを簡単にステップ化できる特徴を持つナレッジマネジメントツールです。オプションの自動翻訳機能を使えば、外国人スタッフの教育にも使えます。マニュアルをタスク配信したり、閲覧・検索ログを分析して運用状況の可視化・改善に役立てたり、作成したトレーニングコースの進捗状況を確認したり、徹底してフォローできる点が強みです。
| プラン | スターター、ベーシック、エンタープライズ |
|---|---|
| 提供形態 | クラウドのみ ※選択したライセンス費用12ヶ月分と、初期費用の合計金額を一括払い |
| ユーザー数の制限 | アカウント数はスターター60、ベーシック180、エンタープライズ600 |
| 無料トライアル | あり |
出典:料金プラン|Teachme Biz
ナレッジリング
ナレッジリングは、操作性・検索性にすぐれたFAQシステムを提供するナレッジマネジメントツールです。必要な情報がすぐに見つかり、ITリテラシーの低い従業員でもすぐに使える操作のしやすさに特徴があります。さらに導入や継続的な運用がしやすいコストパフォーマンスの高さが強みです。
| プラン | ベーシック、アドバンス、エンタープライズ、公開FAQ |
|---|---|
| 提供形態 | クラウド |
| ユーザー数の制限 | 希望数を申請するなどプランごとに異なる |
| 無料トライアル | アカウント数の上限は20、0.5GB内で30日間利用可能 |
出典:料金プラン|ナレッジリング
Microsoft Whiteboard
Microsoft Whiteboardは、さまざまな色、図形、テンプレートを駆使しながら、バーチャルな空間で従来のホワイトボードのような機能を果たすナレッジマネジメントツールです。他のビデオ会議ツールと連携できる特徴を活かして、ブレーンストーミング、ラーニングやコーチング、問題解決に活用できます。ナレッジを視覚的に表現できる点が強みです。
| プラン | 無料のMicrosoftアカウント、あるいはMicrosoft 365アカウントでサインイン |
|---|---|
| 提供形態 | アプリをダウンロード |
| ユーザー数の制限 | – |
| 無料トライアル | – |
出典:Microsoft Whiteboard|Microsoft 365
esa
esaは、チャットのような発信のしやすさと、Wikiのような情報ストックの容易さを両立したナレッジマネジメントツールです。「WIP(書き途中)」と表示する機能に特徴があり、不完全なドキュメントでも気軽にチーム内で公開・共有できます。チーム内でゆるく共有しながらナレッジを育てられる点に強みがあり、育ったナレッジは簡単にカテゴリー分けが可能です。
| プラン | なし(チームの所属人数・日数に応じて料金が決まる仕組み) |
|---|---|
| 提供形態 | クラウド |
| ユーザー数の制限 | – |
| 無料トライアル | チーム作成月から2カ月後の月末までと期間は長め |
出典:ご利用料金|esa
NIKKEI The KNOWLEDGE
NIKKEI The KNOWLEDGEは、新聞・業界専門紙、ビジネス誌、Webサイトを含む400以上の情報ソースからAIが選別した情報が、メール配信されるナレッジマネジメントツールです。直感的な操作で、集めた情報を保存・整理・メモするなどして活用できる点に特徴があります。チーム内で特定のメンバーを選んでハイライトをつけたコンテンツを共有し、気づきを促すなど、情報収集の効率化に役立つ点が強みです。
| プラン | 要問い合わせ |
|---|---|
| 提供形態 | クラウド |
| ユーザー数の制限 | – |
| 無料トライアル | 1カ月間、すべての機能・コンテンツをチームで利用可能 |
出典:機能|NIKKEI The KNOWLEDGE
ツールを選定してナレッジマネジメントに取り組もう
従業員の知見やノウハウを共有・活用していくには、スピーディーな検索と参照を可能にするナレッジマネジメントツールの利用がおすすめです。自社に必要なのは最新ニュースなのか、ステップ化されたマニュアルなのか、あるいはFAQシステムなのか、まずは目的を明確にします。その上で目的に合ったツールを選定し、競争力強化に向けてナレッジマネジメントを推進しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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