- 更新日 : 2025年1月31日
研修提案書とは?記載すべき内容と便利な無料テンプレートを紹介
研修提案書は、研修の目的や効果を示し、意思決定者やクライアントを納得させるために欠かせない資料です。組織の人材育成に力を入れる企業が増えた今、研修提案書の重要性も高まっています。
この記事では、研修提案書とは何か、必要な理由や記載すべき各項目について紹介します。研修提案書の無料テンプレートもダウンロードできるので、ぜひ活用してください。
目次
研修提案書とは
研修提案書とは、これから実施する予定の研修について、内容や目的、実施計画をまとめ、提案するための文書です。通常、研修の目的や対象者、内容、スケジュール、予算などについて具体的にまとめ、主にクライアントに向けて提案するために作られます。
研修提案書と混同されやすい書類として研修企画書がありますが、それぞれの目的や内容は明確に異なります。
研修提案書は、上司やクライアントなど研修の実施について最終的な決定権を持つ相手に対して、研修の必要性や価値を訴求するための文書です。研修の目的や効果、実施方法、期待される成果などを明確に示し、提案の採用を促すことを目的としています。したがって、提案スキルが重視されます。
一方で、研修企画書は、研修のアイデアや計画を具体化し、社内の関係者と共有するための文書です。主に内部向けの資料であり、関係者の理解と合意を得ることを目的としています。
要するに、研修企画書は内部での計画立案と共有を目的とした研修資料で、研修提案書は外部または決裁者への提案と説得を目的とした提案資料です。
研修提案書が必要な理由
研修提案書は主に外部のステークホルダーなど意思決定者に向けて作成される提案資料です。そのため、研修について具体的に伝え、研修を実現させる目的で作られます。それぞれについて詳しく解説します。
企画した研修を実現させるため
研修提案書は、企画した研修内容を社内外のステークホルダーに納得してもらうための大切な「根拠資料」としての役割を担います。
口頭で説明しただけでは伝わりにくい研修の背景や狙い、見込まれる効果などを文書化していれば、研修開催に向けた具体的なイメージを共有しやすくなります。また、必要な予算や人材、設備などのリソースを整理して研修運営担当者に提示できるため、研修が妥当であると論理的に証明することが可能です。
結果として、クライアントや上層部からの承認を得やすくなり、研修がスムーズに実現する確率が高まります。
研修に関する情報を具体的に伝えるため
研修と一口に言っても、必要な情報は多様です。研修の目的、ターゲットの属性、開催方式、会場の条件、詳細なカリキュラムなどさまざまな情報を分かりやすくまとめたものがなければ、研修にお金を出す意思決定者は腹落ちしません。
また、研修を受ける側にとっても、「なぜこの研修が必要なのか」「どのような効果を得られるのか」といった狙いが分からないままであれば、狙った効果が出ないでしょう。さらに、研修をサポートする方にとっても、研修内容をイメージできなければ必要な支援ができません。
必要な情報を研修提案書の形で提示すれば、意思決定者だけでなく、受講者やサポートメンバーも事前に研修ゴールをイメージしやすくなり、研修の成功率を高められます。
研修提案書の無料テンプレート
研修提案書は主に社外や上席の方向けの資料であるため、企画書をさらにブラッシュアップする形で、丁寧に作るのが大切です。テンプレートを活用すれば、作業にかかる時間を短くし、その分情報を精査してより説得力のある形に仕上げる時間を作れるでしょう。
以下のリンクからダウンロードできる提案資料作成に役立つテンプレートを、ぜひ活用してください。
研修提案書に記載すべき内容
研修提案書には、研修を開催する目的から費用面の説明まで、関係者が理解しやすいように整理して書くことが重要です。記載する各項目について、詳しく解説します。
研修を開催する目的
まずは「なぜこの研修が必要なのか」を明確に示します。たとえば「新入社員研修を通じて新人の早期の戦力化を図る」「管理職のリーダーシップ強化を目指す」といった形で、どういった問題や課題を解決したいのかを整理しましょう。
大切なのは、「目的」が具体的かつ、研修後にKPIを測定可能な内容になっていることです。たとえば「新入社員の80%以上に、社内プロジェクトを円滑に進める力を身につけさせる」という形で書くと、関係者にも成果がイメージしやすくなります。提案書を読む側としても、目的がハッキリしていれば「この研修に投資する意義」が分かりやすいため、承認を得やすくなるでしょう。
研修の対象者
次に、研修に参加する人の範囲や属性、具体的な人数を示します。たとえば「新卒入社後1年目の社員40名」「全国の支店長クラス20名」といったように、対象者のレベルや役職、スキル状況が分かるように書くのがおすすめです。
具体的に書くことで、提案を受ける側は「どの層が学ぶ研修なのか」「どの程度の規模で準備が必要か」をイメージできます。また、受講生のバックグラウンドや業務内容を簡単に示せば、研修内容との関連性がより明確になり、全体像を把握しやすくなるでしょう。
研修の内容
主に取り上げるテーマや、研修プログラムの流れを詳しく書きます。カリキュラム構成や具体的な学習項目、使用する教材などを含めて整理するのがポイントです。たとえば「グループワークを取り入れて実践で学ぶ」「講義形式で基礎理論を学ぶ」など、研修のスタイルやメソッドも明記しましょう。
さらに、学習目標や得られるスキルを項目ごとにまとめると、関係者から「どういった効果が見込めるのか」を判断してもらいやすくなります。講師やファシリテーターの経歴や強みも、内容を支える重要な要素となるため、必要に応じて付記しておくとよいでしょう。
研修の開催場所
研修の場所は、会場を借りるのか、社内会議室を使うのか、オンラインで実施するのかなど、形態ごとに必要な準備が大きく異なります。
オフライン研修の場合は、利用する会場の広さや設備、アクセス方法、プロジェクターやホワイトボードなど備品の有無も重要です。クライアントのオフィスにある会議室などを借りる場合は、何を用意してほしいのかについても書きましょう。
オンライン研修の場合は、使用するウェブ会議システムや、受講者が利用するPC・インターネット環境の条件などを事前に確認して記載しましょう。特にオンライン研修はトラブルが起きやすいので、機器のスペックなどを書くとともに、事前に必要なテスト環境についても伝えれば、研修に必要なサポート体制を整えやすくなります。
研修のスケジュール
スケジュールは、研修の全体像や進行手順を可視化するために欠かせない項目です。スケジュールを示すことで、人事部門や上司が「いつどのくらい社員の稼働を研修に割り当てるか」を検討しやすくなり、協力を得やすくなる効果もあります。
まずは「○月○日~○月○日の2日間」「9:00~17:00の1日研修」「毎週金曜日の午前中にオンラインで実施」など、日時や期間を書き、その上で細かくカリキュラムを伝えましょう。カリキュラムの内訳を書くときには、休憩時間、質疑応答に充てる時間なども忘れず記載すると、より現実的かつ計画的な印象を与えられます。
研修の費用
意思決定者にとって、研修の費用は特に気になるポイントです。講師への謝礼や研修会場の使用料、オンライン研修ならシステム使用料、受講者が使う教材費など、可能なかぎり細分化した形で提示すると分かりやすいでしょう。
さらに、社内人件費(運営担当者の工数など)も含め、研修終了後のフォローアップにかかる費用も見込んでおくと安心です。全体コストだけでなく、参加者一人あたりの費用を出すと、費用対効果を評価しやすくなります。上層部や財務担当者の理解を得るためにも、根拠となる見積もりや内訳をしっかり用意することが大切です。
企画を実現させるために確認したい研修提案書作成のコツ
研修提案書を作成する際は、各項目を網羅するだけでなく、常に「読み手にとって分かりやすいかどうか」を意識しましょう。以下では、分かりやすい研修提案書を作成する上で重要な3つのポイントを紹介します。
現状の課題・問題を提示する
研修を実施することで解決したい「課題や問題点」を提案書の冒頭で明確に示しましょう。たとえば「新入社員の早期離職率が高い」「管理職のマネジメントスキルにばらつきがある」など、実際に起きている状況やデータを用いて説明すると説得力が増します。
研修が具体的にどのような課題を解消し、どういった状態を目指すのかを伝えることで、相手はなぜこの研修を行う必要があるのかイメージしやすくなります。
研修を開催するメリットを明確にする
相手が解決したい課題や問題点を受ける形で、研修によってどのような成果が期待できるのかを具体的に伝えましょう。例えば、早期離職率が高い課題を解決したいのであれば、「コミュニケーション研修により職場の風通しを良くすれば、離職率が50%低下した実績がある」など、定量・定性的なメリットを分かりやすく並べるのが大切です。
このとき、可能であればゴールや測定指標を設定すると、効果をより可視化できます。メリットが明確になるほど、研修の実施が企業にとって投資価値のある行為だと認識され、承認を得るハードルが下がります。
分かりやすい表現で提案内容をまとめる
提案書の構成ができた時点で、一度全体の構成を見直し、「どうすれば一目で要点が伝わるか」をチェックすることも大切です。表や箇条書き、図解などを活用して、読み手が内容をイメージしやすい形にまとめましょう。
文章が長くなりすぎると理解しづらくなるため、要点をコンパクトに整理するのがおすすめです。さらに、専門用語や業界用語は補足説明を入れるなど、読み手の知識レベルを考慮することで、余計な疑問や不安を減らせます。
テンプレートを活用して研修提案書を作ろう
研修提案書は、目的や参加者の情報、スケジュールや費用を整理して伝えることで、意思決定者に納得してもらいやすくする役割があります。また、提案書を通して研修の効果や価値を分かりやすく説明することで、意思決定者にとどまらず、多くの人から協力を得られるでしょう。さらに、提案書を準備することで、研修の内容が具体的にまとまり、スムーズに実施できます。
研修提案書を作るときにテンプレートを活用すれば、相手を説得するのに必要な情報が漏れにくくなり、内容も整理しやすくなります。ぜひテンプレートを活用して、研修提案書を作ってください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
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