- 更新日 : 2024年12月12日
アジャイル開発に仕様書は必要?仕様書の必要性やテンプレートも紹介
アジャイル開発は、変化するニーズに迅速に対応するための柔軟なソフトウェア開発手法として、多くの企業で採用されています。
アジャイル開発ではスピードと柔軟性が求められるので、仕様書作成に時間を割くことがデメリットになる場合があります。しかし、仕様書によって開発の方向性を共有でき、開発プロセスを円滑に進められるケースもあります。当記事では、アジャイル開発における仕様書の必要性やメリット、実際に役立つテンプレートを紹介します。
目次
アジャイル開発とは?
アジャイル開発とは、ソフトウェア開発を段階的に行い、柔軟的に開発を進める手法のことです。システムやソフトを開発する際の主流として、多くの現場で導入されています。
主要なソフトウェア開発手法としては、アジャイル開発の他にウォーターフォール開発も挙げられます。ウォーターフォール開発は、クライアントとの間で機能の細部まで仕様を確定させてから各工程を段階的に進めていく方法で、開発までの期間が長くなりやすい点が特徴です。
ウォーターフォール開発では、基本的に前の工程が終わらないと次の開発工程に移行できません。開発プロセスで不具合などが発生した場合は、他のタスクが滞って開発スケジュールが大幅に遅れてしまうリスクがあります。
アジャイル開発は機能単位で開発プロセスを繰り返す方法で、ウォーターフォール開発と異なります。ユーザーのフィードバックをもとに機能ごとに細かい開発を繰り返し、より良い機能を提供します。アジャイル開発は小さい単位の開発を繰り返すため、不具合や仕様変更でタスクが停滞しにくいのがメリットです。
アジャイル開発における仕様書の必要性
アジャイル開発は、システムやソフトウェアの開発が素早く行えるのが利点であり、作成の手間がかかる仕様書・設計書は不要と言われるケースも少なくありません。しかし、仕様や設計についてのドキュメントなどを用意しておくことで、以下のようなメリットが得られます。
仕様書を用意することで、開発要件に関する認識齟齬や勘違いを防止できるのがメリットです。共通認識を反映した設計書がないと、どうしても齟齬が発生しやすく、大きな問題につながる可能性も考えられます。
開発要件を明確にした仕様書があると、開発者の間でもコミュニケーションが取りやすく、業務効率化につながる点が魅力です。仕様書は、開発遅延を防いで計画通りに進めるだけではなく、「素早い開発」というアジャイル開発のメリットを損なわないためにも重要な役割を持ちます。
システム・ソフトウェア開発の途中で、別の関係者やチームへの引き継ぎが必要になる場合も考えられます。仕様書があれば、迅速かつ適切に引き継ぎが行えるのもメリットです。イレギュラーな対応が必要な場合でも、運用負担を最小限にできる可能性があります。 |
特に、アジャイル開発の規模や内容によっては、プロダクトの全体像が把握しにくいケースも見られます。システム・ソフトウェア開発の質とスピードを安定させるためにも、仕様書を活用するのがおすすめです。具体的には、仕様書やER図、システム構成図などを作成して、プロダクトの全体像や一部を視覚的に表現する方法があります。
アジャイル仕様書の無料テンプレート
アジャイル開発ではスピード感ある対応が求められるため、仕様書の作成に時間がかけられないケースがほとんどです。ただし、仕様書テンプレート・ひな形を使えば、アジャイル開発における仕様書をスムーズに作成できます。
アジャイル開発で仕様書を作成するときのポイント
アジャイル開発ではスピードが重要であり、仕様書もできるだけ手間がかからないように作成する必要があります。ここでは、具体的にどのような点に気をつけるとよいかを紹介するため、開発のスピード感と仕様書作成を両立する際の参考にしてください。
テキストファイルに簡単な設計書を作る
仕様書や設計書に定められたフォーマットがあると、重要事項の抜け漏れが防げます。しかし、フォーマットがしっかりしすぎている場合は、フォーマットを埋めるために手間がかかり、心理的なハードルが高いと感じてしまうケースも少なくありません。
最初からフォーマットの内容を細かく詰めようとするのではなく、テキストファイルで簡単な仕様書・設計書を作成するのがおすすめです。イメージ共有のたたき台として、メモ書き感覚で要件をまとめるところから始めるとよいでしょう。
チケット管理ツールを使う
チケット管理ツールとは、日々のタスクや課題をチケットに登録して管理するツールのことです。チケット管理ツールを利用すると、タスク・要件をそれぞれ箇条書きで書き留めておけるので、開発チーム内部での認識共有、進捗状況の管理などに役立ちます。
具体的には、プロジェクトチーム内で会話をしながらリアルタイムでメモ書きのように記録し、チケットに登録して使うのがおすすめです。開発担当者間で直接確認した内容も、時間をかけずにまとめて残せます。仕様書や設計書を作るよりも、手軽に開発方針の概要や重要事項を共有できるのが魅力です。
さらに、更新通知機能が付いたツールを選ぶと、他のチームメンバーが行った編集内容も簡単に把握でき、トラブル防止につながります。
タスクを細分化する
上記のポイントを試してメリットが感じられなかった場合は、タスクを細分化してリストにするのも1つの方法です。より簡単に必要な開発作業を可視化できるため、仕様書・設計書作成にできるだけ時間を割きたくない場合に適しています。
リストを作成する際には、タスク名で「何をやるべきなのか」が明確に分かるようにしておきましょう。複数の作業工程を1つのタスク名でまとめると、抜け漏れが発生する可能性もあるため、注意が必要です。
設計書とプロダクトバックログを使い分ける
プロダクトバックログとは、開発が必要な機能などに優先順位を付与してリスト化したものです。チケット管理ツールを使ったタスク管理は、プロダクトバックログに含まれます。
プロダクトバックログは、やるべきことが一目で確認できるものの、仕様書・設計書のような詳細な内容までを盛り込める訳ではありません。プロダクトの動きを理解できていない、新しいメンバーや別のチームに共有が必要な場合、プロダクトバックログだけでは情報が不足してしまう可能性もあります。
幅広いケースに対応しながら開発プロジェクトを成功させるために、状況に応じて設計書とプロダクトバックログの両者を適切に使い分けるのが大切です。
デザインツールを使う
仕様書・設計書作りに役立つデザインツールを活用する方法もあります。作画に加えて、ワークフローやプロトタイプを作成しながら開発を進める使い方も効果的です。
例えば、Figmaはプロダクト開発で使われるツールとして有名です。シンプルな操作でUIデザインやグラフィックデザインが作成できるため、多くの開発現場で重宝されています。また、drawioという作画ツールを使うと、モジュール図・アーキテクチャ図なども無料で作成可能です。
他にも、PlantUMLやConfluenceといったツールが知られています。仕様変更時の差し込み・削除が簡単に行えるもの、スムーズに情報共有できるものなど、ツールごとの特徴を理解して活用するのがおすすめです。
テンプレートを作成しておく
仕様書のテンプレートをあらかじめ用意しておくと、確認・記載するべき情報について考える時間が減り、作成作業自体を効率化できます。また、書式が統一可能なため、誰が作成しても分かりやすい仕様書・設計書にできる点もメリットです。
テンプレートを作成する際に記載方法の統一やルール設定を行っておくと、情報共有の円滑化や担当者間における齟齬の防止にも役立ちます。
仕様書を活用して効率よく開発プロジェクトを進めよう
アジャイル開発において、仕様書はチーム間での認識のズレを防ぎ、円滑なコミュニケーションを促進する役割を持っています。開発のスピード感を損なうことなくプロジェクトを成功に導くために、仕様書は重要なツールです。
テンプレートや管理ツールを活用し、効率的に作成することで、アジャイルの利点を最大限に引き出しながら、スムーズな開発プロセスを実現しましょう。
この記事をお読みの方におすすめのガイド5選【部署別紹介】
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
経理担当者向け
①Excel関数集 32選まとめブック
経理担当者の方をはじめ、ビジネスパーソンが知っておきたい便利なExcel関数集を初級~上級までギュッと網羅。新人社員の研修用などにもお使いいただけます。Google スプレッドシートならではの関数もご紹介しています。
②勘定科目・仕訳辞典(税理士監修)
勘定科目・仕訳に関する基本知識、および各勘定科目の仕訳例を具体的かつ網羅的にまとめた、50ページを超えるガイドを無料で提供しております。お手元における保存版としてでだけでなく、従業員への印刷・配布用としてもぜひご活用ください。
人事労務担当者向け
①入社・退職・異動の手続きガイドブック
書類の回収・作成・提出など手間のかかる入社・退職・異動(昇給・昇格、転勤)の手続き。
最新の制度をもとに、よくある質問やチェックポイントを交えながら、各手続きに必要な情報をまとめた人気のガイドですす。
②社会保険・労働保険の手続きガイド
企業において社会保険および労働保険の加入・喪失手続きは必ず発生し、手続きを誤れば保険事故が発生した際に従業員が不利益を被る可能性があります。
各保険の基本的な手続き方法を入社・退職・異動のシーン別にギュッとまとめた分かりやすいガイドです。
総務・法務担当者向け
契約書ひな形まとめ30選
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い30個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
清掃マニュアルとは?必要性やメリット・作り方・テンプレートを紹介
清掃マニュアルとは、掃除に関する手順や方法を明確に記載した手引きのことです。清掃マニュアルを活用することで掃除の質を均一化し、効率的に作業を進められます。また、清潔な環境は顧客満足度や従業員の健康管理にも直結します。 当記事では、清掃マニュ…
詳しくみるゼロ工程表とは?作成手順や書き方・注意点・無料テンプレートを紹介
ゼロ工程表は、建設や製造の現場で用いられる、作業日だけを記載した工程表の一種です。通常の工程表は全体のスケジュールを把握するのに適していますが、ゼロ工程表は作業が行われる日に焦点を当てるため、各工程の具体的な進行状況や作業負担を明確にできま…
詳しくみる家賃振込先変更のお知らせをしたい!適切な挨拶文と無料テンプレ
家賃振込先変更のお知らせを作成する際は、適切な挨拶文とともに、新しい振込先などの必要な情報を明確に伝えることが重要です。銀行口座が切り替わる約2か月前には、入居者にその旨を告知しましょう。無料のテンプレートを活用すれば、手間を省きつつ適切な…
詳しくみる会議次第とは?書き方や作り方のポイント・無料テンプレートを紹介
企業の会議では当日集まって何を話すか決めるより、事前に会議の準備をしたほうが効率的で意味のある時間になります。そこで会議をスムーズに進めるために重要なのが、会議次第です。会議次第で議論すべき議題や時間配分などを事前に決めておくと、会議を始め…
詳しくみる品質チェックシートとは?QC7つ道具の詳細やテンプレートを紹介
品質管理の徹底は、製品やサービスの品質を維持し、企業の信頼を高める上で重要です。製造業では、原材料のばらつきや工程の変動が品質に影響を及ぼすため、安定した管理体制が求められます。そのための有効なツールの1つが「品質チェックシート」です。品質…
詳しくみる趣意書とは?書き方のポイントやそのまま使えるテンプレートを紹介
趣意書は、プロジェクトや活動の目的や意義を関係者に伝えるための重要な文書です。新規事業の提案やイベント開催時に使用され、関係者の理解と賛同を得る役割を果たします。 当記事では、趣意書の意味や基本的な書き方、記載のポイント、さらに便利な無料テ…
詳しくみる




