- 更新日 : 2024年9月11日
課題解決とは?職場での具体例や解決方法、フレームワークを紹介
課題解決とは、目標と現状とのギャップを埋めて目標達成を目指す取り組みのことです。発生しているネガティブな事柄に対処するという「問題解決」とは異なります。ビジネスでは、課題解決をソリューションと言い換えられます。
本記事では、課題解決の概要やプロセス、課題解決に役立つフレームワークと具体例を紹介します。
課題解決とは?
課題解決とは、目標と現状とのギャップを明確にして、それを埋めるために解決策を立案することです。
ここでは、ビジネスでの言い換え表現や、問題解決との違いを解説します。
ビジネスで課題解決の言い換え
ビジネスにおいて課題解決は、「ソリューション」という言葉に言い換えられます。英語の「solution」には解決や解答という意味があり、ビジネスでは、企業が抱える課題についてシステムや知見など、さまざまな方法で解決するという意味で使われます。
ソリューションは、一例として「.システムソリューション」「ソリューションサービス」「ソリューションカンパニー」といった使い方をします。
システムソリューションとは、システムの提案・構築によってクライアントの課題を解決することです。
ソリューションサービスは、クライアントの課題を解決するためにシステム構築の提案・サポートをするサービスです。
ソリューションカンパニーとは、クライアントの抱えている問題を把握し、課題への解決策を提案する企業を指します。
問題解決との違い
課題解決は、問題解決とは異なります。問題とは現状で発生している解決すべきネガティブな事柄のことで、問題解決はこれらを解決するものです。
これに対し、課題とは、問題と理想的な状態の間にある差を埋めるという目標であり、課題解決はその達成に向けた取り組みを指します。
問題解決には現在発生しているネガティブな事柄に対処するという意味があるのに対し、課題解決は、あくまで目標と現状とのギャップを埋めて目標達成を目指すというポジティブなニュアンスがあります。
課題解決の方法・プロセス
課題解決には、課題の明確化から解決策の実行・評価まで、いくつかのプロセスがあります。
順にみていきましょう。
課題の明確化
課題解決は、課題を明確にすることから始めます。現状を分析し、目標とのギャップを把握するステップです。例えば、現状の売上が目標の数字に達していない場合、その差が課題となります。
数字であれば課題は明確ですが、わずかな不具合やなんとなく違和感があるなど、具体化できない問題がある場合、はじめに課題を明確化する作業が必要です。
まだ課題が見えない現状でも、より良い状態を目指すため、積極的に課題を見つけるという方法もあります。
原因の分析
なぜその課題が発生したのか、原因を分析します。似たような課題でも、原因はケースごとに異なります。例えば、売上が目標に到達しないという課題であれば、分析によって「営業が足りない」「商品が周知されていない」といった原因が分析できるでしょう。
原因がわからない場合や、要素が複雑に絡んでいる課題などは、フレームワークで関係すると思われる要素を洗い出し、本当の原因を突き止める方法があります。
解決策の検討
原因の分析が済んだら、それを解決するためにどのような方法を使うか、解決策を考えます。例えば、売上が目標に到達しないという課題の原因が「営業が足りない」という点にある場合、営業力を高めたり、営業の人員を増やしたりするなどの解決策が考えられるでしょう。
いくつかの解決策を策定したら、優先順位をつけ、より実効性の高い解決策から取り組んでいきます。効果が見込めるか、時間がどのくらいかかるかなど、さまざまな観点から絞り込みましょう。
解決策の実行と評価
解決策をもとに具体的な計画を立て、実行に移します。計画では期日を決め、具体的な数字をあてはめることが大切です。
例えば、営業部の社員の営業力を高めるという解決策の場合、「ナレッジの共有」や「ロールプレイングを盛り込んだ研修の実施」などの具体的施策を決定し、スケジュールを組むといった取り組みを行います。
実行後は、良かった点・悪かった点を分析・評価していきましょう。
継続的な改善
課題解決では、特に評価と改善のサイクルが重要です。実行後の効果をみて検証・分析を行い、結果が想定より不十分であれば、改善点を見つけたり、新たな解決策を考えたりします。一度施策を実施して終わりではなく、PDCAを回しながら継続的な改善を行いましょう。
状況によっては、軌道修正をして新たな解決策を考えるなど、柔軟な対応も必要です。
課題解決に役立つフレームワークの具体例
課題解決には、フレームワークが役立ちます。フレームワークとは、ビジネスで物事を考える枠組みとなるものであり、課題の抽出や分析、思考の整理などに用いられます。
ここでは、課題解決に活用できるフレームワークをみてみましょう。
業績が低迷している:SWOT分析
業績が低迷しているという課題に対して役立つのが、SWOT(スウォット)分析です。Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字をとったフレームワークです。
自社を取り巻く外部要因・内部要因におけるこれら4つの要素を分析し、プラス要素とマイナス要素を多角的な視点から分析・整理します。
SWOT分析を用いることで、自社が置かれている現状や改善点、成長を促すポイントなどを見つけることが可能です。
新規顧客の獲得が難しい:3C分析・4C分析
新規顧客の獲得が難しい場合、3C分析・4C分析のフレームワークが役立ちます。3C分析とは、Customer(顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)という外部環境の要素を分析する手法です。
4C分析はCustomer value(顧客価値)、Customer Cost(顧客コスト)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーションのとりやすさ)という、顧客を基準とした4つの要素を分析する方法です。
これら2つのフレームワークを使うことで、新規顧客の獲得に向けた現状の課題を抽出し、解決策を立てられます。
顧客満足度が低い:PDCAサイクル
顧客満足度が低いという課題に活用できるのが、PDCAサイクルです。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つのステップを繰り返し、業務を継続的に改善します。
顧客満足度を高める施策を策定・実施後、効果測定をして改善を継続するというPDCAサイクルを繰り返すことで、顧客満足度を高めていくことが可能です。
新製品の開発が遅い:ロジックツリー
新製品の開発が遅いという課題には、ロジックツリーが役立ちます。ロジックツリーとは、現状を分析する情報整理ができるフレームワークです。
「Why(なぜ)」と「How(どうやって)」を繰り返して事象を深掘りすることで、課題の根本的な原因の分析・解決案の策定ができます。
新製品の開発がなぜ遅いのかを「人材不足」「メンバーから十分にアイデアを引き出せていない」といった要素に分解し、さらに細分化しながら解決策を明確にしています。
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
社員のモチベーションが低い:5W1H
社員のモチベーションが低いという課題には、5W1Hのフレームワークで対応できます。Who(誰が)What(何を)When(いつ)Where(どこで)Why(なぜ)How(どのように)の5つの視点で情報を整理し、問題の全体像を把握する手法です。
社員のモチベーションが低いという例にあてはめると、以下のようになります。
- 誰が:社員
- 何を:モチベーションが低い
- いつ:ここ半年間は特に低下している様子が顕著である
- どこで:自分から積極的に仕事をしようとしない、会議での発言がない
- なぜ:評価制度がうまく機能していない
- どのように:人事評価制度の見直し、社内コミュニケーションの活性化など
5W1Hで現状を明らかにして、解決策を考えます。
コストが高い:ロジックツリー
コストが高いという課題は、前に紹介したロジックツリーで究明できます。原因を深堀りしていくことで、さまざまな角度から課題の解決策について分析が可能です。
例えば、コストが高い原因について「仕入れ単価が上がった」「作業の無駄が多い」という原因を導き出したとします。さらに「仕入れ単価が上がった」という原因には「原料が高騰した」「より安い仕入れ先を比較検討できていない」などの理由に分解できるでしょう。
このように細分化していくことで、具体的な解決策を見いだします。
生産効率が低い:PDCAサイクル
生産効率が低いという課題は、計画・実行・確認・行動というPDCAサイクルの活用で解決が可能です。
生産効率を高める施策を考え、実行して効果測定を行います。施策の実施前よりも生産効率が高まったかを具体的数字で検証し、結果に基づいて次の施策を検討します。
この繰り返しを行うことで、生産効率を高めていくことができるでしょう。
職場で課題解決に取り組むポイント
職場で課題解決に取り組むためには、課題解決を実践できる仕組みを作ることや、課題をチームで共有するといった点を押さえる必要があります。
詳しくみていきましょう。
職場で実践できる仕組みを整える
職場で適切に課題解決できるようにするためには、社員一人ひとりに問題を特定して原因を分析する論理的思考力や、改善に向けた動く実行力が求められます。そのような課題解決のスキルを身につけるには、研修などを開催して学ぶことが必要です。
課題解決力は、研修で学ぶだけではスキルとして定着しにくく、職場で実際に使うことが大切です。研修で学んだことは、すぐに職場で使える仕組み作りが必要になります。
課題と目的をチームで共有する
課題解決のためには、チームワークが大切です。メンバー全員で課題と目的を共有して意見を出し合うことで、より早く解決策を打ち出せます。
チームメンバー全員が参加し、同じ目標に向かって全員が力を出し合えば、個人の能力を超えた成果を引き出すことが可能です。一人では解決が困難な課題にも、迅速に対応できるでしょう。
DXで課題解決をする方法
ビジネスでは人材不足の解消やバックオフィスの業務効率化などの課題に、DX(デジタルトランスフォーメーション)が活躍します。
DXはデジタル技術で業務やビジネスに変革をもたらすことで、職場のさまざまな課題の解決をもたらします。
DXで課題解決する方法をみていきましょう。
人材不足
近年は少子高齢化で人材不足の課題を抱える企業は多く、その解決に役立つのがDXです。これまで人が行っていた業務をデジタル化すれば、システムによる自動処理が可能になり、少ない人員でも業務が円滑に進みます。
自動化することで、従業員はより重要な業務に集中できるでしょう。業務のスピードや精度が向上すれば業務の品質が高まり、顧客満足度の向上にもつながります。
また、DXの導入によりビジネスのプロセスが変わり、テレワークなど、柔軟な働き方が可能になります。従業員の家庭事情に合わせた働き方を提供できるため、育児や介護などで職場を離れるという問題を解決し、あらゆる層の人材確保にもつながります。
バックオフィスの業務効率化
DXは、バックオフィス業務の効率化にもつながります。経理や人事など、基本的に顧客と関わることがないバックオフィスの業務はアナログな作業が多く、非効率的な業務も少なくありません。業務の属人化も問題になっています。
システムやツールの導入によりバックオフィス業務を自動化することで、業務の効率化を実現します。属人化の解消や、人材不足の課題解決にもつながるでしょう。
バックオフィスの業務効率化に役立つのが、マネーフォワードクラウドです。マネーフォワードクラウドは、経理・人事労務などバックオフィスのあらゆる課題解決をサポートするクラウドサービスです。
企業の規模に合わせて最適なプランを用意しており、バックオフィスの面倒な作業を効率化します。例えば、小規模〜中小企業向けのプランであれば、会計業務や経費精算、給与計算などバックオフィス業務を効率化できる11のサービスを利用できます。
課題解決の方法を正しく把握しよう
課題解決とは、現状と目標の間にある差を埋めるための取り組みのことです。ビジネスにおける課題を明確にし、原因を分析して解決策を策定するというプロセスで行います。解決には、課題の内容に適したフレームワークが役立ちます。
職場で課題解決に取り組むためには、研修などを開催して課題解決のスキルを身につけるとともに、職場で実際に使える仕組み作りが大切です。
課題解決の方法を正しく把握し、ビジネスに役立てましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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