- 更新日 : 2024年7月3日
SOPとは?意味やマニュアルとの違い、標準作業手順書の作成方法を解説
SOPとは、作業や業務を進める際の詳しい手順を記載した指示書のことです。この記事ではSOPの概要や作成するメリット、作成手順などについて解説しています。また、作成時のポイントについても取り上げているため、SOPの作成を検討している方はもちろん、SOPが何の略なのか知りたいといった方もぜひ参考にしてください。
目次
SOPとは?標準作業手順書の意味や役割
SOPとは、作業や業務を進める際の手順を詳しく記載した指示書のことです。英語で「Standard Operating Procedures」といい、頭文字をとってSOPと呼ばれています。日本語では「標準作業手順書」や「標準操作手順書」などと呼ばれることが一般的です。
SOPは、すでに決まっている作業の手順を詳しく記載しているため、業務品質を一定に保つことが可能となります。また、新入社員など業務経験の浅い人に対して教育する際などにも役立つものです。SOPを活用することで、作業内容のばらつきや属人化の帽子が期待できます。
SOPは、さまざまな業界で使用されるものですが、主な業界としては以下のようなものが挙げられます。
- 製造業
- 医療業
- 農業
製造業では、製品を作る際に使用する機械の操作手順などをSOPに記載しています。また、医療では、治験を行う際の手順などが、農業では農薬や農機などの利用方法が記載されています。
SOPとマニュアルとの違い
SOPと混同しやすいものに、マニュアルがあります。厳密に言うと両者は異なるものです。
SOPは、前述したとおり作業や業務単体の手順を詳しく説明しているものです。主にその作業や業務に慣れていない人が、使い方や手順を覚える際などに活用します。
一方のマニュアルは、作業の注意事項や業務に関連するノウハウなど、直接的な手順だけでなく、役立つ情報やノウハウなどが記載されている点が特徴です。すでに作業や業務の手順は理解しているものの、トラブルが発生したときやより効率良く作業を進めたいときなどのヒントを得るために使用します。
簡単にまとめると、作業や業務の大枠を示しているのがマニュアル、そしてその詳しい手順を説明しているのがSOPです。
ただし、SOPには、特定のフォーマットがあるわけではなく、企業によっては詳しい手順に役立つ情報やノウハウなども合わせて記載されており、SOPでありながらマニュアルに近い形になっているものもあります。
SOPと取扱説明書との違い
SOPと取扱説明書も異なるものです。取扱説明書は、機械や道具などの操作方法を説明している冊子、ドキュメントのことです。SOPが業務や作業全体の詳しい手順を説明するものであるのに対して、取扱説明書は、特定の機械や道具の扱い方に限定して書かれています。
SOPを作成・活用するメリット
SOPを作成することで得られるメリットは以下のようにさまざまです。
- 属人化を防ぎ誰でも対応できる体制を整えられる
- 教育時間の削減や社員の負担の軽減につながる
- ミスを防止できる
ここではこれらのメリットについて解説します。
属人化を防ぎ誰でも対応できる体制を整えられる
SOPの作成・活用は企業における属人化防止につながります。作業内容や手順が曖昧なままだと、人によって作業の進め方が異なる可能性があります。また、特定の社員のみしかノウハウや作業手順を理解していない属人化に陥る可能性もあるでしょう。
一方でSOPによって作業内容・手順が明確になれば、誰でも一定の水準以上の作業が可能になるため、属人化が防げます。また、担当者の退職や病欠などが発生しても作業の引き継ぎがスムーズに行えるでしょう。
教育時間の削減や社員の負担の軽減につながる
SOPは新入社員など、作業・業務の経験が浅い人への教育にも活用できます。作業内容を説明するに当たって事前にSOPを共有し、目を通してもらうようにすれば、理解のスピードが早まり、教育にかかる時間を短縮できます。教育時間が短くなればそのぶん社員教育にかかるコストや手間、担当者の負担なども軽減できるため効率的です。
ミスを防止できる
SOPは、ミスの防止や安全性の向上にも活用できるものです。例えば、製造業で作業内容や手順、機器の扱い方などを正しく理解していないためにミスが発生するケースは少なくないでしょう。
このようなケースに対して、SOPを用意しておけば、記載されている内容に沿って作業を進めるだけでいいため、ミスが起こりにくくなります。ミスが少なくなればミスが原因で起こる事故も発生しにくくなるため、結果的に安全性の向上にもつながります。
SOPの作成手順・流れ
ここでは、SOPを実際に作成する際の具体的な手順・流れを紹介します。SOPの作成を検討している現場の担当者は、ぜひ参考にしてください。
作業手順の整理や見直しを行う
まずは、対象となる作業・業務の手順を整理し、必要に応じて見直しをしてください。作業の品質を保つためには、手順を全てSOPに記載する必要があるため、抜け漏れなく手順を洗い出すことが大切です。また、ミスや作業のばらつきが生じている場合、手順に何かしらの不備や不足がある可能性が考えられます。そのようなときは、必要に応じて手順の追加を検討してください。
作成のためのフォーマットを決める
SOPフォーマットを事前に決めておくと、それに沿って情報を埋めるだけで済むため、その後の作成がスムーズになります。また、情報の抜け漏れも発生しにくくなるでしょう。SOPで使用するフォーマットには、大きく分けて以下の2種類があります。
- ステップ式
- フローチャート式
ステップ式は、手順を箇条書きでまとめたものです。一方のフローチャート式はその名の通り手順をチャート式でまとめています。
作業手順ごとに記していく
フォーマットが決まったら、最初に洗い出して整理した作業・業務の手順を一つずつ記入していきます。ここでポイントとなるのが、細かい部分までしっかりと記載することです。「こんなこと書かなくてもわかるだろう」と省略してしまうと、読む人によって認識の齟齬が発生する可能性があります。初心者が見ても同じ作業ができるようなSOPを意識して作成してください。
SOPを作成するポイント
ここではSOPの作成にあたって押さえておきたいポイントを紹介します。より良いものにするためにはどうすればいいのか、ぜひ参考にしてください。
読みやすい文章で書く
SOPは、若手からベテランまで多くの人が読むものであるため、誰が読んでも理解できるようなわかりやすく、読みやすい文章で書くことを意識してください。一つひとつの文章は短く簡潔にまとめる、専門用語は説明をつけて初心者でもわかるようにするといった点は非常に重要です。また、重要なポイントを最初に記載しておくと、読み忘れや読み飛ばしが起こりにくくなります。
画像や図を用い視覚的にわかりやすくする
読んでいる人の理解を促進するためにも、適宜画像や図を活用しましょう。文字だけでの説明だと具体的な作業内容をイメージできない可能性があります。また、文章が多くなることで途中で読むのを諦めてしまう人も出てくるでしょう。画像や図を活用することで視覚的にも理解できるため、認識のズレなども起こりにくくなります。
作業手順ごとに記載する
作業手順を一つずつ記載することは、SOPづくりにおいて非常に重要なポイントです。先ほども触れているように、「これは書かなくても大丈夫」と思えるようなことであっても、しっかりと説明することで認識のズレが発生しにくくなります。特に新入社員など経験が浅い人の場合、作業が一つずつ記載されていると安心して取り組めるでしょう。
ベテランや若手の意見を踏まえる
SOPの作成にあたっては、ベテランから若手まで幅広い人の意見を取り入れるようにしてください。
ベテラン社員の場合、作業手順を知り尽くしているとしても、一部の作業は長年のカンや経験、感覚に基づいて行っている可能性があります。そのため、感覚やカンに頼っている部分までしっかりと言語化できるように、若手に対してどういった部分がわからないのか話を聞くことが大切です。
アップデートし社内共有する
SOPを作成した後は、その手順で問題ないのか、トラブルは起こっていないのかなど、定期的に振り返りを行い、必要に応じてアップデートすることが大切です。そしてアップデートしたSOPは、社内全体で共有できるようにしてください。
SOPとは作業の品質を保つための指示書
今回はSOPの概要や作成するメリット、作成手順、作成時のポイントなどについて解説しました。SOPは、作業や業務の具体的な手順を記載した指示書のようなものです。作成することでベテランから若手まで一定の水準以上で作業・業務請負に取り組めるようになります。
作成にあたっては作業・業務の手順を全て洗い出すことが大切です。また、SOP作成後は定期的に振り返りを行い必要に応じてアップデートするようにしましょう。
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