• 作成日 : 2025年11月25日

HubSpotのワークフロー機能とは?作成方法や活用例・注意点を解説

HubSpotのワークフロー機能は、条件にもとづいてメール送信やステータス更新などの業務を自動化できる機能です。メール配信やステータス更新、タスク作成、社内通知などを条件に応じて自動実行できるため、マーケティングや営業、カスタマーサポートの繰り返し作業を効率化し、対応漏れや入力ミスも防げます。

当記事では、HubSpotのワークフロー機能の仕組みや作成手順、活用例、注意点を解説します。

HubSpotのワークフロー機能とは?

HubSpotのワークフロー機能とは、特定の条件に応じてメール送信やプロパティ更新、タスク作成などを自動実行できるオートメーション機能です。コンタクト・会社・取引・チケットなどを対象に、設定した条件で自動処理が走るため、業務効率化や対応漏れの防止に役立ちます。

ワークフローは「(1)対象オブジェクトを決める」「(2)登録条件(トリガー)を設定する」「(3)実行アクションを追加する」という3つの流れで構成されます。たとえば、フォーム送信後のサンクスメール送信や担当営業の自動割り当て、取引ステータスの更新など、日常的に発生する作業をまとめて自動化できます。

HubSpotのワークフロー機能でできること

HubSpotのワークフロー機能では、繰り返し発生する業務の自動化・手作業の削減・顧客対応の標準化が実現できます。ここでは、代表的な3つの効果を解説します。

繰り返し業務の自動化で効率化する

HubSpotのワークフロー機能は、日常的に発生する定型業務を自動化し、担当者の工数を大幅に削減します。フォーム送信直後のサンクスメールや、ウェビナーなどのイベントに向けた事前リマインド配信、取引ステータスが変わったタイミングでのタスク作成など、何度も同じ流れで発生する作業を自動化できるため、業務の効率化に直結します。

この自動化は、マーケティング業務だけでなく、営業現場やカスタマーサポートのルーティン処理にも広く応用できます。たとえば、新しいリードが発生した瞬間に担当者へ通知を送ったり、サポートチケットの状態が変わった際に関係部署へ知らせたりと、人の手を介さずプロセスが進む仕組みを用意できます。こうした「繰り返し作業の自動化」は、単なる時間短縮にとどまらず、チーム全体の対応スピードの標準化や業務プロセスの安定にも寄与します。

手作業の削減でミスや抜け漏れを防ぐ

ワークフローを使うことで、人的ミスや更新漏れを防ぎ、データ管理の精度を高められます。顧客情報の更新やプロパティ変更を人が手作業で行う場合は、どうしても抜け漏れが発生しやすくなります。HubSpotのワークフロー機能は、特定の条件に合致した場合に自動でプロパティを書き換えたり、リストへ振り分けたりすることができ、データの正確性を保つ上で役立ちます。

たとえば、新規リードのライフサイクルステージを適切なタイミングで更新したり、取引ステージが変わった際に関連する会社やコンタクト情報も同時に更新したりといった処理は、手動だと対応の遅れや入力ミスが起こりやすいポイントです。ワークフローで一貫したルールにもとづき処理させることで、担当者による判断の差がなくなり、記録の正確性が保たれます。

自動対応で顧客満足度を高める

HubSpotのワークフロー機能は、顧客の行動や状況に合わせたタイムリーな対応を実現し、顧客満足度の向上に貢献します。問い合わせ直後の自動返信メールや、一定期間アクションがない顧客へのリマインド、サポートチケットの解決後に送る満足度アンケートなど、本来は担当者が1件ずつ確認して行っていた対応を自動化することで、迅速かつ一貫したコミュニケーションが可能になります。

顧客対応のスピードは満足度に直結する要素です。人手の状況に左右されず、必要なタイミングで必要な連絡を確実に届けられることで、顧客は「放置されている」「返信が遅い」といった不満を抱きにくくなります。また、行動データに応じてパーソナライズされたフォローを自動化すれば、営業チームがアプローチすべきタイミングを逃さず、より効果的な顧客体験につながります。

HubSpotでワークフロー機能を利用できる料金プラン

HubSpotのワークフロー機能を利用できるのは、Marketing Hub・Sales Hub・Service Hub・Smart CRM・Commerce Hub・Data HubのProfessionalまたはEnterpriseプランです。無料版やStarterプランでは簡易的な自動化のみ利用でき、本格的なワークフロー作成はできません。

Professional以上では、複数条件の設定や高度なアクション追加が可能になり、部署横断の自動化設計にも対応できます。Enterpriseでは、より複雑な自動化や細かな制御が行えます。

HubSpotのワークフローを作成する方法

HubSpotのワークフローは、対象オブジェクトの選択、トリガー設定、アクション追加、詳細設定、有効化の5つの流れで作成します。ここでは、ステップごとに要点を整理して解説します。

対象オブジェクトを選ぶ

ワークフロー作成の最初のステップは、どのオブジェクトを対象にするかを選ぶことです。HubSpotのワークフローでは、コンタクトや会社、取引、チケット、カスタムオブジェクトなど、運用目的に応じて対象を選択します。

自動化の設計では、目的に応じて「どのデータを入口に処理を進めるか」が重要です。たとえば、資料請求者へのメール配信であればコンタクトが対象となり、商談管理の自動化であれば取引を対象にするのが適切です。サポート業務の効率化であれば、チケットを選ぶことで問い合わせの進捗に応じた自動処理が可能になります。

オブジェクトの選択は、ワークフロー全体の仕様を決める最初の分岐点です。後から変更するには作り直しが必要になるケースもあるため、最初に目的を明確化し、対象となるオブジェクトを慎重に決めることが運用の精度を高めます。

トリガーを設定する

トリガーとは、ワークフローにレコードを登録する条件のことです。この設定によって、どのタイミングで誰(どのレコード)がワークフローに自動的に入ってくるかが決まります。

トリガー設定では、(1)プロパティ値の変化、(2)フォーム送信、(3)取引ステージの変更、(4)ページ閲覧履歴、(5)チケットの更新など、さまざまな条件を組み合わせることができます。たとえば、資料請求フォームを送信した瞬間にワークフローへ登録したり、取引ステージが進んだタイミングで新しいアクションを始めたりと、状況に応じた自動化が実現します。

また、条件を1つに絞る必要はなく、「かつ」「または」を用いて複数の条件を組み合わせられるため、より正確なターゲティングが可能です。登録条件はワークフローの精度を左右するため、実際の運用を想定しながら「誰が」「どの状態で」フローに入るのが望ましいかを整理して設定します。

アクションを追加する

アクションとは、トリガーで登録されたレコードに対して実行する自動処理のことです。HubSpotでは、多様なアクションが用意されており、目的に応じて柔軟にワークフローを組み立てられます。

代表的なアクションには、メール送信、プロパティ更新、担当者の自動割り当て、タスク作成、社内通知、リスト追加、スコア加算、チケット作成などがあります。たとえば、フォーム送信後にサンクスメールを送り、その後一定期間反応がない場合はリマインドメールを送るといった、段階的なフォローアップも実現できます。

さらに、アクションに待機時間を設定することもでき、「1日後にメール送信」「3時間後に通知」など、時間軸を含めた自動化が可能です。営業プロセスやカスタマーサービスの改善では、こうした適切なタイミングのアクションが重要であり、ワークフローの価値が最も発揮される部分と言えます。

詳細設定を整える

アクションを組んだ後は、ワークフロー全体の動きを左右する詳細設定を整えます。詳細設定では、再登録の可否、実行時間の指定、休日や営業時間外の扱いなどを調整します。

たとえば、「同じユーザーが再び同じ条件を満たしたときに再登録させるべきか」は、運用次第で異なります。定期的なフォローアップを目的とする場合は再登録を許可し、重要イベント時のみ通知したい場合は再登録をオフにするといった具合に、運用ルールに沿って設定します。

また、深夜や休日にメールが送られないように時間帯を制限したり、営業担当へのタスク通知を平日のみにしたりといった調整も可能です。細かな設定を行うことで、ただ自動化するだけではなく、顧客体験を損なわずに運用できる実務に即したワークフローに仕上げられます。

ワークフローを有効化する

設定が完了したら最終確認を行い、ワークフローを有効化します。ここでの確認作業は、誤った処理が実行されるリスクを避けるために非常に重要です。

有効化前には、(1)登録条件に誤りがないか、(2)アクションが適切な順番で並んでいるか、(3)通知やメール内容が正しいか、(4)対象オブジェクトが意図と合っているか、といった点をチェックします。特に、プロパティ更新や担当者割り当てなどは誤ると運用に影響するため、慎重に確認します。

内容に問題がなければ「有効化」をクリックすることで、ワークフローが稼働し始めます。実際の動作を確認しながら運用を続け、必要に応じて改善を重ねることで、より精度の高い自動化プロセスへと進化させることができます。

HubSpotのワークフロー機能活用例

HubSpotのワークフローは、データ管理、マーケティング、営業、カスタマーサービス、社内通知といった幅広い領域で活用できます。ここでは、実務で特に効果を発揮する代表的な活用方法を紹介します。

データ管理

データ管理では、プロパティ更新やセグメント分けなど、人が行うと負荷が高い作業を自動化できます。HubSpotを活用する上で、正確なデータはマーケティングや営業活動の土台となります。しかし、手作業での入力や更新に頼ると、どうしても不一致や更新漏れが発生します。ワークフローを利用すれば、こうしたミスを最小限に抑えながらデータを常に最新の状態に保てます。

たとえば、資料請求したタイミングでライフサイクルステージを自動で更新したり、商談が進展したりした際には関連する会社やコンタクトの属性も連動して変えるといった運用が可能です。また、条件に応じて静的リストへ自動追加するよう設定すれば、見込み顧客の分類や施策対象の抽出が簡単になります。

マーケティング業務

HubSpotのワークフロー機能は、マーケティング施策の自動化に効果を発揮します。顧客の行動データと組み合わせることで、適切なタイミングでメールを配信したり、その後のフォローアップを最適化したりと、戦略的なコミュニケーション設計が可能です。

たとえば、フォーム送信後のサンクスメールやウェビナー申込者へのリマインドメール、資料DL後のナーチャリングメールなど、一連の流れをまとめて自動化できます。さらに、サイト閲覧ページやメールの開封状況を基にスコアリングを行い、条件を満たしたタイミングで次のステップへ誘導するような高度なナーチャリングにも対応できます。

営業業務

営業業務では、見込み顧客のフォロー漏れを防ぎ、商談管理を効率化するためにワークフローが活用できます。営業プロセスにおける「対応の遅れ」「連携の抜け漏れ」は成果に影響します。HubSpotのワークフロー機能を使えば、こうした課題を自動化の仕組みで解消できます。

たとえば、取引ステージが進んだときに担当者へタスクを自動作成したり、一定期間更新がない商談に対してフォロータスクを再通知したりと、タイムリーなアクションを促す運用が可能です。また、顧客の行動スコアが一定値を超えた際に営業チームへ通知する仕組みを作れば、熱いリードを逃さずアプローチできます。

カスタマーサービス業務

サポート部門では、問い合わせ対応のスピードと品質を維持するためにワークフローが非常に有効です。問い合わせやチケット管理は件数が多く、優先度の判断やステータス更新が煩雑になりがちです。ワークフローで処理を自動化すれば、担当者に依存しない安定したサポート体制を構築できます。

たとえば、チケットが作成された瞬間に担当者へ通知し、ステータスが一定期間更新されない場合はフォローアップメールを自動送信するように設定できます。また、チケットクローズ後に自動で満足度アンケートを送信するようにすれば、顧客体験の改善に必要なフィードバックを安定して得られます。

内部通知(社内通知)

社内通知の自動化は、チーム間の連携を強化し、情報共有の漏れを防ぐために非常に効果的です。重要なイベントが発生したにもかかわらず、担当者が気づかないまま時間が過ぎてしまうと、機会損失や対応遅延につながります。HubSpotのワークフロー機能は、こうした課題を解消する社内向けの通知設計にも活用できます。

たとえば、見込み顧客が高スコアに到達したタイミングで営業チームへ通知したり、既存顧客に重大な問い合わせが入った際に担当者へ即座に知らせたりする仕組みを作れます。さらに、商談の進展や顧客からの重要なアクションをSlackやメールでリアルタイムに通知することもでき、チームの対応スピードが格段に向上します。

HubSpotのワークフローを設定するときの注意点

HubSpotのワークフローを最大限活用するには、上限数の管理、複雑化の回避、名前と説明の明確化、定期的な見直しといった運用上の注意点を押さえることが重要です。ここでは、運用の質を維持する上で必ず意識すべきポイントを解説します。

上限数を超えないように管理する

HubSpotにはプランごとに作成できるワークフロー数の上限があり、アクションを過度に追加するとクローン時などに問題が発生する可能性があります。ProfessionalやEnterpriseでは比較的多くのワークフローを作成できますが、部門ごとに大量のワークフローを作成すると、いつの間にか上限に近づいているケースも少なくありません。

不要なワークフローを放置すると、管理が煩雑になり、誤って古いフローが稼働したままになったりするリスクもあります。そのため、現在利用しているワークフローが本当に必要かどうかを定期的に確認し、不要なものは停止または削除する運用が望ましいと言えます。新規作成の前には、同様の機能を持つワークフローが既に存在しないかを確認することも重要です。

複雑な設計は避ける

ワークフローを複雑にしすぎると、意図しない動作や管理負担の増加につながります。条件を細かく設定しすぎると、どのレコードがどのタイミングでフローに登録されるのか把握しづらくなり、予期せぬアクションが発生する可能性があります。

HubSpotのワークフロー機能を設計する際は、まず「何を自動化すべきか」「なぜその処理が必要か」を明確にし、最小限の条件とアクションで目的を達成できる構成を意識することが大切です。複雑なロジックを組む必要がある場合は、フローを分割し、複数のワークフローに分けて管理するなど、見通しの良い設計を心がけましょう。

名前と説明を明確に記載する

ワークフロー名と説明文は、誰が見ても目的と処理内容が分かるように記載することが重要です。運用が進むにつれて、ワークフローの数は増え、作成者だけではなく複数人が管理に関わるケースも一般的です。その際に曖昧な名前のままでは、どのワークフローが何のために動いているのか把握できず、誤操作のもとになります。

名称には「目的」「対象」「タイミング」などの要素を含めると理解しやすくなります。たとえば、「資料請求後のフォローメール送信(コンタクト)」や「取引ステージ変更時のタスク作成(営業)」といった具体的な名前を付けることで、誰が見ても用途が明確になります。

説明欄には、ワークフローの背景や設計意図、条件の理由、アクションの目的などを簡潔に記載することが望ましいです。これにより、別の担当者が引き継いだ場合でもスムーズに内容を理解でき、修正や改善が行いやすくなります。

定期的にワークフローを見直す

ワークフローは一度作成して終わりではなく、定期的な見直しが不可欠です。ビジネス環境や社内ルールは変化していくため、当初の設定が現在の運用に合わなくなるケースもあります。そのまま放置すると、不要なメールが送られ続けたり、古い条件にもとづいたアクションが実行されてしまったりと、顧客体験に悪影響を与える可能性があります。

見直しのタイミングとしては、(1)四半期ごとの定期点検、(2)部署の運用ルールが変わったとき、(3)新しい施策やフォームを追加したときなどが適しています。内容をチェックし、不要なワークフローを停止したり、条件の変更を行ったりすることで、常に最新の状態で自動化が機能するよう維持できます。

HubSpotワークフローで業務全体を最適化しよう

HubSpotのワークフローは、マーケティングや営業、サポートなど日々の業務を自動化し、作業負担の軽減とプロセスの標準化を同時に実現できる強力な機能です。データ更新やメール配信などのルーティンを自動化することで、担当者の時間を確保でき、顧客対応も安定します。適切な設計と定期的な見直しを行えば、HubSpotの自動化は組織全体の生産性向上につながります。


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