- 作成日 : 2025年10月27日
スプレッドシートでヘッダーとフッターを設定するには?印刷時の表示カスタマイズから削除まで解説
Googleスプレッドシートのヘッダーとフッターは、印刷時やPDF出力時に各ページの上部と下部に表示される重要な要素です。ページ番号、日付、ファイル名、会社名などを自動的に挿入でき、プロフェッショナルな文書作成に欠かせません。
本記事では、スプレッドシートでヘッダーとフッターを設定する方法から、カスタマイズのテクニック、削除方法、さらに固定行との違いまで、印刷レイアウトを完璧にマスターするための知識を詳しく解説します。
目次
スプレッドシートでヘッダーとフッターを設定する基本手順は?
スプレッドシートでヘッダーとフッターを設定するには、「ファイル」→「印刷」で印刷プレビューを開き、右側のパネルにある「ヘッダーとフッター」セクションで内容をカスタマイズします。
ヘッダーとフッターは印刷時のみに表示される要素で、通常の編集画面では表示されません。これらの設定により、複数ページにわたる文書でも統一感のあるレイアウトを実現できます。
印刷設定画面からの基本設定
スプレッドシートを開いた状態で「ファイル」メニューから「印刷」を選択するか、キーボードショートカットのCtrl+P(Mac: Cmd+P)を押すと、印刷プレビュー画面が表示されます。右側の設定パネルで「ヘッダーとフッター」セクションを展開すると、詳細な設定オプションが表示されます。
ヘッダーとフッターの設定は、それぞれ独立して行えます。既定のオプションはチェックボックスで有効化し、位置や内容の細かな指定は「カスタムフィールドを編集」から行います。設定した内容は即座にプレビューに反映されるため、印刷前に仕上がりを確認できます。
既定オプションとカスタムテキストの使い分け
既定のオプションには以下の選択肢があります。
- ページ番号
- ワークブック名(ファイル名)
- シート名
- 現在の日付
- 現在の時刻
これらのオプションは動的に更新されるため、ファイル名を変更したり、印刷日が変わったりしても、自動的に最新の情報が表示されます。ページ番号は複数ページの文書で有用ですが、標準機能では「現在のページ番号」のみが挿入されます(「1/10」のように総ページ数を併記する機能は一般提供されていません)。必要な場合はPDF化後に編集するなどで対応してください。
「カスタムフィールドを編集」では任意の文字列を入力できます。会社名、部署名、文書タイトル、著作権表示など、固定の情報を表示したい場合に便利です。
ページ設定からの詳細カスタマイズ
印刷プレビュー内の「ページ設定」では、用紙サイズ・向き・余白・拡大縮小などを調整できます。
必要に応じて余白や本文側のレイアウトを調整してください。
ヘッダーとフッターの配置とフォーマット設定は?
ヘッダーとフッターは左・中央・右の3つのセクションに分けて配置でき、それぞれ異なる内容を設定することで、より柔軟なレイアウトが実現できます。
この3分割レイアウトにより、ページ番号を右に、文書タイトルを中央に、日付を左に配置するなど、プロフェッショナルな文書デザインが可能になります。
3分割レイアウトの活用方法
「カスタムフィールドを編集」を開くと、左・中央・右の3エリアにそれぞれ異なる内容(任意テキストや既定項目)を配置できます。Excelのような「&[Page]」等の特殊構文は不要で、UI上でテキストと項目を配置する方式です。
特殊文字と変数の使用
ヘッダー・フッターでは既定の項目(ページ番号/ワークブックタイトル/シート名/日付/時刻 など)を挿入できます。「カスタムフィールドを編集」から必要な項目を配置し、必要ならテキストを組み合わせて表記を整えます。(例:「Page 」や区切り文字)
フォントとスタイルの制限
残念ながら、Googleスプレッドシートのヘッダー・フッターでは、フォントサイズ、色、太字、斜体などの書式設定はできません。全て同じフォント(デフォルトはArial 10pt)で表示されます。これはExcelとの大きな違いの一つです。
ただし、この制限により、ヘッダー・フッターは常にシンプルで読みやすい状態を保てます。装飾的な要素が必要な場合は、スプレッドシート本体の最初の行や最後の行を使用して疑似的なヘッダー・フッターを作成する方法もあります。
特定のページのみヘッダー・フッターを設定する方法は?
Googleスプレッドシートでは、全ページに同じヘッダー・フッターが適用されるため、特定ページのみの設定はできませんが、複数シートを使い分けることで対応可能です。
この制限を理解した上で、工夫次第で柔軟な印刷レイアウトを実現できます。
最初のページを除外する設定
印刷設定には「最初のページ番号」というオプションがあり、これを活用することで表紙ページの扱いを調整できます。例えば、最初のページ番号を「0」に設定すると、2ページ目から「1」として番号付けが始まります。
ただし、これはページ番号のみの調整であり、ヘッダー・フッター自体を最初のページだけ非表示にすることはできません。表紙ページを別のシートとして作成し、ヘッダー・フッターなしで単独印刷する方法が現実的です。
シート別の印刷設定活用
複数シートを持つスプレッドシートでは、各シートごとに異なるヘッダー・フッター設定が可能です。これを利用して、以下のような構成が実現できます。
- 表紙シート:ヘッダー・フッターなし
- 目次シート:フッターにページ番号のみ
- 本文シート:完全なヘッダー・フッター
- 付録シート:簡略化したヘッダー・フッター
印刷時に「現在のシート」を選択することで、シートごとの設定を活かした印刷が可能です。
ヘッダー・フッターと固定行・固定列の違いは?
ヘッダー・フッターは印刷時のみ表示される要素であるのに対し、固定行・固定列は画面スクロール時に常に表示される編集用の機能で、目的と使用場面が異なります。
この違いを理解することで、適切な機能を選択できるようになります。
固定行をヘッダーとして活用する方法
固定行(表示メニュー→固定→行)は、スクロールしても常に画面上部に表示される行です。項目名や見出しを固定することで、大量のデータを扱う際の作業効率が向上します。
固定行は印刷時にも各ページの上部に繰り返し印刷できます。印刷設定の「ヘッダーとフッター」セクションで「繰り返し行」を設定することで、指定した行が全ページに印刷されます。これにより、表形式のデータで列見出しを各ページに表示できます。
印刷時の表示優先順位
印刷時の要素は以下の順序で配置されます。
- ヘッダー(印刷設定)
- 繰り返し行(固定行から選択)
- データ本体
- 繰り返し列(固定列から選択)
- フッター(印刷設定)
これらを組み合わせることで、複雑なレイアウトも実現可能です。ただし、あまり多くの要素を含めると、実際のデータ表示領域が狭くなるため注意が必要です。
ヘッダーとフッターを削除する方法は?
ヘッダーとフッターを削除するには、印刷設定画面でそれぞれのチェックボックスをオフにするか、カスタムテキストを空欄にすることで、印刷時に表示されなくなります。
削除は設定と同じく簡単に行え、必要に応じていつでも再設定できます。
完全削除の手順
- ヘッダー・フッターを実質的に削除するには、「ヘッダーとフッター」内の既定項目のチェックをすべて外し、「カスタムフィールドを編集」で各欄を空にします(個別の“ヘッダー全体/フッター全体”ON/OFF切替はありません)。
この設定により、印刷時にヘッダー・フッター領域が完全に除外され、その分データ表示領域が拡大されます。余白設定と組み合わせることで、用紙を最大限活用できます。
一時的な無効化と永続的な削除
印刷設定での削除は、そのスプレッドシートファイルに保存されます。つまり、一度削除設定を行えば、次回印刷時も同じ設定が適用されます。ただし、他のユーザーが同じファイルを印刷する際は、そのユーザーの設定が優先される場合があります。
特定の印刷ジョブでのみヘッダー・フッターを無効にしたい場合は、印刷ダイアログで一時的に設定を変更し、印刷後は元の設定に戻すことも可能です。
カスタムテキストのクリア
カスタムテキストを使用している場合、テキストフィールドを空にすることでも実質的な削除が可能です。ただし、この方法ではヘッダー・フッター領域自体は確保されたままになるため、完全な削除にはチェックボックスをオフにする方法を推奨します。
印刷プレビューでの確認とトラブルシューティングは?
ヘッダー・フッターの設定後は、必ず印刷プレビューで表示を確認し、レイアウトの崩れや文字の切れがないかチェックすることが重要です。
プレビュー機能を活用することで、紙やインクを無駄にすることなく、完璧な印刷結果を得られます。
プレビューでの確認ポイント
- 文字の切れ:長いテキストが枠内に収まっているか
- 配置バランス:左・中央・右の配置が適切か
- ページ番号:現在のページ番号が期待どおり表示されているか(標準機能では総ページ数の自動併記はありません)。
- 日付・時刻:フォーマットが適切か
- 余白との関係:ヘッダー・フッターと本文の間隔
プレビュー画面では、ページをめくりながら全体の統一感も確認します。特に複数シートを印刷する場合は、シート間での一貫性にも注意が必要です。
よくある問題と解決方法
文字が切れる問題
上・下余白を広げる、テキストを短くする、改行位置を見直す等で調整します(ヘッダー/フッター専用の高さ設定はありません)。日本語の場合、文字数が多くなりがちなので特に注意が必要です。
ページ番号が表示されない問題
単一ページでも「1」と表示されます。表示が不要なら該当オプションのチェックを外してください(総ページ数の併記は標準では不可)。
変数が置換されない問題
Googleスプレッドシートでは「&[Page]」等の構文は使えません。印刷設定の「ヘッダーとフッター」で該当項目(ページ番号・日付など)をチェックするか、カスタムフィールドで項目を追加してください。
PDFエクスポート時のヘッダー・フッター設定は?
PDFとしてダウンロードする際も、印刷設定のヘッダー・フッターが適用され、電子文書としても統一感のある資料を作成できます。
PDFエクスポートは、印刷設定をそのまま反映するため、事前の設定が重要です。
PDF専用の設定調整
「ファイル」→「ダウンロード」→「PDFドキュメント」を選ぶと、印刷時と同等の設定項目を備えたエクスポート画面が開き、そこでのヘッダー・フッター設定がPDFに反映されます。ここで設定したヘッダー・フッターは、PDFファイルに埋め込まれます。
- リンク付きの目次を作成する場合は、ページ番号を必須にする
- 電子配布用なら、印刷日時よりも作成日を固定テキストで入力
- ファイル名は変更される可能性があるため、文書タイトルを明記
電子署名や透かしとの組み合わせ
PDFでは、ヘッダー・フッターに加えて、後から電子署名や透かしを追加できます。これらの要素とヘッダー・フッターが重ならないよう、配置を工夫する必要があります。
機密文書の場合、フッターに「Confidential」や「社外秘」といった表記を含めることで、取り扱い注意を促すことができます。ただし、これらの表記は編集可能なテキストとして含まれるため、真の機密保護にはPDFのセキュリティ設定を併用すべきです。
モバイル版での制限事項と代替方法は?
スマートフォンやタブレットのGoogleスプレッドシートアプリでは、ヘッダー・フッターの詳細設定ができないため、PCブラウザでの設定が必要です。
モバイル環境での制限を理解し、適切な対処方法を選択することが重要です。
モバイルアプリの制限
iOSおよびAndroidのGoogleスプレッドシートアプリでは、以下の制限があります。
- ヘッダー・フッターのカスタマイズ不可
- 印刷プレビューの詳細設定不可
- PDF出力時の細かい調整不可
基本的な印刷は可能ですが、事前にPCで設定したヘッダー・フッターが適用される仕組みです。モバイルで急遽印刷が必要な場合は、シンプルな設定で対応することになります。
クラウド印刷サービスの活用
Google Cloud Printは廃止されましたが、各プリンターメーカーが提供するクラウド印刷サービスを利用することで、モバイルからでも詳細な印刷設定が可能な場合があります。
また、一度PCでPDF化したファイルをGoogleドライブに保存し、モバイルからそのPDFを印刷する方法も実用的です。この方法なら、ヘッダー・フッターが確実に含まれた状態で印刷できます。
実務でのヘッダー・フッター活用事例は?
業務文書では、ヘッダー・フッターを効果的に活用することで、文書の信頼性と管理性が向上し、プロフェッショナルな印象を与えられます。
議事録・報告書での活用
会議議事録では、ヘッダーに会議名と開催日、フッターにページ番号と作成者名を設定することが一般的です。これにより、複数ページにわたる議事録でも、各ページが同じ会議の記録であることが明確になります。
月次報告書では、ヘッダーに部署名と報告期間、フッターに承認欄の目印となる線を含めることもあります。ただし、承認欄自体はスプレッドシート本体に作成し、フッターは補助的な役割に留めるのが適切です。
管理帳票での標準化
在庫管理表や売上管理表などの定型帳票では、ヘッダー・フッターの標準化が重要です。組織内で統一フォーマットを定め、全ての帳票で同じ形式のヘッダー・フッターを使用することで、文書管理が容易になります。
例えば、以下のような標準形式を定めます。
- ヘッダー左:文書コード
- ヘッダー中央:文書タイトル
- ヘッダー右:版数
- フッター左:作成日
- フッター中央:ページ番号
- フッター右:部署名
このような標準化により、大量の帳票を扱う場合でも、必要な情報を素早く確認できます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
SLOPE関数の使い方:エクセルで線形回帰の傾きを計算する方法
SLOPE関数は、2つのデータセット間の線形回帰直線の傾きを計算するエクセルの統計関数です。売上高と広告費の関係分析、気温と電力消費の相関調査、生産量とコストの関係把握、時系列データのトレンド分析など、2つの変数間の関係性を数値化する様々な…
詳しくみるMID関数の使い方をわかりやすく解説
Excelやスプレッドシートを使う際に、データ処理や分析に役立つ関数が多数存在します。その中でも、特定の文字列を抽出することができるMID関数は非常に便利です。文字列の一部を簡単に取り出し、さまざまな状況で活用することができます。本記事では…
詳しくみるスプレッドシートのGAS(Google Apps Script)とは?入門から実践まで完全解説
Google Apps Script(GAS)は、Googleスプレッドシートをはじめとする Google Workspace を自動化・拡張するためのクラウドベースの開発環境です。JavaScript を基盤とするため学習コストを抑えつつ…
詳しくみる日付をシリアル値に変換するDATEVALUE関数の使い方
DATEVALUE関数は、日付をシリアル値(Excelが日付や時刻を数値として扱うための値)に変換するための非常に便利な関数です。この関数を使用することで、テキスト形式の日付を数値として扱うことができ、日付の計算や分析が容易になります。特に…
詳しくみるエクセルの相対参照・絶対参照・複合参照の使い分けをわかりやすく解説
エクセルを使いこなすためには、相対参照、絶対参照、複合参照といったセル参照の使い分けが重要です。それぞれの参照には明確な特徴があり、データを効率よく扱うための必須知識となります。相対参照はセルの位置に基づいて変化し、絶対参照は特定のセルを常…
詳しくみるDAYS360関数の使い方:エクセルで360日法による日数計算を行う方法
DAYS360関数は、1年を360日(各月を30日)として2つの日付間の日数を計算するエクセルの日付関数です。この計算方法は金融業界で広く採用されており、利息計算、債券価格の算出、リース料の日割計算など、商慣習に基づく統一的な日数計算が必要…
詳しくみる