- 作成日 : 2025年9月22日
スプレッドシートで図形を作成するには?描画・挿入・編集の手順からスマホ操作まで解説
スプレッドシートの図形機能は、データの視覚化やフローチャート作成、プレゼンテーション資料の作成において重要な役割を果たします。Googleスプレッドシートでは、基本的な図形の挿入から複雑な図形描画まで、多様な図形操作が可能です。本記事では、図形を描画する詳細な手順、効果的な図形挿入の方法、スマートフォンやタブレットでの操作方法、そして図形編集のテクニックまで、図形機能を最大限に活用するための知識を体系的に解説していきます。
目次
スプレッドシートで図形を描画する手順
スプレッドシートで図形を描画するには、挿入メニューから図形描画ツールを起動し、専用のキャンバスで作成する方法が基本となります。この方法により、複雑な図形や複数の図形を組み合わせた図表を作成できます。
STEP1:図形描画ツールを起動する
図形描画を開始するための手順を詳しく解説します。
- メニューバーから起動
「挿入」メニューをクリックし「図形描画」を選択すると、新しい描画ウィンドウが開く - 既存の図形から編集
シート上の既存図形をダブルクリックすると、図形描画エディタが自動的に開く
STEP2:描画キャンバスで図形を作成する
図形描画エディタが開いたら、ツールバーから必要な図形を選択して描画します。キャンバス上で自由に図形を配置できます。
- 基本図形:四角形、円、三角形、多角形
- 矢印:単方向矢印、双方向矢印、曲線矢印
- 吹き出し:角丸吹き出し、雲形吹き出し
- フローチャート図形:処理、判断、データ、端子
- 数式記号:プラス、マイナス、イコール、不等号
- 特殊図形:星、ハート、稲妻、太陽
- ツールバーの「図形」アイコンをクリック
- 使用したい図形カテゴリを選択
- 具体的な図形を選択
- キャンバス上でドラッグして図形を描画
- サイズと位置を調整
STEP3:図形のスタイルと書式を設定する
描画した図形に対して、色や線のスタイルを設定することで、視覚的に魅力的な図形を作成できます。
書式設定の要素:
塗りつぶし色:図形内部の色
枠線の色:図形の輪郭線の色
線の太さ:1px〜24pxまで選択可能
線のスタイル:実線、破線、点線
STEP4:テキストを図形に追加する
図形内にテキストを追加することで、説明や注釈を含む図表を作成できます。
- 図形をダブルクリックしてテキスト編集モードに入る
- テキストを入力
- フォント、サイズ、色、配置を設定
- Enterキーで確定
- フォントファミリー(日本語フォント対応)
- フォントサイズ(6pt〜400pt)
- 太字、斜体、下線
- テキストの配置(左寄せ、中央、右寄せ)
- 縦書き対応
STEP5:図形を保存してシートに挿入する
描画が完了したら、図形をスプレッドシートに挿入します。
- 描画エディタ右上の「保存して閉じる」をクリック
- 図形がスプレッドシートに挿入される
- 位置とサイズを最終調整
スプレッドシートで図形を作成するコツ
効果的な図形描画を行うには、配置バランス、色彩調和、視認性の3つの要素を意識することが大切です。これらを押さえることで、シンプルでもプロフェッショナルな印象の図表を作成できます。
配置とアライメント
図形の配置は、図表全体の見やすさを左右します。
- グリッドや整列ツールを使って位置を揃える
- [操作]→[配置先]→[グリッド]でスナップ先を切り替えられます。
- 整列ツールで複数図形を一括整列
- 等間隔配置で統一感を演出
- 重要な要素は中央や上部に配置
- サイズの差で重要度を表現
- 関連する要素はグループ化して整理
- 適度な余白を確保して窮屈さを避ける
- 図形間に適切な余白を確保
- 密集を避けて視認性を向上
- 余白で視線を誘導
色彩とブランディング
統一感のある色使いで、プロフェッショナルな印象を与える重要な要素です。
- 企業カラーやブランド基準を活用
- 使用色は「メイン2色+アクセント1色」に抑える
- 文字と背景は十分なコントラストを確保
- 赤=警告、緑=安全、青=情報 など色の意味を意識
配色パターンの例:
モノクロ系:#000000, #666666, #CCCCCC, #FFFFFF
ビジネス系:#003366, #0066CC, #66B2FF, #E6F2FF
ナチュラル系:#2E7D32, #66BB6A, #A5D6A7, #E8F5E9
視認性とアクセシビリティ
誰が見ても理解しやすい図形を作成することが重要です。
- 文字サイズは12pt以上
- 色だけに頼らず記号や形で区別
- 十分なコントラスト比(4.5:1以上)
- シンプルで明確な形状
- 線の太さは2px以上で明確に
図形の再利用とテンプレート化
頻繁に使用する図形は、テンプレートとして保存することで作業効率が向上します。
- よく使う図形セットを作成
- 図形描画エディタで「ファイル」→「コピーを作成」
- テンプレート名を付けて保存
- 必要時にコピーから新規作成
スプレッドシートに図形を挿入する手順
スプレッドシートの図形描画ツールを使わずに、直接シートに図形を挿入する方法もあります。用途に応じて適切な挿入方法を選択します。
基本的な図形の直接挿入
- コピー&ペースト
事前に作成した図形をコピーし、スプレッドシートに直接貼り付け - 事前に作成した図形画像を挿入
「挿入」→「画像」→「画像を挿入」~シートに追加
外部ツールからの図形インポート
より高度な図形が必要な場合、外部ツールで作成してインポートする方法が効果的です。
- PNG(透過対応)
- JPG/JPEG
- GIF(アニメーション対応)
- WebP など
- Google図形描画:Googleドライブから直接連携
- Canva:テンプレート豊富なデザインツール
- draw.io:フローチャート専門ツール
- Figma:プロフェッショナル向けデザインツール
図形とセルの連動設定
図形をセルに連動させることで、動的な図表を作成できます。
- セルへの固定
- 図形描画オブジェクトはセルに固定できません(並べ替え等で位置は追従しません)。
- セルに追従させたい場合は“画像”を[挿入>画像>セル内の画像]で挿入、またはIMAGE関数を使用してください。必要に応じて、Apps Scriptで画像のアンカーセル(setAnchorCell)を制御する方法もあります。
- 条件付き書式との連携
- セルの値に応じて図形の表示/非表示を切り替え
- Google Apps Scriptで制御
スマホ・タブレットでの図形挿入手順
モバイル版アプリでは図形描画の新規作成・挿入はできません。画像の挿入・編集は可能です。図形描画を使いたい場合はPC版(ブラウザ)で操作してください。デバイスごとの特性を理解して効率的に作業しましょう。
iPhoneでの画像挿入方法
- 代替方法:画像として挿入
- 写真アプリで図形画像を用意
- スプレッドシートで「+」→「画像」
- カメラロールから選択
- Safari経由でのPC版表示
- SafariでGoogleスプレッドシートを開く
- 「AA」→「デスクトップ用サイトを表示」
- PC版の全機能が利用可能
Androidでの図形挿入方法
Android版では、デスクトップ版と同様に、図形を挿入する機能が利用可能です。
- スプレッドシートアプリを開く
- 編集したいシートを選択
- 「+」ボタンをタップ
- 「図形」を選択
- 挿入したい図形を選択
- 図形が挿入された後、サイズや位置を調整
※描画した図形は、デスクトップ版で編集した図形と同様に表示されます。
iPadでの図形挿入と編集
iPadでの図形挿入と編集 iPadは画面が大きく、外部キーボードやマウスを接続することで、PC版に近い操作感で図形を挿入・編集できます。
- 外部キーボードとマウス/トラックパッド接続
- ショートカットキー(Cmd+C、Cmd+Vなど)を利用してPC版と同様に作業
- より精密な操作が可能に
- Split Viewの活用
- Split View機能で、左画面にデザインアプリ、右画面にスプレッドシートを並べて作業
- 作成した図形を画像として挿入する際に便利
モバイルデバイスでの制限事項と対処法
モバイル版には一部機能制限があるため、代替手段を知っておきましょう。
主な制限と対処法
制限事項 | 影響 | 対処法 |
---|---|---|
図形描画エディタなし | 複雑な図形作成不可 | 外部アプリで作成して画像挿入 |
グループ化機能制限 | 複数図形の一括操作不可 | PC版で事前に作成 |
レイヤー管理制限 | 重なり順の細かい調整不可 | シンプルな構成に留める |
一部フォント非対応 | テキスト表示の違い | 標準フォントを使用 |
スプレッドシートで図形を編集する手順
スプレッドシートに挿入した図形は、後からサイズ変更・色調整・位置移動など自由に編集できます。基本操作を覚えることで、効率的に見やすい図表を作成できます。
図形の選択と編集操作
図形編集の第一歩は、適切な選択方法を理解することです。
- 単一選択:図形をクリック
- 複数選択:Ctrlキー(MacはCmd)を押しながらクリック
- 範囲選択:ドラッグで範囲指定
- 全選択:Ctrl+A(編集エディタ内)
サイズと位置の調整
図形のサイズと位置を調整することで、プロフェッショナルな仕上がりになります。
- サイズ変更:角ハンドルは“縦横同時に変更”で、比率は固定されません。Shift+ドラッグで縦横比を固定できます。辺ハンドルは一方向のみ変更。正円・正方形を保持したい場合もShiftを使います。
- 数値指定:画像(または図形描画オブジェクト)を選択→[画像のオプション]→[サイズと回転]で数値入力できます。
- 位置調整:矢印キーで微調整、Shift+矢印でより大きく移動(移動量は環境により異なる場合あり)。整列ガイドにスナップして位置合わせできます。
図形の複製と配列
効率的な図形配置のための複製と配列機能を活用しましょう。
- コピー&ペースト(Ctrl+C → Ctrl+V)で複製
- Ctrl+ドラッグ(MacはOption+ドラッグ)で位置を保った複製
- Googleスプレッドシートの図形描画では自動的な等間隔配列や分散配置ツールはありません。位置を揃えたい場合は、マウスで調整するか、必要に応じて Googleスライド/Google図形描画 で作成してからシートに挿入すると効率的です。
図形のグループ化と階層管理
複数の図形をまとめて扱うと作業効率が上がります。
- 図形をグループ化し一括移動や編集:
複数図形を選択 → 右クリック →「グループ化」 - 図形の個別編集はグループを解除:同様に解除
- 図形の重なり順を調整:
右クリック →[順序]→[最前面へ移動/最背面へ移動/前面へ/背面へ]で操作できます。※ショートカットキーは未対応です。
スプレッドシートの図形を使った実践的な活用例
フローチャートの作成
業務プロセスをわかりやすく示すには、外部ツール(Googleドローイング、draw.ioなど)でフローチャートを作成し、画像やコピー&ペーストでスプレッドシートに挿入する方法があります。
- 基本要素の配置例
- 開始/終了:角丸四角形
- 処理:四角形
- 判断:ひし形
- データ:平行四辺形
- 補足の工夫
- 矢印で接続して流れを明示
- 吹き出しやテキストボックスで補足情報を追加
組織図の作成
組織の階層を示す場合も、スプレッドシート上では直接作成は難しいため、外部で作った組織図を画像として挿入する方法が有効です。
- 階層レベルごとに図形サイズを統一
- 縦または横の整列を維持
- 線の種類で関係性を表現(実線:直属、点線:連携)
ガントチャートの装飾
スプレッドシートの表をベースにした簡易ガントチャートに、画像や図形を追加して装飾することもできます。
- マイルストーンの表示
ダイヤ型のアイコンを配置して重要日程を明示 - 進捗の可視化
- 塗りつぶしバー(条件付き書式やSPARKLINE)と色分けで進捗率を表現
- 遅延項目は赤色で強調し、問題点を一目で把握
スプレッドシートの図形機能トラブルシューティング
よくある問題と解決策
図形機能で発生しやすい問題と対処法
問題 | 原因 | 解決策 |
---|---|---|
図形が表示されない | ブラウザの問題 | キャッシュクリア、再読み込み |
編集できない | 権限不足 | 編集権限の確認 |
位置がずれる | 画面解像度の違い | 図形描画はセルに固定できないため、画像としてセル内に挿入するか、Apps Scriptでアンカーセルを指定して制御します。レイアウトの安定性が重要な場合は、GoogleスライドやGoogle図形描画で作成した図形を画像化して挿入するのが確実です。 |
印刷で消える | 印刷設定 | 「背景のグラフィック」を有効化 |
パフォーマンスを保つコツ
大量の図形や画像を扱うと、シートが重くなることがあります。以下の工夫で快適に操作できます。
- 図形数を減らす
- 不要な図形は削除
- 複雑な図形は画像に変換して軽量化
- ファイルサイズを管理する
- 高解像度画像は適切に圧縮
- 可能であれば、外部ツールで作成したベクター画像を PNGやJPGに変換してから活用
- 描画を効率化する
- 関連する図形はグループ化して整理
- レイヤーを整理して作業をシンプルに
図形でスプレッドシートをよりわかりやすく
Googleスプレッドシートに図形や画像を加えることで、データは単なる表から「伝わりやすい資料」に変わります。基本的な挿入や編集機能を理解し、必要に応じて外部ツールで作成した図形を組み合わせれば、フローチャートやガントチャート風の表現も可能です。
モバイル版では一部制限があるため、PCでの編集や外部アプリとの併用を前提にすると効率的です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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