• 作成日 : 2025年9月22日

スプレッドシートでシートやセルをロック・保護するには?

Googleスプレッドシートで重要なデータを扱う際、誤った編集や意図しない変更を防ぐため、特定のシートやセルを保護したいという場面は多いでしょう。特にチームで共同作業を行う場合や、計算式を含む重要な領域を保護したい場合には、シートや範囲の保護(ロック)が欠かせません。

本記事では、スプレッドシートのシートやセル保護の設定方法から解除手順、注意すべきポイント、トラブル対処法まで、バックオフィス担当者が知っておくべき保護機能の全てを詳しく解説します。

スプレッドシートの保護・ロックとは

Googleスプレッドシートの保護機能は、指定したシートやセル範囲の“編集”を制限するための機能です(セキュリティ手段そのものではありません)。この機能により、重要な計算式や基準データを誤って変更されることを防げます。

保護機能には主に二つの種類があります。一つはシート全体を保護する「シート保護」、もう一つは特定のセル範囲のみを保護する「範囲保護」です。どちらも編集権限を持つユーザーを指定でき、きめ細かなアクセス制御が可能です。

特にバックオフィス業務では、月次集計表や予算管理表など、複数の担当者が参照するものの、特定の部分のみ編集可能にしたいケースが多く、この保護機能が業務の安全性向上に大きく貢献します。

シート(タブ)全体を保護する手順

スプレッドシート全体を一括ロックする機能はありません。必要に応じて各シートまたはセル範囲に保護を設定します([データ]→[保護されたシートと範囲]/シートタブを右クリック→[シートを保護])。

STEP1:保護したいシートの選択

まず、保護したいシートのタブを右クリックします。表示されるメニューから「シートを保護」を選択してください。複数のシートがある場合は、正確に目的のシートを選択していることを確認しましょう。

間違ったシートを選択してしまうと、必要な編集ができなくなる可能性があるため、シート名をしっかり確認することが重要です。

STEP2:保護設定の詳細指定

「シートを保護」をクリックすると、保護設定画面が表示されます。ここで保護の詳細を設定できます。まず「説明」欄に、なぜこのシートを保護するのかの理由を記入しておくと、後で管理しやすくなります。

「範囲」の項目では、シート全体を保護するか、特定の範囲のみを保護するかを選択できます。シート全体の保護の場合は「シート」を選択し、シート名が正しく表示されていることを確認してください。

STEP3:編集権限の設定

[権限を設定]

  • 警告のみ:[この範囲を編集するときに警告を表示]
  • 編集制限:[この範囲を編集できるユーザーを制限]「自分のみ」または「カスタム(特定のユーザー)」を選択

と設定します。企業での利用では、通常「特定のユーザー」を選択し、編集が必要な担当者のメールアドレスを追加します。この設定により、指定されたユーザー以外はそのシート/範囲を編集できません(コピーやエクスポート等は可能)。完全に閲覧専用にするには、共有設定で権限(閲覧者・コメント可)を調整してください。

STEP4:保護の実行と確認

設定が完了したら「完了」をクリックして保護を実行します。保護の有無は設定画面から確認できます。

保護設定後は、実際に編集権限のないユーザーでアクセスして、正しく保護されているかを確認することをおすすめします。

スプレッドシートの特定のセル範囲を保護する方法

STEP1:保護範囲の選択

特定のセル範囲のみを保護したい場合は、まず保護したいセル範囲を1つ選択します(Windows: Ctrl/Mac: ⌘ で非連続セルの選択も可能)。そのうえで、「データ」→「シートと範囲を保護」を開き、パネルの 範囲欄 に指定します。離れた複数範囲を保護する場合は、パネルで「別の範囲を追加」から順に追加してください。

重要な計算式が入っているセルや、変更されては困るマスターデータなど、目的に応じて適切な範囲を慎重に選択しましょう。

STEP2:データメニューからの保護設定

選択した範囲を保護するには、上部メニューの「データ」から「シートと範囲を保護」を選択します。この操作により、選択した範囲に特化した保護設定画面が表示されます。

選択範囲が正しく表示されているかを確認し、必要に応じて範囲を修正できます。複雑な範囲を選択している場合は、この画面で範囲の詳細を再確認することが重要です。

STEP3:範囲保護の詳細設定

右側パネルで [権限を設定] をクリックし、

  • 「この範囲を編集するときに警告を表示」(警告のみ) または
  • 「この範囲を編集できるユーザーを制限」(実編集を制限)

を選びます。編集許可は 「自分のみ」/「カスタム(特定のユーザー)」 から指定します。

STEP4:複数範囲の管理

複数の範囲を保護している場合、「データ」→「シートと範囲を保護」で現在の保護設定一覧を確認・編集・削除できます。各保護設定には説明文が表示されるため、目的に応じた適切な説明を設定しておくと管理が容易になります。

不要になった保護設定は、この一覧から個別に削除することも可能です。

スプレッドシートの保護を解除する手順

シート保護の解除方法

「データ」→「シートと範囲を保護」を開き、右側パネルで解除したい項目を選択 → ごみ箱(削除) をクリック → 確認で「削除」。

※シートタブを右クリック→「シートを保護…」からパネルを開き、同様に削除してもOK。

解除操作を実行すると確認メッセージが表示される場合があります。解除の影響を理解した上で操作を続行してください。

範囲保護の解除方法

特定範囲の保護を解除する場合は、「データ」メニューから「範囲やシートを保護」を選択し、保護設定の一覧を表示します。解除したい保護設定を見つけ、右側の「削除」アイコンをクリックして解除できます。

複数の範囲保護が設定されている場合は、説明文を参考に正しい保護設定を選択することが重要です。間違った保護を解除してしまうと、セキュリティリスクが生じる可能性があります。

解除時の注意事項

保護を解除する際は、その影響範囲を十分に理解しておく必要があります。特に重要なデータや計算式が含まれている場合、解除後に意図しない変更が発生する可能性があります。

解除作業は、データのバックアップを取得してから実行することをおすすめします。また、解除理由と実行者を記録として残しておくと、後のトラブル調査に役立ちます。

スマートフォンでの保護設定や解除の注意点

モバイルアプリでの操作制限

Googleスプレッドシートのモバイルアプリ(スマートフォン・タブレット)では、保護の設定や解除はできません。保護されたセルを編集しようとすると警告が表示されます。

モバイルアプリでは保護の新規設定や解除はできません(PCで操作)。保護されたセルは編集できずメッセージが表示されますが、保護されていないセルは編集権限があればモバイルでも編集できます

モバイルでの保護状態確認方法

モバイルでは編集しようとすると「この範囲は保護されています」などのメッセージで気づけますが、保護の詳細確認はPC版の [データ]→[シートと範囲を保護] で行ってください。

モバイル環境での対応策

外出先で保護設定を変更する必要があっても、保護の新規設定・解除はPC版で行うのが前提です(モバイルブラウザのデスクトップ表示は非推奨)。

ただし、画面サイズの制約により操作が困難な場合があるため、重要な保護設定の変更は可能な限りパソコンで行うことをおすすめします。

保護設定ができない場合のトラブルシューティング

権限不足によるエラー

最も一般的な問題は、スプレッドシートに対する編集権限が不足している場合です。保護設定を行うには、そのスプレッドシートの編集権限、またはオーナー権限が必要です。

権限が不足している場合は、スプレッドシートの所有者に権限の付与を依頼するか、所有者に代わって保護設定を行ってもらう必要があります。

ブラウザやアカウントの問題

保護設定が正常に動作しない場合、ブラウザのキャッシュクリアや別のブラウザでの試行が有効です。また、複数のGoogleアカウントにログインしている場合は、正しいアカウントでアクセスしているかを確認してください。

一時的なサーバー側の問題の可能性もあるため、時間をおいて再試行することも解決策の一つです。

既存の保護設定との競合

複数の保護設定が重複している場合、新たな保護設定ができない場合があります。この場合は、既存の保護設定を確認し、不要なものを削除してから新しい設定を試行してください。

範囲保護は複数設定できます(例:シート全体を保護しつつ[特定セルを除外])。保護の種類は「警告を表示」または「編集できるユーザーを制限」のどちらかです。意図しない挙動を避けるため、[データ]→[シートと範囲を保護]の一覧で重複や権限を整理してください。

スプレッドシートの保護機能と他の機能との連携活用

バージョン履歴との組み合わせ

保護機能とバージョン履歴機能を組み合わせることで、より強固なデータ保護体制を構築できます。重要な変更を行う前にバージョンを保存し、問題が発生した場合に迅速に復元できる体制を整えることが可能です。

特に複数人で編集する環境では、保護解除前のバックアップ作成を習慣化することで、データ損失リスクを大幅に軽減できます。

共有設定との連携

スプレッドシートの共有設定と保護機能を適切に連携させることで、きめ細かなアクセス制御が実現できます。閲覧のみ許可するユーザーと編集権限を持つユーザーを明確に分け、さらに編集権限内でも保護機能により編集可能範囲を制限するという多層的なセキュリティ設計が重要です。

定期的にアクセス権限の見直しを行い、退職者のアカウントや不要な権限を適切に管理することも、セキュリティ維持に欠かせない作業です。

スプレッドシートの保護機能を活用して安全な共同作業を

Googleスプレッドシートの保護機能を使えば、シート全体や特定のセル範囲を編集制限し、重要なデータや計算式を守ることができます。編集権限を持つユーザーを指定すれば、共同作業でも安心してデータを共有可能です。モバイルアプリでは設定や解除はできないため、管理はPCから行うのが基本です。

複数範囲の保護やバージョン履歴との併用により、さらに堅牢な管理が可能になります。保護は編集ミス防止に有効ですが、セキュリティ対策そのものではありません(コピーやエクスポートは可能)。共有権限の適切な設定やアクセス見直しと併用して運用してください。


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