- 作成日 : 2025年9月17日
スプレッドシートで便利な関数50選!初心者でも使いこなせる関数を徹底解説
Googleスプレッドシートには、計算や集計を自動化して作業を効率化できる多くの関数があります。SUMやIFのような基本関数から、QUERYやIMPORTRANGEといった高度な関数までを活用することで、手作業では大変な処理もスムーズに行えます。
この記事では、初心者でも使いやすい関数を中心に、基本的な入力方法から実務に役立つ応用例までをわかりやすく解説します。Excelとの違いや注意点にも触れながら、スプレッドシート関数を業務でしっかり活用するためのポイントを紹介していきます。
目次
関数の基本的な使い方
関数とは何か
スプレッドシートにおける関数とは、特定の計算や処理を自動的に実行してくれる命令のことです。例えば、複数のセルの数値を合計したり、平均値を求めたり、条件に応じて異なる結果を表示したりすることができます。手動で計算する必要がなくなるため、大量のデータを扱う際には欠かせない機能となっています。
関数を使用することで、単純な四則演算だけでなく、文字列の操作、日付の計算、データの検索や抽出など、様々な処理を効率的に行うことが可能になります。また、データが更新されると自動的に計算結果も更新されるため、常に最新の情報を保つことができるのも大きな利点です。
関数の入力方法
関数を入力する際は、必ず「=」(イコール)記号から始めます。これはスプレッドシートに「これから関数を入力します」と伝える合図となります。基本的な構文は「=関数名(引数1, 引数2, …)」という形式で、関数名の後に括弧を付け、その中に必要な引数(パラメータ)を記述します。
例えば、A1からA5までのセルの合計を求める場合は「=SUM(A1:A5)」と入力します。ここで「SUM」が関数名、「A1:A5」が引数となります。引数が複数ある場合は、カンマで区切って記述します。関数名は大文字でも小文字でも構いませんが、スプレッドシートが自動的に大文字に変換してくれます。
セル参照の基本
関数を使用する際に重要なのがセル参照です。セル参照には相対参照と絶対参照の2種類があります。相対参照は「A1」のように記述し、関数をコピーすると参照先も相対的に変化します。一方、絶対参照は「$A$1」のように$記号を付けて記述し、関数をコピーしても参照先は固定されたままになります。
範囲を指定する場合は、開始セルと終了セルをコロン(:)でつなぎます。例えば「A1:C10」は、A1からC10までの30個のセルを指定することになります。また、複数の離れた範囲を指定したい場合は、カンマで区切って「A1:A5,C1:C5」のように記述することも可能です。
スプレッドシートの代表的な関数
計算系関数
SUM関数
構文:=SUM(範囲)
指定した範囲内の数値をすべて合計する関数です。例えば=SUM (A1:A10)と入力すると、A1からA10までのセルに入力されている数値の合計が計算されます。
複数の範囲を指定する場合は=SUM (A1:A10,C1:C10)のようにカンマで区切ります。空白セルや文字列は無視されるため、データに欠損があっても正しく動作します。
AVERAGE関数
構文:=AVERAGE(範囲)
指定範囲の数値の平均値を計算します。=AVERAGE (B2:B20)のように使用し、テストの平均点や月別売上の平均値などを求める際に活用されます。
SUM関数と同様に、空白セルや文字列は計算から除外されます。数値が入力されているセルのみで平均を算出するため、正確な平均値が得られます。
COUNT関数
構文:=COUNT(範囲)
数値が入力されているセルの個数を数える関数です。=COUNT (A1:A100)と記述すれば、A1からA100の範囲で数値が入力されているセルの数が返されます。
日付や時刻も数値として扱われるため、カウント対象となります。空白セルや文字列はカウントされません。
COUNTA関数
構文:=COUNTA(範囲)
空白以外のセルの個数を数える関数で、文字列や数値、日付など、何らかのデータが入力されているセルをすべてカウントします。
=COUNTA (A1:A50)のように使用し、アンケートの回答数や出席者数の集計などに便利です。完全に空白のセルのみがカウントから除外されます。
MAX関数・MIN関数
構文:=MAX(範囲)、=MIN(範囲)
MAX関数は指定範囲内の最大値、MIN関数は最小値を返します。=MAX (C2:C30)で最高売上を、=MIN (D2:D30)で最低在庫数を求めるといった使い方ができます。
複数の範囲を指定する場合は=MAX (A1:A10,C1:C10,E1:E10)のように記述します。
文字列操作関数
CONCATENATE関数
構文:=CONCATENATE(文字列1, 文字列2, …)
複数の文字列やセルの内容を結合する関数です。
=CONCATENATE (A1,” “,B1)と入力すると、A1セルの内容とB1セルの内容を空白を挟んで結合します。
=CONCATENATE (A1:A3,B1:B3)のように引数に範囲を指定することもできます。
Excelでは30個までの引数制限がありますが、スプレッドシートではさらに多くの引数を扱えます。
=CONCATENATE (“〒”,C1,”-“,C2)のように郵便番号の整形などにも使用できます。
CONCAT関数
構文:=CONCAT (2つのセルまたは文字列)
2つの文字列やセルの内容を結合する関数です。
=CONCAT (A1,B1)のように2つのセルを指定すると、指定したセルの内容を結合します。スプレッドシートのCONCAT関数は、引数を3つ以上指定できないため注意してください。
LEFT関数・RIGHT関数・MID関数
構文:=LEFT(文字列, 文字数)、=RIGHT(文字列, 文字数)、=MID(文字列, 開始位置, 文字数)
LEFT関数は文字列の左側から、RIGHT関数は右側から指定した文字数を抽出します。
=LEFT (A1,3)でA1セルの左側3文字を、=RIGHT (B1,4)でB1セルの右側4文字を取得できます。MID関数は=MID (C1,3,5)のように使用し、C1セルの3文字目から5文字を抽出します。
LEN関数
構文:=LEN(文字列)
文字列の長さ(文字数)を返す関数です。=LEN (A1)と入力すると、A1セルに入力されている文字列の文字数が表示されます。
全角・半角を問わず1文字として数えるため、入力文字数の制限チェックや文字数カウントに使用されます。
UPPER関数・LOWER関数・PROPER関数
構文:=UPPER(文字列)、=LOWER(文字列)、=PROPER(文字列)
UPPER関数は文字列をすべて大文字に、LOWER関数はすべて小文字に変換します。
=UPPER(“hello”)は「HELLO」を、=LOWER(“WORLD”)は「world」を返します。PROPER関数は=PROPER(“john smith”)のように使用し、各単語の先頭文字を大文字に変換して「John Smith」を返します。
論理関数
IF関数
構文:=IF(条件, 真の場合の値, 偽の場合の値)
条件に応じて異なる値を返す基本的な条件分岐関数です。=IF (A1>=60,”合格”,”不合格”)と記述すると、A1セルの値が60以上なら「合格」、60未満なら「不合格」と表示されます。条件には比較演算子(=、<>、>、<、>=、<=)を使用できます。
AND関数・OR関数
構文:=AND(条件1, 条件2, …)、=OR(条件1, 条件2, …)
AND関数はすべての条件が真の場合にTRUEを、OR関数はいずれかの条件が真の場合にTRUEを返します。
=AND (A1>50,B1>50)は両方の条件を満たす場合のみTRUEとなり、=OR (A1>80,B1>80)はどちらか一方でも条件を満たせばTRUEとなります。
NOT関数
構文:=NOT(論理値)
論理値を反転させる関数で、TRUEをFALSEに、FALSEをTRUEに変換します。=NOT (A1>100)と記述すると、A1が100以下の場合にTRUEを返します。他の論理関数と組み合わせて=IF (NOT (ISBLANK(A1)),A1*1.1,””)のような使い方もできます。
IFERROR関数
構文:=IFERROR(値, エラーの場合の値)
数式がエラーを返す場合に、代替値を表示する関数です。=IFERROR (A1/B1,”計算不可”)と記述すると、除算でエラーが発生した場合に「計算不可」と表示されます。#DIV/0!、#N/A、#VALUE!などのエラーをすべて処理できます。
検索・参照関数
VLOOKUP関数
構文:=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, [検索方法])
垂直方向にデータを検索し、対応する値を返す関数です。=VLOOKUP (A2,$D$2:$F$100,3,FALSE)と記述すると、A2の値をD2:F100の範囲の最左列で検索し、見つかった行の3列目(F列)の値を返します。検索方法にFALSEを指定すると完全一致、TRUEまたは省略すると近似一致で検索します。
HLOOKUP関数
構文:=HLOOKUP(検索値, 範囲, 行番号, [検索方法])
水平方向にデータを検索する関数で、VLOOKUPの横版です。=HLOOKUP (B1,$A$1:$Z$5,3,FALSE)のように使用し、B1の値を範囲の最上行で検索し、見つかった列の3行目の値を返します。横に展開されたデータの参照に適しています。
INDEX関数
構文:=INDEX(範囲, 行番号, [列番号])
指定した範囲から、行番号と列番号で特定される値を返します。=INDEX (A1:C10,5,2)と記述すると、A1:C10の範囲の5行目、2列目(B列)の値が返されます。MATCH関数と組み合わせることで、より柔軟な検索が可能になります。
MATCH関数
構文:=MATCH(検索値, 検索範囲, [検索方法])
指定した値が範囲内の何番目にあるかを返す関数です。=MATCH (“商品A”,A1:A100,0)と記述すると、A1:A100の範囲で「商品A」が何行目にあるかを返します。検索方法は0で完全一致、1で以下の最大値、-1で以上の最小値を検索します。
OFFSET関数
構文:=OFFSET(基準, 行数, 列数, [高さ], [幅])
基準セルから指定した行数・列数だけ移動した位置のセルまたは範囲を参照します。=OFFSET (A1,2,3)はA1から2行下、3列右のセル(D3)を参照します。=OFFSET (A1,0,0,5,3)のように高さと幅を指定すると、A1を起点とした5行3列の範囲を参照できます。
スプレッドシートで使える関数・応用編
配列関数の活用
ARRAYFORMULA関数
構文:=ARRAYFORMULA(配列数式)
単一の数式を複数のセルに同時に適用する関数です。=ARRAYFORMULA (A1:A10*B1:B10)と記述すると、A列とB列の各行の積を一度に計算し、10個の結果を縦に表示します。
通常なら各行に個別に数式を入力する必要がある処理を、1つの数式で実現できるため、大幅な効率化が図れます。
UNIQUE関数
構文:=UNIQUE(範囲, [列で判定], [1回のみ])
指定範囲から重複を除いた一意の値を抽出する関数です。=UNIQUE (A2:A100)でA列の重複を除いたリストを作成できます。第2引数にTRUEを指定すると列方向で重複を判定し、第3引数にTRUEを指定すると1回だけ出現する値のみを抽出します。
=UNIQUE (A2:B100,FALSE,TRUE)のような組み合わせも可能です。
SORT関数
構文:=SORT(範囲, 列番号, 昇順, [列番号2], [昇順2], …)
データを並べ替える関数で、元のデータを変更せずにソート結果を別の場所に表示できます。=SORT (A2:C100,2,TRUE)はA2:C100の範囲を2列目(B列)で昇順に並べ替えます。
複数条件での並べ替えは=SORT (A2:D100,1,TRUE,3,FALSE)のように、列番号と昇順/降順を交互に指定します。
FILTER関数
構文:=FILTER(範囲, 条件1, [条件2], …)
条件に合致するデータのみを抽出する関数です。=FILTER (A2:D100,C2:C100>1000)と記述すると、C列の値が1000より大きい行のみを抽出します。
複数条件は=FILTER (A2:D100,C2:C100>1000,D2:D100=”東京”)のように追加でき、AND条件として機能します。
SEQUENCE関数
構文:=SEQUENCE(行数, [列数], [開始値], [増分])
連続した数値の配列を生成する関数です。=SEQUENCE (10)で1から10までの連番を縦に、=SEQUENCE (5,3)で5行3列の連番を作成します。
=SEQUENCE (10,1,100,5)とすると100から5ずつ増加する10個の数値を生成します。日付の連続生成にも活用できます。
統計関数の応用
STDEV関数・STDEVP関数
構文:=STDEV(範囲)、=STDEVP(範囲)
標準偏差を計算する関数で、データのばらつきを数値化します。STDEV関数は標本標準偏差、STDEVP関数は母標準偏差を計算します。
=STDEV (B2:B50)のように使用し、売上データのばらつきや品質管理での規格からのずれを分析する際に活用されます。
CORREL関数
構文:=CORREL(配列1, 配列2)
2つのデータセット間の相関係数を計算する関数です。=CORREL (A2:A100,B2:B100)と記述すると、-1から1の間の値が返され、1に近いほど正の相関、-1に近いほど負の相関が強いことを示します。売上と広告費の関係分析などに使用されます。
FORECAST関数
構文:=FORECAST(x, 既知のy, 既知のx)
線形回帰を使用して将来の値を予測する関数です。=FORECAST (A2,$B$2:$B$13,$A$2:$A$13)のように、既知のx値(例:月)とy値(例:売上)から、新しいx値に対するy値を予測します。過去のトレンドに基づいた売上予測などに活用できます。
PERCENTILE関数
構文:=PERCENTILE(配列, k)
指定したパーセンタイル値を返す関数です。=PERCENTILE (A2:A100,0.75)で第3四分位数(75パーセンタイル)を求められます。kには0から1の間の値を指定し、成績の分布分析や給与水準の把握などに使用されます。
RANK関数
構文:=RANK(値, 配列, [順序])
指定した値が配列内で何番目かを返す関数です。=RANK (B2,$B$2:$B$100,0)と記述すると、B2の値がB2:B100の範囲で大きい方から何番目かを返します。第3引数を1にすると昇順(小さい方から)でランク付けされます。
日付・時刻関数
TODAY関数・NOW関数
構文:=TODAY()、=NOW()
TODAY関数は現在の日付を、NOW関数は現在の日時を返します。引数は不要で、=TODAY()、=NOW()と記述します。これらの関数は自動的に更新されるため、日報の日付欄や更新日時の記録などに便利です。書式設定で表示形式を変更できます。
DATEDIF関数
構文:=DATEDIF(開始日, 終了日, 単位)
2つの日付間の差を計算する関数です。=DATEDIF (A2,B2,”Y”)で年数、=DATEDIF (A2,B2,”M”)で月数、=DATEDIF (A2,B2,”D”)で日数を計算します。=DATEDIF (A2,B2,”YM”)のように”YM”を指定すると、年を除いた月数を計算できます。
WORKDAY関数
構文:=WORKDAY(開始日, 日数, [祝日])
営業日を計算する関数で、土日を除いた日数計算ができます。=WORKDAY (TODAY(),10)で今日から10営業日後の日付を求められます。第3引数に祝日のリストを指定すると=WORKDAY (A2,B2,$F$2:$F$20)のように祝日も考慮した計算が可能です。
NETWORKDAYS関数
構文:=NETWORKDAYS(開始日, 終了日, [祝日])
2つの日付間の営業日数を計算する関数です。=NETWORKDAYS (A2,B2)で土日を除いた日数を、=NETWORKDAYS (A2,B2,$F$2:$F$20)で祝日も除外した営業日数を計算します。プロジェクトの実働日数計算などに活用されます。
EOMONTH関数
構文:=EOMONTH(開始日, 月数)
指定した月数後の月末日を返す関数です。=EOMONTH (TODAY(),0)で当月末、=EOMONTH (A2,1)でA2の翌月末を求められます。月数に負の値を指定すると過去の月末日を計算できます。請求書の支払期限設定などに便利です。
データベース関数
QUERY関数
構文:=QUERY(データ, クエリ, [ヘッダー])
SQL風の構文でデータを操作できる強力な関数です。=QUERY (A1:D100,”SELECT A,B,SUM (C) WHERE D=’東京’ GROUP BY A,B”)のように記述し、条件抽出、集計、並べ替えを一度に実行できます。
SELECT句で列を選択、WHERE句で条件指定、GROUP BY句でグループ化、ORDER BY句で並べ替えが可能です。
SUMIF関数・SUMIFS関数
構文:=SUMIF(範囲, 条件, [合計範囲])、=SUMIFS(合計範囲, 条件範囲1, 条件1, [条件範囲2, 条件2], …)
条件に合致するセルの合計を計算する関数です。=SUMIF (A2:A100,”東京”,C2:C100)はA列が「東京」の行のC列を合計します。SUMIFS関数は=SUMIFS (D2:D100,A2:A100,”東京”,B2:B100,”>1000″)のように複数条件を指定できます。
COUNTIF関数・COUNTIFS関数
構文:=COUNTIF(範囲, 条件)、=COUNTIFS(条件範囲1, 条件1, [条件範囲2, 条件2], …)
条件に合致するセルの個数を数える関数です。=COUNTIF (B2:B100,”>1000″)でB列の1000より大きい値の個数を、=COUNTIFS (A2:A100,”東京”,C2:C100,”完了”)で複数条件を満たすセルの個数を計算します。
AVERAGEIF関数・AVERAGEIFS関数
構文:=AVERAGEIF(範囲, 条件, [平均範囲])、=AVERAGEIFS(平均範囲, 条件範囲1, 条件1, [条件範囲2, 条件2], …)
条件に合致するセルの平均を計算する関数です。=AVERAGEIF (A2:A100,”営業部”,B2:B100)で営業部の平均値を、=AVERAGEIFS (C2:C100,A2:A100,”東京”,B2:B100,”>2020/1/1″)で複数条件での平均を求められます。
IMPORTRANGE関数
構文:=IMPORTRANGE(スプレッドシートURL, 範囲文字列)
他のGoogleスプレッドシートからデータを取り込む関数です。
=IMPORTRANGE(“https://docs.google.com/spreadsheets/d/xxx”,”シート1!A1:D100″)のように使用します。初回使用時はアクセス許可が必要で、複数のスプレッドシート間でのデータ連携に便利です。
スプレッドシートの関数を使いこなすポイント
エラーへの対処法
スプレッドシートで関数を使用していると、様々なエラーが起こることがあります。#DIV/0!エラーは0で除算した場合に発生し、#N/Aエラーは検索関数で値が見つからない場合に表示されます。これらのエラーを適切に処理することで、見やすいスプレッドシートを作成できます。
IFERROR関数を使用すると、エラーが発生した場合の代替値を設定できます。例えば、「=IFERROR(A1/B1,”計算不可”)」とすることで、除算エラーが発生した場合に「計算不可」と表示させることができます。ISERROR関数やISNA関数を使用して、エラーの有無を判定することも可能です。
関数のネスト(入れ子)
複雑な処理を行う場合は、関数の中に別の関数を入れる「ネスト」を使用します。例えば、「=IF(ISBLANK(A1),”未入力”,IF(A1>=80,”優秀”,”普通”))」のように、IF関数の中にISBLANK関数と別のIF関数を組み込むことができます。
ネストを使用する際は、括弧の対応関係に注意が必要です。スプレッドシートは対応する括弧を色分けして表示するため、カッコの位置を確認しながら正確に入力していきましょう。
また、あまりに深いネストは可読性を損なうため、必要に応じて複数のセルに分けて計算することも検討すべきです。
名前付き範囲の活用
頻繁に使用する範囲には名前を付けることができます。例えば、売上データの範囲に「売上」という名前を付ければ、「=SUM(売上)」のように分かりやすい関数を記述できます。名前付き範囲は、データメニューから「名前付き範囲」を選択して設定します。
名前付き範囲を使用することで、関数の可読性が向上し、メンテナンスも容易になります。特に複雑なスプレッドシートでは、セル参照だけでは何を指しているのか分かりにくくなるため、適切な名前を付けることで理解しやすくなります。
パフォーマンスの最適化
大量のデータを扱う場合、関数の書き方によってはスプレッドシートの動作が重くなることがあります。揮発性関数(TODAY、NOW、RANDなど)は再計算の頻度が高いため、必要最小限の使用に留めることが推奨されます。
配列関数を活用することで、個別のセルに関数を入力するよりも効率的に処理できる場合があります。また、不要な計算を避けるため、条件分岐を適切に使用して、必要な場合のみ複雑な計算を実行するようにすることも重要です。
スプレッドシートの関数はエクセルと同じ?
共通する関数
スプレッドシートとエクセルは多くの関数で互換性があります。SUM、AVERAGE、IF、VLOOKUPなどの基本的な関数は、ほぼ同じ構文で使用できます。これにより、エクセルで作成したファイルをスプレッドシートにインポートしても、多くの場合は問題なく動作します。
日付関数や文字列関数についても、大部分は共通しています。TODAY、NOW、LEFT、RIGHT、MIDなどの関数は、両方のアプリケーションで同じように機能します。このため、エクセルの知識がある方は、スプレッドシートでもすぐに関数を使い始めることができます。
スプレッドシート独自の関数
一方で、スプレッドシートには独自の強力な関数も存在します。QUERY関数はその代表例で、SQL風の構文でデータを操作できる機能はエクセルにはありません。IMPORTRANGE関数を使用すれば、他のスプレッドシートからデータを参照することも可能です。
GOOGLEFINANCE関数は株価や為替レートなどの金融データをリアルタイムで取得でき、GOOGLETRANSLATE関数は自動翻訳機能を提供します。これらのクラウドベースの機能は、スプレッドシートならではの利点と言えるでしょう。
関数の違いと注意点
一部の関数では、動作や構文に微妙な違いがあります。例えば、CONCATENATE関数やCONCAT関数はエクセル・スプレッドシートのどちらでも使用できますが、スプレッドシートではCONCATENATE関数やTEXTJOIN関数の方が便利な関数です。また、配列関数の扱い方にも違いがあり、スプレッドシートではARRAYFORMULA関数を明示的に使用する必要があります。
エクセルの一部の高度な関数は、スプレッドシートではまだサポートされていない場合があります。逆に、スプレッドシートの独自関数をエクセルで使用することはできません。このような違いを理解した上で、適切なツールを選択することが重要です。
エクセル⇔スプレッドシート移行時の注意点
エクセルからスプレッドシートへ、またはその逆の移行を行う際は、関数の互換性を事前に確認することが大切です。基本的な関数であれば問題ありませんが、高度な関数や独自機能を使用している場合は、代替手段を検討する必要があります。
スプレッドシートは定期的に新機能が追加されており、エクセルとの互換性も向上しています。最新の情報を確認しながら、両者の特徴を活かした使い分けを行うことで、より効率的な業務運営が可能になります。
スプレッドシートの関数を使いこなし業務効率化を実現しよう
スプレッドシートの関数は、基本的な計算だけでなく、データ分析や集計、外部データとの連携まで幅広い場面で活躍します。基本的なSUMやAVERAGEから始めて、IF・VLOOKUP・QUERYといった実務で頻出する関数を習得すれば、作業のスピードと正確性は大きく向上します。
Excelと共通する部分を押さえつつ、スプレッドシート独自の関数も積極的に取り入れることで、より柔軟なデータ管理が可能になります。少しずつ学び、日常業務に適用していくことが、効率化とスキル向上への近道です。
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