- 作成日 : 2025年8月25日
PROPER関数の使い方:文字列を適切な大文字小文字に変換する方法
PROPER関数は、文字列の各単語の先頭文字を大文字に、それ以外を小文字に変換するエクセルの文字列関数です。名前や住所などのデータを統一的な形式に整える際に便利な関数です。
顧客データベースの整備、レポートの体裁統一、輸入データのクリーニングなど、様々なビジネスシーンで活用されています。本記事では、PROPER関数の基本的な使い方から実践的な活用法、他の関数との組み合わせまで、具体例を交えて詳しく解説します。
目次
PROPER関数の基本的な使い方
PROPER関数とは
PROPER関数は、文字列を「プロパーケース」(タイトルケース)に変換する関数です。各単語の最初の文字を大文字に、残りの文字を小文字に自動的に変換します。英語圏の人名や地名、書籍のタイトルなどを適切な形式に整えるのに適しています。
この関数は、スペースやその他の区切り文字(ピリオド、ハイフン、アポストロフィなど)の後の文字を単語の開始として認識し、大文字に変換します。大量のテキストデータを一括で整形する際に作業効率を大幅に向上させます。
基本構文と動作
PROPER関数の構文:
=PROPER(文字列)
文字列:変換したいテキストまたはテキストを含むセルの参照を指定します。
- 単語の最初の文字→大文字
- それ以外の文字→小文字
- 区切り文字:スペース、タブ、改行、句読点など
- 数字や記号は変更されない
基本的な使用例
様々なケースでのPROPER関数の動作を確認してみましょう。
基本的な変換:
=PROPER(“john smith”) 結果:John Smith
=PROPER(“JOHN SMITH”) 結果:John Smith
=PROPER(“jOhN sMiTh”) 結果:John Smith
複数の区切り文字を含む場合:
=PROPER(“mary-jane o’connor”) 結果:Mary-Jane O’Connor
=PROPER(“new.york.city”) 結果:New.York.City
=PROPER(“123 main street”) 結果:123 Main Street
日本語と英語の混在:
=PROPER(“tokyo tower”) 結果:Tokyo Tower
=PROPER(“山田 taro”) 結果:山田 Taro
セル参照での使用
実際のデータ処理では、セル参照を使用することが一般的です。
顧客名の整形:A列に元データがある場合
B1: =PROPER(A1)
一括変換の設定:
- B1セルに=PROPER(A1)を入力
- B1セルをコピー
- 必要な範囲に貼り付け
元データを保持しながら変換:
変換列: =IF(A1=””, “”, PROPER(A1))
空白セルの場合は空白のままにします。
PROPER関数の実践的な利用シーン
顧客データベースの整備
異なるソースから収集した顧客データを統一形式に整える際に活用できます。
名前フィールドの標準化:
フルネーム: =PROPER(TRIM(A2))
姓: =PROPER(LEFT(A2, FIND(” “, A2)-1))
名: =PROPER(MID(A2, FIND(” “, A2)+1, LEN(A2)))
会社名の整形:
=PROPER(SUBSTITUTE(LOWER(会社名), “inc.”, “Inc.”))
特定の略語は個別に処理します。
住所データの整形:
=PROPER(住所) & ” ” & UPPER(州コード)
州コードは大文字のまま保持します。
レポート・プレゼンテーションの体裁統一
報告書や発表資料のタイトル・見出しを統一的に整形できます。
章タイトルの自動整形:
=PROPER(TRIM(見出しテキスト))
プロジェクト名の標準化:
=PROPER(SUBSTITUTE(プロジェクト名, “_”, ” “))
アンダースコアをスペースに変換してから整形します。
カテゴリ名の統一:
=IF(COUNTIF(除外リスト, A2)>0, A2, PROPER(A2))
特定のカテゴリは変換から除外します。
商品マスタの管理
ECサイトや在庫管理システムの商品名を適切に表示するために使用します。
商品名の整形:
基本整形: =PROPER(商品名原文)
ブランド保護: =SUBSTITUTE(PROPER(商品名), “Iphone”, “iPhone”)
型番を含む商品名の処理:
=PROPER(LEFT(A2, FIND(“-“, A2)-1)) & MID(A2, FIND(“-“, A2), LEN(A2))
型番部分は変更しないようにします。
カテゴリ階層の整形:
=PROPER(SUBSTITUTE(カテゴリパス, “/”, ” / “))
メールアドレス関連の処理
メールアドレスから名前を抽出して整形する場合に活用できます。
メールアドレスからの名前抽出:
アドレス: [email protected]
名前部分: =LEFT(A2, FIND(“@”, A2)-1)
整形: =PROPER(SUBSTITUTE(名前部分, “.”, ” “))
結果: John Smith
署名の自動生成:
=PROPER(名) & ” ” & PROPER(姓) & CHAR (10) & 部署名
PROPER関数の応用・他関数との組み合わせ
UPPER・LOWER関数との使い分け
状況に応じて適切な大文字小文字変換関数を選択します。
混合使用の例:
姓(大文字): =UPPER(姓)
名(プロパー): =PROPER(名)
完全な名前: =UPPER(姓) & “, ” & PROPER(名)
条件による使い分け:
=IF(種別=”会社”, UPPER(名称), PROPER(名称))
SUBSTITUTE関数との組み合わせ
特定の文字列を置換してから整形する高度な処理です。
略語の保護:
=SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(PROPER(A2), ” Usa “, ” USA “), ” Uk “, ” UK “)
特殊文字の処理:
=PROPER(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(A2, “&”, ” & “), “-“, ” – “))
複数の置換を連続実行:
=PROPER(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(SUBSTITUTE(テキスト,”_”, ” “), “-“, ” “), “.”, ” “))
配列数式での一括処理
複数のセルを同時に処理する効率的な方法です。
動的配列での使用(Excel 365):
=PROPER(A2:A100)
条件付き一括変換:
=IF(B2:B100=”変換対象”, PROPER(A2:A100), A2:A100)
カスタム関数の作成
PROPER関数を基にした独自の変換ルールを実装します。
日本語対応の整形:
=IF(ISTEXT(A2),
IF(LEN(A2)=LENB(A2), PROPER(A2), A2),A2)
全角文字を含む場合は変換しません。
ビジネスルールの適用:
=IF(LEFT(A2,3)=”CEO”, A2,
IF(LEFT(A2,2)=”VP”, A2, PROPER(A2)))
役職名は変換から除外します。
PROPER関数のよくある問題と対処法
略語・頭字語の扱い
USA、IBM、NYCなどの略語が不適切に変換される問題への対処法です。
略語リストを使った保護:略語テーブルを作成(D:E列)
=IFERROR(VLOOKUP(A2, 略語テーブル, 2, FALSE), PROPER(A2))
正規表現的なアプローチ:
=IF(LEN(A2)<=3, UPPER(A2), PROPER(A2))
3文字以下は略語として扱います。
アポストロフィの扱い
O’Connor、don’t などのアポストロフィを含む単語の処理です。
標準的な処理:
=PROPER(“o’connor”) 結果:O’Connor(期待通り)
問題のあるケース:
=PROPER(“it’s”) 結果:It’S(Sも大文字になる)
対処法:
=SUBSTITUTE(PROPER(A2), “‘S”, “‘s”)
特殊な区切り文字
想定外の文字が区切りとして認識される場合の対処法です。
数字との境界:
=PROPER(“test123test”) 結果:Test123Test
対処法:
=SUBSTITUTE(PROPER(SUBSTITUTE(A2, “123”, ” 123 “)), ” 123 “, “123”)
言語固有の問題
英語以外の言語での使用時の注意点です。
ドイツ語の名詞(常に大文字で始まる):
カスタムルールの実装が必要
フランス語の前置詞(小文字のまま):
=SUBSTITUTE(PROPER(A2), ” De “, ” de “)
多言語対応:
=IF(言語=”EN”, PROPER(A2),
IF(言語=”DE”, ドイツ語ルール(A2), A2))
PROPER関数で文字列を整形する
PROPER関数は、Excelで文字列内の各単語の先頭文字を大文字に、それ以外を小文字に変換する関数です。名前や住所、レポートの見出し、商品名などを統一的に整形する際に便利で、特に英語圏の人名や地名、文書のタイトル処理に適しています。
UPPERやLOWER、SUBSTITUTE、IF関数などと組み合わせることで、略語の保護や例外処理、条件付き変換にも対応可能です。
ただし、アポストロフィのある単語(例:”it’s”)では “It’S” のように意図しない変換が起こることもあり、処理前の検証や置換による調整が重要です。Excel 365以降では動的配列にも対応しており、大量のデータ整形にも活用できます。
PROPER関数を正しく使いこなすことで、表記揺れのない、統一感のあるデータ整備が効率的に行えます。
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