• 作成日 : 2025年8月25日

CONVERT関数の使い方:単位を簡単に変換する方法

CONVERT関数は、様々な測定単位間の変換を行う関数です。長さ、重量、温度、時間、エネルギーなど、多岐にわたる単位系に対応しており、科学計算、工学設計、国際取引など幅広い分野で活用されます。

例えば、メートルをフィート、キログラムをポンド、摂氏を華氏に変換するなど、異なる単位系間の変換を手間なく計算できます。

本記事では、CONVERT関数の基本的な使い方から実践的な活用方法、他の関数との効果的な組み合わせまで、初心者の方にも理解しやすく解説していきます。

CONVERT関数とは

CONVERT関数は、ある単位系から別の単位系への変換を自動的に行う関数です。国際単位系(SI)、ヤード・ポンド法、その他の様々な単位系に対応しており、100種類以上の単位変換が可能です。

この関数の最大の特徴は、複雑な変換係数を覚える必要がなく、単位の略称を指定するだけで正確な変換ができることです。国際的なプロジェクトや、異なる規格を使用する部門間でのデータ共有において、単位の統一や変換作業を大幅に効率化できます。

CONVERT関数の基本的な使い方

関数の構文を理解する

CONVERT関数の構文は次のとおりです。

=CONVERT(数値, 変換前単位, 変換後単位)

数値は変換したい値、変換前単位は元の単位、変換後単位は変換先の単位を文字列で指定します。

基本的な使用例

実際の使用例を見てみましょう。

A1セルに「100」(メートル)が入力されている場合:

=CONVERT(A1, “m”, “ft”)

この結果は約「328.084」フィートとなります。

温度変換の例:

=CONVERT(20, “C”, “F”)

この結果は「68」となり、摂氏20度が華氏68度に変換されます。

主要な単位記号

CONVERT関数で使用する主な単位記号を理解しておくことが重要です。長さでは”m”(メートル)、”ft”(フィート)、”in”(インチ)、重量では”kg”(キログラム)、”lbm”(ポンド)、”g”(グラム)などがあります。

単位記号は大文字小文字を区別するため、正確に入力する必要があります。例えば、”M”と”m”では異なる意味になる場合があります。

CONVERT関数の実践的な利用シーン

国際プロジェクトでの活用

グローバル企業では、各国の異なる単位系でデータが報告されることがあります。アメリカからの報告はヤード・ポンド法、ヨーロッパからはメートル法という場合、CONVERT関数を使って統一的なレポートを作成できます。

製品仕様書を各国向けにローカライズする際も、寸法や重量を現地の慣用単位に自動変換することで、ミスを防ぎながら効率的に作業を進められます。

科学実験データの処理

研究機関では、異なる測定機器が異なる単位でデータを出力することがあります。圧力計がPSI、別の機器がPascalで表示する場合、CONVERT関数で単位を統一してから分析を行います。

論文執筆時には、ジャーナルの要求する単位系に合わせてデータを変換する必要があり、CONVERT関数により正確で迅速な変換が可能になります。

建設・製造業での応用

建築図面や製造仕様書では、顧客や規格によって異なる単位系が要求されます。日本の建築基準法に基づく図面と、国際規格の図面を両方作成する場合、CONVERT関数で寸法を自動変換できます。

材料の発注時にも、仕入先の単位系に合わせて数量を変換することで、発注ミスを防ぎ、正確な資材管理が実現できます。

CONVERT関数の応用テクニック

複合単位の変換

速度のようにCONVERTがサポートしている複合単位は、直接変換できます(例:=CONVERT(A1,”m/s”,”mph”))。一方、サポート外の組み合わせ(例:m/s → ft/hr)は、次のように分解して計算します。

=CONVERT(A1,”m”,”ft”)/CONVERT(1,”s”,”hr”)

秒の単位は「s」または「sec」を使用できます。

単位変換表の作成

複数の単位への一括変換:

=CONVERT($A$1, $B$1, C1)

A1に数値、B1に元の単位、C列に各種変換先単位を入力することで、変換表を簡単に作成できます。

条件付き単位変換

地域に応じた自動単位変換:

=IF(地域=”US”, CONVERT(A1, “kg”, “lbm”), A1)

地域設定に基づいて、適切な単位系で表示する動的なレポートを作成できます。

CONVERT関数のよくあるエラーと対策

#N/Aエラーへの対処

単位記号が正しくない場合や、変換できない単位の組み合わせを指定した場合に発生します。

エラー処理を含む数式:

=IFERROR(CONVERT(A1, B1, C1), “変換不可:単位を確認してください”)

より詳細なエラーチェック:

=IF(OR(B1=””, C1=””), “単位を入力してください”,

IFERROR(CONVERT(A1, B1, C1), “無効な単位または変換できない組み合わせです”))

単位の入力ミスを防ぐため、データ検証機能でドロップダウンリストから単位を選択できるようにすることも効果的です。特に、頻繁に使用する単位のリストを作成しておくことで、入力効率と正確性を向上させることができます。

#VALUE!エラーへの対処

数値以外の値を変換しようとした場合に発生します。

数値チェックを含む数式:

=IF(ISNUMBER(A1), CONVERT(A1, B1, C1), “数値を入力してください”)

複数のエラーチェックを組み合わせた例:

=IF(NOT(ISNUMBER(A1)), “数値以外は変換できません”,

IF(A1<0, “警告:負の値です – ” & CONVERT(A1, B1, C1),

CONVERT(A1, B1, C1)))

この数式は、負の値でも符号を保持したまま変換するため、負の温度などが正しく計算されます。必要に応じて、温度(C/F/K/Rank)のときは警告を出さない、といった運用に調整しても良いでしょう。

単位の互換性エラー

異なるカテゴリー間の変換(例:長さを重量に変換)を試みた場合のエラーです。

カテゴリーチェックを含む対処:

=IF(AND(OR(B1={“m”,”ft”,”in”}), OR(C1={“kg”,”lbm”,”g”})),

“エラー:長さと重量は変換できません”,

CONVERT(A1, B1, C1))

実用的な単位グループの定義:

=LET(

長さ単位, {“m”,”cm”,”mm”,”km”,”in”,”ft”,”yd”,”mi”},

重量単位, {“g”,”kg”,”mg”,”lbm”,”ozm”},

IF(

OR(

AND(ISNUMBER(MATCH(B1,長さ単位,0)), ISNUMBER(MATCH(C1,重量単位,0))),

AND(ISNUMBER(MATCH(B1,重量単位,0)), ISNUMBER(MATCH(C1,長さ単位,0)))),

“異なる物理量間の変換はできません”,

IFERROR(CONVERT(A1,B1,C1),”単位記号を確認してください”)))

LET関数を使用して単位グループを定義することで、より包括的なエラーチェックが可能になります。これにより、ユーザーが誤って異なる物理量間の変換を試みた場合に、明確なエラーメッセージを提供できます。

精度の問題

非常に大きな値や小さな値を変換する際の精度低下に注意が必要です。

適切な表示形式の設定:

=TEXT(CONVERT(A1, B1, C1),

IF(ABS(CONVERT(A1, B1, C1))>10000, “0.00E+00”,

IF(ABS(CONVERT(A1, B1, C1))<0.01, “0.00E+00”, “0.000”)))

有効数字を考慮した丸め処理:

=LET(x, CONVERT(A1, B1, C1),

IF(x=0, 0, ROUND(x, 2 – INT(LOG10(ABS(x))))))

※一般化するなら n を使って:

=LET(x, CONVERT(A1,B1,C1), n, 3, IF(x=0,0, ROUND(x, n-1-INT(LOG10(ABS(x))))))

この数式は、結果の大きさに応じて適切な小数点以下の桁数で丸めを行います。科学計算や工学設計では、測定精度に見合った有効数字で結果を表示することが重要です。過度に多くの桁数を表示することは、誤った精度を示唆する可能性があるため避けたほうがよいでしょう。

CONVERT関数と他の関数との組み合わせ

ROUND関数での精度制御

変換結果を適切な精度で表示する例:

=ROUND(CONVERT(A1, “m”, “ft”), 2) & ” ft”

=TEXT(ROUND(CONVERT(A1, “kg”, “lbm”), 1), “#,##0.0″) & ” lbs”

単位変換の結果に単位記号を付加することで、読みやすい形に整えることができます。ROUND関数で適切な桁数に丸め、TEXT関数で見やすい形式に整形することで、プロフェッショナルな報告書や仕様書を作成できます。特に、顧客向けの文書では、過度な精度よりも読みやすさを優先することが重要です。

SUMPRODUCT関数での複数単位の集計

異なる単位のデータを統一して集計する例:

=SUMPRODUCT(CONVERT(数量範囲, 単位範囲, “kg”))

=SUMPRODUCT(数量範囲, CONVERT(1, 単位範囲, “kg”))

倉庫在庫で、ある商品がキログラム、ポンド、グラムなど異なる単位で記録されている場合、この方法ですべてをキログラムに変換して合計できます。国際的な在庫管理や、複数の仕入先からの納品データを統合する際に特に有効です。配列数式として機能し、大量のデータを効率的に処理できます。

VLOOKUP関数での単位マスタ参照

製品コードから標準単位を取得して変換する例:

=CONVERT(A1, B1, VLOOKUP(製品コード, 製品マスタ, 3, FALSE))

=IFERROR(CONVERT(A1, B1, VLOOKUP(C1, 単位マスタ, 2, FALSE)), “製品コードが見つかりません”)

製品マスタテーブルに各製品の標準単位を登録しておき、自動的に適切な単位に変換します。これにより、製品ごとに異なる標準単位を使用する場合でも、一貫性のあるデータ管理が可能になります。新製品の追加時も、マスタテーブルを更新するだけで対応できます。

IF関数での条件付き変換

閾値に基づいて適切な単位を選択する例:

=IF(A1>1000, CONVERT(A1, “g”, “kg”) & ” kg”, A1 & ” g”)

=IF(CONVERT(A1, “m”, “km”)>=1, ROUND(CONVERT(A1, “m”, “km”), 2) & ” km”,

IF(CONVERT(A1, “m”, “cm”)>=100, A1 & ” m”, CONVERT(A1, “m”, “cm”) & ” cm”))

数値の大きさに応じて、最も読みやすい単位を自動選択します。1000g以上はkg表示、1000m以上はkm表示にすることで、直感的に理解しやすい表現になります。ユーザーインターフェースの設計や、レポートの自動生成で活用できる実用的なテクニックです。

CONCATENATE関数での複合表示

複数の単位変換結果を組み合わせて表示する例:

=CONCATENATE(A1, ” m = “, ROUND(CONVERT(A1, “m”, “ft”), 2), ” ft = “,

ROUND(CONVERT(A1, “m”, “in”), 1), ” in”)

=A1 & ” ” & B1 & ” (” & TEXT(CONVERT(A1, B1, “SI基本単位”), “0.00E+00″) & ” ” & “SI基本単位” & “)”

一つの値を複数の単位で同時に表示することで、異なる背景を持つ読者に対応できます。国際会議の資料や、多国籍チーム向けの技術文書で特に有用です。括弧内にSI単位を併記することで、科学的な正確性も保証できます。

MIN/MAX関数での単位統一比較

異なる単位のデータから最小値・最大値を求める例:

=MAX(CONVERT(A1:A10, B1:B10, “m”))

=INDEX(A1:A10, MATCH(MAX(CONVERT(A1:A10, B1:B10, “kg”)), CONVERT(A1:A10, B1:B10, “kg”), 0))

配列数式として入力することで、異なる単位で記録されたデータを統一的に比較できます。品質管理での規格チェックや、複数サプライヤーからの見積もり比較などで活用できます。2番目の例では、最大値を持つ元のデータを特定することも可能です。

CONVERT関数の実務での注意点

単位記号の標準化

組織内で使用する単位記号を標準化し、一覧表を作成することが重要です。同じ単位でも複数の記号が存在する場合があるため、混乱を避けるために統一的なルールを設定しましょう。

例えば、リットルは”l”と”L”の両方が使用可能ですが、組織内では”L”に統一するなど、明確な指針を定めることで、データの一貫性を保てます。

変換精度の管理

単位変換では、元のデータの精度以上の精度で結果を表示しないよう注意が必要です。測定精度が1%の場合、変換結果も同程度の精度で表示すべきです。

また、連続的な変換(A→B→C)は避け、可能な限り直接変換(A→C)を行うことで、丸め誤差の蓄積を防げます。

ドキュメント化

使用している単位系と変換ルールを明確に文書化することが重要です。特に、標準的でない単位や、組織固有の換算係数を使用する場合は、その定義と根拠を記録しておきましょう。

スプレッドシートには、単位の説明や変換の目的を記載したコメントを追加し、後任者や他部門の担当者が理解できるようにすることが大切です。

CONVERT関数で単位変換を整理しよう

CONVERT関数は、多様な単位系の数値を変換するための基本的な関数です。

国際プロジェクト、科学実験、製造業など、単位変換が必要なあらゆる場面で活用できます。他の関数と組み合わせて使うことで、エラー処理や条件付き変換にも対応できます。

単位記号の整合性や物理量の互換性に注意しながら使うことで、安定した単位管理がしやすくなります。

ぜひ実務でCONVERT関数を活用し、単位の違いによる混乱やミスを防ぎ、効率的なデータ処理を実現してください。


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