- 作成日 : 2025年8月25日
ADriveとは?料金プランやメリット、注意点を解説
ビジネスのデジタル化が進む中で、増え続けるデータの管理と共有は多くの企業にとって大きな課題です。特に「ファイルサーバーの運用コストを見直したい」「設計図や動画といった大容量ファイルを安全に共有したい」「リモートワーク環境での円滑な情報共有体制を築きたい」といった声は少なくありません。
この記事では、こうした課題を解決する有力な選択肢の一つであるオンラインストレージサービス「ADrive」に焦点を当てます。その具体的な料金プランから、活用することで得られるメリット、そして導入前に押さえておくべき注意点までをわかりやすく解説します。
ADriveとは?
ADriveは、2007年設立のアメリカのクラウドストレージサービスです。個人、ビジネス、またはエンタープライズレベルのデータを共有・保護するためのオンラインサービスとして提供されています。
ADriveの無料「Personal Basic」は容量50GB・1ファイル上限2GBですが、有料のPersonal/Businessでは容量が100GB〜(10TB超も可)となり、1ファイル最大16GBに対応します。用途に応じて適切なプラン選択が必要です。ビジネス文書から高画質な動画ファイルまで、幅広いファイル形式を保存・共有できる環境を提供しています。
サービスの歴史と現状
ADriveは2015年11月16日に恒久無料プラン(Personal Basic)を終了。現在は有料のPersonal/Businessプラン(60日間の無料トライアルあり)という構成で提供されています。この変更により、よりプロフェッショナル向けのサービスへと方向性を転換しています。
他のクラウドストレージとの違い
ADriveは公開リンク(パスワード・有効期限設定可)で相手がアカウントなしでもダウンロード可能な共有機能を備えています。※この種のリンク共有は他社でも一般的です。これにより、社外との資料共有やクライアントとのデータ交換がスムーズに行えます。
また、充実したセキュリティシステムの中で利用できるため、簡単・安全に使用することができます。大容量ファイルの共有に対応しますが、1ファイルの上限は16GBです。これを超える場合は分割等の対応が必要です。
ADriveの料金プラン
現在ADriveでは、無料の「Personal Basic(50GB、機能制限あり)」と、有料のPersonal Premium/Businessが提供されています。なお、有料プランはいずれも60日間の無料トライアルを用意しています。
パーソナルプレミアムプラン
パーソナルプレミアムは100GB=月額$2.50(年額$25)から。個人ユーザーや小規模な利用に適したプランとなっています。
ただし、容量はプラン別の定額で、たとえば250GB=$6.25、500GB=$12.50、1TB=$25、…10TB=$250のように容量に比例して料金が設定されています。大容量利用を検討している場合は、コストパフォーマンスを慎重に比較することが重要です。
ビジネスプラン
月額7ドル(約1,050円)のビジネスプランも用意されており、企業利用に特化した機能が提供されています。年契約による割引制度もあるため、長期利用を予定している場合はコスト削減につながります。
コストパフォーマンスの考慮点
有料のPersonal Premiumは、100GBが2.50ドルと安価ですが、それ以上は等倍料金のため他のサービスと比較すると割高になります。利用予定容量と予算を照らし合わせて、最適なプランを選択することが大切です。
ADriveのメリット
ADriveには様々なメリットがあります。
大容量ファイルの取り扱い
ADriveは有料プランで1ファイル最大16GBのアップロードに対応しています(旧仕様2GBから拡張)。動画や設計データなど比較的大きなファイルの共有に向きます。動画編集やデザイン業務で発生する重いファイルも問題なく共有できます。
多様なファイル形式への対応
(恒久無料プランは終了済み)現行の有料プランでは1ファイル最大16GBまでアップロード可能です。そのため、業務で扱う多様な形式の大容量ファイルにも柔軟に対応できます。画像、動画、文書、音声ファイルなど、形式を気にせず利用可能です。
セキュリティ面での信頼性
パーソナル/ビジネス向けではTier準拠の明示は公式情報で確認できません。一方、エンタープライズ向け資料にはTier I〜IVの選択肢やTier IVデータセンター利用の記載があります。これにより、重要なビジネスデータも高い信頼性のもとで安心して保管できます。
柔軟な共有機能
ファイル共有機能では、ADrive上で管理しているデータの共有が行え、ファイルの共有や共有解除を自由に設定でき、情報共有が簡単です。プロジェクトの進行に合わせて、必要なメンバーのみとファイルを共有することが可能です。
クロスプラットフォーム対応
インターネット環境さえあれば、パソコンからはもちろん、モバイル端末からも利用可能なので、場所を問わずに活用できます。リモートワークや外出先での作業にも対応できる柔軟性があります。
リモートファイル転送機能
Remote File Transfer機能を使い、他のサーバーからファイルを転送できます。
ADrive利用の注意点
多くのメリットがあるADriveですが、使用するには以下の注意点を理解しておく必要があります。
日本語サポートの限界
UIやサポート窓口は英語表記です(Premium/Businessには24/7サポートあり)。一方で国際文字(日本語など)を含むファイル名には対応しています。検索を含む具体的な日本語対応範囲は公式に明記がないため、事前検証をおすすめします。
転送速度の課題
速度評価は割れており、一部で「遅い」指摘がある一方、実測では実用的との評価もあります。なお自動同期は最短15分間隔のため、リアルタイム性が要求されるワークフローには不向きです。
ビデオストリーミングの制限
公式機能に動画のストリーミング再生は明記されていません。基本はダウンロードして再生する運用と考えてください(ストリーミングを前提にする場合は事前検証が必要)。
デスクトップアプリの制限
ADriveはWindows向けクライアントを提供しています。利用には有料プランの登録(60日無料トライアルあり)が前提です。iOSアプリは配信停止、macOS版は導入に不具合報告があるため、必要環境は事前に確認してください。
料金体系の課題
長期契約で割安になる一方、条件によっては他社より高くなる場合もあるため、必要容量と契約年数で比較検討が必要です。
ADriveの利用に向いている企業
ADriveの機能を最大限に活用できるのは、どのような企業なのか解説します。
大容量ファイルを日常的に扱う企業
建築、設計、デザイン、映像制作といったクリエイティブな業界では、CADデータや高解像度の画像、動画ファイルなど、ギガバイト単位の大きなファイルを扱うことが頻繁です。
ADriveは、このような大容量ファイルのアップロードや共有をスムーズに行える設計になっています。メール添付では対応できないような大容量データも、共有リンクを発行することで簡単にやり取りでき、社外のクライアントや協力会社とのファイル共有が円滑になります。
社外との連携やプロジェクトが多い企業
外部のパートナーやフリーランサーと共同でプロジェクトを進める機会が多い企業にも、ADriveは適しています。
ファイルやフォルダごとにパスワードを設定したり、リンクの有効期限を設けたりできるため、プロジェクトの期間中だけ安全に情報を共有することが可能です。ADriveのアカウントを持っていない相手にも共有できるため、相手に余計な手間をかけさせることなく、スムーズな連携を実現します。
リモートワークや多拠点での業務が中心の企業
従業員がオフィス、自宅、外出先など、様々な場所で業務を行う企業にとって、どこからでも安全にデータへアクセスできる環境は不可欠です。
ADriveはクラウドベースのサービスのため、インターネット環境があればどこからでもファイルにアクセスできます。ブラウザ上での編集は、Zoho連携により文書・表計算・プレゼンテーション等に限って対応します。
ファイルサーバーの運用コストと手間を削減したい企業
自社でファイルサーバーを設置・管理している場合、サーバー本体の購入費用やメンテナンス、セキュリティ対策、そして管理担当者の人件費といった様々なコストが発生します。
ADriveのようなクラウドストレージに移行することで、これらの物理的な管理業務から解放されます。サーバーの老朽化によるリプレースの心配もなくなり、運用コストと管理担当者の負担を大幅に削減することが可能です。
BCP(事業継続計画)対策を強化したい企業
地震や水害といった自然災害や、サイバー攻撃などの不測の事態が発生した際に、事業を継続・早期復旧させるための取り組みがBCP(事業継続計画)です。
BCPの観点では、オフィス外(クラウド)にデータを保管できる点が有利です。なお、エンタープライズ資料にはTier IVデータセンターの記載がありますが、Personal/Businessについて同等級の明記は確認できません。自社のオフィスとは別の場所にデータをバックアップしておくことで、万が一、本社が機能しなくなった場合でも、重要なデータを保護し、事業の継続性を高めることができます。
ADriveの特徴を理解して業務に活用しよう
今回は、オンラインストレージサービス「ADrive」の全体像を、料金プラン、メリット、そして導入前の注意点という観点から詳しく解説しました。
ADriveは、特に大容量ファイルの扱いや、パスワード設定などを活用した安全な外部共有に強みがあり、ファイルサーバーからの移行によるコスト削減やBCP対策を検討している企業にとって、魅力的な選択肢となり得ます。
そのメリットを最大限に引き出すためには、自社の業務内容や解決したい課題を明確にした上で、ADriveの機能が本当に適合しているかを見極める視点が不可欠です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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