• 作成日 : 2025年8月25日

UNICHAR関数の使い方:Unicode番号から文字を表示する方法

UNICHAR関数は、Unicode番号(コードポイント)に対応する文字を返す関数です。特殊記号や絵文字の挿入、多言語文書の作成、文字コード表の作成など、通常のキーボードでは入力困難な文字を扱う場面で活用されます。例えば、数学記号(∑、∫)、通貨記号(€、£)、矢印(→、⇒)、絵文字(😊、📊)などを番号指定で簡単に表示できます。

本記事では、UNICHAR関数の基本的な使い方から実践的な活用方法、他の関数との効果的な組み合わせまで、わかりやすく解説していきます。

UNICHAR関数とは

UNICHAR関数は、1から1,114,111までのUnicode番号を指定して、対応する文字を表示する関数です。Unicodeは世界中の文字を統一的に扱うための国際標準規格で、各文字に固有の番号が割り当てられています。

この関数の重要な特徴は、キーボードで直接入力できない特殊文字や、異なる言語の文字を簡単に挿入できることです。文書の国際化、技術文書での特殊記号の使用、デザイン性の高い報告書の作成など、幅広い用途で活用できます。

参考:UNICHAR 関数 – Microsoft サポート

UNICHAR関数の基本的な使い方

関数の構文を理解する

UNICHAR関数の構文は非常にシンプルです。

=UNICHAR(数値)

数値には、表示したい文字のUnicode番号を指定します。

基本的な使用例

実際の使用例を見てみましょう。

基本的な記号を表示する場合:

=UNICHAR(8364)  // 結果:€(ユーロ記号)

=UNICHAR(8594)  // 結果:→(右矢印)

=UNICHAR(9733)  // 結果:★(黒星)

日本語の文字を表示する例:

=UNICHAR(12354)  // 結果:あ

=UNICHAR(65313)  // 結果:A(全角A)

よく使用されるUnicode範囲

主要な文字の範囲を理解しておくと便利です。基本ラテン文字は32-126、ひらがなは12353-12438、カタカナは12449-12538、漢字は19968以降に配置されています。

=UNICHAR(65)    // 結果:A(半角大文字)

=UNICHAR(945)   // 結果:α(ギリシャ文字アルファ)

=UNICHAR(8730)  // 結果:√(平方根記号)

UNICHAR関数の実践的な利用シーン

技術文書での数式・記号の挿入

科学論文や技術レポートでは、数学記号や単位記号を頻繁に使用します。UNICHAR関数を使えば、積分記号(∫)、総和記号(∑)、無限大(∞)などを簡単に挿入できます。

複雑な数式を含む報告書でも、適切な記号を使用することで、専門性と読みやすさを両立できます。また、単位記号(℃、㎡、μ)なども正確に表示でき、技術文書の品質が向上します。

多言語対応文書の作成

国際的なビジネス文書では、複数の言語や特殊な文字を使用することがあります。UNICHAR関数を使用すれば中国語、韓国語、アラビア語など、IMEの切り替えなしに必要な文字を挿入できます。(表示には対応フォントが必要です。)

商品カタログや取扱説明書の多言語版を作成する際、各言語の特殊文字や記号を統一的に管理でき、翻訳作業の効率が向上します。

ビジュアル要素の追加

レポートやダッシュボードに視覚的な要素を加える際、絵文字や装飾記号が効果的です。チェックマーク(✓)、警告記号(⚠)、星評価(★☆)などを使用して、情報を直感的に伝えられます。

売上レポートでの上昇・下降を示す矢印(↑↓)、タスク管理での完了マーク(✓✗)など、一目で状況が分かる表示が可能になります。

UNICHAR関数の応用テクニック

連続した文字の生成

文字コード表を作成する場合:

=UNICHAR(ROW()+64)  // A, B, C…を連続生成

=UNICHAR(12353+ROW()-1)  // あ、い、う…を連続生成

ROW関数と組み合わせることで、連続した文字列を自動生成できます。

条件に応じた記号の表示

ステータスに応じて異なる記号を表示:

=IF(A1>=80, UNICHAR(9989), IF(A1>=60, UNICHAR(9888), UNICHAR(10060)))

得点に応じて✅(合格)、🔸(要注意)、❌(不合格)を表示します。

ランダムな文字の生成

テストデータの作成:

=UNICHAR(RANDBETWEEN(65, 90))  // ランダムな大文字

=UNICHAR(RANDBETWEEN(12353, 12438))  // ランダムなひらがな

UNICHAR関数のよくあるエラーと対策

#VALUE!エラーへの対処

無効なUnicode番号を指定した場合に発生します。

基本的なエラー処理:

=IFERROR(UNICHAR(A1), “無効な文字コード”)

範囲チェックを含む処理:

=IF(OR(A1<1, A1>1114111), “範囲外:1-1114111を指定してください”,

IF(OR(AND(A1>=55296, A1<=57343)), “サロゲートペア領域は使用不可”,

UNICHAR (A1)))

Unicode規格では、55296-57343の範囲はサロゲートペア用に予約されており、直接使用できません。(Excelではこの範囲を指定すると#VALUE!エラーが返されます。)

この範囲を除外することで、より正確なエラーハンドリングが可能になります。文字コード表を作成する際は、この範囲をスキップする処理が必要です。

表示できない文字の問題

すべてのUnicode文字が表示できるわけではありません。フォントがサポートしていない文字は、四角(□)や疑問符(?)で表示されます。

フォントの確認と代替処理:

=IF(UNICHAR (A1)=”?”, “この文字は現在のフォントで表示できません”, UNICHAR (A1))

特殊な文字を使用する場合は、Arial Unicode MSやNoto Sansなど、幅広い文字をサポートするフォントの使用を検討してください。特に、絵文字や特殊記号を使用する場合は、表示環境による違いを考慮する必要があります。

文字化けの回避

環境によっては、正しく表示されない文字があります。

安全な文字範囲の使用:

=IF(OR(A1<32, AND(A1>126, A1<256)),

“制御文字または拡張ASCII”, UNICHAR(A1))

代替文字の提供:

=IFERROR(UNICHAR (優先コード), UNICHAR (代替コード))

クロスプラットフォームでの互換性を考慮し、基本的な文字セットを優先的に使用することで、文字化けのリスクを最小限に抑えられます。重要な情報は、特殊文字に依存しない形でも伝達できるようにしておくことが大切です。

メモリ使用量の増加

大量の特殊文字を使用すると、ファイルサイズが増加する可能性があります。

効率的な文字使用:

=IF(頻繁に使用するときの条件, UNICHAR (コード), “通常文字で代替”)

必要最小限の特殊文字使用に留め、装飾的な用途では控えめに使用することで、ファイルの軽量化を図れます。

UNICHAR関数と他の関数との組み合わせ

UNICODE関数での相互変換

文字からUnicode番号を取得し、再度文字に戻す:

=UNICODE (A1) & ” → ” & UNICHAR(UNICODE (A1))

Unicode番号から文字への変換の検証:

=IF(A1=UNICHAR (UNICODE (A1)), “変換OK”, “変換エラー”)

字とコードの相互変換により、文字コードの学習ツールや、文字化け診断ツールを作成できます。特定の文字のUnicode番号を調べたい場合、UNICODE関数で簡単に確認できます。デバッグやトラブルシューティングの際に、文字コードレベルでの確認が可能になります。

CHAR関数との使い分け

ASCII範囲の文字での比較:

=IF(A1<=255, “CHAR 使用可: ” & CHAR (A1), “UNICHAR 必要: ” & UNICHAR (A1))

=UNICHAR (A1) & ” ( UNICHAR ) vs ” & IFERROR (CHAR (A1), “CHAR 使用不可”)

ASCII範囲(0-255)の文字はCHAR関数でも表示できますが、それ以外はUNICHAR関数が必要です。レガシーシステムとの互換性を保つ場合はCHAR関数、国際化対応が必要な場合はUNICHAR関数を使用するという使い分けが重要です。

CONCATENATE関数での文字列構築

特殊記号を含む文字列の作成:

=CONCATENATE (“温度: “, A1, UNICHAR (8451))  ‘ 温度: 25℃

=”評価: ” & REPT(UNICHAR (9733), B1) & REPT(UNICHAR (9734), 5-B1)  ‘ 評価: ★★★☆☆

数値データに単位記号を付加したり、視覚的な評価表示を作成したりできます。REPT関数と組み合わせることで、星評価やプログレスバーなどの動的な表示も可能です。ダッシュボードやレポートの視覚的訴求力を高められます。

IF関数での記号による状態表示

数値に応じた視覚的フィードバック:

=IF(売上成長率>0, UNICHAR (9650), UNICHAR (9660)) & ” ” & TEXT(ABS(売上成長率), “0.0%”)

=IF(在庫<=発注点, UNICHAR (9888) & ” 発注必要”, UNICHAR (9989) & ” 在庫十分”)

上向き矢印(▲)と下向き矢印(▼)で増減を示したり、警告記号で注意を促したりできます。条件付き書式と組み合わせることで、より効果的な視覚化が可能です。経営ダッシュボードや在庫管理表で、一目で状況を把握できる表示を実現します。

SUBSTITUTE関数での記号置換

テキスト内の特定パターンを記号に置換:

=SUBSTITUTE (SUBSTITUTE (A1, “(OK)”, UNICHAR (9989)), “(NG)”, UNICHAR (10060))

=SUBSTITUTE (SUBSTITUTE (A1, “上昇”, UNICHAR (8593)), “下降”, UNICHAR (8595))

レポート内の定型表現を視覚的な記号に自動変換できます。「(OK)」を✅に、「(NG)」を❌に置換することで、読みやすさが向上します。大量のテキストデータを一括で視覚化する際に効率的です。

COUNTIF関数での特殊文字カウント

文書内の特殊記号の使用頻度分析:

=COUNTIF(範囲, UNICHAR(9733)) & “個の★が使用されています”

=SUMPRODUCT(–(範囲=UNICHAR(コード番号)))

文書内で使用されている特殊文字の統計を取ることができます。スタイルガイドの遵守確認や、文書の統一性チェックに活用できます。国際化された文書で、各言語の文字がどの程度使用されているかの分析も可能です。

UNICHAR関の実務での注意点

クロスプラットフォーム互換性

異なるOS(Windows、Mac、Linux)や、異なるバージョンのエクセルで、すべての文字が同じように表示されるとは限りません。たとえば、Windowsで表示されても、Macでは□や?で表示されることがあります。

重要な情報は、基本的な文字でも伝わるようにしておくことが大切です。

絵文字や特殊記号は装飾的な用途に留め、必須情報の伝達には使用しないことを推奨します。

アクセシビリティの考慮

スクリーンリーダーなどの支援技術では、特殊文字が正しく読み上げられない場合があります。重要な情報は、代替テキストやコメントで補足することを検討してください。

特に、記号だけで意味を伝える場合は、隣接するセルに説明を追加するなどの配慮が必要です。

文書の保守性

特殊文字を多用した文書は、後から編集する際に困難を伴うことがあります。使用する特殊文字とそのUnicode番号の対応表を作成し、文書と一緒に保管することを推奨します。

また、VBAやマクロで特殊文字を扱う場合は、コード内にコメントで文字の説明を記載しておくと、保守性が向上します。

UNICHAR関数でUnicode文字を活用する

UNICHAR関数は、Unicode番号から対応する文字を表示できるExcel関数です。特殊記号や絵文字、多言語文字を入力でき、レポートの視認性や国際対応文書に活用されます。

ただし、表示にはフォントや環境依存の制限があり、誤った番号ではエラーが返るため注意が必要です。CHAR関数やUNICODE関数との組み合わせで、柔軟な文字処理が可能です。


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