• 作成日 : 2025年8月5日

Excel LOG関数とは?使い方や計算方法、自然対数・常用対数まで

ExcelのLOG関数(ログ関数)は、特定の底に対する対数を求めるための関数で、「何を何回掛ければ目的の数になるか」を効率的に導き出してくれます。常用対数(底10)や自然対数(底e)にも対応でき、データの変化率分析や指数関数的な現象の理解に欠かせません。

この記事では、LOG関数の使い方、関連関数との違い、実務での活用法まで初心者向けにわかりやすく解説します。

ExcelのLOG関数とは?

ExcelのLOG関数は、「この数はいくつの何乗か?」という「対数(たいすう)」を計算するための関数です。

「8は2の何乗か?」という問いに対して、=LOG(8, 2) と入力すれば「3」が返されます。

対数は、掛け算を足し算に変換できるという数学的な考え方で、大きな数の処理や指数的に変化するデータの分析に便利です。

ExcelのLOG関数では、任意の「底」を引数として指定した計算も可能で、底を省略した場合は自動的に「10」が使われます(常用対数)。ビジネスや理系のデータ処理でも活躍する、応用の効く関数です。

対数とは?

対数とは、「ある数(底)を何回か掛けたら、目的の数(真数)になるか?」を表す計算です。

たとえば、下記の計算式になります。

  • 2 × 2 × 2 = 8(2の3乗)
  • これは指数で 2³ = 8 と表現されます。
  • このとき、底が2で、8を作るには何回掛けるか?を求めるのが対数の考え方です。
  • つまり対数関数では、log₂8 = 3 となります。

このように対数は、「掛け算の回数=指数」を求めるものです。対数は、複雑な掛け算を足し算に置き換える性質があり、指数関数的に増減するデータの分析などで便利に使われます。

ExcelのLOG関数でできること

ExcelのLOG関数では、特定の「底」に対する「数値(真数)」の対数を簡単に求められます。

「ある数を何乗すれば目的の数になるか?」という計算に対して、LOG関数が答えを返してくれるのです。つまりLOG関数が返す結果が、その 「何乗すればいいか」という指数(対数値) なのです。

  • =LOG(8, 2) → 結果:3(2の3乗が8)
  • =LOG(100) → 結果:2(底を省略すると10とみなされ、10の2乗が100)

このように、LOG関数は対数を使った分析(データスケールの圧縮と可視化)や指数的な変化の可視化に最適です。

LOG関数の基本的な使い方

それでは、実際にExcelでLOG関数を使ってみましょう。関数の書式と、具体的な入力例を見ていきます。

LOG関数の書式

LOG関数の基本的な書式は以下の通りです。

=LOG(数値, [底])
  • 数値 (必須): 対数を求めたい値を指定します。この値は「真数」と呼ばれ、必ず正の数である必要があります。
  • [底] (省略可能): 対数の底を指定します。この値は1以外の正の数である必要があります。省略した場合、底は「10」とみなされます(常用対数)。

例1:底を指定する場合

たとえば、「底を2として、8の対数を求めたい」場合は、次のように入力します。

=LOG(8, 2)

セルには「3」と表示されます。数学的な表現をする場合、「log2​8=3」 であることを意味しています。

別の例として、「底を10として、100の対数を求めたい」場合は、次のように入力します。

=LOG(100, 10)

セルには「2」と表示されます。これは、102=100 であることを意味しています。

例2:底を省略する場合(常用対数)

底を省略すると、Excelは自動的に底を10として計算します。これは「常用対数」と呼ばれ、さまざまな分野で利用されます。

たとえば、「100の常用対数を求めたい」(つまり底を10として100の対数を求めたい)場合は、次のように入力します。

=LOG(100)

セルには「2」と表示されます。これは、底を明示的に10と指定する =LOG(100, 10) と同じ結果になります。

Excelでの自然対数(LN関数)と常用対数(LOG10関数)

Excelには、LOG関数以外にも対数を計算するための関数として「LN関数」と「LOG10関数」があります。これらはLOG関数のバリエーションですが、頻繁に使われるケースに対応するため、専用の関数として独立しています。

自然対数を求める「LN関数」

自然対数とは、底が「ネイピア数 e(約2.71828)」の対数です。数学、物理、統計、経済学など、自然現象や指数的成長を扱う分野で多く使われています。

Excelでは、自然対数を計算するためにLN関数を使用します。

  • 書式:=LN(数値)
  • 例:=LN(2.71828) → 結果はおよそ 1

これは、「e を何乗したらその数になるか?」を求めており、e の対数をとると「1」になることを意味します。

常用対数を求める「LOG10関数」

常用対数とは、底が「10」の対数です。工学、統計、金融など、10進法を基にしたデータを扱う分野で広く活用されています。

Excelでは、常用対数を計算するためにLOG10関数を使用します。

  • 書式:=LOG10(数値)
  • 例:=LOG10(100) → 結果は 2

これは、「10 を何乗したらその数になるか?」を求める式であり、10 の対数をとると「2」になることを意味します。

なお、=LOG(100) のように LOG関数で底を省略した場合も、同じく常用対数(底10)として計算されます。したがって、以下の2つの式は全く同じ結果(2)を返すのです。

  • =LOG10(100)
  • =LOG(100)

LOG関数、LN関数、LOG10関数の使い分け

Excelで対数を計算する場合、目的やデータの種類に応じて LOG関数、LN関数、LOG10関数 の3つを使い分ける必要があります。それぞれの違いは「底(てい)」の数値にあります。

LOG関数

任意の底を指定して対数を計算したいときに、LOG関数を使います。

例:=LOG(32, 2) は「2を何乗すれば32になるか」を求め、結果は5です。

底の値を省略すると、デフォルトで「10」が使われ、常用対数として計算されます。

LN関数

底がネイピア数 e(約2.71828) の自然対数を求める関数です。

自然対数は、物理現象や人口増加、利子の複利計算など、指数関数的な変化を扱うシーンで頻出します。

例:=LN(2.71828) の結果は「1」となり、「eの何乗が2.71828か」を意味します。

e を1乗すれば e 自身になるため、正確な e の値に対して LN 関数を適用すれば、結果は厳密に 1 となります。上記の例では、2.71828 は e の近似値なので、結果も約 1 となるのです。

LOG10関数

底が「10」の常用対数を求める関数で、10進数ベースのデータに最適です。

例:=LOG10(1000) の結果は「3」で、「10の3乗が1000」という意味です。

=LOG(1000) と同じ結果になりますが、LOG10関数のほうが底が明確に10であることが伝わりやすいため、読みやすさ・メンテナンス性の面でも推奨されます。

このように、底を自由に設定したいならLOG関数、自然対数ならLN関数、常用対数ならLOG10関数と、用途に応じて正しく選びましょう。

LOG関数の利用シーン・活用例

LOG関数や関連する対数関数は、単に数を扱うだけでなく、時間経過とともに変化する現象の「速度」や「期間」を理解し、計算するための不可欠なツールとして機能します。

さまざまなデータの分析や表現に役立つことから、具体的な利用シーンをいくつかご紹介します。

データの変化率の分析

株価の変動率や人口増加率など、指数関数的に変化するデータは、そのままの数値で比較するとわかりにくいことがあります。

データを対数に変換することで、より直線的な関係として捉えやすくなるほか、相対的な変化を強調できるため傾向や比率を把握しやすくなります。

たとえば、成長率が一定のデータは対数グラフ上で直線として表現されるため、視覚的な分析に役立ちます。

指数関数的な増加・減少の把握

細菌の繁殖や放射性物質の崩壊など、ある量が一定の比率で増減する「指数関数的」な現象を分析する際に、対数は有用です。

対数を使うことで、増殖にかかる時間(倍加時間)や減少にかかる時間(半減期)などを計算しやすくなります。たとえば、ある数量が倍になるのにかかる時間を求めたい場合、常用対数を使うと計算が効率的になることがあります。

対数の性質を利用することで、複雑な掛け算を足し算に変換して扱い、計算プロセスを簡略化できます。

グラフ作成時の軸の調整(対数軸)

数値の範囲が非常に広いデータをグラフにする場合、通常の目盛り(線形軸)では小さい値の変化が見えにくくなってしまいます。このような場合に、グラフの軸を「対数軸」に設定することがあります。対数軸は目盛りの間隔が対数的に広がるため、小さな値から大きな値までを、1つのグラフでわかりやすく表現できます。

Excelのグラフ機能で対数軸を選択する場合、元データそのものが対数に変換されるのではなく、軸の目盛りが対数スケールで配置されます。

これにより、LOG関数を直接使うわけではありませんが、「対数」の概念が応用されている例として挙げられます。データの分布を対数に変換してからヒストグラムを作成する、といった前処理でLOG関数を使うこともあります。

LOG関数を使う上での注意点

LOG関数を使う際には、いくつか注意しておきたい点があります。これらの条件を満たさない場合、Excelはエラー(#NUM!)を表示します。

引数の「数値」は正の数であること

LOG関数の最初の引数である「数値(真数)」には、必ず0より大きい正の数を指定してください。0や負の数を指定すると、数学的に対数は実数の範囲で定義されないため、下記の例の通りExcelではエラーになります。

  • =LOG(0, 10) →  #NUM!
  • =LOG(-5, 2) →  #NUM!

引数の「底」は1以外の正の数であること

省略可能な2番目の引数である「底」には、1以外の正の数を指定してください。底が1の場合、1は何乗しても1にしかならないため、1以外の真数に対する対数は定義できません。底が負の数である場合も、様々な指数で累乗すると結果の符号が交互に変わったり未定義になったりするため、対数の定義は不可能だからです。


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