• 作成日 : 2025年7月17日

社内ポータルサイトの成功事例から学ぶ!機能の活用方法や効果的な作り方とは?

社内ポータルサイトの導入や活用は、情報共有の効率化、業務プロセスの改善、そして従業員エンゲージメントの向上を目指す多くの企業にとって重要なテーマです。しかし、その導入や運用を成功させるためには、基本的な知識の理解に加え、具体的な成功事例から学ぶことが不可欠です。

この記事では、社内ポータルサイトの基本から、多様な業界における成功事例、そして導入を成功に導くための具体的なステップまで分かりやすく解説します。

そもそも社内ポータルサイトとは

社内ポータルサイトとは、企業内に散在する情報、業務アプリケーション、各種リソースへの統一されたアクセス窓口を提供するウェブベースのシステムです。従業員は、この「入口」を通じて必要な情報に迅速にアクセスし、業務を効率的に進めることができます。

社内ポータルサイトの目的

社内ポータルサイトの主な目的は、以下の通りです。

  • 組織内の情報共有を円滑にする
  • 業務効率を向上させる
  • 部門間のコミュニケーションを活性化させる
  • 企業文化の醸成や従業員のエンゲージメント向上に寄与する

アクセス権限は通常、企業の従業員に限定されており、機密情報を含む社内情報を安全に共有するためのセキュリティ環境を提供します。

社内ポータルサイトの主要機能

以下に社内ポータルサイトの代表的な機能と、それによって期待される効果をまとめます。

機能概要期待される効果
掲示板・お知らせ全社・部署への情報伝達情報伝達の迅速化、周知徹底
ファイル共有・ドキュメント管理マニュアル、規程、資料等の一元管理ナレッジ共有、ペーパーレス化、検索性向上
社内SNS・チャット気軽なコミュニケーションコミュニケーション活性化、部門横断連携
スケジュール管理個人・チームの予定、会議室予約業務調整の効率化、会議設定の円滑化
ワークフロー申請経費精算、稟議等の電子化業務効率化、ペーパーレス化、承認迅速化
社内Wiki・FAQナレッジ蓄積、Q&A自己解決促進、問い合わせ削減、業務標準化
プロジェクト管理進捗共有、タスク管理プロジェクトの可視化、遅延防止
勤怠管理出退勤記録、休暇申請労務管理の効率化、多様な働き方支援

社内ポータルサイトの成功事例

このセクションでは、様々な業界や企業規模における社内ポータルサイトの成功事例を具体的に紹介します。各事例がどのような課題を抱え、社内ポータルの導入・活用によってどのようにそれを解決し、結果としてどのような成果を上げたのかを詳細に分析します。

事例1. FAX業務の大幅削減と情報共有基盤の刷新

国内外に270以上のホテルを展開する東横インは、FAX業務の非効率性や研修動画配布のコスト、オンプレミス型情報基盤の限界という課題を抱えていました。これに対し、クラウド型社内ポータル「T-net」を導入し、全社員の業務アクセスの起点としました。ポータルには申請書類検索、リンク集、ワークフロー、研修動画、マニュアルなどを集約。その結果、月600~700件のFAX業務を全廃し、研修動画の共有・効果測定も可能になりました。クラウド移行により、業務効率の大幅な向上と全社的な情報の可視化が実現しました。

事例2. 散在データの集約と問い合わせ工数削減

三井住友トラスト・パナソニックファイナンスでは、社内情報の散在によるアクセス困難、経費精算業務の煩雑化、紙文化でのセキュリティ維持の限界が課題でした。対策として社内ポータル「Global Portal」を構築し、全情報を集約。社員が必要情報を能動的に取得する「プル型」情報共有体制を目指しました。導入後、管理部門への問い合わせ工数が大幅に削減されました。ただし、Global Portalは2023年9月30日をもって新規販売を終了しています。

事例3. 職種別ポータルによる業務情報集約

多様な職種の従業員を抱える株式会社ライフプラザパートナーズは、各々が必要な業務情報へ迅速にアクセスできる環境整備が課題でした。同社はグループウェア「desknet’s NEO」のポータル機能を活用。営業部向け、FA向けなど部門・職種別に16のタブを設定したポータル画面を作成し、関連情報へのアクセスを容易にしました。ポータルには主要機能へのショートカットや各種業務システム、eラーニングへのリンクも集約。これにより、従業員はポータルを起点に必要な情報やシステムへスムーズにアクセスできるようになり、業務効率が向上しました。

事例4. 施設間のコミュニケーション活性化と理念浸透

複数の介護施設を運営する健祥会グループでは、地理的に離れた施設間の連携強化、職員のモチベーション維持、グループ理念の浸透が課題でした。対策として社内ポータルをコミュニケーションと理念共有のハブとして活用。週替わりの職員ブログで日々の経験や想いを共有できる場を提供し、他施設からの学びやチームワーク醸成を促しました。また、理事長の「年訓」をポータルの目立つ位置に掲載し、全職員への浸透を図りました。結果、職員ブログは相互理解とモチベーション共有の場となり、「年訓」共有は連帯感と事業指針への理解、帰属意識の醸成に貢献しています。

事例5. 2万人規模グループの情報基盤構築

大成建設株式会社では、2万人超のグループ従業員が利用する統一情報基盤の構築とDX推進支援が経営課題でした。同社は「Digital Workforce」を活用したグループポータル「TAISEI PowerSite」を構築。各部門サイトの最新トピック、ToDoリスト、お知らせバナー等約20種のガジェットを表示し、Azure AD連携でSSOも整備しました。結果、常時1万人以上がアクセスする安定した大規模情報基盤が実現し、グループ全体の生産性向上に貢献。旧システムからクラウドへの移行を大きなトラブルなくスムーズに完了させた点も特筆されます。

事例6. 1500サイト乱立からの情報サイロ解消

NECでは社内に約1500ものウェブサイトが乱立し、情報が分散・重複する「情報のサイロ化」が深刻な問題でした。必要な情報への到達に時間を要し、業務効率低下や部門間連携不足を招いていました。この課題に対し、オープンソースCMSのDrupalを活用し、社内ポータル「One NEC.com」として既存サイトを統合。単なるサイト数削減だけでなく、情報アクセス性の抜本改善、高度な検索機能、適切なアクセス権限管理を備えた情報基盤構築を目指しました。このプロジェクトにより長年の課題であった情報サイロ化を解消し、社内コミュニケーション活性化にも成功しました。

社内ポータルサイト導入を成功させるためのステップ

社内ポータルサイトの導入やリニューアルを成功に導くためには、計画的かつ段階的なアプローチが重要です。以下に、そのための主要な7つのステップを示します。

1. 現状課題の分析と目的設定

まずは自社の現状の情報共有やコミュニケーションにおける課題を洗い出します。「情報が見つからない」「部門間の連携が悪い」「申請業務が煩雑」など、具体的な問題点を明確にします。

その上で、社内ポータルサイト導入によって「何を解決したいのか」「どのような状態を目指すのか」という目的を具体的に設定します。目的は、後の要件定義やツール選定の判断基準となります。

2. 要件定義

設定した目的に基づき、新しい社内ポータルサイトに必要な機能(掲示板、ファイル共有、ワークフローなど)、対象となるユーザー(全従業員、特定部門など)、既存システムとの連携の要否、セキュリティ要件などを具体的に洗い出します。

ユーザビリティに関する要望(デザイン、操作性など)もこの段階で整理しておきます。

3. ツール選定と評価

定義した要件を満たす社内ポータルサイトのツールやサービスを複数ピックアップし、比較検討します。提供形態(クラウド型/オンプレミス型)、機能、費用、サポート体制、セキュリティ、実績などを多角的に評価します。

可能であれば、無料トライアルやデモを利用して実際の操作感を確認し、自社の業務フローに適合するかを見極めます。

4. コンテンツ設計と情報移行計画

社内ポータルサイトに掲載する情報(規程、マニュアル、お知らせ、申請書など)を整理し、誰が見ても分かりやすいように情報の分類や階層構造を設計します(サイトマップ作成)。

既存のファイルサーバーや旧システムからの情報移行が必要な場合は、移行対象のデータ範囲、移行手順、スケジュールなどを計画します。

5. プロトタイプ作成とテスト導入

本格導入の前に、一部の部門や特定のユーザーグループを対象に、プロトタイプ(試作版)や試験的な導入を行います。

実際に利用してもらい、操作性や機能に関するフィードバックを収集します。このフィードバックを元に改善を行うことで、本格導入後のミスマッチを防ぎます。

6. 本格導入と社内への周知・教育

テスト導入での改善点を反映させた後、全社的に本格導入します。

導入の目的、使い方、メリットなどを全従業員に周知徹底するための説明会や研修会を実施します。利用マニュアルやFAQなども整備し、スムーズな利用開始を支援します。

7. 効果測定と継続的な改善

導入後も定期的に利用状況(アクセス数、利用機能、投稿数など)をモニタリングし、設定したKPI(重要業績評価指標)の達成度を測定します。

従業員へのアンケートやヒアリングを通じて満足度や改善要望を収集し、コンテンツの追加・更新、機能改善などを継続的に行います。社内ポータルサイトは「育てていく」という意識が重要です。

社内ポータルサイトのツールやサービス選び方

社内ポータルサイトの導入を検討する際、市場には多様なツールやサービスが存在するため、どれを選べば良いか迷うことも少なくありません。自社に最適なポータルサイトを選ぶためには、以下のポイントを考慮することが重要です。

企業の規模や目的で選ぶ

  • 中小企業向け
    比較的低コストで導入でき、基本的な情報共有機能が揃っているシンプルなツールが適している場合があります。操作の容易さも重要です。
  • 大企業向け
    多数の従業員に対応できる拡張性、詳細なアクセス権限管理、多言語対応、既存システムとの連携機能などが求められることが多いです。
  • 特定機能への特化
    例えば、ナレッジ共有に特化したWiki機能が強いもの、コミュニケーション活性化のためのSNS機能が充実したものなど、特定の目的に合わせて選ぶ方法もあります。

提供形態で選ぶ

  • クラウド型(SaaS)
    サーバーの構築や管理が不要で、インターネット経由で利用できます。初期費用を抑えられ、短期間で導入可能です。アップデートも自動で行われることが多いです。
  • パッケージ型ソフトウェア
    自社のサーバーにインストールして利用します。カスタマイズの自由度が高い場合がありますが、導入・運用コストはクラウド型より高くなる傾向があります。
  • オープンソースソフトウェア
    無償で利用できるソフトウェアをベースに、自社で構築・カスタマイズします。高度な技術力が必要ですが、柔軟性は最も高いと言えます。
  • フルスクラッチ開発
    完全に自社の要望に合わせてオーダーメイドで開発します。費用と期間は最もかかりますが、独自の要件に完全に対応できます。

比較検討すべきポイント

  • 機能の網羅性と拡張性
    自社の必須要件を満たしているか。将来的な機能追加やユーザー数増加に対応できるか。
  • 操作性(UI/UX)とカスタマイズ性
    従業員が直感的に使えるか。デザインやレイアウトを自社のブランドイメージに合わせて調整できるか。
  • セキュリティ対策
    情報漏洩対策、アクセス制限、データの暗号化など、企業のセキュリティポリシーを満たせるか。
  • サポート体制と実績
    導入時や運用開始後のサポートは充実しているか。同様の業種や規模の企業での導入実績はあるか。
  • 導入・運用コスト
    初期費用、月額費用、カスタマイズ費用など、トータルコストは予算内に収まるか。費用対効果は見合うか。
  • 他システムとの連携性
    既存の勤怠管理システム、グループウェア、ストレージサービスなどと連携できるか。API連携の可否なども確認しましょう。

これらのポイントを踏まえ、複数のツールをリストアップし、資料請求、デモンストレーション、無料トライアルなどを通じて、自社の課題解決と目的達成に最も貢献する社内ポータルサイトを選定しましょう。

社内ポータルサイトを最大限に活用しましょう

この記事では、社内ポータルサイトが企業の情報共有、業務効率化、コミュニケーション活性化にいかに貢献するかを、基本機能から具体的な成功事例、そして導入・選定のステップに至るまで多角的に解説しました。

重要なのは、現状課題を明確にし、目的に合った機能を選定、そして導入後も継続的に改善していくことです。この記事が、あなたの会社に最適な社内ポータルサイトを導入し、その効果を最大限に引き出すための一助となれば幸いです。


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