• 作成日 : 2025年7月17日

Scrapbox(Helpfeel Cosense)の使い方ガイド|基本から情報整理術まで徹底解説

Scrapboxは、単なる情報置き場ではなく、チームの知識を育てることを目的とした革新的な情報共有ツールです。直感的な操作性と、情報を有機的につなげる独自のリンク機能により、埋もれてしまった知識やアイデアが自然と結びつき、新たな価値を生み出します。

この記事では、Scrapboxの基本的な使い方から、個人やチームの生産性を最大化するための情報整理術まで分かりやすく解説します。使いにくいと感じるポイントの解決策も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

Scrapbox(Helpfeel Cosense)とは

Scrapboxは、株式会社Helpfeelが開発・提供する、情報を手軽に記録し、整理・共有するためのクラウド情報共有ツールです。最大の特徴は、階層的なフォルダ構造を持たず、ページ同士をリンクで自由に関連付けることで情報を整理していく点にあります。この仕組みにより、個人の思考の整理からチームの知識創造まで、幅広いシーンで活用されています。

Scrapboxはサービス終了していない

「Scrapboxはサービス終了した」という情報を目にすることがあるかもしれませんが、これは誤解です。2024年5月21日より、サービス名が「Helpfeel Cosense」へと変更されました。これに伴い、ドメインも「scrapbox.io」から「cosen.se」へ移行しましたが、従来のURLにアクセスしても自動で転送されるため、既存ユーザーは何も変更することなくサービスを継続して利用できます。

サービス終了ではなく、組織のナレッジ活用をさらに促進するツールへと進化するためのリブランディングであり、機能も継続的に強化されています。

参考:【サービス名変更のお知らせ】 「Scrapbox」は 「Helpfeel Cosense(ヘルプフィール コセンス)」に変わります

Scrapboxのメリット

Scrapboxには、以下のようなメリットがあります。

  • 直感的な情報整理
    フォルダ分類の必要がなく、思いついたままに書き始め、後から自由に関連付けられます。
  • 強力なリンク機能
    ページ同士が双方向につながり、「2ホップリンク」機能によって自分では意図しなかった情報のつながりを発見できます。
  • リアルタイム共同編集
    複数人が同時に同じページを編集でき、変更が即座に反映されるため、会議の議事録やブレインストーミングに最適です。
  • 高い検索性
    入力中に候補を表示する「QuickSearch」や本文全体を検索する全文検索など、強力な検索機能で目的の情報に素早くたどり着けます。

Scrapboxと他のツールの比較

Scrapboxは、NotionやConfluenceといった他の人気ツールとどう違うのでしょうか。それぞれの特徴を比較してみましょう。

ツール名Scrapbox
(Helpfeel Cosense)
NotionConfluence
コンセプト知識創造のネットワークオールインワン・ワークスペースチームのためのナレッジベース
情報構造ネットワーク型(リンク主体)階層型(データベース+ページ)階層型(スペース+ページ)
リンク機能双方向リンク、2ホップリンクページメンション、バックリンクページリンク
共同編集非常に高速なリアルタイム共同編集リアルタイム共同編集リアルタイム共同編集
得意なこと
  • 思考の発散と整理
  • ブレインストーミング
  • 流動的な情報の記録
  • 予期せぬアイデアの発見
  • タスク管理
  • データベース構築
  • Webサイト公開
  • 体系的なドキュメント作成
  • 公式な社内Wiki
  • 仕様書、マニュアル管理
  • 厳密な権限管理
向いている人
  • 階層整理が苦手な人
  • アイデアをつなげて深めたい人
  • 活発な議論を記録したいチーム
  • 情報を1ヶ所に集約したい人
  • 多機能性を求める人
  • 見た目をカスタマイズしたい人
  • 大規模な組織
  • 完成された情報を蓄積したいチーム
  • 承認フローが必要な場合

Scrapboxの料金プラン

Scrapboxには、個人利用向けの無料プランと、チームや法人向けの有料プランがあります。

  • 無料プラン(Personal)
    個人的なメモや思考の整理に最適です。まずはScrapboxを試してみたいという方は、このプランから始めるのがおすすめです。
  • 有料プラン(Business)
    チームでの利用を想定したプランで、セキュリティ機能の強化(IPアドレス制限やSAML認証など)、アクセス権限の管理、充実したサポートが提供されます。月額課金制で、利用するユーザー数に応じて料金が変動します。

Scrapboxの基本的な使い方

アカウント作成から最初のページ作成、画像の貼り付けまで、基本的な使い方を5つのステップで解説します。

Step1. アカウント作成

公式サイトにアクセスし、「いますぐお試し」ボタンをクリックします。個人利用の場合は、Googleアカウントでログインするのが最も簡単です。認証後、表示名(Name)とユーザー名(Username)を設定すればアカウント作成は完了です。

Step2. プロジェクト作成

次に、情報をまとめる場所である「プロジェクト」を作成します。「Create new project」をクリックし、プロジェクト名などを設定します。ここで重要なのが公開範囲の設定です。

  • Public:URLを知っていれば誰でも閲覧可能。
  • Private:招待されたメンバーのみがアクセス可能。

個人用のメモやチーム内の非公開情報は、必ず「Private」に設定しましょう。この設定は後からでも変更可能です。

Step3. ページの作成

Scrapboxでページを作成する方法は、主に3つあります。

  1. 画面上部の「+」ボタンから作成する。
  2. ブラウザのアドレスバーに https://scrapbox.io/プロジェクト名/新しいページタイトル のように入力してアクセスする。
  3. 既存のページ内で [新しいページタイトル] のように角括弧で囲み、そのリンクをクリックする。

特に3つ目は、思考の流れを止めずに情報をつなげていける、Scrapboxらしい非常に便利な方法です。

Step4. 箇条書きとインデント

Scrapboxでは、行頭で半角スペースかTabキーを押すだけで、簡単に箇条書きになります。Tabキーを複数回押せば、インデントを深くして、情報を階層的に整理できます。このシンプルな操作で、ページ内の情報を分かりやすく構造化することが可能です。

Step5. 画像の貼り付け

ページに画像を貼り付けたい場合、以下の方法が使えます。

  • PC上の画像ファイルをページにドラッグ&ドロップする。
  • 画像をコピーして、ページ上でペースト(Ctrl+V or Cmd+V)する。
  • 画像URLを [画像URL] のように角括弧で囲んで貼り付ける。

特別なアップロードボタンはなく、直感的な操作で簡単に画像をページに埋め込めます。

Scrapboxを使いこなすテクニック

Scrapbox独特のシンプルな記法を覚えれば、より表現力豊かに情報を記録できます。

機能記法
太字[* テキスト] または [[テキスト]]
斜体[/ テキスト]
打ち消し線[- テキスト]
ハッシュタグ#タグ名 または [#タグ名]
箇条書き行頭に半角スペース or Tab
引用行頭に >
コードブロックcode:ファイル名.js と書き、次の行からインデントしてコードを記述
表(テーブル)table:表タイトル と書き、次の行からTab区切りで項目を記述
アイコン[ユーザー名.icon](Ctrl/Cmd + iで自分のアイコンを簡単入力)

Scrapboxによる情報整理術

Scrapboxで目的の情報を素早く見つけ出し、知識を深めるための整理術を紹介します。

リンクとバックリンク

Scrapboxでは、[キーワード]と囲むだけで簡単にページ間をリンクできます。このリンクは双方向になっており、リンク先のページには「このページを参照しているページ」として、リンク元のページが自動で一覧表示されます。これにより、情報と情報の文脈的なつながりが可視化され、思考を深める手助けとなります。

2ホップリンク機能

さらに強力なのが、2ホップリンク機能です。これは、現在開いているページAに直接リンクされているページBから、さらにリンクされているページCを、ページ下部に一覧表示してくれる機能です。これにより、自分では意識していなかった関連情報や、新たなアイデアの種に偶然出会うことができます。

行の古さ表示

各行の左端にある小さな灰色の四角は、その行が最後に編集されてからの経過時間を示しています。四角が大きいほど新しく、小さい(または薄い)ほど古い記述です。この視覚的なインジケーターにより、一目で情報の鮮度が分かり、更新が必要な箇所を簡単に見つけられます。

強力な検索機能

画面上部の検索窓は、単なる検索機能ではありません。

  • QuickSearch
    キーワードを入力すると、リアルタイムでページタイトルに合致する候補が表示されます。
  • 全文検索
    Enterキーを押すと、ページ本文を含む全文検索が実行されます。
  • 除外検索
    キーワードの前に-(マイナス)を付けると、その語を含むページを結果から除外できます。

ピン留め

特によく見るページや、プロジェクトの目次となるようなページは、ピン留め機能でページ一覧の最上部に固定できます。情報が増えてきても、重要なページにワンクリックでアクセスできる便利な機能です。

Scrapboxのチームでのコラボレーションを加速させる機能

Scrapboxには、チームでのコラボレーションを加速させる機能も多く備わっています。

リアルタイム共同編集

Scrapboxのリアルタイム共同編集は非常に高速で、まるで同じホワイトボードを複数人で囲んでいるかのように作業できます。

会議中にアジェンダを見ながら、全員で同時に議事録を書き込んでいくといった使い方が非常に効果的です。決定事項や発生したタスクをその場で記録・共有できるため、会議後の「議事録まとめ」や情報伝達の漏れがなくなります。

1. メンバーの権限管理

プロジェクトの作成者が「Project Owner」となり、他のメンバーを招待できます。Ownerは他のユーザーに「Admin(管理者)」権限を付与でき、Adminはメンバー管理などの権限を持ちます。一般のメンバーは、プロジェクト内のページを自由に作成・編集・削除できます。このオープンな環境が、チームのコラボレーションを促進します。

2. 外部ツール連携

ページの作成・更新をSlack、Discord、Microsoft Teamsといったチャットツールにリアルタイムで通知できます。これにより、チームメンバーはScrapboxを常に開いていなくても、情報の更新を見逃さず、迅速なコミュニケーションが可能になります。

Scrapboxの活用事例

Scrapboxは、その柔軟性とシンプルさから、個人利用から大規模なチームプロジェクトまで、実に多様なシーンで活用されています。

個人利用の事例

  • 読書メモ/学習ノート
    気になった箇所を書き出し、関連キーワードをリンク化することで、知識がネットワークとしてつながっていきます。
  • 日報/ライフログ
    日々の活動や考えたことを記録します。過去の自分を振り返る貴重なデータベースになります。
  • アイデア帳
    思いついたアイデアを断片的にでも書き留めておき、リンクでつなげていくことで、新しい企画へと発展させられます。

チーム利用の事例

  • 会議議事録
    リアルタイム共同編集の強みを最大限に活かせます。
  • チーム内ナレッジベース(FAQ)
    業務手順やよくある質問と回答を蓄積すれば、新メンバーの教育コストを削減し、業務の属人化を防ぎます。
  • プロジェクト管理
    要件定義やタスク、議論の経緯などを1つのプロジェクトにまとめて記録することで、関係者全員が常に最新の状況を把握できます。

Scrapboxが使いにくいと感じたときの対処法

Scrapboxは、ユニークさゆえに、最初は戸惑うこともあるかもしれません。使いにくいと感じるポイントと、その解決策を紹介します。

どこに何があるか分からず不安

Scrapboxは、完璧に分類することを目指すツールではありません。まずは情報をどんどん書き出し、関連するキーワードを [ ] で囲んでリンクにする習慣をつけてみてください。情報同士のつながりが見えてくれば、フォルダがなくても自然と全体像が把握できるようになります。どうしても目次が欲しい場合は、#まとめ のようなハッシュタグをつけたり、「〇〇プロジェクトまとめ」のようなハブとなるページを作成したりして、そこから各ページへリンクを張るのがおすすめです。

自由すぎて、逆に何を書けばいいか分からない

まずは「日報」から始めてみることをおすすめします。その日にやったこと、考えたこと、読んだ記事のURLなど、どんな些細なことでも構いません。毎日書き続けることで、自然とScrapboxの操作に慣れ、自分なりの情報整理のスタイルが見つかっていきます。

Scrapboxで個人の思考を深め、チームの生産性を最大化しよう

本記事では、Scrapbox(Helpfeel Cosense)の基本的な使い方から応用的な情報整理術まで解説しました。このツールの最大の魅力は、情報を手軽にアウトプットし、それらをリンクによって有機的につなげることで、個人の思考を深め、チームの生産性を最大化する点にあります。

最初は「使いにくい」と感じる部分も、使い方に慣れることで、これまでのツールにはなかった新しい発見と創造の喜びに変わるはずです。まずは無料の個人プランから始めてみてはいかがでしょうか。


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