- 更新日 : 2025年7月17日
マニュアル作成をパワーポイントで進める手順や構成例、伝える工夫のコツ
パワーポイントは、プレゼン資料だけでなくマニュアル作成にも適しています。操作手順や作業の流れをスライド形式でわかりやすく整理でき、視覚的に伝えるのに便利なツールです。この記事では、パワーポイントでどんなマニュアルが作れるのか、構成や手順、運用方法まで具体的に紹介します。初めてマニュアルを作る人も、見直したい人も参考にしてください。
目次
パワーポイントでどんなマニュアルが作成できるか
パワーポイントは操作手順や作業の流れを説明するマニュアルに適しています。プレゼン資料用のソフトとして知られていますが、視覚的に情報を整理できるため、業務マニュアルにも活用できます。
特に、次のようなマニュアルに向いています。
- システムやツールの操作方法
- 社内フローや手続きの手順書
- 新人向けの研修用マニュアル
- セールストークや商談の進行例
パワーポイントのスライド形式は、1つのステップを1枚にまとめるのに適しており、工程ごとに画面キャプチャや図解を入れて説明できます。箇条書きや図形、アニメーションなどを使って、視覚的にわかりやすく構成することが可能です。
また、ほとんどの企業でMicrosoft Officeが導入されており、PowerPointは標準的な環境で利用されています。ソフトの操作に慣れている人も多く、マニュアル作成にあたって特別な学習コストが発生しにくい点も強みです。
一方で、長文の解説や詳細な注釈を多用するようなマニュアルには不向きです。そういった用途ではWordやNotion、PDF資料が向いています。
作成前には、「誰に」「何を」「どの順番で」伝えるのかを明確にしておくことが大切です。マニュアルの目的と対象者がはっきりしていれば、構成や表現の方向性も決めやすくなります。
マニュアル作成をパワーポイントで進める手順
パワーポイントでマニュアルを作成するには、作成の流れを事前に整理しておくとスムーズに進みます。以下のようなステップで進めると効率的です。
- 目的と対象を明確にする
マニュアルの内容は、誰に向けて何を伝えるかによって大きく変わります。例えば「新人向け操作マニュアル」なら、基本用語の説明も必要になります。対象読者を設定したうえで、伝える範囲と深さを決めます。 - 構成を設計する
基本構成は「表紙 → 目次 → 操作手順 → 補足 → お問い合わせ先」といった順序が一般的です。ステップごとにどのような情報を盛り込むか、紙に書き出して整理しましょう。 - スライドごとに内容を当てはめる
設計した構成に合わせて、スライドを作成していきます。1つのスライドには1つの作業や説明だけを記載し、情報が混在しないように注意します。 - 図・画像を入れて視覚的に伝える
操作マニュアルではスクリーンショットや図があると理解しやすくなります。視覚要素を活用して、文章だけでなくイメージでも情報を伝えます。 - レビューと修正
完成後は誤字脱字だけでなく、読み手の視点で理解できる構成になっているかを確認します。可能であれば第三者に確認してもらうことで、わかりにくい点を洗い出せます。 - 配布用に形式を整える
完成したマニュアルは、そのまま.pptxファイルとして共有するだけでなく、PDF形式に変換することで読みやすくなります。社内用ならクラウド保存やイントラ共有、社外向けならパスワード付きで送付するなど、用途に応じて配布方法を選びます。
パワーポイントでのマニュアル作成に必要な項目と構成例
パワーポイントでマニュアルを作成する際は、読み手にとってわかりやすくなるよう、構成を明確にしましょう。特に業務マニュアルや操作説明書では、どのページに何を書くのかが重要です。以下に、基本的な構成と各スライドに含めるべき項目を紹介します。
表紙
表紙には最低限、以下の3点を記載します。
- マニュアルのタイトル(例:「勤怠管理システム 操作マニュアル」)
- 作成日(更新日でも可)
- 作成者や所属部署
ビジネスマナーとして、誰が・いつ作成したかが明記されていると管理しやすく、更新のタイミングも把握できます。
目次
目次には、各セクションのスライドタイトルを記載します。例えば以下のような構成です。
- はじめに(概要・目的)
- ログイン手順
- 各画面の操作説明
- よくあるトラブルと対応例
- 補足情報と問い合わせ先
これにより、読み手が必要な情報にすぐアクセスできます。
導入・概要
マニュアルの目的や、対象となる業務・製品の全体像を説明します 。
本文(操作手順)
各スライドには、1工程または1トピックをまとめます。情報を詰め込みすぎず、要点だけを短文で記載します。スクリーンショットや矢印などを活用し、視覚的に「何を・どう操作するか」が伝わるようにします。
補足や注意事項
ミスしやすいポイントや操作時の注意点がある場合は、別スライドでまとめます。操作に関するFAQ形式で整理すると読みやすくなります。
お問い合わせ先・更新履歴
運用後の問い合わせ先や、今後の更新に備えて履歴の記載があると安心です。社内用であれば担当者名とメールアドレス、更新年月などを記載します。
1スライドごとに明確な目的を持たせて構成することで、視認性が高く、使いやすいマニュアルになります。最初にテンプレートを用意しておけば、同じ形式で複数のマニュアルにも展開できます。
マニュアル作成をパワーポイントで効果的に伝える工夫とコツ
パワーポイントで作成したマニュアルは、見た目や構成次第で理解度が大きく変わります。ただ情報を並べただけでは読み手に伝わりません。ここでは、仕上がりの質を高めるための具体的な工夫とコツを紹介します。
1スライド1メッセージ、もしくは行動単位でまとめる
1枚のスライドには、1つの作業・1つの工程だけを記載します。単純な操作であれば複数を1枚にまとめ、判断や確認が必要な場面は別スライドにして強調します。
例えば「月次報告書を作成・提出する手順」をマニュアルにする場合、以下のような単位で分けると効果的です。
- 報告書テンプレートの選択と新規作成画面の表示
- 実績入力の方法と注意点(単位・桁数・備考欄の使い方)
- 承認者の選択と提出方法
- 提出後に確認すべきステータスや再提出の対応
このように「意味のかたまり」でスライドを構成することで、操作の流れが読み手に伝わりやすくなります。
図やスクリーンショットを使う場合は、操作対象を赤枠や矢印で示し、必要な箇所にだけ説明を添えます。画面全体を詰め込まず、強調したい内容に目が向くよう整理します。
マニュアルは「どこで迷うか」「どこを間違えやすいか」を基準に分けると、理解されやすく、実際に使われる内容になります。
文は短く、表現は簡潔に
1文を20〜30文字以内に抑え、箇条書きにすると読みやすくなります。「○○してください」のような命令形で統一すると、行動が明確になります。
例:
✕ このボタンをクリックしてください。そして次にこの画面で入力を行ってください。
〇 「入力を押す」→「実績を記入」→「保存を選ぶ」
図やスクリーンショットを活用する
操作対象画面には赤枠や矢印で強調を加え、どこを見て何をするのかを明確にします。視覚的な整理ができていないと、どれが重要なのかが伝わりません。
画像は必要な範囲だけを切り取って使い、画面全体を詰め込まないのがポイントです。
フォント・色・配置を統一する
見た目の統一感は、マニュアル全体の読みやすさにつながります。フォントは「游ゴシック」や「メイリオ」など見やすいものにし、サイズは見出しと本文で明確に分けます。色使いは3色以内に抑えると、画面がうるさくなりません。
また、スライドマスターを使うことで、全体に一貫したレイアウトを適用できます。
読み手の「つまずき」を予測する
読み手がよく間違えるポイントや、質問が多い部分には、補足情報や注意点を一言添えるだけで理解度が大きく変わります。
例えば、「保存ボタンを押すと上書きされるので注意」のような文を入れると、トラブルを避けられます。
意見をもらって完成度を高める
マニュアルは、作成者だけで完成させないほうが確実です。
実際に使う人、現場で作業する人、初心者などに見てもらい「ここがわかりづらい」「この手順は見落としやすい」といった意見を集めましょう。
例えば、業務経験の浅いメンバーに読んでもらうことで、専門用語の説明不足や前提知識の抜けに気づけます。逆に、熟練者には内容の正確性や抜け漏れのチェックを依頼できます。
作成後すぐに配布せず、2~3人にレビューしてもらうだけで、完成度は格段に上がります。
パワーポイントで作成したマニュアルの運用方法
パワーポイントで作成したマニュアルは、共有手段やセキュリティ、更新しやすさなど、実際の運用場面を考えた管理が求められます。
PDFでの配布でトラブルを回避
マニュアルは.pptx形式のままでは編集ができてしまい、意図しない改変やレイアウト崩れが起きることがあります。そのため、配布時はPDFに変換するのが基本です。
PDFは文字ズレや図の位置の変化が少なく、どのデバイスでも同じように表示されるため、読み手の環境を選びません。
ファイル容量に注意して軽量化する
画面キャプチャや画像を多用すると、ファイルサイズが大きくなり、メールで送信できないことがあります。
目安として、メール添付での送信は現在10MB程度までが一般的です。高画質の画像を使っている場合は、画像圧縮機能やPowerPoint内の「メディア圧縮」を使い、容量を抑えましょう。
必要であれば、PDF化した後にZIPファイルで圧縮し、共有リンクを使う方法も有効です。
社内と社外で共有方法を使い分ける
- 社内:社内の共有フォルダ(イントラネット)を使った配布が一般的です。アクセス制限された環境で安定的に運用でき、社内限定資料に向いています。また、OneDrive、Google Driveなどのクラウド共有もおすすめです。アクセス制限をかければ、部署単位や個人単位での配布も管理しやすくなります。
- 社外:パスワード付きPDFやZIPファイルでの送付が基本です。ファイル名にも業務内容や日付を明記すると、誤送信や誤認識を防げます。
セキュリティ対策を忘れずに
社外向けマニュアルを送る場合は、パスワード設定やアクセス期限の設定が欠かせません。PowerPointやPDFともに、閲覧パスワードを設定できます。
また、マニュアルに機密情報や顧客情報が含まれる場合は、ファイル暗号化や共有URLの失効設定も検討しましょう。
マニュアルの更新・差し替えをしやすい管理体制にする
マニュアルは業務変更に合わせて随時更新が必要です。定期的に見直しのタイミング(例:四半期ごと、システム変更時など)を設けて、最新版が常に共有される体制を作っておくと安心です。
社内イントラやナレッジベースに最新版を保管し、「最新版はこちら」とリンクを統一することで、古いバージョンの使用を防げます。
パワーポイント以外でマニュアルを作成する方法
パワーポイントは広く使われていますが、用途によっては他のツールのほうが効率的にマニュアルを作成できる場合もあります。ここでは、パワーポイント以外の代表的なマニュアル作成ツールを紹介し、それぞれに向いている場面を解説します。
Google スライド:リアルタイム共有に強い
パワーポイントと似た操作感で、クラウド上で複数人で同時に編集・共有ができるのがGoogle スライドです。ブラウザだけで作業でき、コメント機能も充実しており、リモートワーク環境でも使いやすい点が魅力です。
Canva:見た目重視のデザインマニュアル向け
Canvaはテンプレートが豊富で、デザイン性に優れた資料を手軽に作成できます。マニュアルもスライド形式で作れ、視覚に訴えるデザインが必要な場合に便利です。無料プランでも十分使えます。
Teachme Biz:操作マニュアル専用サービス
Teachme Bizは、手順書作成に特化した有料ツールです。画像に手順を加える形式で、業務ごとのフローを標準化しやすくなっています。研修や現場業務のマニュアル化で導入する企業が増えています。
その他の選択肢
- Kibela:社内Wikiに近い形式で、ナレッジ共有向け
- Microsoft Word:長文や法的文書を含むマニュアルに適している
- 動画ツール(Loomなど):操作動画で説明したい場合に有効
パワーポイントでマニュアル作成は構成やまとめ方が大事
パワーポイントは、視覚的にわかりやすいマニュアルを短時間で作成できる便利なツールです。構成やスライドのまとめ方を工夫すれば、誰にでも伝わるマニュアルになります。共有・更新のしやすさも整えておくと、運用後もスムーズです。同時編集をしたい場合は、Google スライドやOneDriveでの共有を活用すると、複数人での作業も効率的に行えます。
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