- 作成日 : 2025年7月9日
見やすい資料の作り方|パワーポイント・ワード・エクセルのツール別に解説
ビジネス資料は重要なコミュニケーションツールですが、情報が整理されておらず、デザインも洗練されていない資料は、読み手に「見にくい」「分かりにくい」と思われてしまいます。この記事では、誰でも実践できる「見やすい資料の作り方」の基本原則から応用テクニックまでを、分かりやすく解説します。
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目次
見やすい資料の基本原則
見やすい資料を作成するためには、まず押さえておくべき普遍的な基本原則があります。
伝えたい情報を明確にする
情報過多な資料は何が重要なのか分かりにくいため、できるだけ伝えたいメッセージは1スライド(1ページ)につき1つに絞りましょう。関連性の低い情報は削除するか、別ページに記載します。情報を絞り込むことで、メッセージが際立ち、読み手は内容をスムーズに理解できます。
視線の流れを意識する
人間が情報を見る際には、無意識のうちに特定のパターンで視線を動かす傾向があります。代表的なものに「Zの法則」と「Fの法則」があります。
- Zの法則
横書きの場合、視線は左上から右上へ、次に左下へ移動し、最後に右下へ流れる傾向があります。プレゼン資料など、全体を俯瞰的に見る資料作りで意識すると効果的です。重要な要素(タイトル、結論など)を左上や右下に配置するなどの工夫が考えられます。 - Fの法則
Webサイトや縦長の文章を読む際、視線はまず左上から水平に移動し、次に少し下の位置で再び水平に移動、その後は左端を縦に流し読みする傾向があります。Word文書など、文章量の多い資料で意識すると良いでしょう。各段落の冒頭(左側)に重要なキーワードや要点を配置すると、内容を把握しやすくなります。
情報を整理・構造化する
見やすい資料は、情報が論理的に整理され、構造化されています。
- 目次やアウトラインを作成する
まず、資料全体の構成を考え、大見出し、小見出しといった階層構造を明確にします。これにより、話の流れが整理され、読み手は全体像を把握しやすくなります。 - 情報をグルーピングする
関連性の高い情報は近くにまとめ、視覚的にグループ化します。罫線や囲み、背景色などを効果的に使うことで、情報のまとまりが分かりやすくなります。 - PREP法などを活用する
結論(Point)、理由(Reason)、具体例(Example)、再度結論(Point)の順で説明するなど、論理的な文章構成のフレームワークを活用するのも有効です。
デザインに一貫性を持たせる
資料全体のデザインに一貫性を持たせることは、見やすさを確保する上で非常に重要です。
- フォントの種類とサイズを統一する
見出し、本文、キャプションなどで使用するフォントの種類とサイズを決め、資料全体で統一します。これにより、視覚的なノイズが減り、洗練された印象になります。 - 使用する色を限定する
ベースカラー、メインカラー、アクセントカラーなど、使用する色を3〜4色程度に絞り、それぞれの使い道(背景・文字・強調など)を決めて一貫して使用します。色の使いすぎは、かえって見にくくなる原因となります。 - レイアウトのルールを決める
余白の取り方、見出しや本文の位置、図やグラフの配置場所など、基本的なレイアウトのルールを決め、それを守ることで統一感を出せます。
資料のデザインを整えるテクニック
基本原則を理解したら、次は資料の見た目をさらに向上させるテクニックを見ていきましょう。
フォント選び
フォントは資料の印象や読みやすさを大きく左右する要素です。
- 可読性の高いフォントを選ぶ
ゴシック体(游ゴシック、メイリオ、ヒラギノ角ゴなど)は視認性が高く、プレゼン資料やWebでの閲覧に適しています。明朝体(游明朝、ヒラギノ明朝など)は、長文の報告書などでは可読性が高いとされますが、線が細いため、プロジェクター投影などでは見えにくい場合があります。 - 適切なサイズを設定する
一般的に、配布用資料の本文は10.5pt〜12pt程度、プレゼン資料では18pt以上を目安とし、見出しはそれより大きく設定します。ただし、資料の種類や閲覧環境によって最適なサイズは異なるので都度調整しましょう。 - フォントの種類は絞り込む
資料全体で使用するフォントは、多くても2〜3種類程度に絞り込みましょう。見出し用と本文用でフォントを変えるのは効果的ですが、種類が多すぎると雑多な印象になります。
配色のルール
色は資料の印象を決定づける重要な要素ですが、使い方を間違えると逆効果になります。
- ベースカラー(70%)
資料全体の背景や最も広い面積を占める色。白や薄いグレーなど、他の色を邪魔しない落ち着いた色を選びます。 - メインカラー(25%)
資料のテーマや企業のブランドイメージを表現する主要な色。見出しや図形などに使用します。 - アクセントカラー(5%)
特に強調したい箇所(グラフの特定の部分、重要なキーワードなど)に限定的に使用する色。メインカラーと対照的な色を選ぶと効果的です。
この比率はあくまで目安ですが、色数を絞り込み、それぞれの役割を決めて使うことが重要です。色の組み合わせに迷う場合は、Web上の配色ツールなどを参考にすると良いでしょう。
余白の重要性
資料作成において、適切に余白を取ることで、以下のような効果が期待できます。
- 圧迫感を軽減し、読みやすくする
要素がぎっしり詰まった資料は、息苦しく感じられ、読む気を削いでしまいます。適度な余白は、視覚的なゆとりを生み出します。 - 情報をグルーピングする
要素と要素の間に適切な余白を設けることで、情報のまとまりが認識しやすくなります。 - 重要な要素を際立たせる
強調したい要素の周りに余白を多く取ることで、その要素に自然と視線が集まります。
画像の選び方
画像は資料内容の理解を助ける効果的な要素ですが、選び方には注意が必要です。
- 高画質な画像を選ぶ
解像度の低い、ぼやけた画像は資料全体の質を下げてしまいます。鮮明でクリアな画像を選びましょう。 - 関連性の高い画像を選ぶ
資料の内容と無関係なイメージ画像は、かえって邪魔になることがあります。メッセージを補強するような、関連性の高い画像を選びましょう。 - 著作権・肖像権に配慮する
インターネット上で見つけた画像を無断で使用することは、著作権侵害にあたる可能性があります。著作権フリーの素材サイトを利用するか、オリジナルの画像を使用しましょう。人物が写っている場合は、肖像権にも配慮が必要です。
ツール別|見やすい資料作成のポイント
次に、代表的なツールであるPowerPoint、 Word、 Excelのそれぞれについて、見やすい資料を作成するための具体的なポイントを見ていきましょう。
PowerPoint(パワーポイント)
PowerPointは、プレゼンテーション資料作成の定番ツールです。視覚的な訴求力が求められる場面で多く利用されます。
- スライドマスターを編集する
フォント、色、ロゴ、フッターなどをスライドマスターで一括設定しておくと、個々のスライドで設定を変更する手間が省け、統一感を維持しやすくなります。 - アニメーションや画面切り替え効果は控えめに
過度なアニメーションや派手な画面切り替え効果は、聞き手の注意を散漫にし、内容への集中を妨げる可能性があります。使う場合は、シンプルな効果を選ぶようにしましょう。 - 図形やSmartArtを効果的に使う
図形を組み合わせてオリジナルの図解を作成したり、SmartArt機能を使ってリストやプロセス図などを簡単に作成したりすることで、情報を視覚的に分かりやすく表現できます。
Word(ワード)
Wordは、報告書、企画書、議事録など、文章が主体となる資料の作成に適しています。長文でも読みやすいように工夫することが重要です。
- スタイル機能を活用する
見出し、本文、箇条書きなどに「スタイル」を設定することで、文書全体の書式(フォント、サイズ、インデントなど)を簡単に統一・変更できます。見出しスタイルを設定しておけば、目次を自動生成することも可能です。 - 目次を自動生成する
長文の資料には、目次を付けることが基本です。スタイル機能で見出しを設定していれば、数クリックで目次を自動生成でき、ページ番号も自動で更新されるため非常に便利です。 - 段落設定を調整する
行間や段落前後の間隔を適切に設定することで、文章のまとまりが視覚的に分かりやすくなり、読みやすさが向上します。 - 図や表のキャプションを活用する
図や表には、「図1」「表1」のような連番とタイトル(キャプション)を付けましょう。本文中で参照しやすくなり、図表リストも作成できます。
Excel(エクセル)
Excelは、数値データの集計、分析、グラフ化に優れたツールです。複雑なデータも分かりやすく見せることが重要です。
- 表のデザインを整える
「テーブルとして書式設定」を活用すると、見やすいデザインの表を簡単に作成でき、フィルターや並べ替え機能も自動で設定されます。縞模様などのデザインも自動で適用され、視認性が向上します。 - 適切なグラフを選択する
Excelのグラフ作成機能では、不要な要素(凡例、データラベル、目盛り線など)を削除したり、色数を絞ったりして、伝えたいメッセージが明確になるように編集しましょう。 - 条件付き書式を活用する
特定の条件に合致するセルの書式を自動で変更する機能です。これにより、注目すべきデータを視覚的にハイライトできます。 - 印刷範囲と改ページプレビューを確認する
Excelのシートをそのまま印刷すると、意図しないところで改ページされたり、表が途中で切れたりすることがあります。印刷前に必ず「印刷プレビュー」や「改ページプレビュー」で確認し、印刷範囲や改ページ位置を調整しましょう。
資料作りが上手い人の特徴
ここでは、資料作りが上手い人に共通する特徴をいくつか紹介します。これらの特徴を参考に、自身のスキルアップを目指しましょう。
常に読み手を意識する
優れた資料作成者は、常に「この資料は読み手にとって分かりやすいか」という視点を持ち続けています。独りよがりな表現を避け、相手の知識レベルや背景を考慮することが重要です。この姿勢が、誤解なくスムーズに伝わる資料を生み出します。
推敲を重ねて完成度を高める
作成直後ではなく少し時間を置いてから読み返すことで、誤字脱字や構成の甘さ、分かりにくい表現などに気づきやすくなります。また、声に出して読んでみることで文章のリズムを確認したり、可能であれば同僚など第三者からのフィードバックを求めたりすることも有効です。この推敲のプロセスが、資料の完成度を格段に高めます。
本やテンプレートを参考にする
資料作りが上手な人は、本を読んで知識を深めたり、テンプレートを活用して作業を効率化したりしています。
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見やすい資料で伝えたい内容に届けましょう
この記事では、見やすい資料の作り方について、基本原則からデザインのテクニック、ツール別のポイント、そしてスキルアップのためのヒントまで幅広く解説してきました。
見やすい資料作りは、情報を正確かつ効果的に伝え、相手の理解や行動を促す重要なコミュニケーションスキルです。今回紹介したポイントを参考に、あなたの伝えたいメッセージを確実に届け、ビジネスの成果につなげましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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