• 作成日 : 2025年7月9日

無料のワークフローシステムとは?メリットや活用のポイント、おすすめのサービスを紹介

業務効率化を図るうえで、申請・承認といった日常的な社内手続きの改善は避けて通れません。そこで注目されているのがワークフローシステムです。なかでも無料で利用できるワークフローツールは、初期費用をかけずに導入できる手軽さから、多くの企業やチームで活用が進んでいます。本記事では、基本的な仕組みから導入のメリット、活用のコツ、選定時の注意点を解説します。

無料のワークフローシステムとは

ワークフローとは、社内の申請や承認など業務プロセスの一連の流れを指し、これを電子的に管理するのが「ワークフローシステム」です。無料で使えるワークフローシステムは、企業やチームがコストを抑えて業務効率化を図るのに有用なツールとなっています。紙やメールで行っていた稟議書・申請書のやり取りをオンライン化することで、申請から決裁までの時間短縮や手間削減が期待できます。

近年多くの企業がDXを進める中で、無料のワークフローサービスが次々と登場しています。無料版は基本的な申請フォーム作成や承認フロー設定などの機能を備え、少人数や簡易な業務フローであれば活用可能です。有料版に比べ高度な機能やカスタマイズ性は制限されるものの、まずは低コストでワークフローを試せる点で多くの企業にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。

無料のワークフローシステム導入のメリット

無料のワークフローシステムは、導入コストがかからないだけでなく、日々の業務効率や社内統制にも良い影響を与えます。ここでは、導入によって得られるメリットをテーマ別に整理して紹介します。

申請・承認業務の効率化とスピードアップ

申請や承認を紙やメールでやり取りしていた場合と比較して、ワークフローシステムを使うことで大幅な時間短縮が可能になります。書類の回覧や上長の押印をシステム上で完結できるため、確認や決裁が滞りにくくなります。さらに、申請者や管理者はリアルタイムで承認の進捗状況を把握できるようになり、承認の停滞や抜け漏れを防ぐことにもつながります。

ペーパーレス化によるコスト削減

紙の申請書や出力物にかかっていた印刷代・保管スペース・郵送費などの間接コストを削減できます。また、紙書類は紛失や破損のリスクが伴いますが、デジタル管理に移行することでデータの安全性も向上し、保管・検索の手間も減ります。これにより、経費の削減と業務の省力化を同時に実現できます。

業務プロセスの見える化と内部統制強化

誰がいつ、どの申請を承認したのかが自動的に記録されるため、業務プロセスの透明性が高まります。承認ルートを明確に設定しておくことで、手続きの一貫性が保たれ、属人化のリスクを軽減できます。また、ログが残ることで不正の抑止や社内監査への対応がしやすくなり、組織全体の内部統制にも良い影響をもたらします。

リモートワーク・モバイル対応

クラウド型のワークフローシステムを選べば、インターネット環境さえあれば場所を選ばずに申請や承認ができます。スマートフォンやノートPCからも操作可能な設計であれば、出張中や在宅勤務中でも滞りなく決裁業務を進めることができます。これにより、柔軟な働き方や業務の継続性をサポートする体制が整います。

初期費用ゼロで気軽に試せる

無料プランが用意されているツールなら、導入に際してソフトウェア費用やライセンス料がかからないため、ROIを気にせず試験導入が可能です。まずは限られた部署や業務で運用を始め、使い勝手や自社の運用に合うかどうかを見極めることができます。導入効果が確認したうえで本格運用に移行したり、自社の運用に合わなければ別の手段へ切り替えたりと、柔軟な判断がしやすいのもメリットです。

無料のワークフローシステムの活用のポイント

無料のワークフローシステムを効果的に運用するには、ただ導入するだけでは不十分です。業務の流れを正しく見直し、社内にしっかりと定着させる工夫が必要です。ここでは、導入から定着、改善までの実践的なポイントを紹介します。

導入目的と現状業務を整理する

ワークフローシステムを導入する前に、まず現状の業務フローを見直しましょう。紙やメールで行っている申請・承認のどこに無駄があるか、どの工程が非効率なのかを明らかにすることで、ツールの導入目的が明確になります。目的が明確であれば、導入後の効果測定も行いやすくなり、導入判断の質も高まります。

小規模から試行し段階的に展開する

いきなり全社的に導入するのではなく、最初は限定的な範囲で試すことが有効です。例えば、稟議書や経費申請といった一部の手続きで運用を開始し、問題点や改善点を把握します。その上でスムーズに運用できることが確認できたら、徐々に対象業務を拡大していくことで現場の混乱を最小限に抑えることができます。

操作方法の周知と従業員教育を徹底する

新しいツールを導入した際には、社員が迷わず使えるよう教育やマニュアル整備を行うことが大切です。直感的なUIを持つツールであっても、基本的な使い方や操作手順を共有しておくことで利用率が向上します。また、導入初期には質問窓口やサポート担当者を決めておくと、現場での不安や疑問にも柔軟に対応できます。

運用ルールを整備し管理者を配置する

ワークフローの運用にあたっては、承認権限の範囲や代理対応、差戻しのルールなどを明確にしておくことが必要です。また、ツール上でこれらを適切に設定・管理するための管理者を配置することも重要です。オンプレミス型の場合は、システムの保守管理やバックアップ体制についても計画的に準備しておく必要があります。

定期的に効果を検証する

導入後は、システムの運用効果を定期的に見直し、必要に応じて改善を加えることが大切です。たとえば、承認にかかる時間が短縮されたか、紙運用時よりも作業負荷が軽減されたかなど、定量的・定性的に評価します。ユーザーからのフィードバックを基に、設定変更やフローの見直しを行うことで、より使いやすい環境に仕上がります。必要に応じて有料版への移行や別サービスへの乗り換えも選択肢になります。

無料のワークフローシステム選定の注意点

無料で使えるワークフローシステムは便利な反面、導入時には確認すべきポイントもあります。業務に影響を与えるツールだからこそ、利用目的や将来的な運用に合わせた選定が欠かせません。以下に主な注意点を項目別にまとめました。

機能範囲と制限

無料プランでは、提供される機能が限定されている場合が多くあります。たとえば、他システムとの連携機能や詳細なアクセス権限設定、ログ管理などは有料プランでのみ提供されることがあります。また、申請フォームの数や承認経路の段数、ファイル添付の可否、データの保存期間なども制限されることがあるため、自社の業務要件を満たせるか事前に確認しておくことが大切です。

利用人数・データ容量

無料ツールには、ユーザー数や申請件数、保存できるデータ量に上限が設けられているケースが多く見られます。例えば、「ユーザーは10名まで」「月間申請数は50件まで」といった制限があるため、利用予定人数や業務量がその枠内に収まるかどうかをチェックしましょう。将来的に規模拡大を見込む場合は、上限を超えたときの費用や拡張プランの有無も確認しておくと安心です。

サポート体制・セキュリティ

無料プランでは、公式サポートが制限されていたり、技術的な問い合わせができないことがあります。トラブル時の対応が遅れる可能性があるため、導入前にサポートの有無や内容を把握しておく必要があります。また、セキュリティ更新の頻度やデータ保護の仕組みも確認しておきましょう。オンプレミス型の場合、自社でセキュリティ対策を担う必要があり、クラウド型でもSLA(サービス品質保証)がないケースもあるため注意が必要です。

他システムとの連携可否

業務の効率化を進めるうえで、既存の社内システムや外部ツールとの連携は非常に重要です。例えば、勤怠管理や会計ソフト、チャットツール、メール、Excelなどとデータを連携させたい場合、無料版では機能が対応していないこともあります。将来的にSlackなどの他ツールと連動させたいと考えている場合は、無料プランでどこまで対応可能か、有料プランで解決できるかを確認しておくとよいでしょう。

スケーラビリティと将来のコスト

初期費用ゼロで導入できるのが無料ツールの魅力ですが、事業の成長とともに使用規模が拡大すると、有料版への移行が必要になることもあります。最初は無料で運用できても、機能や容量の限界に直面し、結局別ツールへの乗り換えとなると手間やコストがかかります。将来を見据え、スムーズに有料プランへ切り替えられるツールかどうかを見極めることが、無駄のない選定につながります。無料期間中に必要な検証を十分に行い、長期的に使えるかどうかを判断しましょう。

無料のワークフローサービス5選

無料で使える代表的なワークフローサービスを5つ紹介します。クラウドサービスからオープンソースまで形式は様々ですが、いずれも基本機能を無料で利用可能です。自社の規模やIT環境に合わせて適したタイプを選びましょう。

GroupSession(グループセッション)

日本トータルシステム株式会社が提供するグループウェアです。無料版は、自社でサーバーを用意して必要なソフトウェアをインストールする形態ですが、ユーザー数無制限で利用できます。スケジュール管理やファイル共有など多数の機能が含まれ、ワークフローとして申請・承認・閲覧のフロー設定が可能です。日本企業の商習慣に合わせた細かな設定もでき、多くの利用実績があります。自社で運用管理するITリソースがある中小企業に適した選択肢です。

GRIDYグループウェア(グリディ)

ブルーテック株式会社の提供するクラウド型グループウェアで、22種類もの機能を基本無料で提供しています。ワークフロー機能として各種申請書テンプレートの作成から申請・承認・決裁・確認まで一通り利用可能です。ユーザー数は無制限ですが全体ストレージ容量は1GBまで等の制限があります。情報閲覧権限の細かな設定や通信の暗号化などセキュリティ面も配慮されており、基本的な内部統制にも対応できます。小規模組織であれば無料範囲内でグループウェア全体を活用でき、必要に応じて有料プランへ拡張することも可能です。

AppRemoクラウド

株式会社システムエグゼの提供するクラウド型ワークフローサービスです。最大20ユーザーまでずっと無料で利用できるフリープランがあります。特徴はExcelファイルをそのまま申請フォームとして利用できる点で、従来Excel稟議書を使っていた企業がスムーズに移行できます。Web上で申し込み、数営業日で利用開始でき、申請書作成、承認フロー設定、通知機能など一通り揃っています。ディスク容量5GBまでや同時運用できるフォーム件数の制限(最大10件)など無料プランならではの上限はありますが、少人数チームの簡易な申請業務の電子化には十分でしょう。

ハーモス稟議(Hrmos承認ワークフロー)

人材管理システム「Hrmos(ハーモス)」シリーズの一つとして提供されているクラウド型ワークフローシステムです。現在β版提供中で、ユーザー数30人まで無料利用可能となっています。稟議書・契約申請・経費申請など様々な社内申請フローをテンプレートから設定でき、承認・差戻し履歴の保存など監査対応機能も備えています。スマートフォンアプリにも対応しており、外出先からでも承認が可能です。大手人事システム提供企業によるサービスのため安心感があり、中堅企業まで幅広く試しやすいでしょう。

SHIRASAGI(シラサギ)

株式会社ウェブチップスが開発するオープンソースのCMS/グループウェアで、組織内ポータルとしても利用されています。ソースコードが公開されており、自社サーバへインストールして無料で利用可能(利用人数無制限)です。グループウェア標準機能の一つとしてワークフロー機能を搭載しており、経費精算や報告書など日常業務の申請承認をデジタル化できます。2段階以上の承認ルート設定や、差戻しコメント・ファイル添付機能など企業利用に対応できる本格機能を備えています。自治体や病院など大規模組織での導入実績もあり、自社でITインフラを運用できる企業にとってはカスタマイズ自由度の高い強力な選択肢です。

無料のワークフロー導入で、業務効率化を一歩前へ

無料のワークフローシステムは、申請・承認業務の効率化やペーパーレス化を無理なく実現できる手段です。ツール選定時は、機能や制限、将来の拡張性に注意し、自社に合ったものを見極めることがポイントです。まずは小規模から導入し、実際の運用効果を検証しながら、段階的に活用の幅を広げていきましょう。ビジネスのスピードを高める第一歩として、無料ツールの活用を前向きに検討してみてください。


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