- 作成日 : 2025年7月9日
すごい議事録の書き方とは?作成のポイントをステップごとに解説
会議の内容を正確に伝え、参加者の行動を後押しする議事録は、単なる記録ではなく、ビジネスの質を左右する重要なドキュメントです。中でも「すごい議事録」と評価されるものは、要点が簡潔に整理され、誰が読んでも内容がすぐに把握できる構成が特徴です。
本記事では、議事録作成に悩むビジネスパーソンに向けて、準備・記録・仕上げ・共有までの各ステップを解説し、実務に活かせるノウハウを紹介します。
目次
すごいと言われる議事録とは?
評価される「すごい議事録」には共通する特徴があります。会議内容を正確かつ分かりやすく記録し、関係者にとって有益な情報となることが求められます。ここでは、ポイントを整理して解説します。
結論・要点が明確
優れた議事録では、会議で決まった結論や要点が冒頭に明確に示されています。読み手がすぐに重要な情報にアクセスできるよう、結論や決定事項を整理して記載することで、会議の成果を一目で把握できる文書になります。
欠席者にも分かる内容
すごい議事録は、会議に出席していない人が読んでも内容が理解できるように構成されています。議題の背景や議論の流れを適度に補足し、専門用語や略語についても必要に応じて解説が加えられており、誰にとっても分かりやすい記録になっています。
意思決定のプロセスが追える
結論だけでなく、その結論に至るまでにどのような議論があったのかが追える構成になっています。発言の要旨や提案の内容、反対意見とその理由などが記録されていることで、後から見返した際にも決定の妥当性が理解できます。
必要事項が網羅されている
日時、場所、出席者といった基本情報はもちろん、決定事項、アクションアイテム(誰が、何を、いつまでに)、保留事項、次回の予定までが過不足なく盛り込まれています。発言者と内容が明確に記録されており、確認漏れや誤解が生まれにくい構成です。
簡潔で分かりやすい文章
冗長な説明を避け、要点を簡潔に伝える記述がされています。読み手が知りたい情報をすぐに把握できるよう、文章構成や表現に工夫が施されています。長文を避け、箇条書きや見出しを使って情報の整理がされている点も特徴です。
フォーマットが統一され整然としている
社内で定められたフォーマットに沿って作成されており、情報の並び方が一定で、読む人が内容を探しやすくなっています。書式やレイアウトが整えられ、書類としても体裁が美しく、信頼性を感じさせる仕上がりになっています。
迅速に共有される
議事録は会議直後のスピード感ある共有も評価ポイントです。すぐに共有されることで記憶が新しいうちに確認でき、次の行動にもつなげやすくなります。情報が活きるタイミングで伝えられることが、すごい議事録の大きな要素です。
すごい議事録をとるための準備
「すごい」と評価される議事録は、会議中の記録力だけでなく、事前の準備によって質が大きく左右されます。会議前の準備を丁寧に行うことで、議事録作成の精度と効率が格段に向上します。以下では、会議前に意識すべきポイントを解説します。
会議の目的・議題を把握する
議事録作成者は、事前に会議のアジェンダを確認し、今回の会議で何を目的に議論が行われるのかを明確にしておくことが大切です。会議のゴールを理解していれば、どの発言が本質的で、どこに重点を置いて記録すべきか判断しやすくなります。
関連資料や過去議事録の確認
前回の会議でどのような決定や保留事項があったかを理解しておくことで、今回の議論の流れを把握しやすくなります。配布資料や前回の議事録に目を通しておくと、会議の背景を理解しやすく、発言内容を的確にメモする助けになります。
専門用語や略語の事前リサーチ
業界特有の専門用語や略語が議題に含まれている場合は、事前に意味を調べておくことで、会議中に戸惑うことなくスムーズに記録できます。内容を理解しながら聞けることで、議事録の精度が高まり、記録も速くなります。
議事録のひな形を用意する
会議の前にテンプレートを用意しておくと、当日の記録作業が格段にしやすくなります。会議名、日時、参加者、議題といった定型項目は事前に入力しておき、メモを取るスペースを確保しましょう。社内で指定されたフォーマットがある場合は、それに沿った書式を準備しておくことも忘れずに行います。
記録方法・ツールの確認
当日、どのように記録するかを事前に決めておくことも準備の一つです。ノートPCで記録するならバッテリーやタイピング環境を整え、テンプレートを開いておきます。録音を使う場合は、事前に社内の許可を得ておきましょう。録音機器やアプリも前日に確認し、問題なく使えるように準備します。
心構えと目標設定
会議中の進行に遅れないためには、事前に「この会議では何が話し合われ、どんな決定がなされそうか」を予測しておくと安心です。自分がどこを重点的に記録すべきかを考え、必要であれば会議の司会者や発言予定者に、議題の優先順位や注目ポイントを確認しておくのも効果的です。事前のイメージトレーニングが、実際の議事録作成に大いに役立ちます。
すごい議事録をとるための会議中の聞き方・メモの取り方
議事録の質を決定づけるのは、会議中にどれだけ正確に、効率的に、そして的確に情報を記録できるかにかかっています。ここでは、すごい議事録を生み出すための「会議中の立ち回り方」や「聞き方」「メモの工夫」を解説します。
議論の全体像を聞き逃さない
会議中はすべての発言を逐語的に記録する必要はありません。内容の重要度を見極め、核心となる情報に集中して記録します。中でも以下の内容は、必ずメモしておくべきポイントです。
- 最終的な決定事項や合意された結論
- それに至る主要な意見や反対理由
- 次に誰が何をいつまでに行うか(アクションアイテム)
- 保留された事項や検討が必要な課題
- 発言中に出た重要な数値や日付
これらを押さえておけば、議事録の要点が的確に伝わります。
発言者と発言内容をひも付ける
誰がどのような意見を述べたかを明確に記録することも大切です。会議中のメモでは、発言者を略称やイニシャルで素早く記し、発言内容を簡潔にまとめておくと後からの清書がしやすくなります。記録段階ではシンプルに、整理段階で正式名称へ修正する方法が効率的です。
メモは簡略化&構造化する
会議のスピードについていけないと感じたら、すべてを文章化しようとせず、キーワード単位での記録に切り替えます。たとえば「Xプロジェクト 納期 延期 提案(田中)」のように、主語・述語・発言者を最低限押さえるだけで十分です。さらに、箇条書きや記号、矢印などを使ってメモを階層的に整理すれば、後からの編集作業がスムーズになります。
フレームワークを活用して分類する
リアルタイムで内容を分類しながら記録するためには、フレームワークの活用も有効です。代表的な例として以下のものがあります。
- FOCEP:Fact(事実)、Opinion(意見)、Cause(原因)、Evaluation(評価)、Plan(計画)の5つに分類して整理する手法。事実と計画は特に重視されます。
- 「空・雨・傘」フレーム:現状→課題→解決策の流れで議論を把握する枠組み。提案型の会議で使いやすい考え方です。
- ロジックツリー:中心となるテーマから枝分かれするように論点を整理し、漏れや重複を避けながら記録できます。
こうしたフレームを使うことで、議論の流れが視覚的に把握しやすくなり、メモ取りの精度と効率が飛躍的に向上します。
話の流れを見失わないように注意する
メモに集中するあまり、会議の議題や論点を見失ってしまうことがあります。手元のアジェンダを常に確認し、「いま話している内容はどの議題に関係しているか」を意識しながら記録するようにしましょう。話が脱線した場合は、本筋から外れた雑談などは議事録には含めず、割り切って聞き流す判断も必要です。ただし、新人のうちは判断が難しいこともあるため、最初は多めにメモして後から取捨選択する方が安全です。
必要に応じて発言内容を確認する
決定事項や期限など、重要な部分で聞き取れなかったことがあれば、会議中にその場で確認することが望ましいです。たとえば「この件の期限は来月末という理解でよろしいでしょうか?」といった確認は、議事録の精度を上げるだけでなく、参加者全体の認識を揃える効果もあります。
録音やツールを補助的に活用する
発言のスピードについていけない、長時間の会議で記録負荷が大きいという場合は、録音を許可のうえ行うのもひとつの手段です。ただし、録音に頼りきるとメモ力が養われないため、補助として位置づけるのが理想です。
近年では、AIによる自動文字起こしツールの活用も増えています。リアルタイムで発言をテキスト化できるサービスは、議事録作成の負担軽減に役立ちます。ただし、誤認識や表現のニュアンスのズレも起こり得るため、あくまで下書きや確認用として使用し、最終的な内容の精査は必ず人が行うことが大切です。
すごい議事録の仕上げ方
会議が終わった後、議事録の完成度を高めるうえで大切なのが「仕上げ」の工程です。ここでは、議事録の質をさらに高めるためのポイントを解説します。
メモの整理と補完
会議終了後、記憶が鮮明なうちに自分のメモを見返し、曖昧な部分や抜けている箇所がないかをチェックします。記録が不十分な部分は、記憶をもとに補ったり、必要であれば同席した他の参加者に確認を取ることも有効です。時間を置かずに確認作業を行うことで、内容の精度が保たれます。
構成に沿って情報を配置
議事録のテンプレートや定められたフォーマットに沿って、記録内容を整理・記述します。会議名・日時・場所・出席者などの基本情報を冒頭に記載し、その後に議題ごとの議論経緯・結論・決定事項・アクションアイテム・保留事項などを整理します。複数の議題がある場合は、重要度の高いものから順に配置し、議論の流れが分かりやすいように構成するのが効果的です。
文章の明瞭化
会話のまま文章化するとわかりづらくなるため、主語や目的語を補いながら読みやすい文章に整えます。「それはどうなりましたか?」といった発言は、「○○の進捗について質問があった」など、文脈を加える必要があります。また、時制(〜しました/〜する予定)や文体(ですます調/である調)を文書全体で統一することも大切です。
簡潔で要点重視の記述
議事録では、長文よりも簡潔で要点の伝わる表現が好まれます。文章は短く、箇条書きを多用しながら必要な情報を読み取りやすく記述します。会議中の雑談や脱線した話題は省き、決定事項やアクションにつながる要素に絞って整理します。要旨を簡潔にまとめる意識を持つと、全体の構成もスリムで見やすくなります。
表記ゆれのチェック
人名、部署名、製品名などの表記にブレがないかを確認します。たとえば「高橋さん」と「髙橋さん」の違いなど、細かい表記ゆれがあると文書全体の印象が散漫になりがちです。記号やインデント、段落の使い方なども統一し、書式として整っているかどうかにも注意を払います。
決定事項・タスクの最終確認
議事録の中で最も重要な「決定事項」や「担当者・期限付きのアクション」は、誤記や漏れがないかを念入りに確認します。可能であれば、会議の主催者や上司に草稿をチェックしてもらい、内容の整合性や抜け漏れの有無についてフィードバックをもらうとより確実です。
スピーディーに関係者に共有
議事録はスピードも価値のひとつです。完成次第、関係者全員にできるだけ早く共有します。共有方法は、社内のナレッジツールやプロジェクト管理システムへのアップロード、メール添付など組織のルールに従います。共有時には、PDF形式に変換してレイアウト崩れや改ざんのリスクを避ける工夫も有効です。タイムリーに届けられる議事録こそ、実務で評価される「すごい議事録」と言えるでしょう。
すごい議事録の作成に役立つツール
議事録を効率よく、質高く仕上げるにはツールの活用も不可欠です。ここでは、便利なツールや仕組みを紹介します。
議事録テンプレート
議事録の基本構成を押さえたテンプレートを使えば、項目の抜け漏れを防ぎながらスムーズに記録できます。WordやExcelで使える無料フォーマットが多数公開されており、社内独自のテンプレートがある場合は常に最新版を準備しておきましょう。書き手・読み手双方にとって見やすく整った議事録になります。
メモ・ドキュメンテーションツール
GoogleドキュメントやMicrosoft OneNoteといったクラウド型ツールは、リアルタイムでの共同編集が可能です。会議中に複数人で編集することで抜け漏れを防ぎ、アウトラインツールを活用すれば階層的に情報を整理でき、後の清書作業がスムーズになります。
AI文字起こし・議事録作成ツール
音声認識による自動文字起こしや要約機能を備えたツール(例:Notta、Smart書記、AmiVoiceなど)を使えば、会議中の記録負担が軽減され、議論に集中できます。Google MeetやTeamsなどの会議ツールにも文字起こし機能があり、必要に応じて活用できます。ただし誤変換リスクやセキュリティ上の懸念があるため、利用時には十分に注意してください。
ナレッジ共有プラットフォーム
作成した議事録は社内に蓄積・共有してこそ価値を発揮します。Confluence、Notion、Stockといったナレッジツールに記録を集約すれば、過去の情報も簡単に検索でき、業務の引き継ぎや振り返りにも役立ちます。分類やタグの工夫で活用の幅が広がります。
議事録で信頼されるビジネスパーソンに
すごいと評価される議事録とは、会議の要点を的確にとらえ、誰が読んでも分かりやすく、迅速に共有される高品質な記録です。事前準備、会議中の聞き方とメモ、会議後の整理や共有まで、すべての工程に丁寧さと工夫が求められます。内容の正確さと簡潔さを両立させること、そして必要なアクションが明確に伝わる構成が、読み手の信頼を得る鍵となります。議事録の質を高める努力は、自身の評価の向上にも直結するでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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